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平成13年11月 総務部 財政課
Q2 今後の収支見通しはどうなっているのですか。(どのくらいの財源不足ですか。)
Q3 財政の収支見通しは、どのような前提のもとに試算しているのですか。
Q9 宮城県は他県や仙台市に比べ、なぜ財政状況が悪いのですか。
Q11 平成11年2月に策定した「財政健全化推進計画」の成果はどうですか。
Q12 「財政健全化推進計画」以降、これまでにどのような取り組みがなされているのですか。
Q13 「財政健全化推進計画」以降、これまでの財源不足はどうやって補ってきたのですか。
Q14 財政調整基金等(4基金)とは何ですか。また、残高はどのくらいですか。
Q18 財源不足はこれまでどおり、基金の取崩しと県債の増発で対応できないのですか。
Q20 平成13年9月に「財政再建の基本方針」、平成13年10月に「財政再建推進プログラム(案)」が公表されましたが、これは何ですか。
Q24 職員数が減っているのに、人件費はなぜ増えるのですか。
Q25 今後、児童生徒数の減少により教職員数が減少、また行政職員も削減され、給与の伸びも低率が予想されることから、人件費は減少するのではないですか。
Q26 建設事業費を抑制するのではなく、新たに公共事業を起こし景気回復を図ることを優先すべきではないのですか。
Q27 公共事業など投資的経費を半減すれば財源を確保できるのではないでしょうか。
Q28 景気低迷によって税収が減少したといわれていますが、県税収入は全体として伸びているのではないのですか。
Q29 県税の約3割を占める法人二税とは何ですか。また今後の動向はどうですか。
Q30 経費削減や人件費抑制の措置だけではなく、税の滞納整理や県有財産の処分など、もっと歳入面で努力すべきではないですか。
Q32 現在の地方財政制度は見直しが必要なのではありませんか。
A “228億円の財源不足”
平成11年11月に財政危機を宣言して以来、財政健全化を至上命題として、聖域なき歳出削減や歳入確保対策などに取り組んできました。平成13年度においても、危機的な様相を呈する財政状況に対処するため、事務事業の見直しや経費節減、公共事業の抑制など、歳出全般にわたる施策の厳選を行い、当初予算としては3年ぶりに増加に転じているものの、国民体育大会や全国障害者スポーツ大会の開催費などの臨時的支出を除くと前年度比1.0%の減となる緊縮型の予算となっています。9月補正予算後においても、同様に1月6日%の減となっています。歳入は、県税が2,600億円と前年度実績並みを見込んでいるものの、地方交付税が前年度実績を200億円減と4月2日%下回るなど、収支全体(一般会計)では228億円もの巨額な財源不足が見込まれるため、財政健全化債(55億円)や実質的な赤字地方債である臨時財政対策債(130億円)を発行するなど、かろうじて収支の均衡を図っています。 <一般会計の年間収支見通し…一般財源ベース> (9月補正後)
歳入 |
歳出 |
---|---|
県税 2,600億円 |
義務的経費 3,287億円 |
地方交付税 2,155億円 |
人件費 2,155億円 |
地方消費税清算金 452億円 |
公債費 1,017億円 |
その他の収入 201億円 |
投資的経費 532億円 |
計 5,408億円 |
県税交付金等 831億円 |
財源不足⇒県債発行、基金取崩 228億円 |
その他経費 986億円 |
再計 5,636億円 |
計 5,636億円 |
Q2 今後の収支見通しはどうなっているのですか。(どのくらいの財源不足ですか。)
A “今後4年間で約830億円の財源不足が発生”
今後も義務的経費などの増嵩により、平成15年度188億円、16年度321億円、17年度321億円もの巨額な財源不足が続くことが予想されます。
Q3 財政の収支見通しは、どのような前提のもとに試算しているのですか。
A “名目成長率0%で試算”
本県の中期見通しは、名目経済成長率を0%とし試算しています。国の「財政の中期展望」(財務省H13.2)では2%と3%のケースを想定していますが、経済の先行きが極めて不透明であることから、0%という厳しい状況を前提としています。 <具体的試算方法> 歳入の県税や地方交付税等、歳出の人件費については伸び率0%を基本。また、公債費(ローン返済)や退職手当は積み上げ、投資的経費はワールドカップ関連経費等を除き平成13年度以降同額と試算。
A “平成15年度には赤字が発生し、平成16年度には「準用財政再建団体」に転落”
バブル崩壊後、県税の減収や経済対策の実施に伴う公債費(ローン返済)の増大等により大幅な財源不足が続く一方、県の貯金である財政調整基金等の残高は、平成13年度末で245億円程度まで減少すると見込まれます。このため、歳入に限りがある以上、聖域なき歳出削減(=財政健全化)を行わなければ、平成15年度に財政調整基金等は枯渇し赤字の発生が余儀なくされ、さらに平成16年度には「準用財政再建団体」に転落する可能性が極めて高くなっています。
A “国の管理下に置かれ、県民生活に深刻な影響が出ます”
実質収支 (注1)の赤字額が一定規模(標準財政規模(注2)の5%=財政再建ライン、平成13年度ベースで約220億円)を超えると、建設地方債の発行を制限され、道路整備や治水対策、学校建設、福祉施設整備などの社会資本の整備に必要な事業が事実上できなくなります。このため、国の管理下で「準用財政再建団体」として財政再建を行っていくことになります。「準用財政再建団体」は、企業で言えば、会社更生法の適用を受けることに相当し、過去に生じた赤字を一定の期間に解消するため再建計画を立て、人件費 (給与)の削減はもとより、国の基準を超える事業や県が独自に実施している事業などについて、縮小または廃止するなどきわめて厳しい措置を講じなければならなくなり、県民生活にも深刻な影響が懸念されます。(注1)実質収支=形式収支(歳入-歳出)-翌年度へ繰り越すべき財源 (12) 14億円
(注2)標準財政規模:自治体における一般財源の標準的な規模 (13)4,478億円
……準用財政再建団体についてもっと詳しく知りたいのですが……
赤字額が上記財政再建ラインに達した地方自治体に対し、国は一定の要件を満たす場合に「地方財政再建促進特別措置法」(以下「再建法」という。)に基づき協力援助します。再建法による財政再建(本再建)は昭和29年度の赤字団体のみに対する制度ですが、昭和30年度以降の赤字団体に対しても、本再建の規定の一部を準用して財政再建を行う制度として、準用再建が定められています。準用再建では、地方債の制限が解除されますが、そのためには財政再建計画を策定し、国の承認を受けなければなりません。財政再建計画には、再建の具体的措置として、人件費(給与)・事務経費の削減や投資的経費の抑制などの歳出削減策と、使用料等(公共料金)の増収による歳入対策により、一定期間内に健全化するための方策を定めなければなりません。再建には、このような再建法に基づく再建(準用再建)と再建法によらない再建(自主再建)があり、どちらを選択するかは各自治体が判断することになりますが、自主再建の場合は地方債の制限が解除されないなど国の支援がないため、赤字額が大きい場合は準用再建によって財政の再建を図ることになります。 全国の準用再建団体の状況(平成13年度当初時点) 都道府県:なし、市町村:1団体
A “自力再建が原則”
地方財政の円滑な運営を図るため、地方財源の総額確保のための措置として、地方財政対策が講じられ、地方財政計画が策定されます(交付税法第7条)。これは、地方自治体の実際の収支見込額を推計するものではなく、客観的に推測される通常の水準における収入・支出の総額を計上したもので、そこで見込まれた財源不足については、地方交付税の加算措置や県債(財源対策債)の発行などにより補てんされる仕組みになっています。しかし、国の水準を超える経費や個々の自治体の事情に基づく財源不足については、この中に含まれず、当該団体の自助努力で解決しなければなりません。 ○国の水準を超える経費…(1)国庫補助事業における県単独嵩上げや超過負担 (2)国家公務員の水準を超える部分の職員給与(本県ラスハ゜イレス指数 H12月4日.1時点 一般行政職:100.1) (3)法定数を上回る職員配置(高校、警察など) など
A “景気低迷による税収不振”
歳入面では、景気の低迷による税収の落ち込みが最大の原因です。県税収入は、バブル経済崩壊後、県税の約3割を占める法人二税(法人住民税、法人事業税)の減収に加え、景気回復のための特別減税や恒久的減税が実施されたことなどにより、大幅な減収となっています。歳出面では、人件費や扶助費(社会保障費)が着実に増加してきたことに加え、税収の落ち込みの補てんや経済対策のために県債を増発したことによる県債残高の累増により、その元利償還金の支払い(公債費)が増加し、これら義務的経費の歳出全体に占める割合が高まっています。このため、財政の弾力性を確保し、経済変動や地域社会の状況の変化に対応することが困難な状況になりつつあります。
……バブル経済絶頂期の平成3年度と平成12年度を比べてみると……(普通会計)
区分 平成3年度 平成12年度 増減 県税等収入 2,391億円 ⇒ 2,233億円 ▲158億円(▲ 6月6日%) 人件費 2,437億円 ⇒ 2,801億円 +364億円(+ 14.9%) 公債費 680億円 ⇒ 1,089億円 +409億円(+ 60.1%) 県税等収入=県税+地方消費税清算金(相殺後)+消費譲与税-県税交付金等
A “経常収支比率が年々悪化(財政構造の硬直化が進行)”
指標には様々なものがありますが、主に次の三つの指標があります。 (1) 経常収支比率
県税、地方交付税など県が自由に使える一般財源(Q34参照)で、経常的に収入されるもののうち、どの程度の比率のお金が人件費や公債費などの経常的な歳出に回されているかを示す値です。サラリーマンの家計に例えれば、毎月決まって入ってくる基本給のうち、食費、家賃、ローンの返済など決まって支払う必要がある生活費にどの程度回っているかを示すものであり、この値が高いほど臨時的な支出にお金を回す余裕に乏しく、財政構造の硬直化が高いということになります。
通常、この比率は80%以下が望ましいといわれていますが、本県は85.9%(平成12年度決算)で、この数値を大幅に上回り、平成5年度に80%を超えてから、依然80%以上の高水準で推移しています。 (2) 公債費負担比率 県が自由に使途を決められる一般財源のうち、どの程度が県債の償還(ローン返済)に回されているかを示す値です。一般的に15%が警戒ライン、20%が危険ラインといわれています。本県は、18.8%(平成12年度決算)で平成9年度に警戒ラインである15%を超え、しかも上昇傾向にあります。 (3) 起債制限比率
県債の許可制限に係る指標として使われ、交付税により理論的に財源措置のある県債償還分を除いた実質的な(財源措置のない)県債の償還が、標準財政規模(Q5の注2参照)と比較してどの程度重い公債費負担を負っているかを示す値です。この比率が20%を超えると、新たな県債の発行に制限を受けることになります。本県は、12月6日%(平成12年度決算)で、ここ数年安定しています。
<3指標の推移> (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) 経常収支比率 86.1% 85.1% 84.4% 90.7% 93.4% 89.2% 85.9% 公債費負担比率 14.6% 15.6% 14.7% 16.2% 16.5% 17.8% 18.8% 起債制限比率 12.0% 12月2日% 12.0% 11月8日% 11月5日% 11月9日% 12月6日%
Q9 宮城県は他県や仙台市に比べ、なぜ財政状況が悪いのですか。
A “大都市部を抱える都道府県ほど財政悪化が顕著”
政令市などを抱える大都市部の都道府県では、歳入面では景気変動の影響を受けやすい法人二税(法人住民税と法人事業税)への依存度が高い一方、仙台市などは景気変動の影響の少ない固定資産税への依存度が高くなっています。また、歳出面では人件費等の義務的経費の比率が高くならざるを得ない財政構造(Q10参照)となっているため、景気低迷の影響を大きく受け、極度に財政状況が悪化しつつあります。
<平成12年度決算> 宮城県 仙台市 歳入に占める地方税の割合 30.4% 地方税の割合 45.9% 地方税のうち法人二税の割合 28.0% 固定資産税の割合 42.1%
A “歳出に占める義務的経費の割合が高い”
歳出面では,人件費、公債費などの義務的経費の構成比が高く、公共事業等の投資的経費の構成比が低いのが特徴で、仙台市などの大都市を抱える都道府県に共通して見られる傾向です。これは、(1)政令市である仙台市内の県道の整備が仙台市に移譲されている分、公共投資が軽減されている反面、(2)仙台市内の小中学校の教職員や警察官の人件費も県が負担していること、などによるものです。 <参考>義務的経費の比率(平成11年度決算 歳出に占める義務的経費の比率) 宮城県 千葉県 神奈川県 愛知県 広島県 福岡県 45.4% 49.2% 59.2% 48.5% 44.8% 49.7% 仙台市 千葉市 横浜市 名古屋市 広島市 福岡市 36.3% 40.6% 39.9% 40.7% 42.6% 36.2%
Q11 平成11年2月に策定した「財政健全化推進計画」の成果はどうですか。
A “当初懸念されていた平成13年度の準用財政再建団体への転落を回避”
「財政健全化推進計画」に基づき、「聖域なき歳出の見直し」として投資的経費総額の抑制、事務事業の見直し、職員給与等の削減などの取組を進めた結果、当初懸念された平成13年度の「準用財政再建団体」への転落は回避することができました。
Q12 「財政健全化推進計画」以降、これまでにどのような取り組みがなされているのですか。
A “3ヶ年で約505億円の削減効果”
バブル経済崩壊後、急速に悪化した県財政の健全化を図るために中長期的な指針として、平成11年2月に策定した「財政健全化推進計画」に基づき、平成11年度から13年度までに、次のような取り組みを行ってきました。(一般財源ベース) 1 すべての事業を対象とした歳出削減 (1)事務事業の見直し 45億円 (2)経常的経費、一般的経費、政策的経費のマイナスシーリング 154億円 など 2 人件費総額の削減 (1)給与カットによる削減 109億円 (2)時間外勤務手当の縮減 15億円 (3)定員適正化計画による削減(知事部局) 14億円 (4)臨時職員の削減(知事部局) 4億円 など 3 投資的経費の抑制 (1)投資的経費総額の抑制 112億円 (2)公共工事のコスト縮減 20億円 (平成8年度当時の考え方と比較して平成11年度で9月2日%のコスト縮減) など 4 歳入の確保 (1)使用料及び手数料の見直し 3億円 (2)未利用財産の売払い 29億円 など
Q13 「財政健全化推進計画」以降、これまでの財源不足はどうやって補ってきたのですか。
A “県債の増発と基金(貯金)の取崩しでやりくり”
バブル経済崩壊後の県財政は県税収入が伸び悩む一方、義務的経費は年々増嵩し、大幅な財源不足の状態が続いています。「財政健全化推進計画」に基づく財政健全化に向けた取組を進めましたが、それでも生じた財源不足については、県債の増発と基金(貯金)の取崩しで穴埋めしてきました。平成11年度は、335億円の財源不足が発生し、財政健全化債(90億円),減収補てん債(56億円),減税補てん債(19億円)の発行及び財政調整基金等(170億円)の取崩しにより、収支の均衡をはかりました。(最終予算ベース)平成12年度は、31億円の財源不足が発生し、減税補てん債(31億円)の発行により、収支の均衡をはかりました。(最終予算ベース)平成13年度は、228億円の財源不足が見込まれるため、財政健全化債(50億円)及び臨時財政対策債(130億円),減税補てん債(30億円)の発行及び国際化基盤整備推進基金及び地域整備推進基金(18億円)の取崩により、収支の均衡をはかっています。(9月補正後ベース)
この結果、県債残高は平成4年度以降の国の経済対策に呼応し多額の発行を続けてきたため、毎年度数百億円程度増加し続け、平成12年度末では1兆2,802億円に達する(Q32参照)一方で、基金は平成13年度末には245億円にまで減少する見込み(Q14参照)です。…一般会計ベース
Q14 財政調整基金等(4基金)とは何ですか。また、残高はどのくらいですか。
A “県の基金(貯金)は標準財政規模に比べ極めて低水準に陥っています”
財政調整基金、県債管理基金、地域整備推進基金、国際化基盤整備推進基金をいい、いずれも年度間の財源調整を目的とした積立金(貯金)です。 ・財政調整基金 景気低迷などによる大幅な税収減や災害など予期しない支出に対応するための積立金。 ・県債管理基金 県債の償還やその信用維持のための積立金。償還金は義務的な経費であり、収入の変動に影響されずに、償還を円滑に行うためのもの。 ・地域整備推進基金 地域の基盤となる公共施設整備のための積立金。 ・国際化基盤整備推進基金 国際交流拠点としての産業基盤施設整備のための積立金。<各年度末の基金残高の推移>(11月補正後見込み) (単位:億円)
区分 |
(5) |
(6) |
(7) |
(8) |
(9) |
(10) |
(11) |
(12) |
(13)(見込) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
財政調整 |
115 |
110 |
100 |
93 |
86 |
38 |
17 |
47 |
63 |
県債管理 |
222 |
228 |
227 |
227 |
229 |
156 |
130 |
194 |
195 |
地域整備 |
173 |
172 |
163 |
163 |
90 |
85 |
5 |
5 |
0 |
国際化 |
46 |
45 |
36 |
34 |
29 |
25 |
15 |
16 |
3 |
計 |
556 |
555 |
526 |
517 |
434 |
304 |
167 |
262 |
261 |
A “県債増発は後年度に重い負担となって返ってくる”
県債の過度の発行は、後年度の住民に過重な負担を強いることにもなり、また金融財政面にも少なからず影響を及ぼすことにもなるので、県債の発行については、現行法上、いろいろな制限が設けられています。地方財政法では、県債を財源とすることができる事業が限定されており、また、都道府県が発行する場合は総務大臣の許可が必要とされています。
したがって、財源が不足するからといって、地方自治体が勝手に借金をすることはできない仕組みになっています。(Q32参照)
また、特例的に財政健全化債の発行が認められる場合(Q16参照)も、後年度に県税収入をはじめとする一般財源で、その元利償還金を支払っていかなければなりません。このため、財政健全化債については、各地方自治体の財政健全化による将来の財政負担の軽減効果を担保に発行が許可されることになっています。
また、平成13年度から、臨時財政対策債の発行が認められるようになりました。(Q17参照)
A “財政健全化措置を担保とする特例的な借金”
財政構造が悪化している地方自治体が、自主的に財政の健全化に取り組む場合、これらの取組の効果が認められ、将来の財政負担の軽減が見込まれる範囲内で、資金手当のための県債発行が認められるもので、平成10年度から措置されています。対象となる財政健全化措置は、歳入面では、使用料や手数料の見直しなど、経常的な収入の確保。歳出面では、人件費の削減、内部管理経費の節減、補助金の見直し、その他事務事業の整理合理化など財政健全化の効果が算定できるものとなっています。国は赤字を埋めるため「赤字国債」を発行していますが、地方自治体では赤字補てんのための県債発行は認められていません。このため、財政健全化債についても資金手当として公共事業などの建設事業費の財源に充当することが前提となり、職員給与や補助金などの財源とすることはできません。本県では、平成11年度に61億円を発行し、本年度は50億円を発行する予定です。
A “平成13年度から平成15年度限りの特例的な借金”
長引く景気の低迷により,地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入の伸び悩み,更には公債費(ローン返済金)の累増等により,平成13年度の地方全体の収支見通しで10兆円を超える財源不足が生じることになりました。これまでは,こうした財源不足には国の交付税特別会計借入金で対応し,地方に配分する地方交付税が増額されてきましたが,国と地方の責任分担の明確化と財政の透明性を確保するため,平成13年度から平成15年度までの特例措置として,不足分を国と地方で折半し,国負担分については一般会計からの加算により,地方負担分については地方自らが借入金により対応することになりました。こうして発行を認められた特例的な県債のことです。
Q18 財源不足はこれまでどおり、基金の取崩しと県債の増発で対応できないのですか。
A “基金の取崩しと県債の増発での対応は困難”
平成3年度末には約634億円の残高があった財政調整基金等4基金は、平成13年度末には、4割の約261億円になる見込み(Q14参照)です。この残高も、平成15年度には底をつくと見込まれ、非常に厳しい状況にあります。
また、県債は基本的には投資的経費(適債事業)に係る県負担額の一定割合までしか発行することはできません。財政健全化措置による歳出削減とこれによる将来の財政負担の軽減を担保に発行が認められる財政健全化債(Q16参照)にしても同様です。
したがって、国のように財源不足が生じるからといって、その分県債を増発することはできません。
A “大幅な税収増は期待できません”
平成13年度の政府経済見通しは、当初プラス成長への期待を込めて国内総生産の実質成長率を1.7%と見込んでいましたが、米国経済の減速の影響を受けて、11月に△0.9%とマイナス成長に下方修正されました。今後、バブル期のような右肩上がりの経済成長を期待することは困難であり、経済の低成長が続く中にあっては、県税収入に大きな伸びは期待できません。一方、平成12年度からの介護保険制度導入をはじめ、高齢化の進展などに伴う社会保障費の増加や、これまでの景気対策の財源に充てるため大量の県債を発行してきたことによる公債費の増加などにより、義務的経費はますます増加していくことが見込まれます。したがって、景気が回復しても直ちに財政状況が好転することは期待できず、中長期の視点からも財政構造改革は避けて通れない課題となっています。
Q20 平成13年9月に「財政再建の基本方針」、平成13年10月に「財政再建推進プログラム(案)」が公表されましたが、これは何ですか。
A “巨額の財源不足を解消するため、これまで以上の改革を断行します”
平成11年2月の「財政健全化推進計画」に基づき財政健全化を進めてきましたが、平成13年度当初予算をもとに推計した「財政の中期見通し」では、これまでと同様の財政運営を続けた場合には、公債費(ローン返済)の増加などにより、今後4年間で約830億円の財源不足が生じ、平成16年度にも「準用財政再建団体」に転落する危機が迫っています。このため、この巨額の財源不足の解消をめざし、これまで以上に行政のスリム化、事務事業の抜本的見直しや歳入の確保を図る改革を断行することとしました。「財政再建の基本方針」は、平成14年度から平成17年度までの4年間を財政再建の実施計画期間とし,この間に取り組むべき改革の方針をとりまとめたものです。また、「財政再建推進プログラム(案)」は、基本方針の体系毎の改革の方策や内容・目標額を具体的に示して、財政再建の道筋を明らかにするために策定したものです。
A “「財政再建の基本方針」は平成14年度から17年度までの4年間を当面の目標”
収支見通しは、経済動向や国の制度改正などに大きく左右される面があり、推計の期間が長期にわたるほど、これらの不確定要因により、精度に問題を生じることになります。したがって、毎年度計画を見直しながら、今年度を含め5年間の収支見通しを立てています。その見通しにおいて、 (1)予測される財源不足が解消し、県財政の継続的な健全性が確保され、
(2)長期的な財政の健全性を確保する観点から、県債の適切な規模での活用を図り、県債残高と公債費の増嵩が抑制されること
が明らかになるまでは財政健全化の取組を継続する必要があります。
A “県としての行政サービスの範囲を大胆に絞り込む改革”
この財政危機を克服していくためには、これまでの取組からさらに一歩進め、県としての行政サービスの範囲を大胆に絞り込む抜本的な改革が必要となっています。この観点から、行政のスリム化の推進、事務事業の抜本的見直し(施策の重点化)、歳入の確保に取り組むこととしています。 1 行政のスリム化の推進 歳出抑制による県民への影響を最小限に止め、県民の理解と協力を得るため、人件費総額の抑制、県庁組織の見直し、内部管理経費の削減を進め内部努力を徹底します。 2 事務事業の抜本的な見直し(施策の重点化) 大規模事業や公共事業については、施策の優先度等を考慮しながら総枠を抑制します。また、補助事業については、県の役割分担や関与のあり方、補助の必要性等を再検証し、優先度の高い施策へ重点化を進めます。あわせて、公社等外郭団体の改革等も進めます。 3 歳入の確保 滞納整理等の税収確保対策、未利用財産の売却、受益者負担の適正化などを進め、歳入の確保対策を強化します。
A “「財政再建推進プログラム(案)」に方策や内容・目標額が具体的に示されています”
財政再建に向けた目標値は次のとおりです。[PDF/8KB](PDF:8KB)
Q24 人件費は職員数が減っているのに、なぜ増えるのですか。
A “昇給や退職手当による変動も大きい”
人件費の変動要因としては、給与改定、昇給、職員数、退職者の数など様々な要因があります。下表のように、平成12年度と平成7年度を比べると、職員が500人以上減っているにもかかわらず、人件費は150億円の増となっています。これは給与改定(ベースアップ)のほか、昇給(定期・特別)による年2%程度の増、職員の平均年齢の上昇、退職者の増減による退職手当(退職金)の変動などによるものです。
区分 |
(7) |
(8) |
(9) |
(10) |
(11) |
(12) |
(12)-(7) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
職員数(人) |
30,100 |
30,136 |
30,124 |
29,986 |
29,856 |
29,574 |
▲526 |
行政関係 |
5,740 |
5,766 |
5,713 |
5,687 |
5,680 |
5,581 |
▲159 |
警察関係 |
3,695 |
3,705 |
3,744 |
3,802 |
3,812 |
3,816 |
121 |
教育関係 |
20,665 |
20,665 |
20,667 |
20,497 |
20,364 |
20,177 |
▲488 |
人件費(億円) |
2,651 |
2,744 |
2,818 |
2,824 |
2,859 |
2,801 |
150 |
退職手当 |
166 |
176 |
178 |
158 |
189 |
191 |
25 |
給与等 |
2,485 |
2,568 |
2,640 |
2,666 |
2,670 |
2,610 |
125 |
注1)職員数は、毎年度の4月1日時点 注2)人件費は普通会計ベース
Q25 今後、児童生徒数の減少により教職員数が減少、また行政職員も削減され、給与の伸びも低率が予想されることから、人件費は減少するのではないですか。
A “人件費の伸びは今後鈍化”
Q24のとおり、人件費の増減は給与改定率の状況、昇給、退職者数及び給与制度の改正状況などを考慮する必要があります。今後、児童生徒数の減少に伴い教職員数が減少すると、その分人件費の負担は軽減されますが、給与改定率が民間の動向を反映し低位で推移したとしたとしても、昇給(定期・特別)を勘案すると、人件費の伸びは鈍化するものの、その総額が大幅に減少することはないものと見込まれます。
Q26 建設事業費を抑制するのではなく、新たに公共事業を起こし景気回復を図ることを優先すべきではないのですか。
A “財源措置の少ない建設事業費は抑制”
現在の財政状況を踏まえると、できるだけ県債の発行を抑制し、後年度の財政負担の軽減を図っていく必要があります。このため、投資的経費については、施策の優先度を見極め年度間の事業量の変動を平準化するなど、景気回復を損なわないよう国による財源対策が講じられるもの(経済対策のための補正予算など)に配慮しながら、総額を抑制することとしています。
Q27 公共事業など投資的経費を半減すれば財源を確保できるのではないでしょうか。
A “公共事業など投資的経費の縮減にも限界があります”
公共事業など投資的経費は平成13年度予算(9月現計、普通会計)で1,861億円と前年度現計予算に比べマイナス227億円、約11%減。このうち国庫補助金や県債を除く一般財源は464億円(構成比25%)となっています。投資的経費の規模抑制は大規模事業及び公共事業の見直しとして事務事業の抜本的見直しに含まれており、重点化や予算要求時点で上限を定めるキャップ制、コスト縮減などの抑制策を引き続き講じる必要があります。しかしながら、一方で継続中の事業や地域ニーズに応じた事業など事業規模の圧縮が難しい面もあり、全体を半減することは現実には困難です。県民生活の質の向上と地域経済の長期的な発展の基礎固めを行っていくためには、道路、下水道、治水対策などの産業・生活基盤の整備を計画的に進めていく必要があります。このため、来年度は現状よりも国庫補助の公共事業で15%以上、県単独の公共事業で20%以上削減することとしていますが、極端に減らすといった片寄ったものではなく、財政状況を踏まえた上で、他の経費とバランスのとれた財政運営を行っていく方針です。
Q28 景気低迷によって税収が減少したといわれていますが、県税収入は全体として伸びているのではないのですか。
A “地方消費税が創設されても税収全体では落ち込み”
県税収入は、今年度落ち込むまで、ここ数年伸びているように見えますが、税収のうち一定額は市町村に交付しなければなりません。この県税交付金等を除いた後の、実質的な県の手取りで比較すると、平成9年度以降は景気の低迷と減税により、低迷しています。 <県税収入の推移> (9月補正後) (単位:億円)
年度 |
(3) |
(4) |
(5) |
(6) |
(7) |
(8) |
(9) |
(10) |
(11) |
(12) |
(13) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
県税収入 |
2,644 |
2,532 |
2,522 |
2,496 |
2,615 |
2,767 |
2,716 |
2,742 |
2,638 |
2,717 |
2,715 |
交付金等 |
253 |
230 |
245 |
266 |
274 |
240 |
297 |
454 |
434 |
484 |
473 |
実質収入 |
2,391 |
2,302 |
2,277 |
2,230 |
2,341 |
2,527 |
2,419 |
2,288 |
2,204 |
2,233 |
2,242 |
注1)平成12年度までは決算ベース、平成13年度は9月現計ベース 注2)地方消費税は都道府県間の清算相殺後 注3)消費税制度が平成9年度から変更(譲与税→県税化)されたため、県税収入には消費譲与税や都道府県間の清算相殺後の地方消費税を含む。
Q29 県税の約3割を占める法人二税とは何ですか。また今後の動向はどうですか。
A “法人二税の急激な増収は期待できない”
法人二税とは、法人住民税(均等割・法人税割)と法人事業税を指します。本県における法人二税は、平成3年度の1,125億円をピークに、その後バブル経済の崩壊や減税の実施により急激に減少し、平成13年度年間見込では816億円(平成3年度に比べ3割減)まで落ち込んでいます。法人二税の今後の動向は、景気の動向に大きく影響されますが、恒久的減税が実施されたことなどもあって、急激な増収は期待できない状況にあります。 <法人二税収入の推移> (9月補正後) (単位:億円)
年度 |
(3) |
(4) |
(5) |
(6) |
(7) |
(8) |
(9) |
(10) |
(11) |
(12) |
(13) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
県税収入A |
2,644 |
2,532 |
2,522 |
2,496 |
2,615 |
2,767 |
2,716 |
2,742 |
2,638 |
2,717 |
2,715 |
法人二税B |
1,125 |
972 |
918 |
857 |
870 |
1,063 |
983 |
829 |
769 |
755 |
816 |
割合B/A |
42.5 |
38.4 |
36.4 |
34.3 |
33.3 |
38.4 |
36.2 |
30.2 |
29.2 |
27.8 |
30.1 |
Q30 経費削減や人件費抑制の措置だけではなく、税の滞納整理や県有財産の処分など、もっと歳入面で努力すべきではないですか。
A “税収確保、県有財産の売却・利活用を推進”
歳出抑制だけではなく、歳入の確保に向けた努力も不可欠です。このため、県税担当部門や県有財産管理部門それぞれに対策を講じ、収入確保に全力をあげています。県税については、平成5年度から「県税滞納額縮減対策本部」を設置し、県税徴収確保対策5ヵ年計画(平成9~13年度)を策定し、滞納額の縮減を目指していますが、景気後退を受け、徴収率・滞納額ともに年々悪化しています。 <徴収率・滞納額の推移> (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) 徴収率( % ) 97.9 97.3 97.2 97.2 97.2 97.2 97.1 97.1 96.8 96.7 滞納額 (億円) 49 59 62 61 65 70 72 74 80 80 また、県有財産の処分については、未利用財産の積極的な情報公開と公募入札制度の導入などを実施し売却や貸付けなどを行い、増収に努力することとしています。
A “他都道府県でも厳しい健全化措置”
東京都、大阪府、神奈川県、愛知県、福岡県など大都市を抱える他の都府県は相次いで「財政危機宣言」を行い、財政健全化に向けた取組に着手しており、その主な内容は次のとおりです。 <歳入確保> 徴税の推進、保有財産の売却、使用料や手数料の見直し(引き上げ) <歳出見直し> 投資的経費の抑制(公共事業や単独事業の抑制、一律削減など) 行政施策費の一律削減(節減)、補助金・貸付金の見直し 人件費の抑制(定数削減、特別職報酬等の減額、給与改定の繰延べ、昇給の延伸、給与減額、期末手当等の減額、早期退職制度実施、特殊勤務手当の見直し等)
Q32 現在の地方財政制度は見直しが必要なのではありませんか。
A “地方税財源の充実確保を国に対し強く要望”
地方分権の推進に当たって、地方自治体は地域における行政を総合的に広く担うこととされており、地域福祉の推進等の重要政策課題の進展に伴って財政需要がますます増大するものと見込まれます。この住民ニーズに応じて、地方分権を実効あるものとする自主的・自立的な行政運営を図るためには、地方一般財源の確保が不可欠であり、特に次の事項について、国に対し強く働きかけていくこととしています。 (1) 法人事業税について、外形標準課税制度の導入などにより、地方税収の安定化を図るとともに、所得税や消費税などの地方への税源移譲により租税総額に占める地方税のウエイトを高め、地方税源を充実強化すること。 (2) 地方交付税の総額の安定的確保を図るとともに、その財源調整機能を充実強化すること。
A “県債はローンと同じ”
県債は地方自治体が財源の調達手段として、銀行などの第三者から資金の借入れを行うことによって負担する長期債務で、証券発行や証書借入の形式をとっています。地方自治体の歳出は、県債以外の歳入でまかなうことが原則(地方財政法)とされていますが、効用が将来に及ぶ経費や水道などの公営企業に要する経費の負担について、世代間の負担の平準化や利用時支払いの原則から、将来の住民にも経費を分担させることが公平である場合に、県債を経費の財源とすることができるとされています。県債を財源とする事業は、公共施設、災害、公営企業等の建設事業等に限定されます。県債の発行(起債)には、起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還方法について、議会の議決を得るとともに、自治大臣の許可が必要となります(地方自治法)。また、その借入先には、政府、公営企業金融公庫、銀行等があります。 <県債残高の推移> (9月補正後) (単位:億円)
年度 |
(3) |
(4) |
(5) |
(6) |
(7) |
(8) |
(9) |
(10) |
(11) |
(12) |
(13) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
土木・農林 |
2,197 |
2,341 |
2,605 |
3,070 |
3,768 |
4,342 |
4,936 |
5,642 |
6,008 |
6,143 |
6,213 |
国直轄 |
414 |
444 |
512 |
597 |
774 |
900 |
993 |
1,169 |
1,327 |
1,459 |
1,503 |
その他 |
3,131 |
3,420 |
3,546 |
3,636 |
3,936 |
4,233 |
4,600 |
5,006 |
5,178 |
5,201 |
5,344 |
合計 |
5,742 |
6,205 |
6,663 |
7,303 |
8,478 |
9,475 |
10,529 |
11,817 |
12,513 |
12,803 |
13,060 |
一般会計ベース(借換債を含む)
A “自治体が自由に使える財源が一般財源”
財源の使途が特定されず、自由に使用することができるものを一般財源といいます。代表的なものとしては、県税、地方交付税及び地方譲与税などがあります。これに対して、財源の使途が特定されるものを特定財源といいます。特定の事業目的のために得られる財源で、国庫支出金、県債などがあります。歳入に占める一般財源の比率…(3)61.2%⇒(12)58.8%
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