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イチジクの品種識別技術の開発と県内在来種の品種同定(PDF:187KB)
バイオテクノロジー開発部 遺伝子工学チーム TEL:022-383-8131
園芸栽培部 果樹チーム TEL:022-383-8134
イチジクは,県内全域で約60ha栽培され,果樹の中では植栽後比較的早期から収穫できることなどから,沿岸部を中心に新たに導入される事例も増加しています。明治~大正時代に県内に広まったと考えられるイチジクですが,「ブルンスウィック」と「ホワイトゼノア」の2品種が混同されて県内に広まり,正確な品種名は不明のまま,在来種として扱われていました。そこで,DNAマーカーによるイチジクの品種識別技術を開発するとともに,県内で栽培されている在来種の品種同定を行いました。
既報のDNAマーカー7種を用いることで,イチジク品種「カドタ」,「ホワイトマルセイユ」,「バナーネ」,「ザ・キング」,「セレスト」,「アーティナ」,「ゼブラスイート」,「ビオレソリエス」,「蓬莱柿」,「ホワイトゼノア」,「ブルンスウィック」及び「枡井ドーフィン」の12品種の識別が可能であることが明らかになりました。これらのDNAマーカーを用いて県内12カ所で栽培されている在来種の品種識別を行ったところ,全て「ブルンスウィック」と同じ遺伝子型でした(図1)。
また,形態的特徴について,「ブルンスウィック」は,「ホワイトゼノア」に比べて葉の切り込みが深く,果実は結果枝に対して直角からやや上向きに着生しているものが多い傾向がありました(図2)。県内在来種は,個体差も大きくみられたものの,概ね「ブルンスウィック」と同様の形態でした。
これらのことから,県内で栽培されている在来種は,遺伝子型及び形態的特徴から「ブルンスウィック」であることが判明しました。
図1 県内在来イチジク(一部抜粋)のDNAマーカーのバンドパターン
全てのイチジクが同じ遺伝子型であることがわかる。
図2 「ブルンスウィック」の葉の形態と果実の着生状況
本技術は,県内のイチジク生産地における品種同定に活用できます。葉の形態や果実の着生角度は,樹齢や生育段階によって変化することも考えられるため,判定が難しい際は,DNAマーカーによる詳細な解析を推奨します。
より詳しい内容は「普及に移す技術」第92号(平成29年発行)「宮城県で栽培されているイチジク在来種の品種識別技術」をご覧ください。
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