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平成25年10月29日命令書交付
<中央労働委員会関係命令・裁判例データベース>
労働委員会命令データベース(https://www.mhlw.go.jp/churoi/meirei_db/mei/m11305.html)(外部サイトへリンク)
(1)本件は,T社が会社解散に伴い組合員3名を解雇したことは偽装解散であり,労働組合法第7条第1号(不利益取扱い)の不当労働行為に該当するとして,救済申立てが行われた事件である。
(2)本件申立て後,組合は,T社と,T社から事業を引き継いだH社は実質的同一性を有しており,H社は組合員3名の使用者として,T社が行った不当労働行為の責任を負う旨主張して,H社を当事者とする追加申立てを行い,当委員会は,H社を当事者として追加した。
本件申立てをいずれも棄却する。
T社には清算時に残余財産が存在していたが,その時点で既に係属していた本件において,組合が主張する解雇が不当労働行為と認定され,バックペイないしポストノーティスを命じられた場合には,その実行可能性が十分存在していたと考えられるから,T社は組合に対し債務を負担する可能性が存在しないことが確定するまでは,残余財産を株主に分配して清算を結了することはできないと言わざるを得ない。
したがってT社の清算手続きは,実体的には結了しておらず,T社の被申立人適格は,これを認めるのが相当である。
T社は,以下のとおり,本件解雇について不当労働行為意思を有していたものとは認められない。
T社とH社は,事業譲渡前にも事業譲渡後においても,組織,役員構成,目的,設立経過,営業実態等において別個の会社であり,解散したT社が,人的・物的関係において企業そのものの実態が変更されることなくH社に承継され,H社の経営等に対して事実上の支配力を及ぼし得ると評価できるような事情は認められないから,T社とH社の間に実質的同一性を認めることはできない。
T社代表取締役Y1が組合嫌悪等の意思に基づき,H社を支配下において,製品の製造に必要な機械,備品や商標権等を組合の影響力が及ばないH社に譲渡し,T社を事実上解散に至らしめ,従業員である組合員3名を解雇したという事情は認められないから,T社の解散は偽装解散とは認められない。
T社による本件解雇が不当労働行為に該当しないため,T社の不当労働行為責任をH社が負うか否かについては判断する必要がない。
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