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大雨による洪水のため、ダム下流の河川が氾濫して河川流域の住家、田や畑等が被害を受けることを防ぐため、ダムは洪水を調節をします。大雨による洪水を一時的にダムに貯め、下流に流れる水量を調節するための容量を洪水調節容量といいます。
洪水調節容量は洪水期(大倉ダム7月1日~9月30日)に確保し、その期間はダムの最高水位(常時満水位)を洪水調節容量分下げた水位(制限水位)にします。洪水期とは過去のデータから定めた大雨の降りやすい期間をいい、洪水期以外の期間は非洪水期といいます。
また、洪水が洪水期にだけ起こるとは限らず、非洪水期に起こりうる可能性もあります。水位が高い場合、洪水によりダムが溢れる恐れがあるので、天気予報等の情報をもとに必要に応じて事前に水位を下げる操作を行います。
このように貯水位を管理し、洪水が起こっても下流域へ大きな被害を与えないよう安全確保に努めています。
下から見た放流ゲート
上から見た放流ゲート
ダムには4門の放流ゲート(クレストゲート)を備えており。洪水調節と水位維持の放流に使用しています。
大倉ダムの計画高水量は昭和25年8月の洪水を基本とし、ダム地点の基本高水量1,200m3/sを400m3/sに減少させ、下流広瀬橋地点で基本高水流量2,500立方メートル/秒(ダム調整前)を1,800立方メートル/秒(ダム調整後)に低減させます。
右岸農業用水取水管
右岸農業用水路
ダム右岸に設置された取水管から、大倉ダムのすぐ下流に位置する下倉地区の農地で使用される水を供給しています。
左岸農業用水取全景(左岸側)
左岸農業用水取水管全景(右岸側)
ダム左岸に設置された取水管から、大倉土地改良区へ供給され、広瀬川沿岸の農地で使用されています。
郡山堰
遠隔操作監視カメラ
広瀬川には愛宕堰、郡山堰があり、仙台市南東部の農地で使用されています。
また、郡山堰には遠隔操作監視カメラが設置されており、堰と河川の流況を監視することができます。
大倉川苦地取水口(国見、梅の宮)
大倉川苦地取水口(中原)
青下川青下第1ダム取水塔(中原)
下倉農業用水分岐箇所(熊ヶ根)
大倉ダムから取水された大倉発電用水は大倉川へ放流され、その水は発電放流口より下流にある苦地地点で、仙台市国見浄水場と塩竃市梅の宮浄水場は同じ取水口から、仙台市中原浄水場は別の取水口から、それぞれの浄水場へと送られます。
また、中原浄水場は青下川にある仙台市水道局管理の青下ダムからも取水しています。
なお、仙台市熊ヶ根浄水場だけはダムから直接取水の方法をとっており、下倉農業用水の一部を転用して利用しています。
国見浄水場
中原浄水場
梅の宮浄水場
熊ヶ根浄水場
国見浄水場と中原浄水場、熊ヶ根浄水場は仙台市水道局で管理され、梅の宮浄水場は塩釜市水道部で管理されています。
国見浄水場は昭和33年から昭和39年にかけて建設され、取水施設とその水を送る導水施設は梅の宮浄水場との共同施設で、国見浄水場内にある分水地から梅の宮浄水場分が分けられて送られます。
中原浄水場は大正2年から大正12年にかけて建設され、水源は大倉ダム放流水、大倉川表流水だけでなく、青下ダム貯留水も使われています。
梅の宮浄水場は昭和38年に完成し、その水は塩釜市全域と多賀城市の一部の区域へ送られます。
熊ヶ根浄水場は昭和63年に建設され、平成13年4月より簡易水道から上水道に統合されました。
四谷堰取水口(郷六)
大倉ダムから放流された水は広瀬川と合流し、生瀬橋下流に位置する四谷堰から仙塩工業用水として大梶浄水場に送られます。
大梶浄水場
成田工業団地(富谷町)
仙塩工業用水道は宮城県仙南・仙塩広域水道事務所工業用水道管理事務所で管理しています。昭和36年から仙塩地区へ給水が開始され、大梶浄水場で工業用水に処理された水は仙塩工業用水として、仙台市、多賀城市、塩釜市、七ヶ浜町、平成5年度からは富谷町までの工業地帯へ送られています。
大倉発電所
ダム湖内取水塔
大堀発電所
三居沢発電所
大倉ダムでは東北電力株式会社が上水道、工業用水、かんがい用水などの放流水を利用して、水力発電を行っています。
ダム建設に伴い、旧大倉発電所が水没するため、昭和37年7月新たに現在の大倉発電所が建設され、昭和50年2月より無人化されました。なお、発電に使用された水は大倉川に放流され、各利水に使用されています。
また、大倉発電所の下流では大堀発電所、三居沢発電所の2ヶ所でも発電されています。
大堀発電所は大正8年に発電を開始しており、中原浄水場の取水設備を共同利用して取水しています。
三居沢発電所は日本で初めての水力発電所としても知られ、明治21年(1888年)から100年以上も発電を続けています。
立軸斜流水車
大倉ダムは洪水調節や上水道、工業用水、かんがい用水の供給と多目的であるため、貯水位、放流量等は通年一定ではありません。大倉発電所では状況により有効落差の変動や、発電使用水量の制約を受けることから、変動や制約を受けても常に効率よく発電が行えるよう、世界で初めて水車専用の立軸斜流水車が採用されました。
愛宕堰
大倉ダムは大倉川に位置し、下流では広瀬川と合流します。清流として名高い広瀬川は仙台市南東部のかんがい用水として利用されており、その補給と流水の正常な機能を維持するよう、自然流量分をダムから流しています。
ただし、自然流量分とはダムがない場合に流れる量、つまり河川そのものの流量であり、渇水により自然流量が減少した場合は、補給量も減少します。この時、ダムには渇水を補うための容量がないため、それ以上放流することは出来ません。この問題を解決するため、現在大倉ダムでは弾力的管理試験を行っています。
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