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普及技術13(平成29年度)
分類名〔作業技術〕
高温期のハウス内における作業者の効果的暑熱軽減対策(PDF:394KB)
高温期のハウス内作業は過酷な暑熱環境下で行われている。ハウス内での高温作業時の熱中症リスク対策として,ファン付き作業着(商品名:空調服,以下「空調服」)と移動式小型ファン等の利用が有効である。しかし,盛夏等の高温時には送風の冷涼感が得られにくいことがある。そこで,細霧冷房でハウス内気温を下げ,ネッククーラーを追加して冷涼感を確保することによる暑熱軽減効果や,さらにフード付き空調服の有効性を明らかにしたので普及技術とする。
1)高温時にハウス内で細霧冷房を稼働すると,気温を2℃以上低下させる効果があり,その環境下での作業時に空調服を着用し,インナーには吸汗速乾半袖シャツを着て,首または額にネッククーラーを巻き,移動式小型ファンで頭部に送風すると,暑熱対策を行わない場合に比べて作業中の胴体及び頭部の表面温度が低く保たれ,作業後は頭頂部4~6℃程度,胴体部は2℃程度低く,作業者の暑さの自覚症状が軽減される(図1,図2,表1,表2,図3)。
2)フード付き空調服を着用すると,頭部まで送風されるので移動式小型ファンを使用したときと同等以上の暑熱軽減効果がある(図1,表2,図3)。
1)本成果は,平成28年は所内のトマト栽培ハウス(0.8a),平成29年は夏秋期にミニトマトを栽培している宮城県内の大規模水稲育苗ハウス(18a)での結果である。
なお,細霧冷房による作物への影響はなかったことが確認されている。
2)細霧冷房は,平成28年は(株)イーエスウォータネットのESフォガーシステム(1a用)を,ハウス内気温が25℃を超える晴天日に30秒噴霧30秒停止の条件で,午前9時~午後3時に噴霧している。価格は約65万円である。平成29年は(株)いけうちのcoolBIMセミドライフォグ微霧冷房加湿システム(10~20a用)を,設定温度25℃(+3℃になると噴霧開始),設定相対湿度80%,30秒噴霧30秒停止の条件で,午前8時~午後4時に稼働している。価格は約300万円である。
3)フード付き空調服は(株)空調服のBPF-500N,空調服は同社のBP-500N(平成28年はP-500N)で,風量を最も強くして使用している。価格はどちらも約2万円である。
4)吸汗速乾半袖シャツは,平成28年は(株)デサント,平成29年は(株)ドームの製品を使用し,素材はポリエステル100%である。価格は約4千円である。
5)ネッククーラーは,大作商事(株)のマジクールを使用し,常温の水を十分に吸水保持させ,平成28年は額に,平成29年は首に着用している。価格は約700円である。
(問い合わせ先:宮城県農業・園芸総合研究所情報経営部電話022-383-8114)
1)研究課題名及び研究期間
食料生産地域再生のための先端技術展開事業「土地利用型営農技術の実証研究(露地園芸技術の実証研究)」(平成24~29年度)
2)参考データ
3)発表論文等
a 関連する普及に移す技術
a)高齢者の農作業の軽労化・快適化に向けたファン付き作業着(商品名:空調服)の利用(第83号参考資料)
b)夏期の園芸施設内におけるファン付き作業着(商品名:空調服)の効果的利用法(第90号参考資料)
b その他
a)平成27年度東北農業研究成果情報:高温期の園芸施設内におけるファン付き作業服の暑さ軽減効果を高める着用方法
b)平成27年度東北農業研究成果情報:高温期の園芸施設内作業における移動式小型ファンによる暑熱軽減技術
c)小池修・高橋正明・庄子友夫(2017),高温期のハウス内における着用物と細霧冷房による作業者に対する暑熱軽減効果,農業食料工学会東北支部報第64号,p9-12
d)平成29年度東北農業研究成果情報に掲載予定
4)共同研究機関
(国研)農研機構東北農業研究センター
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