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これは、1999年(平成11年)2月12日付けで策定、公表した「財政健全化推進計画」の全文です。
平成11年2月
宮城県
現在、国、地方の財政は毎年度大きな歳入歳出のギャップを抱える状況が続いており、共に多額の借入金残高を有し、その水準は主要先進国中最悪のものとなっている。
財政赤字の問題に直面しているのは我が国だけではなく欧米の主要先進国にとっても大きな政策課題となっているが、財政赤字の拡大が中長期的に経済成長の阻害要因になることが世界の共通認識となっており、経済活性化のために財政健全化に取り組むことが主要先進国の政策の潮流となっている。
各国とも財政が悪化してきた要因として、経済成長が低下傾向にあることから税収の伸びが緩やかになっていることが上げられているが、人口の高齢化や諸外国においては失業の構造的発生等の社会経済状況の変化、また、社会保障分野など国に期待される役割が増大していることに伴う歳出拡大もその要因と考えられるであろう。
我が国の状況を見れば経済成長の鈍化は特に顕著であり、60年台には平均して2桁あった実質成長率が90年代には約2%にまで落ち込んでいる状況にある。また、これらの要因に加え、バブル崩壊後税収が低迷したこと、さらにその際累次にわたり経済対策を行ってきたことも財政悪化の要因と考えられている。一方、過去20年の国の財政内訳を見ると、国民の国税負担率はほぼ横ばいである中で、一般会計歳出の総額が増加することにより歳入と歳出のギャップが拡がっているが、それは歳出水準の引き上げによるものではなく、ほぼ国債費の増加分であって、さらに、わが国においてはこの間においても歳出削減努力が積み重ねられてきており、政府最終消費支出(外交、防衛、司法、警察、消防等の費用、国・地方公共団体の職員の人件費等)の対GDP比が諸外国の半分以下の水準にあることなどの点にも留意すべきである。
すなわち、我が国の現在の国、地方を通じる巨額の財政赤字は、単に景気循環的な要因のみによる一時的なものや政府の放漫な財政運営によるものではなく、財政構造において基本的な問題を抱えているのであり、現在の財政構造の下では例え名目3.5%で経済が成長しても、これに伴う税収増は既定経費の自然増等を賄うことができず、したがって財政構造を根本的に改革する以外これを解決することはできないということが現在の財政構造改革を巡る共通認識であろう。
国においては、今般、景気回復に全力を尽くす観点から財政構造改革法の凍結を決定したところであるが、21世紀における我が国経済社会の活力を維持するとともに後世代に対する責任を果たすため、行政の制度・運営について徹底した見直しを行い、公的債務残高の対GDP比が上昇しない財政体制を実現することを目標として財政構造改革を推進するという、基本的な考え方に変化はないとされている。
地方財政についても、国と同様に毎年度巨額の財源不足が生じる状況が続いており、地方財政全体の借入金残高は平成11年度末見込みで約176兆円となるなど極めて深刻な状況にある。この傾向は最近の経済情勢の中で法人関係税収への依存度が高い大都市圏を抱える都道府県において顕著になっている。これについては最近の景気低迷による著しい地方税収の落ち込みによるものと言わざるを得ないが、これら地方財政の現下の状況についても、その全てを景気循環的要因による一時的なものと考えることは適当ではなく、構造的問題として捉えることが必要であり、地方財政についても毎年度生じている歳入歳出のギャップを計画的に解消することを基本に、財政構造の改革を図っていくことが必要である。
このためには歳入の増と歳出の抑制が必要となるが、地方交付税を含め地方歳入の中心である税収入に関しては現在の経済情勢の下では納税者に新たな税負担を求めることは困難であり、地方公共団体としては歳出を計画的に抑制して歳入歳出のバランスを回復する以外根本的に方策はない。
このような観点から、本県財政の運営についても現下の社会経済環境の変化を踏まえ、県民のニーズに的確に対応できる県政の推進に向けて本県の歳出構造を根本的に見直し、聖域なしに歳出の削減を図りながら歳出を歳入に見合う規模に抑制し財源不足の解消を図ることを基本目標として、各般の対策を実施していかなければならないであろう。
本県は、昭和31年から37年までの財政再建を終えて以降、第1次オイルショックの影響を被った昭和50年代初頭を除きほぼ一貫して健全財政を維持してきた。地方公共団体の財政の健全性を計る指標として幾つかの項目が考えられるが、端的に財政構造の弾力性を計る指標である経常収支比率で過去20年間の本県の財政状況の推移を概観すると、昭和52年度以来平成3年度まではこれが概ね75%以下で横這いに推移してきたが、平成4年度をターニングポイントとしてこれが上昇傾向に転じ平成9年度には90.7%にまで達している。また、これに合わせるように公債費比率や公債費負担比率等の他の財政指標についても悪化の度合いを強めてきている。その要因は端的に言えばバブル経済崩壊後の景気低迷が予想を超えて長期化していることが考えられるが、本県の財政運営のあり方を考える上ではその要因をより厳密に把握することが必要であろう。
地方財政は、国の財政に比して税収入の占める割合が低く国庫支出金等地方税以外の財源が相当部分を占め、財政運営の自主性にそもそも制約を受けているが、このような状況にあっても地方税、地方交付税、地方譲与税等は、使途が特定されずどのような経費にも使用することができる一般財源として財政運営において最も重要な財源であることに相違はない。しかしながら、これら一般財源は景気変動の影響を受け易く、地域社会の変化に対応して収入の伸縮を図る自己調整余地が乏しいことから、その動向は地方公共団体の財政運営上最も注目されるべき項目である。
本県の一般財源の動向を昭和52年度から5年毎に20年間の推移で見ると、昭和52年度-57年度では62.4%の増、昭和57年度-昭和62年度では28.6%の増、昭和62年度-平成4年度では38.4%の増であったものが、平成4年度-平成9年度では4.7%の増と、最近5年間の伸びが過去5年毎の伸びに比して著しく低下していることが分かる。これら一般財源の大部分を占めるのが地方税及び地方交付税であるが、地方税が61.5%(52-57)、42.8%(57-62)、32.3%(62-4)、11.8%(4-9)、地方交付税が66.3%(52-57)、13.4%(57-62)、38.1%(62-4)、0.8%(4-9)であり、共に最近5間年の伸びが著しく低下していることが明らかである。なお、これを本県の経常収支比率が上昇に転じた平成4年度をターニングポイントとする視点から平成3年度と平成9年度で比較してみると、一般財源総額ではこの間の伸びは僅か0.6%であり、この内地方税が5.9%の伸びであるのに対し地方交付税は逆に2.6%の減少となっている。
一方、この間の本県の歳出総額の推移を見た場合、昭和52年度-昭和57年度では54.9%の増、昭和57年度-昭和62年度で26.6%の増、昭和62年度-平成4年度では37.3%の増、平成4年度-平成9年度では11.6%の増であり、20年間の比較で見ても、昭和52年度と平成9年度の比較で一般財源が3.02倍の伸びであるのに対し歳出総額は3.01倍の伸びであること、また、この間の標準財政規模の伸びが3.10倍であることからも、本県のこの間の財政運営が歳入の大宋を占めかつ自主的財源である一般財源の伸びを超え、言わば身の丈を超えて歳出を増加させてきたものではないことは明らかである。
このように過去20年間の一般財源と歳出総額の推移を概観すれば、近年の本県の財政状況の悪化については、地方税等の一般財源の著しい伸び悩みを基本的な要因として上げざるを得ないであろう。また、地方交付税が国税の一定割合を原資としていることを考えれば、根本的に我が国全体の税収の伸び悩みがその原因であり、それは現下の長期にわたる景気低迷に要因があると言わざるを得ないものである。
しかしながら、税収の伸び悩みとその要因としての経済成長の低下傾向は我が国のみならず世界的な傾向であり、我が国においても、また、本県においても、今後過去のような高い経済成長と税収の自然増を見込むことはできないと考えなければならない。
例えば、今後5年間の名目経済成長率を1.75%(年率)と仮定して機械的に本県のこの間の一般財源額を推計した場合、年間の一般財源の増加額は平均して60億円弱にすぎない。我が国において今後中期的に現在の景気が回復し、一時的に高い経済成長を達成することがあったとしても、基本的にはこの程度の経済成長やこれに伴う税収動向を前提として、今後の中長期的な歳出構造のあり方を考えることが必要となっていると認識しなければならない。
また、過去20年間において歳出総額と一般財源の比率がほぼ均衡していながら、最近において特に財政状況が悪化しているということは、地方税等の一般財源の伸びが低下している状況においては、歳出総額を一般財源の伸びに比例して縮減してもなお健全な財政の維持が困難となる構造的要因が存在しているものと考えざるを得ない。
すなわち、本県の今後の健全な財政運営を考える上においては、この構造的要因を分析し、経済の低成長という社会情勢に対応しうる歳出構造に転換していくことが必要である。
地方公共団体の行政活動は、本来、地方自治の本旨に基づき、団体自治と住民自治の理念に立脚し自らの創意と責任において行われるべきものであり、そのための地方財源は十分に弾力的かつ自主的であるべきである。しかしながら、歳入において自主性に制約を受けていることは前述のとおりであるとともに、歳出においてもいわゆる義務的経費が多く、財政運営の弾力性を欠いていることは広く知られている。
すなわち、我が国全体の租税収入の配分においては、国、地方の比率が概ね2対1であるのに対して、地方交付税や国庫支出金として財源が国から地方公共団体に配分され、最終支出ベースでは国と地方の比率が概ね1対2となっていることに現れているように、地方公共団体は実際の行政サービスの主体としての役割を大きく担っているため、教職員・警察官等当然そのための人員を抱えることが必要であることから、義務的経費としての人件費が多くなるという制度的構造を内包している。
人件費、扶助費、公債費が地方公共団体の義務的経費であるが、都道府県において歳出に占めるその割合は平成9年度で42.3%であり、本県においてもその割合は平成9年度で43.1%と歳出の4割を超えるものとなっており、これらの歳出の財源は大部分が一般財源であることから、一般財源の伸びが減少した場合地方公共団体の財政運営は必然的に悪化することが想定される。
本県における過去の義務的経費の動向を概観すると、歳出総額に占めるその割合は昭和52年度には50.5%と5割を超える水準にあったが、昭和57年度には47.4%、昭和62年度には46.3%、平成4年度では41.9%と順次低下し、その後やや漸増し平成9年度では43.1%となっている。
その内容を見ると、人件費については、昭和52年度の41.7%から順次低下し、平成9年度においては31.1%と、20年間でその割合は10ポイント強低下しており、基本的には定員適正化等の努力がなされているものと考えられる。
本県の人件費を構成するものは知事部局職員である一般行政関係職員(5,713人:19%)、小中学校の教員を含む教育公務員等の教育関係職員(20,667人:69%)、警察官等の警察関係職員(3,744人:12%)であるが、これを職員数の推移で見た場合、総数では過去20年間において3,740人、14.2%の増となっている。その内訳は、一般行政関係職員が568人、9.0%の減であるのに対し、教育関係職員で3,877人、23.1%の増、警察関係職員で431人、13.0%の増となっており、本県においては、一般行政職員数において20年前の人員以下に抑制しているものの、教職員や警察官の増分がこれを上回り、全体としての職員数が増加してきている状況にあることが分かる。
教職員については、公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律等により定員が規定され、警察官についてもその定数は警察法により政令で定める基準に従わなければならないこととされていることから、その抑制を地方公共団体のみの意思で図ることは基本的に困難である。しかし、現下の厳しい地方財政の現状を踏まえた場合、経費の最終的な負担者は納税者、すなわち県民であることから、地方分権に係る議論や今後の地方財政のあり方を巡る議論の中で、その算定のあり方や妥当性について幅広く議論されるべきである。勿論このことは一般行政職員についても同様であるが、県としては、常に行政執行の効率化を図り、可能な限り必要最小限の人員で事務執行を図ることを基本として、今後とも適正な定員管理を行っていかなければならない。
特に人件費は本県の歳出において約3割の割合を占め、その財源の約75%は一般財源であることから、一般財源の伸びが殆ど期待できない環境の下で、その取り扱いは様々な意味において困難なものとなる。今後の本県の人件費を最近5年間の平均伸び率で推計(ケース1)した場合、人件費総額は毎年約86億円増加し、これに伴い毎年約65億円の一般財源の増額が必要となるが、これは名目成長率1.75%で推計した今後の一般財源の増加見込額を超えるものである。また、仮に毎年400人程度の人員削減を行うこと、及び、給与改定率を本年度以下の0.5%とすることと設定して推計(ケース2)してもなお年率平均1.24%で上昇するものと予想されるなど、その縮減は容易なことではないことが分かる。今後一層厳しさを増す財政状況や経済の低成長という環境を踏まえると、定員の削減や給与等の適正化について従来にない取組が必要になると考えられる。
義務的経費において人件費に次いで注目しなければならないのは公債費の動向である。本県の過去20年間の義務的経費の推移において、人件費が着実にその割合を低めてきたのに対して、公債費は増加傾向を続けており、特に近年義務的経費総額を引き上げる要因としての公債費の割合が高まってきているからである。
公債費は県債の発行に伴うその元利償還金であり、県債についてはそのほぼ全額が投資的経費の財源であることから、公債費の動向を分析するためには、本県の投資的経費の内容を分析することが必要である。
また、投資的経費は地方公共団体において義務的経費に次いで歳出の大きな割合を占めており、本県においても同様であることから、その内容は詳細に分析しなければならない。
投資的経費とは、その支出の効果が資本形成に向けられ、施設等がストックとして将来に残るものに支出される経費である。我が国の社会資本の整備が欧米に比して遅れていることは一般に指摘されるところであり、特に本県を含む東北地方は社会資本の整備が他の地方に比べ十分ではない。このため、本県においては、国に対し公共投資の重点配分も要請しながら、県土の計画的な基盤整備に努め、道路・河川・下水道などの生活基盤整備、空港・港湾などの流通拠点、ほ場・排水施設などの農業基盤整備等に必要な投資を行うとともに、大学・図書館・総合運動公園等大規模なプロジェクトを展開してきた。
本県における過去の投資的経費の動向を概観すると、歳出総額に占めるその割合は、昭和52年度には33.8%であったが、昭和57年度には35.4%、昭和62年度には37.0%、平成4年度には35.2%、平成9年度には34.8%となっており、過去20年間の投資的経費の割合はほぼ一定であることが分かる。投資的経費に係る事業については、その財源を建設時の納税者が全て負担するのではなく、これら施設を利用する後年度の納税者も均等に負担することがむしろ公平である場合などにおいて、施設が利用される期間の納税者の負担の均衡を図るため、県債を発行し、各年度の元利償還金の財源を負担するという形で後年度の納税者も建設時の財源を分担するという方式が採用されている。
このため、投資的経費の財源としてその大きな部分が県債という借入金となっているが、いずれその元利償還金が公債費として義務的経費となり、将来の本県の財政運営を拘束し、後年度の納税者の負担となるものであるから、その発行については、県の将来の財政状況や、歳出に占める公債費の割合などの動向に留意し、適切な規模での活用を図ることが最も重要なことである。
このため、本県においては、県土の計画的な基盤整備の推進と、これに伴う後年度負担の増嵩に等しく配慮しつつ財政運営を行ってきたものであり、この結果が、過去20年間について歳出に占める投資的経費の割合がほぼ一定となっている結果に現れているものと考えられる。しかしながら、この間の公債費の動向を見ると、歳出に占める公債費の割合は、昭和52年度に4.4%であったものが、昭和57年度には7.8%、昭和62年度に8.8%、平成4年度に8.6%、平成9年度には9.6%と漸増しており、本県の財政を中長期的に展望する上においては、この要因を分析するとともに、今後の中期的な推移を見極めていくことが必要である。
本県の過去20年間の投資的経費とその財源の割合の推移を概観すると、総体として投資的経費の財源に占める県債の割合が増加傾向にあることが分かる。しかもその傾向は単独事業費において顕著であり、また、単独事業費の伸び自体は補助事業の伸びを上回って推移し、かつて補助事業費の半分以下であったものが近年は補助事業と肩を並べるものとなっている。
このような推移は幾つもの要因により生じているものと考えられ、一概にその要因を定めることは困難であるが、まず、投資的経費に係る補助事業と単独事業の推移について、全国的な状況を見ると、補助事業については、昭和56年度をピークとして平成3年度まで減少または横ばいで推移する中で、単独事業については平成5年度まで増加で推移し、昭和63年度にはその割合が逆転するとともに、その後の単独事業の伸びは極めて大きいものとなっていることが分かる。
地方の自主性・自立性を高めるために、地方公共団体が自ら考え実施する施策・事業の充実を図る観点からは、単独事業の増加はそれ自体望ましいことであり、地方公共団体が国からの補助を受けて行う補助事業ではなく、自らの創意工夫によって実施するソフト、ハード両面にわたる地方単独施策を自由に展開できる財政環境を形成することが地方分権を推進する上からも重要な課題であるが、昭和52年度の臨時河川等整備事業以降、まちづくり特別対策事業、地域福祉推進特別対策事業、ふるさとづくり事業など、単独事業に対して地方債と交付税を組み合わせた財政システムが次々と提供され、地方公共団体が規模の大きい事業についても単独事業を積極的に実施できる環境が整ったことも、単独事業の伸長につながった一つの要因であると考えられる。
本県の単独事業についても、全国的な傾向と同様の要因があるものと考えられ、これらの新たな財政システムの活用により単独事業の財源としての県債の割合が高まり、単独事業費の伸びと相まって、歳入の財源に占める県債の割合が高まるとともに、後年度の元利償還金である公債費がこれらの制度導入前に比べ高まる結果となっていると考えられる。
また、国庫補助事業について昭和60年度以降、国庫補助負担率の引き下げが行われたことも見逃せない。すなわち、昭和60年度の暫定措置として2分の1を超える高率補助負担金の引き下げを定めた「国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律」以来、平成5年度予算において公共事業等に係る補助率等の恒久化措置が講じられるまでの間に国庫補助負担金の補助負担率が引き下げられ、これに伴い地方負担が増加することとなったが、このうち投資的経費に係る補助率カット減額分については、臨時財政特例債及び調整債の発行により補助事業に係る起債の充当率を引き上げる形でこれが補てんされている。本県において、昭和62年度の普通建設事業の財源として県債の割合が高まっているのは、基本的にこれに伴うものである。
さらに、昭和52年度においても投資的経費の財源として県債の割合が高いものとなっているが、昭和50年代初頭においても地方全体において財源不足が生じため、これを地方交付税の増額と建設地方債の発行により補てんしたことに伴うものである。これは本来当該年度の地方交付税で措置されるべき財源の一部を地方債へ振り替えることにより適債事業の範囲及び充当率が拡大され、その元利償還金の全部又は一部が後年度地方交付税で措置されるといういわゆる財源対策債の発行により補てんされたものであり、これに伴い投資的経費に係る県債の割合が高まっているものである。
すなわち、昭和50年度以降、補正措置を含めればこれまで只の一度の例外もなく地方団体の財源不足を補てんするために巨額の建設地方債(前述の臨時財政特例債等もこれに含まれる)が発行されてきたが、本来的には、地方税、地方交付税等地方団体の一般財源の強化を図ることが重要であって、将来の地方財政の硬直化を防止するためにも地方債に大きく依存することは適当ではない。
景気の停滞等により地方税等の収入が伸び悩み、地方の財政運営が困難な事態に直面した年度においては、地方財政対策上何らかの措置がとられなければならないことは事実であり、このような場合臨時的な財源対策の一環として地方債の増額措置がなされることも止むを得ないものと考えられる。しかしながら、このような対応を継続することは、当該年度の財源の不足を将来の税収の増額を期待して後年度の負担に置き換えることに他ならず、低成長を基調とする社会経済環境下においては、後年度への影響度はより高いものとなることに留意すべきであり、財源の面では基本的に、地方税、地方交付税等の一般財源を充実し、地方債への依存度を引き下げていくべきものであろう。
このような観点において、平成6年度から発行されている臨時公共事業債は留意すべき地方債である。公共事業等の国庫補助負担率については、昭和60年度の一律カット以来数次にわたり暫定措置が講じられてきたが、平成5年度において直轄事業2/3、補助事業1/2を基本として恒久化することで決着を見た。この決着が恒久的な措置である以上、その財源措置は本来的には地方交付税等の一般財源の充実により措置されるべきものであったが、国の財政上の限界などもあり、県債に振り替えられたのが臨時公共事業債である。これについては、その元利償還金の80%が公債費方式により、残り20%について標準事業費方式により後年度の普通交付税に算入されるものであるが、これも正に負担の先送りであり、本県においてもその発行額は毎年度300億円以上のオーダーに達し、平成9年度においては県債総額の23%を占めるものとなっている。今後、その償還に係る公債費は確実に増嵩するが、県税等の一般財源の増加がこれに見合うものとならない場合、本県の財政状況は一層悪化するものと想定される。
このような分析の上に、本県の過去の投資的経費の推移を概観すると、過去20年において、普通建設事業に係る補助事業費は、昭和52年度において歳出総額の22.9%であったものが順次逓減し平成9年度には17.4%になっているのに対し、単独事業費については、昭和52年度に歳出総額に占める割合が7.2%であったものが順次拡大し、平成9年度には13.9%に達していることが分かる。事業費ベースでその倍率を見ると、20年間に補助事業費は2.29倍の増加であるのに対し、単独事業費は5.81倍の増加となっており、この間の歳出総額の伸び率が3.01倍であることも合わせて考えると、普通建設事業における単独事業はその占める位置の上昇により県財政に与える影響度も相対的に大きく拡大していると考えなければならない。
先に見たとおり、全国的にも、補助事業は昭和56年度をピークとして平成3年度まで減少又は横ばいで推移する中で単独事業は増加を続け、昭和63年度にはその割合が逆転するとともに、その後の単独事業の伸びは極めて大きいものとなっているが、本県においても基本的には同様の傾向を辿り、特に平成4年度以降は高い水準のまま推移している。また、補助事業については国の補助事業費総額が昭和56年度以降減少又は横ばいであった中で本県は総額としては増加しており、本県には傾斜配分がなされたと考えることができるが、さらに、平成4年度から平成7年度までは景気対策等により国全体での補助事業費が増額となったこともあり、本県においてもこの間の補助事業費の伸びは比較的大きなものとなっている。
平成4年度以降の単独事業及び補助事業の伸びは経済対策の実施に伴うものであるが、これを除外して考えても普通建設事業に関して都道府県の歳出構造は変化していると考えるべきであり、同時に、このことは、国・地方を通じ財政が果たすべき経済の安定に関する機能としての景気対策、特に、公共投資の拡大における地方公共団体の役割が高まり、国の経済運営の方針に協力すべき責務も高まっているものと基本的には考えられるであろう。
しかしながら、そのためには、地方財政計画等を通じこのための地方財源が的確に確保されることが前提であるが、現在の我が国の厳しい経済状況の下、国、地方を通じ大きな財源不足が生じている中で、その財源を地方債に求める現状にあっては、近い将来本県のみならず、地方公共団体の財政状況が悪化し、その責務に応えることができなくなる状況に陥ることが危惧される。
本県においては、このような基本認識の下、県内景気の活性化に向け、国の経済対策にも積極的に呼応し、その相乗効果を損なわないよう平成4年度以降において可能な限りの公共投資の拡大に努めてきたところであり、平成3年度と平成9年度を比較しても、この間、普通建設事業の伸びは補助事業で27.6%、単独事業で43.0%に達し、総額でも32.2%と大きな伸びを示しているものである。しかしながら、この間の県税、地方交付税、地方譲与税のいわゆる一般財源の伸びは僅か0.6%に過ぎず、この間の乖離については臨時公共事業債や減収補てん債、減税補てん債といったいわゆる財源対策債を中心として多額の県債を発行することにより対応してきた。
これらの県債の多くは、基本的に当該年度の地方交付税など一般財源として措置されるべきものを後年度の交付税に置き換えたものであり、特例的な県債と考えるべきものであるが、その発行額は平成6年度以降大きく拡大しており、県債残高に占める特例債の総額及び割合も増嵩しつつある。これらの元利償還金は、後年度の公債費の増嵩につながるものであるが、仮に今後とも一般財源の大幅な伸びが見込めないとした場合、平成9年度においてすでに経常収支比率が90.7%となっていることも勘案すれば、本県の財政状況は長期的になお一層の悪化が懸念される。
経済の成長率の低下が世界的な情勢であること、投資的経費に係る地方公共団体の歳出構造の転換が進んでいること、さらにその財源対策のあり方が中長期的に大きく変化しないことを前提とすれば、本県の投資的経費についてもこれらを前提としたものに転換することが必要であり、基本的にはその縮減を図りながら必要性、緊急性等を厳密に検討し、最大限の投資効果を発揮するべく公共投資等のあり方を検討していかなければならない。
このことを考える上においては、投資的経費とこれに伴う将来の公債費の間の関数を検討することが必要であるが、投資的経費の財源に占める県債の割合は地方財政計画等により各年度変動すること、個別事業毎に県債の充当率が異なること、各年度の事業構成も変動すること、さらには、県債の資金区分である政府資金、縁故資金、公募資金の割合や償還条件、その各年度の利率等も変動することもあって、これを正確に数値化することはほぼ不可能である。
したがって、幾つかの仮定の条件を設定することにより、概算で試算する以外にないが、仮に条件として、
と設定してシミュレーションすると、ある年度10億円の投資的経費を歳出した場合、この後年度の公債費支出は当初10年において各2,420万円、11年から20年において各1,836万円、21年から30年において各468万円となるものであり、毎年度10億円の投資的経費が累年継続すると仮定した場合、これに伴う各年度の公債費は4億7,240万円になると試算されるものである。
この試算から分かることは、各年度の投資的経費の額及び上記の条件が一定であると仮定した場合における各年度の公債費の額は、各年度の投資的経費の47.2%の額となるということである。
この試算は、現実には諸条件が大きく変動することから、このまま用いることはできないものであるが、その確からしさの検証として、本県の過去の投資的経費と公債費の動向を、諸条件が変動する中では投資的経費に伴う公債費は10年後にはある程度安定するとの仮定で概観すると、昭和52年度の投資的経費に対する昭和62年度の公債費の割合は51.1%であり、同様に昭和57年度-平成4年度対比では42.1%、昭和62年度-平成9年度対比では39.6%であり、その平均が44.3%であること、また、昭和52年度-昭和62年度対比では投資的経費総額の伸びが大きいことから公債費の割合が高くなることは容易に想定されること、昭和57年度-平成4年度対比及び昭和62年度-平成9年度対比においてはこの間の投資的経費の財源としての県債の割合が試算における想定よりも低いものであったことなどから、試算は概算としては現実的なものと考えられる。
したがって、この試算を用いれば、平成4年度の投資的経費の総額から平成14年度の公債費は1,348億円、平成9年度の投資的経費総額から平成19年度の公債費は1,485億円程度になるものと概算されるものであるが、平成14年度の額は別途積み上げ等により試算した額と近いものになっている。この概算は投資的経費の水準を今後一定と仮定した場合のものであり、今後これが増加した場合には、公債費もこれをさらに上回る額となることを想定しなければならない。これらの数値は伸び率で置き換えると、平成9年度-平成14年度で55.8%、平成14年-平成19年度で10.2%となるものであり、今後中期的に本県の財政規模や一般財源の伸びが大きいものとは想定しがたいことを考えると、平成9年度の150%を超える公債費負担は、本県の財政運営を大きく拘束するものになると言わざるを得ない。
投資的経費に係る事業の当該年度の財源としては、その大きな部分が県債であって、一般財源の割合は相対的に少ないものであり、したがって、投資的経費の総額を抑制しても単年度の一般財源の縮減に与える効果は大きくないとの議論もありうるが、その後年度負担が公債費として県の財政に影響を与える期間は20年から30年の長期にわたるものであり、また、今後とも経済の低成長傾向が継続する蓋然性が高いことを考えれば長期的視野から歳出構造の見直しの一環としてそのあり方を考えなければならない。そのような視点からすれば、今後の本県における普通建設事業については、必要性、緊急性等を厳密に検討し、最大限の投資効果を発揮するべくそのあり方を検討しなければならないことは勿論、地方財政制度上の財源措置が現在のまま継続することを前提とした場合においては、基本的にその総額を抑制しなければならない。
逆に、普通建設事業における財源構成を変え、県債の割合を引き下げ、一般財源の割合を引き上げこれに対処することができないかとの議論がありうるが、それは単年度において多額の一般財源需要を生じるということであり、交付税措置等の財源措置がなされない限り基本的にこれも困難と言わざるを得ず、この意味でもその総額を抑制し、その財源構成を踏まえた適切な総額の管理を行っていかなければならないとの結論を変えるものとはならない。
本県の歳出構造は、義務的経費と投資的経費がその8割を占め、残り2割が物件費、維持補修費、補助費等のいわゆる一般行政経費となっている。
一般行政経費の過去20年間の推移を概観すると、歳出総額に占めるその割合は、昭和52年度においては15.7%、昭和57年度で17.2%、昭和62年度で16.7%、平成4年度で22.9%、平成9年度で22.1%となっており、順次その割合が高まっていることが分かる。過去20年間の投資的経費の割合がほぼ一定であったこと、及び、人件費の歳出総額に占める割合が継続して逓減し20年間で10ポイント下回っていることにより義務的経費が順次逓減してきたことと合わせて考えれば、本県は適切な定員管理等により義務的経費の増嵩を抑え、ハード事業以外のソフト的経費である一般行政経費を確保、増額してきたと言えるであろう。
一般行政経費の大部分を占めるのが補助費等及び貸付金であるが、貸付金については単年度で償還される制度融資に係るものがその主なものであり、財源もほぼ全額がその償還金であるので、ここでは、物件費、維持補修費及び補助費等について概観する。
物件費とは、人件費、維持補修費、扶助費、補助費等以外の地方公共団体が支出する消費的経費の総称であり、臨時職員の賃金や、旅費、交際費、需用費、役務費、備品購入費、報償費、委託料、使用料及び賃借料、原材料費等がこれに当たり、いわば、県行政の執行に要する事務的経費に相当するものである。
過去20年間の本県の物件費の推移を概観すると、その歳出総額に占める割合はほぼ2.5%から3.5%程度で推移しており、概ね妥当な水準にあるものと考えられる。さらに近年の動向を見ると、わずかずつ割合が上昇傾向を示しているが、物件費において伸びが比較的高いのは委託料であり、行政改革を進める中で民間活力の活用が進み、見合いで人件費の低下が図られる範囲においてはその増額について問題となる点は少ないものと考えられる。しかしながら、最小の経費で最大の効果を上げることが行政に求められる使命であり、合わせて厳しい本県の財政状況を考えれば、なお一層の縮減の取組が必要であると考えられる。
次に、本県が管理する公共用施設等の効用を保全するための維持補修費については、過去概ね歳出総額の0.5%以下の水準で推移しているところであるが、施設の補修については、これが適時、適切になされない場合、その消耗を早め効能を損なう結果となり、結局一時に多額の補修費や建設費の支出を要する結果を招くことにもなることから、適宜の維持補修は必要であり、その意味では本県の維持補修費については概ね妥当なものと考えられるであろう。
次に補助費等である。補助費等に分類される支出項目は、その支出の目的、根拠、対象等によって多種多様であり、補助費等に上げられる「節」も報償費(報償金及び賞賜金)、役務費(火災保険、自動車損害保険等の保険料)、委託費(物件費に計上されるものを除く)、負担金・補助及び交付金(人件費及び事業費に計上されるものを除く)、補償・補てん及び賠償金(事業費に計上されるものを除く)、償還金・利子及び割引料(公債費に計上されるものを除く)、寄附金、公課費と多様であり、その内容を一概に捉えにくい側面を持っている。
しかも補助金、寄附金についての支出基準は地方自治法第232条の2において「公益上必要がある場合」と抽象的に規定されているだけであるため、地方公共団体において独自に交付できる分野が広く、支出について基準や判断が甘いものとなった場合、対象範囲が広がり、補助金の支出効果をかえって損なう結果を招くほか、一度支出した補助金等は後年度削減することにかなりの抵抗を伴うばかりか、むしろ年とともに増大する傾向が強く、したがって、その動向は注意深く検討されるべきものである。
補助費等の支出については、その効果を十分検討し、零細化を避け、それによってどのような効果が上がるのか、その財源が県民の税金により賄われているという基本に立ち返り、受益と負担が適正であるべきであるという視点も踏まえながら、それが本県の産業や文化の発展、県民生活の向上等にどれだけ寄与するのかなどを慎重に考慮し、そのあり方を検討すべきものである。
本県の補助費等の推移を過去20年について見ると、歳出総額に占める割合は昭和52年度で6.7%、昭和57年度に6.9%、昭和62年度に6.6%とほぼ一定の割合であったが、平成4年度には9.1%、平成9年度には10.7%と、ここ10年間において大きく割合を高めている。これについては、地方税制の改定により昭和63年度から道府県民税利子割が創設され、市町村に対する利子割交付金が制度化されたこと、及び、平成元年度仙台市が政令指定都市となったことに伴い軽油引取税交付金が仙台市に交付されることになったこと等によるものとまず考えられるであろう。
したがって、補助費等の分析においてはこれら地方税制における市町村に対する制度的交付金を除外して検討することが必要であるが、これを除外した補助費等についても昭和52年度で5.7%、昭和57年度で6.0%、昭和62年度で5.6%とほぼ一定水準にあったものが、平成4年度で6.6%、平成9年度で7.8%と、やはり最近の10年間においてその割合を高めていることが分かる。補助費等の最近の10年間における伸び率は、歳出総額や、義務的経費、投資的経費の伸び率の2倍程度になっており、本県においても、補助費等は削減が容易でなく年々増大する傾向が強いというこの経費の一般的性質が現れているものと言わざるを得ない。
そこで、税関係の市町村交付金を除外した上で、補助費等の大半を占める補助・交付金についてその推移を見ると、昭和52年度から平成4年度までは歳出総額に占めるその割合は5%前後で推移したものの、平成5年度以降漸増し、平成9年度には6.3%まで上昇するなど、特に近年において増加傾向を続けていることが分かる。
これら補助・交付金は、市町村に対するものとそれ以外に分けることができるが、その推移は、市町村に対するものが昭和62年度から平成4年度までにおいてその割合を低めたことを例外として基本的な傾向としては増加をトレンドとしており、過去20年間の増加率は市町村に対するものが3.70倍、その他に対するものが3.85倍と、この間の歳出総額の伸びが3.01倍、投資的経費の伸びが3.09倍、義務的経費の伸びが2.56倍であることと比較して相対的に高い水準で伸びており、しかもその傾向が最近になるほど高まっていることに留意しなければならない。
すなわち、削減が容易でなく、年とともに増加しやすい補助・交付金の性質から、歳出総額の伸びが鈍化している状況下においては、当然その割合を高める結果となっているということであり、これら補助・交付金についてもこれまでと同様の視点ではなく、公益上の必要性をより適切な基準により判断し、限られた県民の税を最大限適切な使途に振り向けるという視点から、その縮減の努力を行わなければならない。これらの補助交付金は、いずれも公益上の意味があって存在しているものであり、違いは受益の対象と公益性の相対的価値にあるにすぎない。したがって、これらは事業効果の継続的な点検を行いながら本県の政策の方向性を明らかにし、県民の理解を得て、その政策性と重点性をさらに一層深めていかなければならない。
例えば、平成9年度の補助・交付金570億円の内容を概観すると、私立の小・中・高等学校、専修・各種学校等の運営費助成127億円、老人医療給付費82億円、重症心身障害者医療費助成10億円、乳幼児医療費助成10億円、農業共済団体運営費助成18億円をはじめとして、広範な分野にわたる補助がなされている。一般に国、地方公共団体を通じる公的な財政が有する機能として、私企業が供給することのできない公共サービスの給付を含む資源配分機能、国民の所得の偏在を是正し平等な分配を目指す所得再配分の機能、及び、経済の安定的成長を維持するための景気調整の機能の3機能が上げられるが、補助・交付金はその中でも所得再配分の機能を大きく果しているものであろう。これらは、資源配分機能の内容としての教育、医療、保健衛生等の公共サービスの給付の内容とも密接に関連するものであり、その相関においてこれらのあり方が検討されるべきものでもあるが、基本的には所得再配分機能を果たすものとしての基準、判断の適正化を常に点検していかなければならない。
一般行政経費、特に補助・交付金については、投資的経費と比較し単年度の総額が小さいことから、財政の健全化のためには投資的経費を削減することが必要であり、零細な補助金等は縮減すべきではないとの議論がありうる。しかしながら、この場合においては、投資的経費が将来にわたる県民の財産となる資本形成に向けられた経費であり、また、その財源については県債の元利償還金として施設が供用される期間の将来の納税者も負担することによって、当該建設年次における事業費総額が大きなものとなっていることに留意しなければならない。
これに対し、補助・交付金を含む一般行政経費は基本的に消費的経費であることから、その財源は当該年度の納税者が全て負担しているものである。
すなわち、一般行政経費と投資的経費を金額等で単純に比較することは無意味であり、敢えてこれを行うとすれば、特に後年度削減が困難で年とともに増大する傾向の強い補助・交付金などについては、これを削減できないとすればそれは将来にわたって支出を義務付けられた経費、例えば公債費と同意義であることから、投資的経費の元利償還期間と同様に、これに係る単年度事業費を20倍(平成9年度補助・交付金570億円×20年=11,400億円)ないし30倍(同570億円×30年=17,100億円)にして比較することが必要であろう。
このように、補助費等が将来にわたり削減が困難な義務的な経費であると仮定すれば、本県の財政構造を検討する上において、これを公債費と比較することに意味が見い出せることとなるが、本県の過去の補助費等と公債費の推移を見ると、補助費等の伸びは、総額、伸び率ともに公債費の伸びにほぼ拮抗するものであることが分かる。
このことは、逆に言えば、補助費等は実質的に義務的な経費となってきたということである。
これを敢えて投資的経費と比較して論じようとすれば、その総額については正に20倍ないし30倍にして論じなければならないということを意味し、また、これまでの本県の補助費等の総額は、本県歳出構造に占める位置において投資的経費総額と同程度のものであったということでもある。
しかも、補助費等を義務的な経費と位置づければ、その歳出は20年ないし30年のスパンではなく半永久のものとしなければならないということであり、その意味では投資的経費やその元利償還金である公債費以上に将来の財政運営を拘束することとなるものである。また、補助費等の財源の大部分は一般財源であり、今後本県の一般財源の伸びが大きなものにはなりえないものであることも合わせて考えれば、補助費等が投資的経費に比較し少額であるとの視点や、これを単純に義務的な経費であるとする視点は採用することができないものと言わざるを得ない。
今後の補助費等の伸びを過去5年間の補助費等の平均伸び率で推計した場合、平成15年度の補助費等の額は平成9年度の1.4倍の1,000億円に達するものと試算されるが、今後の一般財源の伸びが、名目成長率を1.75%として試算しても同じく1.06倍程度に過ぎないことに比較すれば、これは公債費と同じ程度に驚異的な伸びであり、今後の公債費を抑制するために投資的経費を抑制することが必至であることと同様に、補助費等についてもこれを聖域とすることなく抑制していかなければならないであろう。
このような意味においても、補助費等についてはその事業効果を継続的に点検するとともに、本県の政策の方向性を明らかにし県民の理解を得て、その政策性、重点性を深め、真に必要なものにその財源を振り向けていくための取組を進めていかなければならない。
地方財政においては近年毎年度巨額の財源不足が生じているが、本県においても例外ではないことはこれまで概観してきたとおりである。
すなわち本県においても、投資的経費について臨時公共事業債や財源対策債で措置されたものを除いても、さらに平成5年度において27億円、平成6年度107億円、平成7年度91億円、平成8年度71億円、平成9年度においては264億円に達する歳入歳出のギャップが生じており、臨時公共事業債や財源対策債を加えればその額は平成9年度において620億円を超える巨額なものとなっている。
これらのうち、制度減税によるものについては減税補てん債により、本来の税収不足によるものについては減収補てん債や臨時税収補てん債によりそれぞれ措置されたところであるが、なお不足する財源については、年度間の財源調整機能を果たすべき財政調整基金等の基金の取崩しによりこれに対処してきたものである。
しかしながら、最近の厳しい経済環境下税収が減少傾向を示していることこともあって、歳入歳出のギャップは急激に広がる傾向を示しており、平成10年度においては、これが470億円(財源対策債等を加えれば800億円)程度にまで拡大するものと見込まれ、現在の本県の歳出構造を現状のまま維持した場合においては平成11年度以降の財源不足は途方もなく巨額なものとなることが想定される状況となっている。
名目成長率を1.75%とするなど歳入歳出の各項目について一定の条件を設定し算出した「本県の財政の中期見通し」が、23ページ以降の表であるが、これによれば、基本的に現在の歳出構造等に準じた状況で推移した場合、平成10年度については財政調整基金等の取崩し等によりこれに対処することがかろうじて可能と考えられるものの、平成11年度においては最早財政調整基金等の残額を全て取崩しても歳入歳出のギャップを埋めることができず、標準財政規模(約4,500億円)の5%を超える単年度の赤字が発生し、本県は地方財政再建促進特別措置法に基づく「財政再建準用団体」に陥る蓋然性が極めて高い状況となっている。
また、このシミュレーションにおいては、人件費の伸びを年率0.5%、一般行政経費の伸びを年率0%とし、投資的経費の補助事業についてはその伸びを財政構造改革法凍結前のマイナスの伸びとするとともに、その他の投資的経費の伸びを0%としていることに留意する必要がある。
すなわち、このシミュレーションは、歳出について投資的経費、一般行政経費について、すでにこれをゼロベース以下に押さえ、人件費についても毎年400人程度の人員を削減した上で給与改定率を0.5%に押さえた場合の想定額をも下回る額に押さえることを前提としたものであって、この場合でもなおこれだけの歳入歳出のギャップが生じるということを理解しなけばならないものである。
したがって、このシミュレーションの額に抑えること自体そもそも困難を伴うことが予測されるのであって、本県財政の健全性を確保し、財政再建準用団体に陥ることのないようそのギャップをなお一層縮小しなければならないということは、正に容易ならざるものであると言わざるを得ない。
本県においては、このような状況を自らのものとして正面から見据え、今後これまでの常識にとらわれない柔軟かつ確固とした発想に基づく計画を確立するとともに、これを着実かつ確実に実践し、歳出を聖域なく計画的に削減するなど本県の歳出構造を転換することにより、来年度以降において巨額に発生が見込まれる財源不足の解消を図るとともに、長期的に本県財政の健全性を確保すべく、あらゆる対策を講じていかなければならない。
歳入 | 県税 |
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地方消費税清算金 |
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地方譲与税 |
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地方交付税 |
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国庫支出金 |
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県債 |
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その他の歳入 |
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歳出 | 人件費 |
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扶助費 |
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公債費 |
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|
県税交付金等 |
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|
投資的経費 |
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|
その他の歳出 |
|
区分 | 平成10年度 | 平成11年度 | 平成12年度 | 平成13年度 | 平成14年度 | 平成15年度 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
a | b | 伸率(b/a) | c | 伸率(c/b) | d | 伸率(d/c) | e | 伸率(e/d) | f | 伸率(f/e) | ||||
県税 | 2,595 | 2,583 | -0.4% | 2,611 | 1.1% | 2,676 | 2.5% | 2,704 | 1.0% | 2,754 | 1.8% | |||
地方消費税清算金 | 465 | 438 | -5.8% | 446 | 1.8% | 454 | 1.8% | 461 | 1.7% | 470 | 1.8% | |||
歳 | 地方譲与税 | 20 | 20 | 1.7% | 21 | 1.8% | 21 | 1.8% | 22 | 1.7% | 22 | 1.8% | ||
地方交付税等 | 1,843 | 1,838 | -0.3% | 1,911 | 4.0% | 1,943 | 1.7% | 1,975 | 1.7% | 2,008 | 1.7% | |||
国庫支出金 | 1,942 | 1,891 | -2.6% | 1,862 | -1.5% | 1,862 | 0.0% | 1,862 | 0.0% | 1,862 | 0.0% | |||
県債 | 1,765 | 1,490 | -15.6% | 1,465 | -1.7% | 1,465 | 0.0% | 1,465 | 0.0% | 1,465 | 0.0% | |||
財源対策債等 | 615 | 493 | -19.8% | 486 | -1.4% | 486 | 0.0% | 486 | 0.0% | 486 | 0.0% | |||
その他の県債 | 1,150 | 997 | -13.3% | 979 | -1.8% | 979 | 0.0% | 979 | 0.0% | 979 | 0.0% | |||
基金繰入金(ルール分) | 125 | 80 | -36.0% | 43 | -46.3% | 2 | -95.3% | 59 | 2850.0% | 84 | 42.4% | |||
入 | 基金繰入金(一般分) | 194 | 254 | 30.9% | 0 | 皆減 | 0 | 0 | 0 | |||||
その他の歳入 | 986 | 980 | -0.7% | 981 | 0.2% | 995 | 1.4% | 1,013 | 1.8% | 1,027 | 1.4% | |||
歳入合計(A) | 9,935 | 9,575 | -3.6% | 9,340 | -2.5% | 9,418 | 0.8% | 9,560 | 1.5% | 9,691 | 1.4% | |||
人件費 | 2,850 | 2,864 | 0.5% | 2,878 | 0.5% | 2,892 | 0.5% | 2,906 | 0.5% | 2,921 | 0.5% | |||
扶助費 | 255 | 267 | 4.7% | 279 | 4.5% | 292 | 4.7% | 305 | 4.5% | 319 | 4.6% | |||
歳 | 公債費 | 866 | 944 | 9.0% | 993 | 5.2% | 1,088 | 9.6% | 1,230 | 13.1% | 1,333 | 8.4% | ||
県税交付金等 | 828 | 766 | -7.5% | 770 | 0.5% | 783 | 1.7% | 797 | 1.8% | 811 | 1.8% | |||
投資的経費 | 3,456 | 3,347 | -3.2% | 3,285 | -1.9% | 3,285 | 0.0% | 3,285 | 0.0% | 3,285 | 0.0% | |||
補助事業等 | 2,182 | 2,073 | -5.0% | 2,011 | -3.0% | 2,011 | 0.0% | 2,011 | 0.0% | 2,011 | 0.0% | |||
出 | その他事業 | 1,274 | 1,274 | -0.0% | 1,274 | 0.0% | 1,274 | 0.0% | 1,274 | 0.0% | 1,274 | 0.0% | ||
その他の歳出 | 1,680 | 1,680 | 0.0% | 1,680 | 0.0% | 1,680 | 0.0% | 1,680 | 0.0% | 1,680 | 0.0% | |||
歳出合計(B) | 9,935 | 9,869 | -0.7% | 9,886 | 0.2% | 10,021 | 1.4% | 10,203 | 1.8% | 10,350 | 1.4% | |||
差引(B)-(A)(要調整額) | 0 | 294 | 皆増 | 546 | 85.6% | 603 | 10.5% | 643 | 6.6% | 659 | 2.4% | |||
基金残高(一般分) | 254 | 0 | 皆減 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||||
県債残高 | 11,753 | 12,766 | 8.6% | 13,724 | 7.5% | 14,605 | 6.4% | 15,361 | 5.2% | 16,028 | 4.3% |
区分 | 平成10年度 | 平成11年度 | 平成12年度 | 平成13年度 | 平成14年度 | 平成15年度 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
a | b | 伸率(b/a) | c | 伸率(c/b) | d | 伸率(d/c) | e | 伸率(e/d) | f | 伸率(f/e) | ||||
県税 | 2,595 | 2,541 | -2.1% | 2,521 | -0.8% | 2,539 | 0.7% | 2,517 | -0.9% | 2,517 | -0.0% | |||
地方消費税清算金 | 465 | 438 | -5.8% | 438 | 0.0% | 438 | 0.0% | 438 | 0.0% | 438 | 0.0% | |||
歳 | 地方譲与税 | 20 | 20 | 0.0% | 20 | 0.0% | 20 | 0.0% | 20 | 0.0% | 20 | 0.0% | ||
地方交付税等 | 1,843 | 1,808 | -1.9% | 1,850 | 2.3% | 1,850 | 0.0% | 1,850 | 0.0% | 1,850 | 0.0% | |||
国庫支出金 | 1,942 | 1,891 | -2.6% | 1,862 | -1.5% | 1,862 | 0.0% | 1,862 | 0.0% | 1,862 | 0.0% | |||
県債 | 1,765 | 1,490 | -15.6% | 1,465 | -1.7% | 1,465 | 0.0% | 1,465 | 0.0% | 1,465 | 0.0% | |||
財源対策債等 | 615 | 493 | -19.8% | 486 | -1.4% | 486 | 0.0% | 486 | 0.0% | 486 | 0.0% | |||
その他の県債 | 1,150 | 997 | -13.3% | 979 | -1.8% | 979 | 0.0% | 979 | 0.0% | 979 | 0.0% | |||
基金繰入金(ルール分) | 125 | 80 | -36.0% | 43 | -46.3% | 2 | -95.3% | 59 | 2850.0% | 84 | 42.4% | |||
入 | 基金繰入金(一般分) | 194 | 254 | 30.9% | 0 | 皆減 | 0 | 0 | 0 | |||||
その他の歳入 | 986 | 979 | -0.7% | 980 | 0.0% | 992 | 1.2% | 1,008 | 1.7% | 1,022 | 1.3% | |||
歳入合計(A) | 9,935 | 9,501 | -4.4% | 9,179 | -3.4% | 9,167 | -0.1% | 9,219 | 0.6% | 9,257 | 0.4% | |||
人件費 | 2,850 | 2,864 | 0.5% | 2,878 | 0.5% | 2,892 | 0.5% | 2,906 | 0.5% | 2,921 | 0.5% | |||
扶助費 | 255 | 267 | 4.7% | 279 | 4.5% | 292 | 4.7% | 305 | 4.5% | 319 | 4.6% | |||
歳 | 公債費 | 866 | 944 | 9.0% | 993 | 5.2% | 1,088 | 9.6% | 1,230 | 13.1% | 1,333 | 8.4% | ||
県税交付金等 | 828 | 763 | -7.9% | 753 | -1.2% | 752 | -0.1% | 752 | 0.0% | 752 | 0.0% | |||
投資的経費 | 3,456 | 3,347 | -3.2% | 3,285 | -1.9% | 3,285 | 0.0% | 3,285 | 0.0% | 3,285 | 0.0% | |||
補助事業等 | 2,182 | 2,073 | -5.0% | 2,011 | -3.0% | 2,011 | 0.0% | 2,011 | 0.0% | 2,011 | 0.0% | |||
出 | その他事業 | 1,274 | 1,274 | -0.0% | 1,274 | 0.0% | 1,274 | 0.0% | 1,274 | 0.0% | 1,274 | 0.0% | ||
その他の歳出 | 1,680 | 1,680 | -0.0% | 1,680 | 0.0% | 1,680 | 0.0% | 1,680 | 0.0% | 1,680 | 0.0% | |||
歳出合計(B) | 9,935 | 9,865 | -0.7% | 9,868 | 0.0% | 9,989 | 1.2% | 10,158 | 1.7% | 10,290 | 1.3% | |||
差引(B)-(A)(要調整額) | 0 | 363 | 皆増 | 689 | 89.7% | 822 | 19.3% | 939 | 14.2% | 1,033 | 10.0% | |||
基金残高(一般分) | 254 | 0 | 皆減 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||||
県債残高 | 11,753 | 12,766 | 8.6% | 13,724 | 7.5% | 14,605 | 6.4% | 15,361 | 5.2% | 16,028 | 4.3% |
現在、本県の財政は、昭和48年のオイルショック後の財政危機の状況を上回る厳しい状況に直面しつつある。
これまで本県では、県民生活及び経済基盤の向上を図るため県土の計画的な基盤整備に努め、国の経済対策にも呼応しながら道路・河川・下水道などの生活基盤整備、空港・港湾などの流通拠点、ほ場・排水施設などの農業生産基盤等に必要な投資を行うとともに、大学・図書館・総合運動公園等大規模なプロジェクトに取り組んできた。また、人件費をはじめ、施設管理経費や行政の執行に要する事務的経費の適正化を図りながら、少子高齢化に対応した福祉や教育などのソフト施策についても可能な限りの対応を行うなど、時代とともに進展する社会経済環境や県民ニーズの変化への的確な対応を旨として行財政運営の展開を図ってきたところである。
しかしながら、世界的な経済成長率の低下と軌を一として我が国の経済についても低成長基調が定着しつつあること、及び我が国における最近の予想しがたい長期にわたる景気低迷により、本県財政運営の基礎となる県税及び地方交付税などの一般財源の伸びが低下するとともに、地方税収は落ち込み傾向に転じ、また、今後中期的にもその大幅な伸びを期待することは困難な状況となっている。
本県においては、これまでにおいても毎年度、施策の重点化、事務事業の見直し、事務事業コストの縮減等に努めるとともに、地方財政計画等も踏まえ後年度交付税措置のある有利な県債の活用や財政調整基金等の取崩しを行うなど、増大する行政需要に対応しながら、かつ拡大する歳入歳出のギャップの均衡を図るため厳しい財政運営を行ってきたところである。
しかしながら、現下の社会経済環境の変化に伴う歳入動向の変化や、歳出構造及びその財源構造の変化など、地方財政構造が変化している中では、中長期的に現在までの歳出構造を維持することは困難になりつつあるとともに、短期的には、歳入歳出のギャップが著しく拡大傾向を強める中で、本県においては、これを解消すべき財政調整基金等も来年度以降においてこれに対処できないものとなる蓋然性が極めて高いものとなっている。
しかしながら、このような状況にあっても、今後さらに進展する少子・高齢化社会への対応や自立した地域社会の形成など、21世紀へ向けた県政の重要課題には積極的に対応していくことが本県の責務であり、また、短期的には現在、国・地方を通じる最重要の政策課題となっている我が国経済の再生への取組について、国全体における景気対策の相乗効果を損なうことのないよう、可能な限りの対応を適時、適切に実施していかなければならない。
すなわち、本県においては、現在の行財政運営を根本から見直し、歳出構造を転換すること等によってより機動的な行財政運営のあり方を早急に構築することが喫緊の課題となっているのであり、このためには、本県の歳入・歳出の全分野に渡って、従来の発想にとらわれない根本的な改革の取組を進めることが必要であり、基本的には次のような取組を徹底していかなければならない。
歳入においては、地方税・地方交付税が地方分権の時代の地方公共団体の役割にふさわしい内容のものとなるよう、また、厳しい財政状況が地方公共団体に普遍的なものとなっている現状を踏まえ、地方交付税率の引き上げ等による地方交付税総額の確保など、地方税財政制度の充実強化を図っていかなければならない。
県税の賦課徴収については、税負担の公平の観点からも課税客体の完全な把握とその適切な徴収に努め、本県の一般財源の太宗を占める県税の確保に万全を期さなければならない。
また、企業会計により設置・運営される施設や、県民の税負担及び利用者の使用料等により設置・運営される各種施設については、独立採算性の原則や受益と負担の適正化の観点から経営の合理化や経費の徹底した節減に努めるとともに、特定の受益者に応分の負担を求めない場合にはこれを広く県民が負担することとなるものであることから、その負担についてこれが適切になされているかを検討し、受益に対し負担が少ないものについては将来を含めた県民全体の負担の軽減を図る観点から、使用料等が適切なものとなるよう改定を行っていかなければならない。
さらに、県が所有する施設、土地等についても、可能な限りの有効活用を図る観点から収益を得る手法を検討するとともに、未利用の資産については積極的な処分を行うなど、自主的な歳入確保に万全を期していかなければならない。
歳出においては、その構造を新たな時代に対応するものに転換することを基本として、聖域なしにその見直しを行うとともに、計画的に総額を抑制していかなければならない。
このことは、基本的には定員適正化等の努力が行われていると考えられる人件費においても例外ではなく、県政の有効性を向上させるという観点から行政執行の効率化を図り、必要最小限の人員で事務を執行することを基本として、職員の能力と組織の総合力を高め、合わせて定員の管理と給与等の適正化について従来にない発想でこれに取り組んでいかなければならない。
また、投資的経費については、県の歳出構造における位置と財源構造の変化により後年度の公債費負担への寄与率が高まっていること等を踏まえ、基本的にその総額を抑制し単年度の歳出に占める割合を引き下げることが必要であり、毎年度その総額について適切な範囲(キャップ等)を設定するとともに、大規模事業に係る事業評価や公共事業等の事業箇所評価を踏まえて効果性、効率性の高い事業を精選することにより、その重点化・効率化を図っていかなければならない。
さらに、大規模建設事業等については、構想段階からその必要性、緊急性、規模・内容等の妥当性及び人員配置を含めたトータルのランニングコストも含めた費用対効果の評価を行うとともに、事業実施については各年度の事業費の平準化を図るなど適切な進度調整を行っていかなければならない。
このような取組により、義務的経費である公債費の増嵩を抑制することがはじめて可能になるものである。
次に、義務的経費及び投資的経費以外の一般行政経費については、「県民の視点に立った使命・成果・効率重視」の観点に基づき、事務事業の見直しを常に行っていかなければならない。県の関与や役割分担は適切妥当なものか、コストや成果は適切か、県民ニーズの把握・反映がなされかつその内容は県の役割として適切なものか、他事業との連携が図られ、逆に重複していないか、事業内容は必要かつ十分なものかなど、プラン・ドゥ・シーの視点を常に欠かすことなく事務事業展開の効率化と県政の有効性を高めていかなければならない。
この取組は事業の廃止や縮小のための取組ではなく、社会経済環境や県民ニーズの変化に的確に対応する新たな事務事業を生み出し、展開していくために必要な取組であり、合わせて、部局を超えた事業展開や各部局及び地方機関における自立的な政策形成と事業展開の促進を図ることにより、無駄のない、かつ、県民ニーズに適切に対応できる行政の執行と財政運営が可能となるものである。
これらは、事務事業執行に携わる職員が常に認識し実践すべき事項であり、その意味で職員一人ひとりが意識改革を行うことが必要であるが、組織として県民にその責任を果たすためには、そのシステム化が必要であり、事務事業総点検による事務事業の見直しや、予算におけるサンセット方式の徹底、補助金の整理統合の推進、新たな予算方式などを制度化し、この取組を徹底していかなければならない。
また、一般行政経費における物件費等、県行政の執行に要する事務的経費については、最小の経費で最大の効果を上げるという行政に与えられた使命からも、なお一層の縮減努力を徹底して進めていかなければならない。
特に、補助費等については、透明性、客観性及び県としての政策性を高めながら、サンセット方式の義務化等により硬直性を排除し、変化する県民ニーズと県民にとって真に必要な分野に柔軟に対応すべく行政評価を適切に行い、財源の効果的・効率的運用と行政需要の高度化・多様化に共に対応していかなければならない。
以上のような取組を徹底して進めることにより、本県の施策の重点性、効率性、効果性を可能な限り高め、県政の有効性を向上させることにより、県財政の継続的な健全性を確保するとともに、21世紀に向けた県政の重要課題に適切に対応した行政運営を行い、県の責務を将来にわたって果たしていかなければならない。
本県財政の現状と課題及び本県財政の中期見通しに基づき、本県財政の継続的な健全性を確保し、新世紀の県政の重要課題や高度化する県民ニーズに適切に対応できる財政運営を行うことを基本目標として、次の事項の達成を目指すこととする。
本県の財政状況については、平成11年度以降において本県の標準財政規模の5%を超える単年度の財源不足が発生し、本県は地方財政再建促進特別措置法に基づく財政再建準用団体に陥る蓋然性が極めて高い状況となっている。
したがって、これを回避することが当面の県政運営の最大の課題であり、基本的には歳出構造を転換し、歳出規模を計画的に抑制することにより予測される財源不足を解消し、本県財政の継続的な健全性を確保していかなければならない。
現在の地方財政制度の下においては、県債の活用と財源としての県債の比率が過去に比して高いものとなることは構造的に避けられない状況にあり、過去における県債の発行状況から、本県の県債残高と公債費については今後とも中期的には増加を続けるものと予想される。
これに伴う本県の起債制限比率については、中期的に、一般単独事業債や厚生福祉施設整備事業債の発行が制限される20%の水準には達しないものと想定されるが、これについても引き続き上昇傾向にあることから、将来の本県の財政運営の健全性を確保し、後年度の納税者の負担を著しく高めることのないよう、県債の適切な活用を図り、特に特例債以外の県債発行の増嵩を抑制し、中長期の県債残高と公債費の増嵩を抑制していかなければならない。
我が国経済の再生は、現下の国・地方を通じる最重要の政策課題である。また、景気回復なくして本県財政の健全化も基本的に成し得るものではない。したがって、今後とも厳しい財政状況も踏まえながら、国全体の景気対策の相乗効果を損なうことのないよう、国による財源対策の動向や、これに伴う起債制限比率等の推移など将来の財政状況を的確に展望し、可能な限りの対応を適時、適切に行うものとする。
本県の財政健全化の目標を達成するため、財政健全化の基本方向に基づき、歳出については主要経費別に次のような取組を行うものとする。
1 人件費
職員の給与については、労働基本権が制約されていることの代償措置として人事委員会による勧告制度があり、社会一般の情勢に適応した民間給与の水準と均衡のとれた適正な給与が確保されるとともに、職務にふさわしい処遇が図られているところであり、その意味で勧告の尊重は将来にわたって良質な行政サービスを県民に対して提供していく基盤となるものである。
しかしながら、一方で、民間企業の賃金改定は厳しいリストラなど経営努力の成果であり、公務もこうした努力を併せて行うべきとの意見や、特に厳しい経営環境にある中小企業の実態も考慮すべきとの意見等、行政や公務員のあり方について批判があることにも併せて留意しなければならない。
行政需要の増大に加え、行政事務の一層の複雑化や高度化が進む中で、本県においてはこれまでも組織・人員のスリム化や給与等の適正化に取り組んできたところであるが、今後より一層簡素で効率的な行政運営を目指し、事務事業の見直し、組織の再編統合、民間との役割分担などを進めることにより、計画的な定員管理と、職員給与等の一層の適正化を進めていくものとする。
人事委員会の給与勧告を基本的に尊重しつつも、厳しい財政状況を踏まえ、給与等の適正化に一層努めるとともに、評価と処遇との連動を強化し、以下の事項等について継続的な検討を行い、必要に応じこれを導入する。
以上の取組により、今後の人件費総額の伸びを、退職手当に係るものを除いて当面平成10年度対比0%に抑制することを目標とすることとする。
投資的経費については、その総額を抑制し、単年度の歳出に占める割合を引き下げることを基本として、毎年度その総額について適切な上限額を設定することが必要である。合わせて、公共事業については、事業実施箇所の優先性について指標を用いた客観的な評価手法を導入し、また、工事自体のコストの縮減を図り、事業の効果性・効率性を一層高める。特に大規模な事業については、事業の構想段階からその必要性、緊急性、計画の内容、ランニングコストを含めた費用対効果など事業の妥当性を評価し、重点的な事業の推進を図り、県土の計画的かつ効果的な基盤整備を推進するものとする。
また、現下の厳しい経済状況の好転を図るため、経済対策として実施される国・地方を通じる公共投資の拡大については、景気回復による経済環境の向上が、本県にとっても今後中期的に最大の政策課題であることから、その相乗効果を損なわないよう、国による財源対策が講じられるものについて、事業の妥当性の評価の下、本県の財政状況において可能な限り対応するものとする。
以上の取組により、今後の投資的経費を、国の経済対策により地方財源対策が講じられるものを除き、当面、補助事業及び単独事業について、平成11年度において平成10年度の80%以内に、平成12年度において平成11年度の90%以内に、平成13年度以降は平成12年度同額以内に抑制するものとする。
「県民の視点に立った使命・成果・効率重視」の観点から、常に事務事業の見直しの視点に立ち、また、定期的に事務事業総点検を実施することにより、その効果性、効率性を高め、県行政の有効性を可能な限り高めることにより、毎年度その総額を抑制していかなければならない。
また、行政評価システムにより県民や有識者の意見を取り入れながら、特に教育費、民生費に係る一般行政経費の近年の大幅な上昇傾向に留意し、政策性及び重点性、さらには、施策の透明性と客観性を高め、無駄のない、最大限効果的な事務事業展開を図っていくものとする。
補助金・交付金については、地方自治法第232条の2に規定される「公益上の必要性」に基づき、支出の基準や判断の適正化を図り、それが本県の産業や文化の発展、県民生活の向上等においてどれだけの意味と効果を有するのかを常に検証し、その硬直性を排除することにより、その総額を抑制するとともに、社会経済環境の変化や県民ニーズの変化・高度化に対応するものとしていかなければならない。したがって、県民の視点に立った使命、成果、効率重視の視点に基づき、その見直しを常に行い、その零細化や範囲の不必要な拡大等による支出効果の減少を排除し、その透明性を高めながら、政策性と重点性を深めていくものとする。
イ 国庫補助事業
ロ 県単独事業
ハ その他
ロ 事務的経費
以上の取組により、税交付金等を除く今後の一般行政経費を当面平成11年度において平成10年度の90%以内に、同じく平成12年度について平成11年度の90%以内に、平成13年度以降は平成12年度同額以内に抑制するものとする。
本県の財政健全化の目標を達成するため、財政健全化の基本方向に基づき、歳入については主要項目別に次のような取組を行うものとする。
使用料・手数料については、受益と負担の適正化、独立採算の原則、県民生活に対する配慮、経営の合理化などを総合的に勘案するとともに、独立採算の原則にあるものについては経営の合理化を促進し、また、特定の受益者に応分の負担を求めない場合これを広く県民一般が負担することになるものについては、徹底した経費節減の取組を進めながら、その適切な改定を行うものとする。
本県の財政健全化の目標を達成するためには、財政健全化の基本方向に基づき歳出及び歳入の各分野にわたる取組を行うことが必要であるが、これらの取組の効果を全て数値化することは困難であるため、歳出項目について当面の目標に掲げた縮減方策の内容に準じた仮の条件を設定し、他の要素、例えば名目成長率についてはこれを1.75%にするなど、一定の仮定のもとに本県の財政の修正中期見通しを算出したのが41ページ以降の表である。
これによれば、今後の我が国経済が名目成長率1.75%で成長したとしてもなお各年度調整を要する財源不足額が生じ、その額は本県の標準財政規模(約4,500億円)の5%(約225億円)前後に達するものである。
このシミュレーションは、歳出、歳入における具体的方策の内容を全て反映するものではないが、これに準ずるものと考えるべきものであり、したがって、本県においては、この財源不足額を解消するために、歳入及び歳出の各分野にわたる具体的取組の当面の目標を上回る実績を確保できない場合、財政の健全性を保ちつつ、継続的に自主的な行財政運営を行うことはできず、早晩本県は地方財政再建促進特別措置法に基づく「財政再建準用団体」に陥ることとなる状況であると考えなければならない。
また、参考として試算した名目成長率を0%とした修正中期見通しでは、本県の自主的な財政健全化の努力も空しく、平成12年度にはほぼ確実に財政再建準用団体に陥らざるを得ないことが予想される。
したがって、本県としては、経済の名目成長率が1.75%を下回ることも想定しつつ、当面の目標に掲げた各般の対策を上回る取組も視野に入れ本計画に掲げた取組を確実かつ着実に実践し、少なくとも各年度生じることが予測される要調整額を解消することを目途としてその実績を確保していかなければならない。
しかしながら、それは正に容易ならざるものであり、これまで検討してきた各分野にわたる具体的取組が一つでも欠ければ健全化は到底達成することができないばかりか、これを上回る実績を確実に確保していかなければならないことを認識しなければならない。正に発想の転換が必要であることの所以である。
なお、我が国の経済成長が今後年率0%を達成できずにマイナス成長が続いた場合、例えば今後5年にわたりマイナス成長が続くと仮定した場合の対応はどうであろうか。
これについては、現在の地方税財政制度を前提とした場合においては、一地方公共団体が自主的に取り組むことができる財政健全化のための対策で可能な範囲を超えるものと言わざるを得ない。すなわち、本県のみならず広範な地方自治体の財政が破綻するものと見込まれ、したがって、法制度の抜本的な改革等を伴った国家レベルでの対応が必要となるであろう。その意味で、そのような場合を想定した対応策の想定は本計画の守備範囲を超えるものと言わざるを得ない。
国においては、現在の我が国経済状況の厳しい状況から脱却し、平成11年度にはプラス成長に転換し、平成12年度には回復軌道に乗せることを目標として「緊急経済対策」を決定したところであるが、本県としてもこれに可能な限り対応し、景気の回復を図りながら、本計画を着実に実践し、本県財政の継続的な健全性を確保し、新世紀の県政の重要課題や高度化する県民ニーズに適切に対応できる財政運営を確保するという本計画の基本目標を達成していかなければならない。
なお、この試算でも要調整額が発生しており、その意味で目標とする数値ではないが、このシミュレーションにより推計可能な財政指標については以下のとおりとなる。
項目 | 平成10年度 | 平成15年度 |
---|---|---|
歳出規模 | 9,935億円 | 9,001億円 |
県債残高 | 11,753億円 | 13,597億円 |
基金残高(一般分) | 254億円 | 0 |
起債制限比率 | 11.4%程度 | 12.8%程度 |
本県としては、財政の健全化に向けて、当面修正見通しにより各年度生じることが予測される要調整額を解消することを目途とし、さらに、今後の歳入の動向等を勘案しつつ必要に応じ歳入・歳出の取組の強化等を図りながら各般の対策を継続的に実践していくことにより、平成20年度において次の財政指標の達成を目標とすることとする。
項目 | 平成20年度における目標 |
---|---|
基金残高(一般分) | 標準財政規模の10%以上の額 |
経常収支比率 | 80%以内 |
起債制限比率 | 10%以内 |
歳入 | 県税 |
|
---|---|---|
地方消費税清算金 |
|
|
地方譲与税 |
|
|
地方交付税 |
|
|
国庫支出金 |
|
|
県債 |
|
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その他の歳入 |
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歳出 | 人件費 |
|
扶助費 |
|
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公債費 |
|
|
県税交付金等 |
|
|
投資的経費 |
|
|
その他の歳出 |
|
区分 | 平成10年度 | 平成11年度 | 平成12年度 | 平成13年度 | 平成14年度 | 平成15年度 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
a | b | 伸率(b/a) | c | 伸率(c/b) | d | 伸率(d/c) | e | 伸率(e/d) | f | 伸率(f/e) | ||||
県税 | 2,595 | 2,583 | -0.4% | 2,611 | 1.1% | 2,676 | 2.5% | 2,704 | 1.0% | 2,754 | 1.8% | |||
地方消費税清算金 | 465 | 438 | -5.8% | 446 | 1.7% | 454 | 1.8% | 461 | 1.7% | 470 | 1.8% | |||
歳 | 地方譲与税 | 20 | 20 | 1.7% | 21 | 1.8% | 21 | 1.8% | 22 | 1.7% | 22 | 1.8% | ||
地方交付税等 | 1,843 | 1,838 | -0.3% | 1,911 | 4.0% | 1,943 | 1.7% | 1,975 | 1.7% | 2,008 | 1.7% | |||
国庫支出金 | 1,942 | 1,633 | -15.9% | 1,561 | -4.4% | 1,561 | 0.0% | 1,561 | 0.0% | 1,561 | 0.0% | |||
県債 | 1,765 | 1,047 | -40.7% | 962 | -8.1% | 962 | 0.0% | 962 | 0.0% | 962 | 0.0% | |||
財源対策債等 | 615 | 285 | -53.7% | 262 | -8.1% | 262 | 0.0% | 262 | 0.0% | 262 | 0.0% | |||
その他の県債 | 1,150 | 762 | -33.7% | 700 | -8.1% | 700 | 0.0% | 700 | 0.0% | 700 | 0.0% | |||
基金繰入金(ルール分) | 125 | 80 | -36.0% | 43 | -46.3% | 2 | -95.3% | 59 | 2850.0% | 84 | 42.4% | |||
入 | 基金繰入金(一般分) | 194 | 254 | 30.9% | 0 | 皆減 | 0 | 0 | 0 | |||||
その他の歳入 | 986 | 886 | -10.2% | 856 | -3.3% | 869 | 1.4% | 884 | 1.8% | 893 | 1.0% | |||
歳入合計(A) | 9,935 | 8,780 | -11.6% | 8,411 | -4.2% | 8,488 | 0.9% | 8,628 | 1.7% | 8,753 | 1.5% | |||
人件費 | 2,850 | 2,877 | 0.9% | 2,883 | 0.2% | 2,896 | 0.5% | 2,894 | -0.1% | 2,892 | -0.1% | |||
扶助費 | 255 | 267 | 4.7% | 279 | 4.5% | 292 | 4.7% | 305 | 4.5% | 319 | 4.6% | |||
歳 | 公債費 | 866 | 944 | 9.0% | 985 | 4.3% | 1,070 | 8.6% | 1,203 | 12.4% | 1,269 | 5.5% | ||
県税交付金等 | 828 | 766 | -7.5% | 770 | 0.5% | 783 | 1.7% | 797 | 1.8% | 811 | 1.8% | |||
投資的経費 | 3,456 | 2,558 | -26.0% | 2,348 | -8.2% | 2,348 | 0.0% | 2,348 | 0.0% | 2,348 | 0.0% | |||
補助事業等 | 2,182 | 1,582 | -27.5% | 1,460 | -7.7% | 1,460 | 0.0% | 1,460 | 0.0% | 1,460 | 0.0% | |||
出 | その他事業 | 1,274 | 976 | -23.4% | 888 | -9.0% | 888 | 0.0% | 888 | 0.0% | 888 | 0.0% | ||
その他の歳出 | 1,680 | 1,512 | -10.0% | 1,361 | -10.0% | 1,361 | 0.0% | 1,361 | 0.0% | 1,361 | 0.0% | |||
歳出合計(B) | 9,935 | 8,924 | -10.2% | 8,626 | -3.3% | 8,751 | 1.4% | 8,908 | 1.8% | 9,001 | 1.0% | |||
差引(B)-(A)(要調整額) | 0 | 144 | 皆増 | 215 | 49.4% | 263 | 22.1% | 280 | 6.6% | 247 | -11.8% | |||
基金残高(一般分) | 254 | 0 | 皆減 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||||
県債残高 | 11,753 | 12,323 | 4.8% | 12,778 | 3.7% | 13,156 | 3.0% | 13,409 | 1.9% | 13,597 | 1.4% |
区分 | 平成10年度 | 平成11年度 | 平成12年度 | 平成13年度 | 平成14年度 | 平成15年度 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
a | b | 伸率(b/a) | c | 伸率(c/b) | d | 伸率(d/c) | e | 伸率(e/d) | f | 伸率(f/e) | ||||
県税 | 2,595 | 2,541 | -2.1% | 2,521 | -0.8% | 2,539 | 0.7% | 2,517 | -0.9% | 2,517 | -0.0% | |||
地方消費税清算金 | 465 | 438 | -5.8% | 438 | 0.0% | 438 | 0.0% | 438 | 0.0% | 438 | 0.0% | |||
歳 | 地方譲与税 | 20 | 20 | 0.0% | 20 | 0.0% | 20 | 0.0% | 20 | 0.0% | 20 | 0.0% | ||
地方交付税等 | 1,843 | 1,808 | -1.9% | 1,850 | 2.3% | 1,850 | 0.0% | 1,850 | 0.0% | 1,850 | 0.0% | |||
国庫支出金 | 1,942 | 1,633 | -15.9% | 1,561 | -4.4% | 1,561 | 0.0% | 1,561 | 0.0% | 1,561 | 0.0% | |||
県債 | 1,765 | 1,047 | -40.7% | 962 | -8.1% | 962 | 0.0% | 962 | 0.0% | 962 | 0.0% | |||
財源対策債等 | 615 | 285 | -53.7% | 262 | -8.1% | 262 | 0.0% | 262 | 0.0% | 262 | 0.0% | |||
その他の県債 | 1,150 | 762 | -33.7% | 700 | -8.1% | 700 | 0.0% | 700 | 0.0% | 700 | 0.0% | |||
基金繰入金(ルール分) | 125 | 80 | -36.0% | 43 | -46.3% | 2 | -95.3% | 59 | 2850.0% | 84 | 42.4% | |||
入 | 基金繰入金(一般分) | 194 | 254 | 30.9% | 0 | 皆減 | 0 | 0 | 0 | |||||
その他の歳入 | 986 | 886 | -10.2% | 855 | -3.5% | 866 | 1.3% | 880 | 1.7% | 888 | 0.9% | |||
歳入合計(A) | 9,935 | 8,706 | -12.4% | 8,250 | -5.2% | 8,237 | -0.2% | 8,287 | 0.6% | 8,319 | 0.4% | |||
人件費 | 2,850 | 2,877 | 0.9% | 2,883 | 0.2% | 2,896 | 0.5% | 2,894 | -0.1% | 2,892 | -0.1% | |||
扶助費 | 255 | 267 | 4.7% | 279 | 4.5% | 292 | 4.7% | 305 | 4.5% | 319 | 4.6% | |||
歳 | 公債費 | 866 | 944 | 9.0% | 985 | 4.3% | 1,070 | 8.6% | 1,203 | 12.4% | 1,269 | 5.5% | ||
県税交付金等 | 828 | 763 | -7.9% | 753 | -1.2% | 752 | -0.1% | 752 | 0.0% | 752 | 0.0% | |||
投資的経費 | 3,456 | 2,558 | -26.0% | 2,348 | -8.2% | 2,348 | 0.0% | 2,348 | 0.0% | 2,348 | 0.0% | |||
補助事業等 | 2,182 | 1,582 | -27.5% | 1,460 | -7.7% | 1,460 | 0.0% | 1,460 | 0.0% | 1,460 | 0.0% | |||
出 | その他事業 | 1,274 | 976 | -23.4% | 888 | -9.0% | 888 | 0.0% | 888 | 0.0% | 888 | 0.0% | ||
その他の歳出 | 1,680 | 1,512 | -10.0% | 1,361 | -10.0% | 1,361 | 0.0% | 1,361 | 0.0% | 1,361 | 0.0% | |||
歳出合計(B) | 9,935 | 8,920 | -10.2% | 8,609 | -3.5% | 8,720 | 1.3% | 8,864 | 1.7% | 8,942 | 0.9% | |||
差引(B)-(A)(要調整額) | 0 | 214 | 皆増 | 359 | 67.9% | 483 | 34.3% | 577 | 19.6% | 622 | 7.9% | |||
基金残高(一般分) | 254 | 0 | 皆減 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||||
県債残高 | 11,753 | 12,323 | 4.8% | 12,778 | 3.7% | 13,156 | 3.0% | 13,409 | 1.9% | 13,597 | 1.4% |
地方公共団体の財政状況は、長引く景気低迷による税収の伸び悩みやこの間の累次の経済対策の実施による歳出の増加等に伴い極めて厳しい状況に陥っており、財政再建団体への転落が懸念される自治体も現れるなど未曾有の危機的状況と言っても過言ではない状況にある。
このことは本県についても同様であり、我々はこの厳しい現実を直視し、21世紀へ向けた本県の重要課題に積極的に対応し県の責務を果たしていくためにもこれを自らの問題として捉え、より機動的な行財政のあり方を構築することにより、未来に向けた新しい県政を創造していかなければならない。
本県財政の健全性を継続的に確保していくための各般の取組は、表面的には人、組織、予算の削減の取組であることに違いはないであろう。しかし、この取組がなければ、本県財政の健全性を確保しつつ県民の負託に応える県行政を展開していくことはできないことも事実である。
少子・高齢化の進展、生産年齢人口の減少、キャッチアップ経済の終焉、世界的な大競争時代の到来など、社会経済環境はダイナミックに変動しており、本県においても徹底した行政改革を推進し、地方分権の時代にふさわしい簡素で効率的なシステムを確立しながら、介護保険の導入をはじめとする総合的な地域社会福祉の充実、住民に身近な社会資本の整備、安心で安全なまちづくり、大競争時代を勝ち抜く自立的産業の育成など、21世紀に向けた本県の重要政策課題に的確に対応していかなければならない。
このために我々は、県民の理解と協力の下、独自の工夫を講じながら行財政運営全般にわたる改革を積極的かつ自主的に推進し、これに応えられるより機動的な行財政運営のあり方を構築していかなければならないのであり、本県財政の健全化に向けた取組はそのための取組であって、その成果は21世紀に向けてより行動的で創造性あふれる宮城県政につながるもの以外の何ものでもない。
その意味では、もとより財政健全化推進計画の実践の中でその財源を確保することが基本ではあるが、現在国・地方を通じ最重要の政策課題となっている我が国経済の再生に向けた取組や、急速に進展する少子・高齢化、世界的な共通課題である環境問題への的確な対応など、緊急かつ優先的な政策課題については、国による財源対策の措置状況も踏まえながら、場合によってはこの計画の枠を超えてこれに対応するという柔軟な発想も必要であろう。
すなわち、この計画は今後の継続的な財政運営の基本的な枠組みを示したものであるが、もとより完全にコンクリートされるべきものではない。今後の様々な変化に応じて常に見直しを行いながら、本県財政の継続的な健全性を確保し新世紀の県政の重要課題や高度化する県民ニーズに適切に対応することにより、活力ある豊かな宮城県を実現するという本県行財政運営の本来的目標を達成していかなければならない。
また、この計画は今後の本県行財政運営における政策の方向性を示したものではない。それは、常時継続的に議論されるべきものであり、具体的には、「新しい宮城の県政創造運動-宮城の行政改革-」の実践を通じ、「県民の視点に立った、使命・成果・効率重視の宮城県政の再構築」を行うことによって、県民に明らかにしていかなければならないものである。
(「財政健全化推進計画」の全文。以上です。目次に戻ります。)
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