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掲載日:2018年6月1日

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普及に移す技術第93号/普及技術3

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普及技術3(平成29年度)

分類名〔野菜〕

収量および果形に優れ年内収穫可能なイチゴ新品種「にこにこベリー」(PDF:295KB)

宮城県農業・園芸総合研究所

1 取り上げた理由

宮城県におけるイチゴ栽培において,「もういっこ」と「とちおとめ」が主力品種となっているが,「とちおとめ」は「もういっこ」より収量がやや少なく,「もういっこ」は開花が「とちおとめ」より遅く年内収量が少ない傾向がみられる。そこで,「とちおとめ」と同程度以上の早生性をもち,多収で高品質なイチゴ品種の育成を進めてきた結果,新品種「にこにこベリー」を開発したので普及技術とする。

2 普及技術

1)来歴
果実が大きく多収な「もういっこ」を子房親とし,早生性を有し果実形質が優れる「とちおとめ」を花粉親として平成18年に交配し,得られた実生から,冬期の草勢が強く果実形質に優れ,早生性を有した4系統を選抜した。このうち,平成27年より高設栽培における選抜を実施し,「とちおとめ」と同程度以上の早生性を持ち,果形が優れ,また果実硬度の高い系統「C-2」を選抜した。現地試験においても高い評価が得られたことから「にこにこベリー」と命名し,平成29年3月に品種登録出願を行った。
育成品種の果実および現地での栽培状況
図1 育成品種の果実および現地での栽培状況
2)特性の概要
a 草姿は立性で,草勢は「とちおとめ」,「もういっこ」と同等で中,ランナーの数は「とちおとめ」より多く,「もういっこ」より少ない。
b 果形は円錐形で,果皮色は赤色を呈し,果形の揃いが良く,果肉色も赤く香りも強い(図1,表1)。
c 糖度と酸度は「もういっこ」と同程度,また果実硬度も同程度で,輸送性に優れる(表1)。
d 早晩性は「とちおとめ」よりやや早く,夜冷短日処理による早出し栽培では,収穫開始が「とちおとめ」より3日程度早く,第1次腋花房の開花は「とちおとめ」と同程度である。普通促成栽培では,収穫開始が「とちおとめ」より5日程度早く,第1次腋花房の開花は2日程度遅い(表1)。
e 普通促成栽培での年内収量は「とちおとめ」より35%多く,2月までの早期収量も「とちおとめ」より15%多い。5月末までの収量は,「とちとめ」,「もういっこ」より30%程度多く多収である。
f 夜冷早出し栽培での収量も,年内収量は「とちおとめ」より25%多く,5月末までの収量は,「とちおとめ」より30%程度多い。
g 乱形果の発生が少なく商品果率は「とちおとめ」より高い(表1)。
h 平均1果重は「とちおとめ」より小さいが,10g以上の大果率は74~75%と「とちおとめ」と同程度で,商品果数は「とちおとめ」より40%多い(表1)。

3)対象地域等
普及見込み地域は,県下一円である。

3 利活用の留意点

1)「にこにこベリー」は平成29年3月27日に品種登録出願を行い,品種登録出願中である。(品種登録出願番号第31970号)
2)「にこにこベリー」の親株は,平成30年度から県内生産者に提供を開始する予定である。
3)高設養液栽培に適する品種である。また,炭酸ガス施用や温湿度制御等により収量が高まることを確認している。

(問い合わせ先:宮城県農業・園芸総合研究所園芸栽培部 電話022-383-8132)

4 背景となった主要な試験研究

1)研究課題名及び研究期間
本県に適した特徴ある園芸作物のオリジナル品種育成(平成26年~平成31年度)
2)参考データ
特性一覧
3)発表論文等
a 関連する普及に移す技術
b その他
a)高山詩織,鹿野弘,今野誠,高野岩雄,柴田昌人,小野寺康子(2017),一季成り性イチゴ新品種‘C-2’の育成,園芸学研究第16巻別冊2,p195

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お問い合わせ先

農業・園芸総合研究所企画調整部

名取市高舘川上字東金剛寺1(代表)

電話番号:022-383-8118

ファックス番号:022-383-9907

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