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知事室へようこそ
平成28年12月28日
県庁2階講堂
平成28年も仕事納めを迎えました。
今年は、熊本や鳥取での地震など、全国各地で大きな地震が発生しました。また、8月には台風10号が初めて東北地方から直接上陸し、11月には福島県沖を震源とする地震・津波が発生するなど、自然災害が相次いで発生し、自然災害の脅威を痛感しました。
県民生活の安全・安心を守るため、災害に対する日頃の備えが大切であり、災害に強い県土づくりを一層強く意識した1年でありました。
また、この度「災害対応人材バンク」を整備しました。我が県は復興の途上ですが、支援を受けた者の責務として、他の自治体で何かあれば、今後は私たちが助ける番です。恩返しとして、できることは何でもやっていきましょう。
さて、10年間の震災復興計画の後半のスタートとなった、震災から6年目の今年も、震災復興を県政の最優先課題として、被災市町と力を合わせて、被災者の生活再建や地域産業の再生に全力を注いできました。
職員の皆さんには、震災前の一般会計予算の半分に相当する約4,500億円もの復旧・復興事業をしっかりと進め、復興に力を尽くしていただき、本当にありがとうございました。
平成28年度は、震災復興計画で定める「再生期」の3年目です。「復旧」にとどまらない抜本的な「再構築」を行い、「創造的な復興」を実現するための大切なこの1年、皆さんには大変な仕事に取り組んでいただきました。
皆さんの力を合わせたことで復興まちづくりも進み、10月には山元町で、11月には東松島市で新たなまちが誕生しました。
また、災害公営住宅については、11月末までに約1万2千戸、計画戸数の75%が完成したことになります。年度内には概ね9割まで出来上がる見込みとなっています。
恒久住宅への入居も進んでおり、プレハブ仮設住宅については、4月に岩沼市で、10月には仙台市で全ての入居者に退去いただくことができました。
さらに、6月には、南三陸町の魚市場が再建されました。高度な衛生管理に対応した施設で、漁業の復興が一段と進みました。
9月には、震災で被災した石巻市立病院が待望の再開を果たし、被災地の地域医療の再生に向け、大きく前進しました。
交通インフラに目を移しますと、今年3月にJR仙石線の新駅「石巻あゆみ野駅」が開業したほか、JR常磐線の浜吉田-相馬間が今月、震災から5年9ヶ月ぶりに運行再開されました。
今回の常磐線の運転再開で、BRTによる復旧も含め、県内の運休区間が全て復旧しました。通勤・通学が便利になるともに、避難されている方々の帰郷や、観光や産業振興など、被災地の活性化につながる大きな一歩となりました。
また、暮らしを支えるとともに命を守る、三陸自動車道については、3月に多賀城インターチェンジの設置と、仙台市から石巻市まで全線4車線化が実現しました。また、4月には三滝堂インターチェンジ、10月には志津川インターチェンジまで延伸が実現しています。沿岸部の物流や観光のアクセスが格段に向上し、早期復興と地域振興に大きく貢献するものと考えております。
さらに、今年は、これまで、民間をはじめ様々な方々と連携しながらまいてきた「『創造的な復興』の種」が次々と開花した年でした。
3月には、東北初となるスマート水素ステーションを開設し、燃料電池自動車(FCV)の導入も実現しました。現在、商用水素ステーションの整備が進んでいるほか、隣接地に水素を利活用する集客施設の開設が決まるなど、東北の水素エネルギーの拠点化が進みました。
4月には、東北医科薬科大学に我が国で37年ぶりとなる医学部が新設されました。東北の深刻な医師不足の解消に向け、地域医療を担う意欲にあふれる医師の育成がスタートしたところです。
7月には、東北の空のゲートウェイである仙台空港が、国が管理する空港として初めて民営化を果たしました。民営化に先立って、台湾のLCCが定期便を就航させるなど、国際線も充実してきています。震災を乗り越え、東北全体を活性化するため、交流人口と物流の拡大に向けて、県も最大限力を尽くしてきました。
10月には、仙台医療センターと東北大学病院を基地病院としてドクターヘリの運行が開始され、県内の救急医療や災害医療のより一層の充実が図られました。
11月には、「ポケモンGO」と連携して沿岸部で開催したイベントに1万人以上が訪れました。多くの方々に被災地の今を実感していただくことで、観光の復興と震災の風化防止に向けて、大きな成果をゲットできました。
来年も、今年以上に、様々な分野で、様々な新しいことに積極的にチャレンジしていきましょう。
そうした中、折に触れて震災の風化を感じることが増えています。東日本大震災を経験した我々には、この震災を次の世代にしっかりと伝承していく責務があります。
このため、今年は、復興に向けて取り組む方々の「いま」の姿を通して、被災地の現状を伝えることをテーマに、震災復興ポスターのデザインを一新したほか、復旧・復興関連の情報を集約したポータルサイトも立ち上げました。被災地への関心が薄れつつある中、あらゆる機会をとらえて、粘り強く復興への取組を発信しつづけていく必要があります。
この分野では、4月に多賀城高校に災害科学科が開設されました。防災知識を身につけ、震災の記憶を伝承する人材の育成がスタートし、生徒のみなさんも被災地での活動などに頑張ってくれています。
また、5月には、G7財務大臣・中央銀行総裁会議が仙台市で開催され、参加各国の方々に復興支援への感謝と、復興の状況を発信することができました。
今年は、喜ばしい話題もたくさんありました。
10月には、人口減少社会の中、県内14番目の市となる富谷市が誕生しました。県内で単独の町が市に移行するのは実に45年ぶりのことです。ぜひこれからも、「住みたくなるまち日本一」を目指して、魅力的なまちづくりに取り組んでいただきたいと思いますし、県としても力を合わせていきたいと考えています。
また、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックでは、我が県にゆかりのある、バドミントン女子ダブルスの髙橋礼華さん・松友美佐紀さんが金メダル、卓球女子団体の福原愛さんが銅メダル、車いすラグビーの庄子健さんが銅メダルを獲得し、その堂々たるプレーは、県民に勇気と感動を与えました。
県庁ロビーで「タカ・マツ」ペアのお二人と、たくさんの県民の皆様が喜びを分かち合うことができ、とても良かったと思っています。
ソチオリンピックの金メダルリストの羽生結弦さんも、先日行われたグランプリファイナルにおいて、史上初の4連覇という偉業を果たしました。
さらには、若い世代においても、先月、バドミントンの世界ジュニア選手権女子ダブルスで保原彩夏さんらのペアが優勝し、今月には、卓球の世界ジュニア選手権男子シングルスで張本智和さんが史上最年少で優勝するなど、うれしいニュースが盛りだくさんの年でした。
来年もよいニュースに恵まれることを願っています。
また、天皇皇后両陛下におかれましては、昨年に引き続いて3月に、また、秋篠宮同妃両殿下におかれましては9月に、県内の沿岸部などをご訪問いただきました。被災者の皆さんに寄り添い、耳を傾けるお姿は、とても励みになったことと思います。
今年を振り返ってきましたが、来年の3月11日で震災から丸6年となります。4月からは、震災復興計画で定める「再生期」4年間の最後の年、次の「発展期」の土台づくりの大事な年がスタートします。
今年は、私が知事に就任してから策定した「宮城の将来ビジョン」の10年間の最終年でした。現在、県では、震災復興を最優先に取り組んでいることから、将来ビジョンを復興計画の終期まで延長し、必要な見直しを進めています。
この10年間、東日本大震災や世界的な経済危機など予期せぬことがありましたが、当時目指した「宮城の将来像」も、東日本大震災からの復興も、着実に進んできていると手応えを感じています。
新しい年も、これまで以上に「前向きな行動力」で、「明るさ」と「根性」をもって、「知恵」をフルに活用しながら、「風通し」の良い組織の中で、ともに頑張っていきましょう。
結びになりますが、今年も、職員の皆さんと一緒に、県民の皆様のために良い仕事ができたと考えています。
年末年始は、どうぞ、事故などのないようにくれぐれも気をつけていただき、しっかりと休んで、疲れを癒やしてください。
それと同時に、危機管理については、年末年始であっても気を抜かずに、しっかりとお願いします。
特に、全国的に拡大している鳥インフルエンザについては、正確な情報の把握に加え、我が県で発生した場合の緊急連絡体制・動員体制をもう一度確認するようにお願いします。
また、全国の各自治体においても、人員に余裕がない中で、応援派遣で来てくださっている多くの頼れる職員の皆様の御尽力により、我が県の震災復興は着実に進みました。気をつけて地元に戻って、英気を養っていただき、ぜひまたお力を貸していただきますよう、お願いいたします。ご家族や地元の方によろしくお伝えください。
今なお、県外避難者の方々も含めて、多くの方々が応急仮設住宅などでお正月を迎えます。このことをしっかりと心に刻み、来年は酉年にちなみ、大きく飛躍する年にしましょう。
新年1日目から、大空に向けて羽ばたいていきますので、そのつもりでよろしくお願いします。
また、東北楽天ゴールデンイーグルスとベガルタ仙台はマスコットキャラクターがトリです。来年は、酉年だけに、ぜひ優勝を「トリ」に行き、被災地の希望の光として、再び輝きを「トリ」戻して欲しいと思います。もちろん、ライオンがマスコットの仙台89ERSにも、Bリーグの最初のシーズンを全力で戦い抜いて欲しいと思います。皆さんで応援しましょう。
それでは、1月4日から、また、リフレッシュした皆さんと仕事ができることを楽しみにしております。皆さん、良いお年をお迎えください。
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