普及に移す技術第88号/参考資料(震災関連)2
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参考資料(平成24年度)
分類名〔水稲〕
津波被災農地における雑草植生変化とコウキヤガラ発生リスクマップ - 震災復興関連技術 -
変化とコウキヤガラ発生リスクマップ 雑草植生津波被災農地における - 震災復興関連技術 -(PDF:627KB)
宮城県古川農業試験場
1 取り上げた理由
東日本大震災の大津波により瓦礫や泥土が流入し耕作管理が不能となった農地では,様々な雑草が繁茂し,復旧後の営農に影響を及ぼすことが懸念された。また,従来から沿岸部の水稲作で問題となっていたコウキヤガラの分布拡大も危惧された。そこで,被災農地における農地復旧に伴う雑草植生の変化を明らかにし,さらに,コウキヤガラの分布と震災前後に整備された農地情報(GISデータ)との関係からコウキヤガラの発生リスクを予測した地図を作成したので参考資料とする。
2 参考資料
- 1)被災年(平成23年)に休耕田を中心に繁茂したイヌビエや畦畔部のシロザ等は,復旧工事の進展,水稲作付けの再開および休耕農地の除草剤散布等により,翌年(平成24年)は概ね減少している(表1)。イヌビエの発生は被災当年より翌年で少ない傾向は確認されたが,圃場の立地条件との関係は明確ではない(表2)。
- 2)コウキヤガラについては作付再開された圃場も含めて被災地圃場内での出現率はさほど減少していない(表1)。コウキヤガラの発生には圃場整備状況や被災程度が大きく影響しており,区画(圃区)面積が小さく,用水路が整備されているが排水不良で,津波による堆積土砂が厚く,地盤沈下量が著しい地域ほど出現率が高い(表2)。
- 3)津波被災農地全域のGISデータと,被災当年・翌年のコウキヤガラの分布調査を基にした多重ロジスティック回帰モデルを作成し,コウキヤガラの発生確率を予測するリスクマップを作成した(図1)。
3 利活用の留意点
- 1)モデル作成に用いた雑草植生データは宮城県内の津波被災水田にて平成23・24年の2カ年にのべ85地点(南部沿岸41地点,北部沿岸44地点)で行った調査の結果である。
- 2)コウキヤガラの発生リスクマップは,今後の農地復旧過程の耕地管理および営農再開後におけるコウキヤガラの広域的防除計画に活用できる。
- 3)図1に示したリスクマップはGoogleEarth®にて表示可能なKmlファイルにて下記UPLアドレスにて提供している。
津波被災農地におけるコウキヤガラの発生にご注意ください
(問い合わせ先:古川農業試験場水田利用部 電話0229-26-5106)
4 背景となった主要な試験研究
- 1)研究課題名及び研究期間
- a 津波被災水田の実態調査と除塩法・栽培管理技術の確立 平成23~24年
図1 津波被災農地におけるコウキヤガラ発生のリスクマップ
表1 被災農地における草種構成の変化
- 3)発表論文等
- a 関係する普及に移す技術
- a)津波被災農地における雑草発生の実態 - 震災復興関連技術 -(第87号参考資料)
- b)地理的要因を基にした水田雑草多発リスクの評価(第87号参考資料)
- c)津波被災農地における効果的なコウキヤガラ防除対策(第88号参考資料)
- b その他
- a)大川茂範(2013).雑草研究57(別) 日本雑草学会第52回大会 発表予定
- b)Okawa Shigenori (2013). 24rd Asian-Pacific Weed Science Society Conference(第24回アジア太平洋雑草学会) 発表予定
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