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実施協議書にサインする吉林省水利庁楊副庁長(左)と宮城県産業経済部岡崎次長(右)平成17年8月3日
宮城県と中国東北部にある吉林省は1987年から友好交流を続けており,これまで農業,文化,教育,医療,環境等の分野で交流・協力が行われてきました。2004年11月に吉林省長春市で締結した県省第9次交流計画協議書の中で,これまで行われてこなかった農業水利に関する宮城県による吉林省への技術協力が盛り込まれました。
中国では,1990年代中頃から国際機関等の協力による「参加型かんがい管理」が試験的に導入されており,今後のかんがい管理の重要な部分を担うものとされています。中国における「参加型かんがい管理」とは,農業用水の適正な管理に向けて『農民による用水協会を設立し,農地への水の配分,水利費の徴収,水路の維持管理等を農民にまかせ,民主的な管理を行うことにより,農業用水の効率的な利用を促進し,厳しさを増す水資源問題の解決につなげる』というものです。
吉林省でもかんがい管理に係る当面の課題を農民から水利費(用水使用料金)徴収する方法の改革に置きつつ,農民の自主的なかんがい管理を段階的に推進しようとしていますが,農民の貧困問題やかんがい管理に要するコスト不足など様々な問題を抱えており,「参加型かんがい管理」を早期に実現するのは極めて難しい状況にあります。
平成17年8月,宮城県は,産業経済部次長を団長とする協議・調査団を吉林省に派遣し,「参加型かんがい管理」の分野で世界的にも優れたシステムと言われている「土地改良区を中心とした日本のかんがい管理手法」をテーマとする技術協力プロジェクト「住民参加型かんがい管理支援事業」の実施協議を行いました。
プロジェクトでは,JICA(国際協力機構)草の根技術協力事業(地域提案型)を活用し,平成17年度から平成19年度までの3年間,吉林省からの研修員の受入と宮城県からの専門家の派遣が行われます。平成17年8月1~11日に宮城県から4人(うち1人はNPO法人「あぐりねっと21」)の専門家を派遣し,平成17年9月6~19日に吉林省から6人の研修員を受け入れました。
宮城県では,県の農業土木技術職員によるプロジェクトチームを結成し,またNPOの参加も得て,「参加」をキーワードに関係者の英知を結集し,プロジェクトを進めることにしています。
今後の中国と日本の「相互理解」のためには「人の交流・理解」がますます重要であり,農業農村整備分野においても,地方における草の根レベルの交流がさらに必要になると考えています。
今回のプロジェクトが,その先駆けの一つとなることを期待しています。
土地改良区から説明を受ける中国吉林省の研修員
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