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掲載日:2018年6月1日

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普及に移す技術第93号/普及技術6

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普及技術6(平成29年度)

分類名〔花き〕

トルコギキョウ10月出しとカンパニュラ3月出しの無加温電照輪作体系(PDF:383KB)

宮城県農業・園芸総合研究所

1 取り上げた理由

トルコギキョウの抑制栽培(10月出し)において,赤色LEDランプの終夜照射には早期開花の抑制効果及び切り花品質の向上効果がある(普及に移す技術第90号普及情報)。一方,1年草タイプのカンパニュラ・メディウム(以下カンパニュラ)は,定植日から発蕾期までの暗期中断電照により冬季の無加温ハウスでも開花が促進されることが明らかとなっている。そこで,トルコギキョウで用いた赤色LEDランプを光源とし,本県におけるカンパニュラの無加温電照作型を検討したところ,トルコギキョウ10月出しの後作として3月出しが可能であることが明らかになったので普及技術とする。

2 普及技術

1)作型
赤色LEDランプによる電照を行うことで,トルコギキョウ10月出しの早期開花の抑制及び切り花品質の向上を図るとともに,その後作に無加温でカンパニュラの3月出しを行うことができる(図1)。
輪作体系
2)トルコギキョウ10月出し栽培
中晩生・晩生品種を用いる。赤色LEDランプで午後4時から翌日8時までの16時間終夜電照を定植日から発蕾期まで行うことで,早期開花の抑制及び切り花品質の向上効果が得られる。ただし,開花抑制日数や品質向上の程度には品種間差がある(図1,表1,表2)。
3)カンパニュラ3月(春彼岸)出し栽培
9月下旬~10月上旬に播種し,トルコギキョウ収穫後の11月上旬~中旬に定植する。赤色LEDランプで午後11時から翌日1時までの2時間暗期中断電照を定植日から発蕾期まで行い,12月以降は三重被覆(外張り,内張り,小トンネル)を行うことで,3月中旬までに切り花が得られる(図1,図2,表3)。
4)赤色LED電照を導入した場合のトルコギキョウ10月出し栽培及びカンパニュラ3月出し栽培の10a当たり農業所得は,約1,255千円及び344千円である(表4,表5)。

3 利活用の留意点

1)赤色LEDランプは,株式会社鍋精製(DPDL-R-9W,波長620-630nm)を用い,地表面から光源先端までの距離は1.5m,2m間隔で設置している(PPFD:0.6~1.4μmol・m-2・s-1)。
2)トルコギキョウの赤色光終夜照射に対する開花抑制及び切り花品質向上効果には,早晩性が同一とされるシリーズ内でも品種間差があるので注意する。
3)カンパニュラは,1年草タイプの「チャンピオン」シリーズを用いた結果である。同一定植日における開花期は,「スカイブルー」が他の品種よりも早いので注意する(表3)。また,他の1年草タイプの品種については未検討である。
4)小トンネルは,厚さ0.05mmの農POで側面を高さ90~100cm程度に固定張りし,トンネル上部のみを開閉させている(図2)
5)カンパニュラは0℃程度の低温に遭遇しても生育に支障がないが,ハウス内最低気温が零下5℃を下回る場合には,三重被覆でも凍害の恐れがある。
6)本試験の耕種概要は,以下のとおりである。
a トルコギキョウ
播種:平成28年4月20日(一部5月2日),平成29年4月26日
育苗:播種後10℃暗黒下で5週間種子冷蔵処理後,普通育苗
定植:平成28年7月11日,平成29年7月10日
条間:10cm,株間10cmの中2条抜き4条植え,白黒ダブルマルチ被覆
施肥:基肥は無施用,追肥はN500ppmの液肥を3回施用
電照:平成28年は定植日から8月22日まで,平成29年は定植日から8月24日まで
調製:第1及び第2小花のみを残し,頂花及び第3以降の小花は切除
b カンパニュラ(平成28~29年)
試験区 10月下旬定植 11月上旬定植 11月中旬定植
播種 9月16日 9月23日 10月3日
定植 10月28日 11月8日 11月17日
条間15cm,株間15cmの中1条抜き4条植え,無摘心,黒マルチ被覆
施肥:無施用(トルコギキョウ後作の残肥のみ)
電照:定植日から収穫時まで
(問い合わせ先:宮城県農業・園芸総合研究所園芸栽培部電話022-383-8132)

4 背景となった主要な試験研究

1)研究課題名及び研究期間
a 食料生産地域再生のための先端技術展開事業「周年安定生産を可能とする花き栽培技術の実証研究」(平成25~29年)
b 宮城から提案する新規園芸品目の生産技術の開発(平成27~29年)
2)参考データ
赤色光が切り花品質に及ぼす影響

三重被覆(小トンネル)
定植時期及び多重被覆の影響

経営収支試算
3)発表論文等
a 関連する普及に移す技術
a)トルコギキョウ抑制栽培における赤色LEDランプの実用性(第90号普及情報)
b その他
a)山口義昭・津田花愛・佐々木厚(2017),トルコギキョウ抑制栽培における赤色光照射が開
花に及ぼす影響,東北農業研究第70号,p99-100
b)山口義昭・佐々木厚・津田花愛(2018),トルコギキョウ抑制栽培における赤色光照射の開
花抑制及び品質向上効果,平成29年度東北農業研究成果情報
4)共同研究機関
福島県農業総合センター,国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜花き研究部門

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お問い合わせ先

農業・園芸総合研究所企画調整部

名取市高舘川上字東金剛寺1(代表)

電話番号:022-383-8118

ファックス番号:022-383-9907

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