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たばこを吸うと,種々の病気による死亡率が高くなります。たばこによって罹患する可能性が高くなる病気には,肺がんをはじめとする多くのがん,虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞など),脳卒中(脳梗塞,くも膜下出血など),肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD),胃・十二指腸潰瘍などがあります。
また,たばこを吸い始める年齢が若いほど,肺がんなどの病気で死亡するリスクが高くなることが明らかになっています。
たばこを吸うことによって肺がんにかかる危険性が高くなることはよく知られていますが,たばこに含まれる発がん物質によって,煙が直接触れる喉や肺だけでなく,下表のように多くのがんにかかる危険性が高まります。
喫煙年数が長いほど,1日の喫煙本数が多いほど,喫煙開始年齢が若いほど危険性が高まります。
喉頭がん | 肺がん | 胃がん | 口腔・咽頭がん | 肝臓がん | 膵臓がん | 食道がん | 膀胱がん |
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32.5倍 | 4.5倍 | 1.5倍 | 3.0倍 | 1.5倍 | 1.6倍 | 2.2倍 |
1.6倍 |
非喫煙者 | 時々喫煙 | 1本~9本 | 10本~14本 | 15本~19本 | 20本~29本 | 30本~39本 | 40~49本 | 50本以上 | |
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死亡リスク | 1.0 | 1.8 | 2.2 | 3.7 | 4.8 | 4.9 | 6.1 | 7.4 | 15.3 |
たばこは,末梢血管の収縮や血圧の上昇を引き起こします。また,たばこに含まれる一酸化炭素が酸素の運搬を阻害するため,酸素欠乏状態となり,心臓の負担が増えます。さらに,ニコチンは悪玉コレステロールを増やす働きもあるため動脈硬化が促進されます。高血圧と動脈硬化が重なることによって,虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞などの心臓病)や脳卒中(脳梗塞,脳出血,くも膜下出血など)などの重い病気で死亡する危険性が高まります。
虚血性心疾患 | くも膜下出血 |
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1.7倍 | 1.8倍 |
たばこを吸うと血流が悪化し,胃腸の粘膜に十分な血液が行き渡らなくなります。また,ニコチンが胃酸を過剰に分泌させるため,胃や十二指腸の壁が傷つき,潰瘍ができやすくなります。
胃潰瘍 |
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1.9倍 |
たばこに含まれる有害物質は,気管や肺などの呼吸器に直接触れ刺激することで,細胞を破壊し,呼吸機能を低下させたり,炎症などをおこしやすくさせます。咳や痰がたえず出る慢性気管支炎,呼吸困難や息切れなどの症状が出る肺気腫や喘息等の呼吸器疾患の原因になります。
慢性気管支炎,肺気腫は,COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気に含まれ,COPDは,主に喫煙が原因で発症します。COPD患者の90%以上は喫煙と関係があるとの報告もあります。
肺気腫など |
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2.2倍 |
気管支喘息 |
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1.8倍 |
たばこを吸うことによって,歯肉の血流が悪くなり,口の中の有害物質も増えることで,歯槽膿漏や歯肉炎などの歯周病の原因になります。また,歯肉や歯に色素を沈着させたり,不快な口臭の原因ともなります。
歯周病 |
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約2倍 |
喫煙は,メタボリックシンドロームと並んで動脈硬化性疾患(心筋梗塞,脳卒中など)の危険因子となります。喫煙とメタボリックシンドロームが重なるとリスクが相乗的に増加し,動脈硬化の危険性が増します。
血管が詰まりやすくなります。
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