みやぎ高度電子機械産業振興協議会/活動紹介/IoT実践セミナー(東北経済産業局 平成30年度「地域中核企業創出・支援事業」)
活動紹介/IoT実践セミナー
平成31年3月5日(火曜日)に、仙台合同庁舎B棟にて、「IoT実践セミナー」を開催しました。本セミナーは、東北経済産業局より受託した「平成30年度地域中核企業創出・支援事業」の一環として、東北経済産業局情報政策室と宮城県新産業振興課との共催により開催されました。昨年9月に実施した「IoT導入セミナー」に引き続き、ものづくり企業によるIoT化の先行事例や、企業のモデル化推進を目的としたIoT導入試験の成果等を紹介することにより、企業におけるIoT導入の啓蒙、推進は図ることを趣旨としています。
講演
講演1『IoT技術で金型製造の経営課題を解決』
【講師】株式会社 北日本金型工業 専任技師 室井 由紀夫 氏
【要旨】
- 金型図面を廃止し、全て3Dデータで一元化。それにより、ネットワークによる機械加工が実現でき、加工機の24時間稼働を実現。結果として、以前、発注を受けてから納品までに2~3ヶ月かかっていたものが、現在はその半分の1~1.5ヶ月になった。
- 社内にIoTの活用を定着させるために重要なことは、習慣づけさせること。社員全員にPCを配り、使わざるを得ない環境を作った。
- また、ネットワークのベースがないと物事が進まないため、システム管理者も必要。
- 生産情報を全てデータ化、分析することにより、部品ごとの利益が分かり、儲からない仕事を断ることができた。
講演2『統合生産システム導入による経営革新について』
【講師】プラスエンジニアリング株式会社 取締役 浅野 謙一郎 氏
【要旨】
- 多工程を要する難しい単品部品を全国から受注するというビジネスモデルであることから、多種多様な顧客や注文の情報を処理するために、以前はミニコンを使用していた。
- しかし、ミニコンでは処理しきれなくなり、情報処理のソフトウェアを自社開発。その開発過程できめ細やかな販売管理と生産管理の省力化、生産スケジュールの最適化にこだわった結果、AIを導入するに至った。
- AIを導入したことで、従来苦労して人の手で作っていたスケジュールがあっという間にできるようになり、利益の出る注文を後から受けた際に、先に受注していたスケジュールを全て外注に回し、その利益の出る注文をすぐに受けられるようになった。また、原価管理をしっかりすることにより利益が出るようになった。
パネルディスカッション
テーマ『IoT導入試験の成果紹介と今後の取組みについて』
【パネリスト】
- 株式会社早坂精密工業 代表取締役社長 早坂 道信 氏
- 有限会社フジヨシ 代表取締役 今間 武志 氏
- 武蔵通産株式会社 代表取締役 服部 修 氏
【ファシリテータ】
- 岩手県立大学 総合政策学部 准教授 近藤 信一 氏
【要旨】
- 生産スケジュールの効率化や生産設備稼働率の最大化のためには、設備の稼働状況のデータ取得が必須だが、人の手でデータを取ることは難しい。その点において、IoTの導入は有用である。
- 導入に当たっては、コンセプトをしっかり決めることや、導入に携わる人間が興味を持つことが必要である。
- 今後は稼働率向上の次のステップとして、予防保全やトラブル時のメール発信などができるように取組むべき。
- また、コンセプトとビジネスモデルはきわめて重要であり、そこで収益を上げるための手段・道具がIoTである。これからはIoTやAIを使いこなす能力が前提に立つ組織が生き残るだろう。
広報
『工場へ産業用IoTを導入する際のセキュリティ対策ガイドについて』
【講師】一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター 河野 一之 氏
【要旨】
- JPCERTはセキュリティ面からサポートする組織。近年、制御システムのセキュリティも重要になってきており、IoTの持続的な活動には今後セキュリティの考慮が必要。
- IoT活用ガイドは、どの様に使ったり、どのようなことに気をつければいいのか、またはリスクを理解することに関して活用してほしい。