普及に移す技術第92号/普及技術11
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普及技術(平成28年度)
分類名〔作業技術〕
加工用トマト収穫の作業負担を軽減する収穫電動台車
加工用トマト収穫の作業負担を軽減する収穫電動台車(PDF:514KB)
宮城県農業・園芸総合研究所
1 取り上げた理由
加工用トマト栽培における全労働時間の8割は,夏場の手収穫作業であり,労働負荷が大きい。
そこで,加工用トマト収穫電動台車(OYT-01,以下「収穫電動台車」とする)を開発し,収穫作業における作業負担の軽減効果を明らかにしたので普及技術とする。
2 普及技術
- 1)開発した収穫電動台車の使用方法は以下のとおりである(図1)。
- a荷台に,集荷用のコンテナを置く。
- b収穫電動台車の荷台に腰をかけ,座りながら収穫する。
- 2)ハンドル部分に電動モーターと連動するスロットルが付いており,移動の際は,スロットルを回すことで,移動をアシストできる。ハンドルは抜き差しと回転が可能で,スロットルを操作しやすいよう,座った作業者に近づけ,座ったまま移動することもできる。
- 3)収穫電動台車に座りながら行う台車使用収穫では,使用せずにしゃがみ姿勢で行う慣行収穫に比べ,安静時に対する心拍数増加率が低く抑えられる(図1,表1)。台車の有無における収穫量にほとんど差はみられない。
- 3)台車使用収穫と慣行収穫における%MVC(Maximal Viluntary Contraction)を比較すると,台車使用時は,前頸骨筋,内側広筋,大腿直筋,腓腹筋,大腿二頭筋等の脚部や腰部の脊柱起立筋の負担が,慣行収穫時より軽減される(図2)。
- 4)台車使用収穫作業後は,脚部,腰部の自覚疲労度が慣行収穫作業後よりも低い(表2)。
図1 開発した加工用トマト収穫電動台車(OYT-01),台車使用収穫,慣行収穫の様子
3 利活用の留意点
- 1)平畝よりもかまぼこ形等の高畝の方が,座った状態で果実を収穫しやすく,収穫電動台車の使用に適している。
- 2)台車の横幅は55cmで,作業者が座ったまま移動するためには,通路幅は80cm程度必要である。
- 3)加工用トマト以外に露地野菜,施設果菜類の収穫作業等にも活用できる。
- 4)本台車は商品名「OYT-01」として株式会社アルミスから販売され,定価は178,000円(税抜)である。
(問い合わせ先:宮城県農業・園芸総合研究所情報経営部電話022-383-8114)
4 背景となった主要な試験研究
- 1)研究課題名及び研究期間
加工用トマト栽培における手収穫作業の軽労化技術の開発(平成27-28年度)
- 2)参考データ
表1 収穫方法別の心拍数増加率と作業能率の比較
表2 収穫方法別の作業後の自覚疲労部位の比較
- 3)発表論文等
- a 関連する普及に移す技術なし
- b その他平成28年度東北農業研究成果情報
- 4)共同研究機関なし
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