普及に移す技術第92号/普及技術3
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普及技術(平成28年度)
分類名〔畑・特用作物〕
多収で製パン適性が優れる小麦奨励品種「東北229号」
多収で製パン適性が優れる小麦奨励品種「東北229号」(PDF:277KB)
宮城県古川農業試験場
1 取り上げた理由
本県のパン・中華めん用小麦の奨励品種である「ゆきちから」は実需者からパンの膨らみが劣ることが指摘されており,需要が伸びていない。また,栽培面では赤かび病抵抗性が弱い等の欠点もある。そのため,実需者及び生産者からは後継品種の早期導入が求められている。
「東北229号」は穂発芽性が“難”で,「ゆきちから」より多収で,赤かび病にやや強く,パン体積及び製パン官能評価が安定していることから奨励品種に指定されたので普及技術とする。
2 普及技術
- 1)来歴
「東北229号」は平成13年に東北農業研究センターにおいて早生,安定多収,耐寒雪性,耐病性,難穂発芽性,強稈,外観品質良,高製粉性,高製めん適性を有するめん用品種の育成を育種目標としてF1雑種「関東123号/東北214号//関東123号/東北209号」を母とし,「もち盛系C-3170a」を父とした人工交配から育成された系統である。
- 2)特性の概要
- a出穂期,成熟期は「ゆきちから」より1~2日早く,宮城県の早晩性は“中生”である(表1)。
- b稈長は「ゆきちから」と同程度で耐倒伏性も同程度である。穂長はやや短く,穂数は多い(表1)。
- c「ゆきちから」より多収である(表1)。
- d容積重と千粒重は「ゆきちから」と同程度で,外観品質は「ゆきちから」より優れる(表1)。
- e穂発芽性は“難”で「ゆきちから」より穂発芽しにくく,赤かび病抵抗性は“中”で「ゆきちから」よりやや強い(表1)。
- f原粒及び粉ともに灰分,蛋白含量は「ゆきちから」と同程度である(表2)。
- gエキステンソグラフの生地の力の程度と伸長抵抗が「ゆきちから」より大きく,伸長度は「ゆきちから」と同程度である(表3)。
- hパン体積及び製パン官能評価は「ゆきちから」より年次変動が小さく,安定している(図1)。
- 3)対象地域等
普及見込み地帯・普及見込み面積山間丘陵地帯を除く県下一円に400ha
3 利活用の留意点
- 1)赤かび病抵抗性は「ゆきちから」よりやや強いが,“中”程度なので「ゆきちから」と同様の防除を行う。
- 2)うどんこ病抵抗性が“中”なので,適期防除に努める。
- 3)穂発芽性は“難”であるが,刈り遅れによる品質低下を避けるため,適期収穫に努める。
(問い合わせ先:宮城県古川農業試験場水田利用部電話0229-26-5106)
4 背景となった主要な試験研究
- 1)研究課題名及び研究期間
麦類・大豆の加工適性を重視した品種選定と栽培法の確立(平成23~27年)
- 2)参考データ
表1 特性一覧
表2 製粉試験成績
表3 小麦粉生地特性
図1 パン体積と製パン官能評価合計点
- 3)発表論文等
- a関連する普及に移す技術 なし
- bその他 平成28年度東北農業研究成果情報
- 4)共同研究機関 なし
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