宮城県レッドリストの公表について
「宮城県の希少な野生動植物-宮城県レッドリスト2024年版-」の公表について
1レッドリスト作成の経緯・目的
- レッドデータブックやレッドリストを作成することは、本県の自然環境を象徴する貴重な存在である野生動植物の現状を十分に把握し、緊急に保護することが必要な野生動植物種を明らかにして、野生動植物の保護・保全に資するため、ひいては「生物多様性の保全」のための基礎的資料として活用することを目的とするものです。
- 平成3年に環境庁(当時)は、「日本の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータブック-(脊椎動物編・無脊椎動物編)」を発刊しました。この資料は現在の日本国内での希少野生生物保護に資する基礎的な資料として,全国的に多くの場で活用され、また、「レッドデータブック」という名を広めた先駆的役割を果たしました。さらに、平成3年以降、随時掲載種の見直しが行われ、レッドリスト(レッドデータブック掲載種名をリストにまとめたもの)として公表されてきました。
2宮城県レッドリストについて
- 県では、平成8年度から平成12年度の5か年に「希少野生動植物保護対策事業」として県内に生息する動植物の分布状況を調査し、絶滅のおそれのある動植物をまとめた「宮城県の希少な野生動植物-宮城県レッドデータブック-」(以下、「県レッドデータブック2001」という。)を平成14年3月に刊行しました。
- また、平成19年度から県レッドデータブック掲載種の見直し作業を進めてきましたが、東日本大震災が発生して沿岸部を中心に自然環境が大きく変化したため、沿岸部を含めた震災直後の緊急調査結果を反映させた「宮城県の絶滅のおそれのある野生動植物 RED DATA BOOK 2016」(以下、「県レッドデータブック2016」という。)を平成28年3月に刊行しました。
- しかし、希少野生動植物の状況はその後も日々変化しており、東日本大震災以降は特に著しいものがあり、引き続き、県レッドデータブック掲載種の見直し作業を進めており、昨年度より調査結果を踏まえて、レッドリストを改訂し、今年度は「宮城県の希少な野生動植物-宮城県レッドリスト2024年版」(以下,「県レッドリスト2024」という。)として取りまとめました。
- レッドリストへの掲載は、捕獲規制等の直接的な法的効果を伴うものではありませんが、広く情報を提供することにより、様々な場面で多様な活用が図られることが期待されます。
- 植物では、(1)植物(維管束植物・蘚苔類)、(2)植物群落。動物では、(3)哺乳類、(4)鳥類、(5)両生類、(6)爬虫類、(7)汽水・淡水魚類、(8)昆虫類、(9)海岸地域の無脊椎動物類、(10)淡水産貝類の計10分類群について調査・分析を行っています。
3宮城県野生動植物調査会の活動状況について
県内の希少な動植物と植物群落、干潟について調査・分析を学識経験者等で組織された「宮城県野生動植物調査会」に委託しているところですが、令和5年度の活動状況を紹介します。(作成中)
令和5年度宮城県野生動植物調査の活動状況
5今回の見直しについて
- 県レッドリスト2024では、哺乳類、鳥類、爬虫類、汽水・淡水魚類、昆虫類、海岸地域の無脊椎動物類、淡水貝類、植物群落の8分類において見直すこととしました。なお、その他の分類群についても見直しを行っておりますが、今回、変更点はありませんでした。
- 見直しの主な理由としては、生息状況調査による新規追加11種、削除3種、カテゴリー変更が9種、和名・学名の変更4種となっています。
6県レッドリスト2024新旧対照表
<新旧対照表(レッドリスト2023からの変更点)>
7県レッドリスト2024掲載種(各分類群ごとのレッドリスト)
8今後の対応
- 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保全は重要な施策であり、生物多様性条約COP10(平成22年10月)で採択された愛知目標においても、その1つに「2020年までに既知の絶滅危惧種の絶滅及び減少が防止され,また特に減少している種に対する保全状況の維持や改善が達成される」ことが位置づけられていたことから、当該目標の着実な達成に向けて保全の取組を体系的・計画的に進めていました。
- 県では、継続的なレッドリストの見直しを進め、広く普及を図っていくことで、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保全への県民の理解を深めるとともに、関係機関等に配布することにより各種計画における配慮等を一層促す予定です。
- また、今後も震災後の希少野生動植物の状況把握に努めるとともに、必要な保護対策について検討する考えです。