みやぎ高度電子機械産業振興協議会/活動紹介/第1回IoT導入セミナー
活動紹介/第1回IoT導入セミナー
平成30年9月14日(金曜日)に、宮城県庁にて、第1回IoT導入セミナーを開催しました。
講演
講演1 『IoTにおける近年の動向について(中小企業におけるIoT利活用について)』
【講師】岩手県立大学准教授 近藤 信一 氏
【要旨】
- 企業単体でIoT化を進めている状況では、インダストリ3.0の延長線上にしか過ぎず、川下企業とサプライヤをリアルタイムで同期的につなぐことによって初めてデータ連携がなされ、IoTがインダストリ4.0として機能する。
- この状況の中実施した発注企業と受注企業のアンケート結果では、発注企業はデータ連携をしたいが受注企業が迷っている状況であった。IoT化が済んでいる受注企業は、経営状況が丸裸になるためデータを渡したくないが、1社依存度が高い企業では、懐に飛び込み信頼性を得るため積極的にデータを渡したい企業もあった。この状況は、チャンスであり、下請け型中小企業が、川下企業を選ぶ時代が来ているという事でもある。
- これまで日本の企業は、QCDをいかにして上げていくかというプロダクト・イノベーションやプロセス・イノベーションを頑張ってきたが、これからは、ビジネスモデル改革であったり、IoTやAIを使いこなすような能力を保有していることが、競争原理の源泉となると思う。また、今までは、QCD+信頼関係でピラミッド構造が構築されてきたが、それにデータ連携可否の条件が加わり、ピラミッド構造が再構築される可能性も出てきた。
- 過去、中小企業はオンリーワンに成りなさいと言われてきたが、これは発注企業から見るとボトルネックでしかない。データ連携し丸裸になる事によって自分の身を守るという経営もあるのではないかと考える。この状況の中で、1社依存度を再び高めていくか、逆に取引先数を再び減らしていくかという今後の経営戦略を決めるのは 経営者の判断となる。
講演2 『IoT実践導入方法と具体例紹介』
【講師】武蔵通産株式会社 代表取締役 服部 修 氏
【要旨】
- 営利を目的とする企業として、装置稼働率を上げることを目的として改善活動を行っているが結果が伴っていない。その原因は、製造データ取得やデータ分析が不十分であったり、専門員が不備であったりするためである。
- その点に対し、埼玉県の「IoT実践講座」でIoT機器を活用してみた結果、改善実績が11%になることと中小企業がIoTを実践するときの要素が見えてきた。
- 製造業としてIoT機器を導入する際には、以下の要素が重要となる。
- 目的を絞り込む。
- IoTの投資適正範囲は10%前後とする。
- 目標は、製造装置の稼働率改善とする。
- 解析結果は従来の改善手法を用いて対策を立案する。
- 改善効果の確認が大事(改善確認にもIoT機器が活躍する)
- 作業改善への応用例としては、日々の設備の稼働監視と効率改善施策の他に、1.人事考課への応用、2.基準書の見直し、3.設備投資への判断等がある。
- このほか、自社装置の紹介及び信号取得方法、ソフトウェア、自社サポートを紹介。
講演3 『埼玉県産業振興公社の事例紹介(IoT事業の進捗状況について)』
【講師】埼玉県産業振興公社 IoTコーディネータ 三神 哲夫 氏
【要旨】
- 埼玉県では、2017年に予算を組み、中小企業のIoT支援事業をスタートした。その時点では、まだまだ県内企業がIoTを理解していなかったため、啓発活動や人材育成に力を入れてきた。
- 支援事業で期待されるIoTの仕組みは、人が情報を入力するのではなく、「モノ」が人の介在なくて情報を発信すること、及び、この仕組で得られる結果と目標達成に向けての手法が定量的に明確化されることである。
- このほか、各社の事例を紹介。