ここから本文です。
収用委員会が行う判断を裁決といいます。収用の裁決を求める手続きとして,土地を取得するための裁決申請と,収用しようとする土地にある物件を撤去して土地の明渡しを受けるための明渡裁決の申立ての2つがあります。
明渡裁決の申立ては,裁決申請と同時に,又は裁決申請後に行われます。
※裁決を求める以外の解決方法
裁決申請又は明渡裁決の申立てがあったときは,収用委員会は法令に違反していないかどうか審査して受理し,その写しを関係する市町村長に送り,土地所有者,関係人に通知します。
市町村長(仙台市内は区長)は,申請又は申立てがあったことを市・区役所,町役場の掲示板などに掲示(公告)し,公告の日から2週間書類を市・区役所,町役場において公開します(縦覧)。
土地所有者,関係人は,縦覧期間中に収用委員会に収用する土地の範囲やその権利関係,損失の補償などについて,意見書を提出することができます。
しかし,事業の認定に対する不服などについては記載することはできません。
また,縦覧期間経過後に意見書が提出された場合でも,収用委員会が理由があると認めるときは,受け付けます。
意見書の様式について特に規定はありませんが,少なくとも意見書を作成した日付,提出者の住所・氏名・押印を忘れないでください。
裁決申請書の2週間の縦覧期間が終わると,収用委員会は裁決手続きの開始を決定して,その旨を公告し,申請の土地を管轄する登記所に裁決手続開始の登記を申請します。
この登記があると相続人などを除いて,権利が移転したことを起業者に対し主張できなくなり,起業者及び収用委員会はこの時点での権利者を当事者として扱うこととなります。
縦覧期間後,収用委員会は起業者,土地所有者,関係人などの出席を求めて,審理を開きます。審理は,次のような事柄について出席者から意見を聴き,意見の対立する点(争点)を明らかにして,終了(結審)します。また,収用委員会が必要と認めるときは,鑑定人による鑑定,起業者,土地所有者,関係人などに意見書や資料の提出を求めるなどの調査を行うことがあります。
※代理人が審理に出席する場合は,委任状が必要になります。
裁決には,権利取得裁決と明渡裁決があります。
収用委員会では,審理で明らかになった争点について必要な調査,検討を行い裁決します。
裁決前に起業者,土地所有者,関係人などの間で合意が成立した場合は,任意契約をして裁決申請を取り下げるか,収用委員会で和解調書を作成することができます。
なお,土地の境界や物件の所有権に争いがあるなど土地所有者,関係人が分からない場合には,土地所有者不明,関係人不明という裁決(不明裁決)がなされます。この場合,補償金は供託され,問題が解決するまで補償金を受け取ることはできません。
なお,権利取得裁決があると,起業者は裁決で定められた時期までに土地所有者や関係人に補償金を支払い,土地の所有権を取得します。
なお,明渡裁決があると,起業者は裁決で定められた期限までに補償金を支払い,土地所有者や関係人は物件を移転して土地を明け渡さなければなりません。明け渡さないときは,起業者の請求によって,知事が物件を強制的に撤去(代執行)することができます。
裁決の前に,当事者全員の間に裁決すべき事項について合意が成立した場合は,収用委員会に和解調書の作成の申請をすることができます。
収用委員会は和解の内容を審査した上で,当事者全員が出席して和解調書を作成します。
和解調書が作成されると,裁決があった場合と同じ効果が生じます。
当事者は,以後和解の成立・内容については争うことができなくなります。
※代表当事者制度
土地所有者,関係人が多数である場合,その土地所有者,関係者は収用委員会の審理手続きにおいて当事者となる3人以内の代表当事者を選ぶことができます。
選んだ後は,代表当事者だけが収用委員会の審理で意見を述べることができ,その他の者は,代表当事者を通じてのみ,意見を述べることになります。収用委員会も代表当事者に対してのみ,通知などを行うことになります。
なお,収用委員会は土地所有者,関係人が著しく多数であり,審理を円滑に進めるために必要な場合は,代表当事者を選定するよう勧告することができます。
お問い合わせ先
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
重要なお知らせ
こちらのページも読まれています
同じカテゴリから探す