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掲載日:2018年6月1日

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普及に移す技術第93号/普及技術4

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普及技術4(平成29年度)

分類名〔果樹〕

増収技術と省力栽培技術を導入したブドウ「シャインマスカット」の栽培体系

増収技術と省力栽培技術を導入したブドウ「シャインマスカット」の栽培体系(PDF:313KB)

宮城県農業・園芸総合研究所

1 取り上げた理由

ブドウ「シャインマスカット」生産者の収益性向上を図るため,光反射シートを利用した増収技術と省力栽培技術を導入した栽培体系を開発したので,普及技術とする。

2 普及技術

  • 1)光反射シートの敷設,展葉10枚時のフラスター液剤処理,花穂整形器利用,果粒軟化期以降の摘心作業の省略技術を導入した新技術導入栽培は,設定着房数を慣行の3割増やしても作業時間は慣行と同等で収量が3割増加できる(表1,2,3)。
    新技術導入の栽培管理
  • 2)「シャインマスカット」H型整枝・短梢剪定樹に光反射シートを開花前から収穫後まで棚下に敷設することで,棚面に対して角度の大きい葉の割合が増加するため,棚下に光が透過しやすくなり,果房周辺の積算日射量が増加する。(表4,図1)。
  • 3)新技術導入栽培の果実品質は,糖度と果皮色が慣行栽培よりも高くなる(表5)。
  • 4)1房当たりの花穂整形時間は,花穂整形器の利用により慣行栽培に比べて24.8%短くなる(表6)。
  • 5)新技術導入栽培の1樹当たりの新梢管理時間は,フラスター液剤散布によりジベレリン処理後の摘心作業が慣行栽培に比べて短くなる。また,顆粒軟化期後の摘心作業が省略されたため,作業合計時間は慣行栽培と比べて29.8%短くなる(表7)。
  • 6)新技術導入栽培の費用は,光反射シートや花穂整形器などの資材が増えるため,慣行栽培に比べて増加するが,収量が3割程度増加するため,利潤が慣行栽培より多くなる(表8)。
  • 7)光反射シートを開花前に敷設した場合,チャノキイロアザミウマの防除効果が期待できるため,第1世代成虫飛来時期の6月中旬の殺虫剤の散布を減らすことができる。

3 利活用の留意点

  • 1)平成30年3月に「新技術を導入した「シャインマスカット」栽培マニュアル」を発行。
  • 2)使用した光反射シートは,デュポン™タイベック®400WP(幅150cm)で,全面敷設に要する作業時間は10a当たり19.8時間,資材費はおよそ115,000円である。また,光反射シートは2年程度連続使用が可能である。
  • 3)光反射シートの敷設は樹形完成後から行う。樹形完成前の若木では小粒黄化果房の発生を助長するため敷設しない。また,主枝先端付近の日当たりの良い果房は果皮の黄化が進みやすいので,有色袋や傘などを使用すると良い。
  • 4)耕種概要は下記のとおり。
    • 供試樹:樹間10m×列間5.4mのH型整枝・短梢剪定樹(平成29年で6年生)
    • 栽培方法:雨よけ栽培としビニールは5月下旬から10月末まで被覆した。
    • 設定着房数:新栽培体系は主枝1m当たり9房,慣行栽培は7房とした。
    • 花穂整形:開花始期に花穂先端4cmを残した。最終着房数の1.5倍程度の花穂を整形した。
    • 植調生長調節剤の使用:開花前にアグレプト液剤1000倍液を散布した。満開期3日後にジベレリン液剤25ppmとフルメット液剤3ppmを浸漬処理し,満開15日後にジベレリン液剤25ppmを浸漬処理した。

(問い合わせ先:宮城県農業・園芸総合研究所園芸栽培部 電話022-383-8134)

4 背景となった主要な試験研究

  • 1)研究課題名及び研究期間
    食料生産地域再生のための先端技術展開事業「被災地の早期復興に資する新品種・新技術を利用した果樹生産・利用技術の実証研究」(平成24年~平成29年)
  • 2)参考データ
    収量に及ぼす影響
    10a当たりの作業時間に及ぼす影響
    光反射シートが葉の角度に及ぼす影響
    光反射シートが棚下の日射量に及ぼす影響
    果実品質に及ぼす影響
    1房当たりの果房管理時間に及ぼす影響
    1樹当たりの新梢管理時間に及ぼす影響
    成木時の経営収支
  • 3)発表論文等
    • a 関連する普及に移す技術
      ブドウ「シャインマスカット」の高品質果実生産のための植物生長調節剤の利用方法(第92号参考資料)
    • b その他
      なし。
  • 4)共同研究機関
    農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門

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お問い合わせ先

農業・園芸総合研究所企画調整部

名取市高舘川上字東金剛寺1(代表)

電話番号:022-383-8118

ファックス番号:022-383-9907

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