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キュウリモザイク病対策としてのウイルス弱毒株(ウイルスワクチン)接種苗の利用(PDF:214KB)
バイオテクノロジー開発部 遺伝子工学チーム TEL:022-383-8131
キュウリモザイク病対策として,ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)弱毒株が農薬登録されています。しかし,キュウリモザイク病の原因ウイルスには,ZYMVのほかにもキュウリモザイクウイルス(CMV)とスイカモザイクウイルス(WMV)があり,宮城県内でもこれらによる被害がみられています。そこで,共同研究で開発中のCMV・WMV弱毒株を混合接種した苗について,ウイルス病対策としての実用性を調査しました。
CMV・WMV弱毒株を接種した苗では,葉にわずかな白斑がみられることがありますが,定植後の収量に悪影響を及ぼすような薬害はなく,CMVとWMVによるキュウリモザイク病の発生を抑制することができました(図1)。特に,CMV・WMV弱毒株接種苗と無接種苗を定植し,定植後にCMVとWMVの強毒株をそれぞれ接種して栽培試験を実施したところ,弱毒株接種苗の方が,栽培期間後半から商品果実数が多くなりました(図2)。
これらのことから,CMV・WMVによるキュウリモザイク病の被害がある場合には,CMV・WMV弱毒株接種苗を利用することで,モザイク病による収量減を抑え,期間を通して安定した商品果実生産が可能になると考えられます。
図1 CMV・WMV弱毒株接種苗(左)と無接種苗(右)を定植し,定植後にCMV・WMV強毒株を接種した場合の生育状況
図2 苗へのCMV・WMV弱毒株の接種有無における累積商品果実数の推移(平成29年5月26日定植,6月15日強毒株接種)
これらの弱毒株接種苗は農業資材として利用可能で,接種苗取扱業者(ベルグアース株式会社)に相談が必要です。また,キュウリウイルス病の原因ウイルスは複数あり,それぞれのウイルスに対応した弱毒株が必要になるため,導入する際は,圃場で発生する原因ウイルスを特定する必要があります。
なお,本研究は「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」により実施しました。
より詳しい内容は「普及に移す技術」第93号(平成30年発行)「キュウリモザイクウイルス(CMV)・スイカモザイクウイルス(WMV)によるキュウリモザイク病対策としてのCMV・WMV弱毒株接種苗の利用」をご覧ください。
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