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川崎側から農道に入り大森トンネルへ登っていくとその途中の右側に大きな苔生した石碑が二つ建っています。ちょっと周囲の風景に馴染んでしまっているので注意深く見ないと見つけにくいのですが、すぐ後ろに杉の木が数本立っているのが目印です。
その右側の石碑には「水神」、左側の石碑には「山神」と書かれています。大きさは、120cmほどですが、二つ並んであることから間近に見ると風格があります。川崎町の資料には建立年は不明とあります。この苔生した状況から考えると明治以前の碑でしょうか。
さて、この山神と水神はいったい何のために建立されているのでしょうか?
「山神」は、民間信仰の「山の神」のことを示していると考えられます。山の神は、女の神様とされ、春になると山から田に下りてくる農業の神様、お産の神様、祖先の霊を鎮める神であったりします。一般には山の神は醜女(しこめ)とされ、彼女を安心させるために不格好なオコゼを奉納すると良いといわれています。
「水神」も民間信仰の「水の神」のことを表しています。水神は、飲料水・農業用水の確保(雨乞いを含む)、水害の防止、舟の安全航行などを願う気持ちから生まれた神様です。具体的な姿としては河童や竜などに象徴されます。秋田県横手市の「かまくら」はこの水神を中に奉ります。この地方に良質の水が少なかったからではないかと言われています。
大昔、私たちの祖先は、恵みの源であった川や山など自然に存在するものに神聖な気持ち抱きこれらを敬うことで自分を取り巻く自然との調和を図ってきました。その象徴としてこれらの神様は存在したといわれています。
この石碑を訪れたのは1月でした。近所の方でしょうか、脇には正月飾りが飾られていました。今でもその心はしっかりと息づいているようでした。
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