トップページ > 県政・地域情報 > 情報公開・情報保護 > 個人情報保護 > 第69回宮城県個人情報保護審査会会議録

掲載日:2012年9月10日

ここから本文です。

第69回宮城県個人情報保護審査会会議録

第69回個人情報保護審査会会議録(公開で審議を行った部分)

  1. 日時:平成15年10月29日(水曜日)午前9時30分から正午まで
  2. 場所:宮城県行政庁舎11階 第二会議室
  3. 出席委員:馬場会長,成瀬委員,阿部委員,村松委員,井坂委員
  4. 議題:個人情報保護条例の一部改正について

第69回個人情報保護審査会会議録の表

発言者 内容

馬場会長

それでは本日の審議に入りたいと思います。本日の審議の日程でございますけれども,まず,県警本部の方から,また,一定の事項につきまして説明があるということですので,それを伺いたいと思います。その後,特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウスというところから意見書が届いていますので,その内容を確認して,建議案の最終調整に入るという流れでございます。県警本部からの説明ですけれども,前回は,公安情報等についての具体的な説明を非公開で受けたわけですけれども,今回,建議案を最終結論に導くということで,さらにオンライン結合で取り扱う個人情報について説明していただくということになっております。

ただ,これは前回同様,実質秘の説明を含みますので,非公開とさせていただきたいと思っているんですが,これは一定の要件がございますので,委員の皆さんの賛同を得なければいけないんですが,手続上,条例上はどうなっているのか,事務局から説明していただきたいんですが。

事務局

では,申し上げます。個人情報保護条例第39条に基づき定めます,宮城県個人情報保護審査会運営要領第9条ただし書きの規定によりまして,条例第32条第2項の建議事項については公開するが,審査会が特に必要と認めるときはこの限りでない旨を定めています。議決の方法でございますけれども,情報公開条例第19条第1号によりまして,構成員の3分の2以上の多数で決定したときは,非公開の会議を開催することができると規定されております。ちなみに,構成員が5人ということですので,3分の2以上となりますと4人ということになります。よろしくお願いいたします。

馬場会長

それでは,県警からのオンライン結合についての説明を受けたいと思いますけれども,この中には秘密にせざるを得ない事項を含んでおりますので,非公開としたいと思います。それで,委員の賛同を得たいと思いますが,皆さんいかがでしょうか。

【委員全員の賛成により,警察本部からの意見聴取を非公開で行うことと決定】

馬場会長

非公開としたいと思いますので,傍聴人の方は,暫時,退席願います。

【傍聴者退席】

【警察本部から非公開で意見聴取を行った。】

 

【休憩】

【傍聴人入室】

馬場会長

それでは審議会を再開したいと思います。今,県警の方から説明を受けたわけですけれども,それを踏まえて審議に入って行きたいと思います。

その前にですね,NPO法人情報公開クリアリングハウスというところから意見書が来ているということですので,あまり時間はないんですが,事務局の方から簡単に説明をいただきたいと思います。その後で審議に入らせていただきます。

事務局

では簡単に説明させていただきます。資料31ということで,NPO法人情報公開クリアリングハウスから意見書が届いておりますので,それを添付してございます。クリアリングハウスは情報公開制度等をサポートしている団体でございまして,非常にこういう問題に対して前向きな意見書を送って来ていただいているという状況でございます。今回の審査会の条例改正の検討に関しても,今週の月曜日に意見書が届きましたので,内容について御覧いただくために資料を添付してございます。本日は詳細な説明は省略しますが,全部で12項目について意見がございます。前向きな意見でございますので,これを受け止めて,これからの条例改正というふうなことで考えてございます。これまでの県民の意見とか,今回のクリアリングハウスの意見を参考としながら,建議案の最終調整をお願いしたいと思っております。以上でございます。

馬場会長

はい,ありがとうございました。非常に貴重な意見が寄せられておりますので,これらを併せて参考にさせていただきながら,今日,最終回になりますので,各委員の御協力をいただきながら進めたいと考えております。

今日,検討しなければいけないこと,最終的には確定していかなければならないんですけれども,大きく言いますと,今ほど県警の説明を受けましてですね,多少,例えば登録の除外規定ですとか,収集,利用・提供ですね,こういったところの例外規定,これの規定ぶりを少し再検討する必要があるのでないかという部分,これが一つと。それから,若干,前回までの審議で多少漏れている,時期的なものですとか,それから14条の非開示理由の改正のところですけれども,今回,公安委員会,それから警察本部が実施機関に入るということで,非開示規定の例外規定の規定ぶりを検討しなければならない。それから,罰則のところがあります。それからですね,この間いろいろと議論してきまして,附帯意見としてこの点は述べておきたいとか,ないしは留意事項として入れておくべきであるとか,そういった点の確認をいたしまして,今日の審議を時間内に終わりたいというふうに思っております。

まず一番最初に,県警が実施機関に入ることによる例外規定,除外規定の規定の仕方について再検討をした方がいいという状況があるものですから,この点について議論をして行きたいと思います。これは事務局の方からそういった観点から規定ぶりを多少変えたというところを,簡単に説明していただきたいんですが。

事務局

前回の建議案の段階では,1ページの個人情報取扱事務登録簿の閲覧という部分の県議案のところだったんですけれども,それの(2)になりますが,「登録簿の作成及び閲覧等の規定によることが,当該事務の性質上,当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」というふうな文言を付けておりましたが,司法警察分野ということで前段に限定するという観点からですね,二重に限定する必要性も特段認められるところはないのかなというふうな観点から,今回の案につきましては,後ろを削除した形とさせていただいております。収集につきましても同様の考え方でございます。

馬場会長

はい,ありがとうございました。それでは前回までの要件では,この除外規定のところで犯罪の予防,鎮圧,捜査等につきまして,登録簿の例で言いますと,「登録簿の作成及び閲覧等の規定によることが,当該事務の性質上,当該事務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」ということで,さらに絞りを入れた規定ぶりになっているんですけれども,ここのところは特に犯罪の予防,捜査とか,緊急を要する事態においてですね,その場において,現場で判断するというのは難しいところもあるし,また,現場でのそういった場面に遭遇したときにですね,犯罪の予防,鎮圧,捜査等の要件の上に,さらに絞りをかけた要件が必要な場面が存在するかどうかという意味では,あまりないのではないかというようなこともありましたので,その点をどう考えるかということを議論していただきたいと思います。御意見はいかがでしょうか。

井坂委員

確かに犯罪の予防その他の一定の事務に関しまして,前の案の中にもありました形,特に支障があるといったようなものを付け加えるということの必要性というものに関しては,かなりないということは,支障を及ぼすおそれがあると認められるということを付けることは必要はないということは確かに言えるようにも思われます。ただ,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に関する個人情報というわけでありまして,「その他の」ということで確かに限定的であり,犯罪の予防以降,刑の執行までのところに準ずるようなものというふうに解釈できるという点では問題がないのかも知れませんが,場合によってはここに関して疑義が生じるおそれがあると。拡大調査的に個人情報取扱事務の登録及び収集に関してですね,より広いものがこの条文によって収集制限,登録義務等から外れてしまうというおそれがあるということを,一応,私は懸念しています。その点で,私としては,この後ろのものが付いている以上は,警察当局の主張にも関わらず,支障を及ぼすおそれがあるということを付け加えていても,それほど巨大な弊害があるとは思えないのですけれども,しかし,仮に取るということであるならば,何らかの形で「その他の公共の安全と秩序の維持に関する」という部分につき,限定的な解釈を可能とするように,後ろの別表的なものを付けるなり何なりの方法でですね,これをあらかじめ制限しておくような措置を取って置くことが必要ではないかというふうに考えているということであります。

馬場会長

はい,ありがとうございました。ほかの委員はいかがでしょうか。今,井坂委員の方からですね,事務の種類について,別表等を付けておくということで御意見があったんですが,その別表の検討となると,かなり時間を要するような気がするものですから,建議案の留意事項の中に,あくまでも拡大されて行かない必要があると,原則的に限定しておく必要があるんだという留意事項を書いてですね,できれば,将来的にそういった事務についての整理の作業もするということ書いておくということくらいではいかがでしょうね。

井坂委員

それでも構いませんが,その際にもある程度,建議案のところにこういうものを念頭に置いているということを,今の段階でもすでにある程度,情報として6つのものをいただいておりますが,それを列挙するくらいのことは別表形式を作るということは,困難ではあるとしても可能なのではないかと考えております。

馬場会長

それでは,そういった例示を入れてですね,6項目くらいなので,表にまとめなくても項目的には類似事項の中に簡単に入れられますので,そういう形で整理をさせていただきたいと思います。それでよろしいですか。

(委員,了承)

では,そのように取り扱わせていただきます。

同様にですね,収集制限についても同じ規定ぶりに変更するかどうかの検討が必要なわけですけれども,これも同じ考え方でよろしいですか。

(委員,了承)

では,これもそのようにして行きたいと思います。

次は,利用及び提供の制限の規定ぶりも少しは案とは変えてありますが,ここで変わっている部分はどこになりますか。事務局にちょっと説明をお願いします。

事務局

こちらにつきましては,前回の建議案と変わりましたのは,6号の「若しくは地方独立行政法人」というものを追加しております。これは建議案の一番最後になりますが,独立行政法人等の取扱いの関連で,地方独立行政法人法が成立したことによって,平成16年4月,早ければ来年度から地方独立行政法人が成立するのではないかという関係もございまして,独立行政法人等を国と同列で取り扱うということを確認させていただいておりましたけれども,地方独立行政法人についても,基本的な構成としては地方公共団体に倣うということになりますので,独立行政法人と併せて,地方独立行政法人に関しても,地方公共団体と同列に取り扱うという観点から,こちらの方に整理させていただいているわけでございます。

こちらの7号につきましての県警の部分については,県警の意見書の方から「認められる」という部分の削除の意見等もございましたけれども,特段,こちらについては訂正はしておりません。以上でございます。

馬場会長

はい,分かりました。そうすると,例外規定のところについては前と同じだということでよろしいですね。

事務局

はい。

馬場会長

それでは前と同じということですので,これは前と同じということで,すでに前のものについては了解されているわけですけれども,前と同じということでよろしいですね。

井坂委員

すみません,一点だけ情報提供をしてください。地方独立行政法人として,今後,どういうものが出てきそうなんですか。ちょっと,全然イメージができないものですから。

事務局

本県では表立った動きはもちろんないんですけれども,検討対象になるのはやはり宮城大学になろうかと思われます。そのほかにあるかどうかは分かりませんけれども。ここに規定したのは,他県の地方独立行政法人ができた場合,やはり提供する場合が考えられますので,そういった場合のことを考えて規定したということでございます。

井坂委員

他県について,何か具体的な情報というのはあるんでしょうか。宮城大学かなというのは,私も本県については分かるんですが,ほかのところでは何か動きがあるんでしょうか。

事務局

現在のところはございません。

馬場会長

よろしいですか。

井坂委員

はい。

馬場会長

それでは,今の点につきましては,この程度にさせていただきたいと思います。

次の検討項目といたしましては,現行条例の10条の改正のところになるんですが,これはいわゆる審議会の意見を聴いた後でオンライン結合できるというふうな規定を変更して,意見を聴かなくていい場合としてですね,法令に定めのある場合とか,例外規定を設けてきたわけですけれども,オンライン結合の部分につきましては,従前ですね,犯罪の予防等のいわゆる司法警察情報についてオンライン結合をする場合はいいということで例外規定を設けたんですが,先ほどの県警の御意見を踏まえた上でですね,この事務局の方から今回出されている案というのは,「実施機関が保有する個人情報をオンライン結合によって警察庁に提供しなければ,提供する個人情報の性質上,当該個人情報を取り扱う事務の目的を達成することが困難になる場合は適用しない」というふうに規定してはどうかという案になっているんですね。この点について,御意見をいただいて,どうするか決めて行きたいと思いますが,この点はいかがでしょうか。

成瀬委員

この建議案の11ページのところでは,「オンライン結合により警察庁に提供しなければ…」となっているんですが,警察庁に限定して,他の都道府県警察は含まれないんですか。

事務局

警察庁への提供がメインになりますので,警察庁を念頭に置いていたんですけれども,各都道府県警察も入れる必要性も出てくるかもしれませんが,今回は入れていませんでした。

成瀬委員

事実はどうなんですかね。例えば,北海道警が警察庁に一回照会して,宮城県警も上げているからそういう情報を取れるというシステムになっているのか,それとも道警から直接県警に問い合わせがあるのかとか,そのあたりの実態が分からないんですが。

事務局

基本的には各都道府県から警察庁に照会するという形になろうかと思います。都道府県警察間同士というものは想定されてはいないようです。

成瀬委員

確かならいいですけどね。

馬場会長

よろしいですか。

成瀬委員

はい。

馬場会長

ほかの委員はいかがでしょうか。

井坂委員

私はその点に関して,現在のシステムが警察庁をメインにして,その後にタコ足的に出ているというというふうに理解しておりますので,その点はよろしいと思いますし,下手に他の都道府県警察と直接やり取りができるということは,仮に必要があれば,警察の方から条例の改正案ということで言っていただくということで,現状ということを前提にした規定ぶりはこれでよろしいように感じているということです。

馬場会長

ほかの委員はいかがですか。

ちょっと,私の意見を述べさせていただきたいんですが,先ほど県警の方から説明を受けましたところ,結局,最終的な目的としては,現に行われている犯罪が行われ,ないしは犯罪が行われたのではないかという疑いがあるときに,捜査の目的上,必要な情報を取るために必要であるという,そこに尽きるのではないかという気がしたんですけれどもね。あえて,現在のような規定にしなくても,従前の犯罪の予防,鎮圧云々という規定で十分対応できることなのではないかなという気がしています。むしろ,この新しい規定にすることには,ある種の危険を感じざるを得ないんですね。といいますのは,現状で警察庁にどういった情報が繋がれているかというのは,例としては先ほどお聴きして,なるほど,そういうやつかというのは分かったんですけれども,全ては必ずしも分かっていないというのが一つあるんですけれども,この規定の仕方では,新たに一定の情報の種類,そういったものを提供しようとするときには,当該個人情報を取り扱う事務の目的を達成することが困難になるときは適用しないということで,これは警察の方の第一次的な判断になるということで,素通りしていくというおそれがあるのではないかと。新しいオンライン結合をする場合,そういうことで考えますと,ちょっとこの規定を置いてしまうのは少し慎重にならないといけないのではないかという気がしているんですけれども。先ほどの話ですと,司法警察情報には現状ではなっていない,まだ,いわゆる行政警察的な情報の分野に入る部分がございますよね。それが将来的にはいつ司法警察情報に転化するか分からないという問題があって,しかも,そういったものはすでにオンライン結合されている部分があるということですから,この規定を置かないと,そういった部分はどうなるんだという問題が発生するわけですけれども,これ自体は,現在の個人情報保護条例の中に,公安委員会と県警が実施機関として入っていなかったということがあって,それが新しく入ることによって発生する問題なわけですね。であるとすれば,何らかの経過措置を規定してですね,その点の整合はとっていく必要はあるんだろうとは思うんですけれども,審査会の意見を聴かなくてもいい形にしてしまうのは,どうかなという気がしまして,私としては,現在オンライン結合されているものの一覧表を早急に作っていただきまして,いずれ条例がどういった規定になるか分かりませんけれども,このようになってしまえば問題はないんですけれども,これを取らないという場合にも,1年以内に整理をして,審議会の意見を聴くというような形にしてですね,例外規定の設け方としては従前の規定の仕方でいいのではないかなと考えているわけなんですけれども,ほかの委員はいかがでしょうか。

条例の施行とともに,直ちに審査会の意見を聴いていなければオンライン結合ができないということによって,現状との齟齬が発生してしまうわけですよね。ですから,そこの齟齬が生じないようにしておけばいいのではないかなと。むしろ,審査会の意見を聴かなくてもいいという例外を,将来に向けてもこの規定は使われるわけですから,それを現状を混乱させないためにこういった規定を置くことによって,将来のチェックができなくなるというのは変だなと私自身は思うんですけれども。

この論点については,急に出てきた論点なんですね。それで,皆さん十分お考えになる時間がないところで,急に聞かれてもなかなか答えづらいというところがあるんですが。

阿部委員

なかなか難しいなというふうに感じました。先ほど警察の方からいろいろと教えていただきました。そのとき感じたのは,やはりグレー部分というのがかなり存在するんじゃないかなというふうに感じました。そのとき,確かに,今,会長がおっしゃったように,意見を聴くというのが一つあるんですけれども,グレー部分がどのくらいあるのかなということになりますと,グレー部分に全部審査会で対応しているということになると,ちょっとこれもまた難しくなるかなという気がします。先ほど井坂委員がおっしゃったように,ある程度のラインといいますか,例示といいますか,そういったものを出していただいた方が,今後の運用をするときにやりやすいのではないかなと考えます。審査会の意見を聴くというのは残しておいた方がいいと思うんです。ただし,その内容そのものですね,これがかなり広いというふうに考えますと,ある程度の規定ですね,例示しておいた方がいいのではないかなと考えます。

馬場会長

少なくとも,司法警察情報につきましては,従前どおりの規定でも,これは例外規定でも意見を聴く必要がないということになるものですから,かなりの部分はそこで賄えるだろうと思うんですね。ですから,それから外れてくる部分ですけれども,我々が出すのはあくまでも建議案ですけれども,県の議会で条例を作ったときに,ただちにそこの部分,審査会の意見を聴いた上で条例化しようということではなく,それは不可能だし,非常に混乱をもたらすことは分かりますのでね。この施行後1年とか,いわゆる警察の取扱事務の整理期間として1年くらいのうちにやるということがございますね。そういったこととも併せて整理をしてもらって,そのときに審査会の意見を求めるという形で一応チェックを通ってくれという形にしておくのがいいんじゃないかなと思うんですけれども。そうすれば,今,実際に行われているものについても,審査会の意見を聴いていないんだからストップしろということにはならないわけですよ。とりあえず,それはやっておいてもらって,ただ,実際はどうなんだろうということは,この審査会の目を通させてくれということで,それはもちろん,十分納得のいく説明がされれば,審査会がそういった情報をオンライン結合するなという話にはならないんで,なるほど,そういうことであればということですね。しかも,これは警察に限らず,他の部分でオンライン結合されているものは,この間,審査会の包括的な同意なりを取ってきた分野もありますよね。それ自体はそんなに難しいことでもないし,可能なことですので,それでいいのではないかなという気がしているんですけれども。つまり,新しい事務がどんどん発生してくるときに,この条文,もちろん,濫用ということは考えられないでしょうけれども,しかし,やはり規定がそういうことになっているということは,審査会の意見を聴く必要がないことを意味するわけですから,そこはやはり,司法警察情報であれば,意見を聴かないで,どんどんオンライン結合できるわけですから,審査会の意見を聴いてもらうということを原則的に貫いておく必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども。反対意見があれば,お願いします。

事務局

すみません。一応,例示として警察白書の方に載っておりますのは,被疑者の写真ですとか,犯罪手口原紙等の画像情報ですとか,指紋照合,あと運転免許データ,そういったものが警察白書には載っております。これらは警察庁のコンピュータで管理しておりまして,都道府県警察から検索できるようにしているということでございます。

馬場会長

例えば,運転免許証の取得状況ですとか,こういったものがオンライン結合される必要性は,当然そうだろうなと思うわけですから,その段階で目を通させていただいても…。その前に止めてしまえというなら別ですよ,そんなことを言うわけはないですから。敢えて司法警察情報の場合は,審査会の意見を聞かなくてもいいですよという規定を残しておけば,少なくとも緊急のものには対応できますよね,これで。

井坂委員

会長の考えておられるところは分かったんですけれども,私はそういうことであれば,無論,特に会長の御意見に反対するわけではないんですが,私が懸念するのは,そうした場合につきまして,他の条文と同じく,その他の公共安全情報に関する情報につきましては,包括的にオンライン結合を認めるというときに,今後警察が事務をいろいろと拡張してくるときに,これは公共の安全秩序に関する情報だというのを水ぶくれさせて,こっちに押し込んでくる。それで審議会の意見はできるだけ聴かないようにするというような運用が行われるおそれというものを若干は懸念いたします。その点について,認めないという前提とした上で,経過措置,例えば,運転免許,家出人等の情報に関しましては,恐らくこの包括的な除外規定には該当しないと思われますので,何らかの方法で審査会の意見を聴いたという段階でするということで処理をすることで問題はないということであるならば,旧来のあの規定を,恐らく,若干いじらなくてはいけないと思いますが,元のやつですと,他の自治体に提供するなどといった規定も有しておりますので,そこのところの調整をした上で,そういうふうにすると。元のいわゆる司法警察分野の情報のみに適用しないという情報を置くというやり方も一つあると考えられるところではあると思いますし,その方が,無論,オンライン結合の濫用を防ぐことになるということであるならば,それは条例自体の目的に合致することではないかと思います。

馬場会長

ほかの委員はいかがですか。

成瀬委員

これ,そもそも司法警察分野と行政警察分野に分けにくいんですね。だから,それ以外の分野を範疇化できれば,審査会にこういうものがありますよということで出せると思うんですけれども,範疇化できないような新しい分野ができた場合とか,既存の事務でも範疇化できない場合は,審査会にどういう形で包括的な意見伺いを出すのか,そこの技術的な問題が一つあるのかなという気はするんですね。これはもちろん,その一つ前の9条の利用・提供制限の一般原則はもちろん適用があるわけですよね。オンラインだからという,私は10条の存在自体が疑問で,これはいまさら言っても仕方がないんですが,何でオンライン結合だけ限定しているのかというところがそもそも理解しかねるところがありますので,セキュリティ対策をちゃんとやっておけばそれで構わないし,これだけ高度情報通信社会,情報化ということを言っておきながら,ここだけ限定するというのは,むしろ,事務の効率化を図る上では構わないのではないかなという気もしないわけではないので,むしろ,利用・提供の一般規定の方で特別の理由があると認められるか,そこを厳格にやっておけば,オンライン結合のところを絞る必要はあまりないのかなという気がしないでもないんですけれども。そもそもオンライン結合について,バーを高くすることについての疑問ということですので,ちょっと論点がずれるのかもしれないんですけれども。

これ,審査会の意見を聴くということは,こういう業務が今あります,こういった業務をオンラインで提供していますということで,こういう形で出して,一括して承認するわけですよね。それができるのであれば,もちろん,会長のおっしゃることは可能だと思うんですけれども。

馬場会長

それはそれで,確かに意見が出された中からも,また別な問題が発生する可能性があるのかなという気はしますけれども。

村松委員

オンライン結合にしてしまうと,ずっとその情報については私たちが知らないところで警察と警察庁がやり取りをしてしまうと。そこの垂れ流しというか,そういうものを止めてくれと言えないところが問題になってくるわけですよね。その都度じゃなくての問題点ということですよね。捜査とか司法警察分野だと一つの情報の共有なんだけれども,オンラインだと,ある情報については一つ登録してしまうとダーッと垂れ流されてしまうというところをどういうふうにチェックしていくかという問題ですよね。

馬場会長

恐らく現在,警察はある意味では,ほぼ必要な情報の範疇というものは確立していて,全く新しいものが次から次へと出てくるというふうに考えられないといえば考えられないんで,現在あるものだけ押さえておけばいいということなのかもしれないということなんですけれどもね。でも,現在あるものだけということでも我々は分からない。何となく先ほどの例で分かりましたけれども,そのほかにもあるということですね。

成瀬委員

9条で同一実施機関内で利用する場合でも,事務に必要な限度で使用できないし,また,使用することに相当の理由がなければならないんですよね。そこの縛りは掛かっているので,情報提供の方法としてオンラインを用いるということがなぜこんなに問題視されているのかということが,私,そもそも疑問なんですね。その提供すること自体は合理的だと。だから,紙媒体とか,CD-ROMに焼いて,それを手で渡す場合はいいんだけれども,電話回線等のオンラインでの結合だとこういった要件を課しているということが疑問といえば疑問なんですけれどもね。

井坂委員

恐らくですね,セキュリティ等をちゃんとやっているかどうかのチェックは,確かにやらなければならないという義務規定は存在するにしろ,そのチェックをするには情報を獲得し,こちらの方で審査をするということが必要であると。そのことのためにオンライン結合に関してこれだけの規定をしているというふうに私は理解しておるんですけれども。恐らく,それが必要ないということには成瀬先生もならないと思います。知らなければ我々としては,おそらく多くの他の審査会等での事例もそうですけれども,ちゃんとセキュリティ対策をやってくださいね,その条件下で承認いたしますという意見をこちらとしては述べると。非常に些細なケースでも。そういうやり方になると思います。それが屁のツッパリにもならないというような意見になると,最終的に私と成瀬先生は対立してしまうんでしょうけれども,若干それなりに情報を獲得する,いきさつをとるということに意味があるとすれば,オンライン結合に関して,こちらの審査会の意見を得てもらった上でやってもらうと。それ以外の場合はダメだというふうに割と限定するということ自体は必要だろうと。そのことを前提とした上で外すのはその程度のところかということだと思うんですね。

成瀬委員

例えば,家出人情報を照会する場合,オンラインだったらここに掛かってくる,でも,電話で何とかいう人間でこういう人相のやつがここいるんだけれども,それは本当に家出人情報で入っていますかと電話で問い合わせれば,情報提供のチェックは入らないわけですよね。何で家出人情報とか免許の情報などの行政警察分野の情報について,オンラインで情報提供,照会して回答する場合にはチェックが入るのに,紙媒体とかフロッピーで渡す場合には,それをしなくていいのかという合理性が分からないんですけどね。

馬場会長

オンライン結合についてのチェックは,やはり情報が大量に流れるという性格があるので,そこをチェックする必要があるということだと思いますけれども,そういうふうに考えれば,先ほどの説明でも警察のオンライン結合というものはかなり閉鎖的なものであるということの説明はありましたので,もちろん,それは我々自身がきちっと見たわけではありませんけれども,そういう観点から考えていけば,とりあえず,こういった形の警察情報に提供する場合について,こういった形で規定しておいても特段,何の不都合もないんじゃないのという御意見も当然あり得るだろうという性質だろうなと思いますけれどもね。

成瀬委員

私,こだわりませんけど,例えば,新しく,今挙がっていないような分野が出てきた場合に,審査会が月1回程度しか開かれませんから,その間は提供できない,オンラインでは提供できない。じゃあどうするかというと,恐らく,フロッピーで郵送するんだろうと思うんですね。電話で問い合わせるとか,そういう形しかないですよね。でもその場合,オンラインでやった方が危険なのかなという,郵送で送る方が危険なんじゃないかなという気がしないではないですれどもね。仮に郵送が安全だとしても,その分の時間的なロスというのは無意味なロスじゃないかなという気がするんですけれどもね。そうでもないんですかね。

井坂委員

情報提供について私に言わせると,フロッピーで渡すもの,先生がおっしゃったようにやり方自体もチェックしなければならないんですよ。ですから,それは脱法的にできるではないかという,だからこっちはいらないんだということにはならないと。

成瀬委員

できるわけでしょ。既存の条文の規定ぶりでもそういう形態での情報提供を禁じられないわけですよね。むしろ許容しているんでしょ,それは。そういう形態での情報提供はできるんですよね,必要があれば。現行の9条を用いて,オンラインではなく紙媒体で事務に必要な限度で使用し,使用することに相当の理由があるときは別に審査会のチェックを入れなくても提供できるんですよね。

事務局

9条の例外規定に該当すればですね。

成瀬委員

9条の場合はできて,さらにもう一つバーを高くしているんですよね。脱法行為ではなくて,すでに許容されている提供行為の態様に応じてさらにバーが上がっているわけで,そこの合理性をうまく説明できるのか,そもそもできにくいので,警察情報のようにネットワークがある程度閉鎖的になっていて,セキュリティがある程度確立されているのであれば,比較的緩やかに情報提供してもいいんじゃないかという気がするんですけれどね。情報の提供自体について9条にかぶせているわけですよね。情報の提供方法について10条で網をかけているわけで,私はセキュリティは警察を信用して安全だというのであれば構わないんじゃないか,なるべく情報の流通は盛んに円滑にやった方が,事務の円滑化というところからいいんじゃないかという気がするんですけれどもね。セキュリティを信用していないと言うならば,話は別ですけれども。

馬場会長

セキュリティを信用するかしないかという問題もあると思うんですが,そもそもオンライン結合でどういう情報が提供されているかということを知っておく必要があると。

成瀬委員

でも,オンラインの場合以外であれば,提供されている情報がどんなものか分からないという可能性があるんじゃないですか。

馬場会長

それはありますけれども,オンラインで結合しているということは,それだけ大量に情報が流れて,セキュリティがあるとは言っても,一定の条件の下に大量に流通するという可能性がありますよね。そういった可能性の場におかれている情報というのは,どういうものなんでしょうということを事前に我々が知っておく必要があると。そういう意味では,10条のある意味というのはあるんだろうと思うんですけれども。

成瀬委員

私のオンライン結合の認識の相違だと思うんですけれども,あまり危険が高まるとは思っていませんので,そのスタンスが違うんですね。こだわりませんので。

井坂委員

成瀬先生がある程度指摘する利便性ということ否定するものではありませんが,むしろ,会長のおっしゃるどの情報が流通しているのかということのチェックということが必要であるし,むしろ,事務上の弊害,1ヶ月に1回しか開かれませんけれども,これにかけない間は何もできないのかという問題に関しては,そのような時間的コストに関しては,さほど考慮してあげる必要はないものいうふうに考えます。そんなに緊急に必要ならば,我々は臨時に集まることができないという制度ではないはずですので,そのときは言っていただければやるということを前提とした上で,こちらの意見を聴いた上でやるというふうにした方がよいと基本的には考えます。

村松委員

馬場会長がおっしゃった,犯罪情報とかそういう問題ではない,普通の緊急性がないような情報をどういうふうにチェックするというふうに考えていただいた方がいいのかなということですので。

成瀬委員

私はこだわりませんので。私はオンライン結合を特別視すること自体が少し腑に落ちないというか,納得できないんですけどね。でも,皆さんがそうおっしゃるのであれば,オンラインに関する世論の関心は高いですからね。

馬場会長

それでは,ここのところは従前の規定ぶりということで,そのままにしていただいて,あとは経過規定で取扱事務の整理期間がありますよね。そのときに併せて審査会の意見を一括して聴いてもらうという留意事項ということで整理したいと思います。それでよろしいですね。

(委員,了承)

では,そのように確認させていただきます。

事務局

従前のというのは,現行条例ですか。

馬場会長

現行条例ではなく,前回のものです。現行条例にはないですよね。

井坂委員

一応,従前のところと,「警察庁に」という,今回出されたものとの調整は図っていただく必要があると思います。前回のものだと他都道府県にも出せるということですが,警察の現状がそうなっていない以上は,無論,それは止めていただきたいと。

馬場会長

大変な論点が発生してしまったので時間がなくなってしまったんですが,細かいところを飛ばしまして,是非やらなくてはいけないところをやります。

現行条例第14条の非開示理由の例外規定ですけれども,公安委員会,県警本部を入れることによって,司法警察情報について非開示とするという部分の判断権ですね,第一次判断権を警察に与えるのか,従前の規定での司法警察情報については非開示にすることができるという,従前の規定でいいますと,14条第4項6号がありましてですね,支障が生ずるおそれがあるときという,実体的な判断を,最終的には裁判所ということになりますが,そこが判断することができる規定になっているんですね。ここについて留保してきておりましたので,ここについての御意見を求めて行きたいと思います。これについてはいかがでしょうか。

いわゆる公共の安全及び秩序の維持に支障を生ずるおそれがあるときという規定の仕方をしていた場合と,おそれがあるとする実施機関が判断したことが相当であるときと,そういった規定ぶりにしていた場合,具体的に裁判になった場合の立証活動上の違いがどういうふうに発生するんだろうということと,それと,最終的には真否不明というふうになったときにですね,どういった結論になるんだろうというところをある程度考えてみてですね,その結論を導くということになるのかなというふうに思うんですけれども。具体的にどういった形で問題になるのかということが想定されないと,なかなか議論がしづらいという部分があるんですけれども,実施機関が一応,一定の個人情報の開示請求があったときにですね,これこれの理由で開示できないというふうに非開示にしているわけですよね。その非開示が理由があるかどうかという判断を裁判所がやっていくときに,裁判所としては,中身を見せてもらえば一番判断しやすいわけですけれども,非開示にしているわけだから,それを証拠として裁判所に実施機関が出してしまったら,証拠は当然相手も見るわけですから,ここで開示してしまったことになるわけですよね。それでは非開示を認めた意味が全然なくなってしまうわけですから,そんなことはちょっと考えられないわけですよね。ですから,結局,実施機関が立証するときには本当に中身を見せてください,こんなものを出せますかということではなくて,この情報がどういった種類の性格のものであるという周辺の事情みたいなものを裁判所に資料として提供していくという形で裁判をやることになるだろうと思うんですね。そういったときにですね,おそれがあるかどうかということを判断をしてくれという場合も中身は見せないわけですよね。いろんな周辺事情を出して,こういう情報なんだからおそれがあるでしょうというわけですよね。おそれがあるという判断をした場合に,相当性の立証というのはどうやるんだというふうに考えたときにですね,やはり,それも同じように中身ではなく,周辺にある情報を出して,こういう事情があるんだから,我々はこれはおそれがあるんだというふうに判断をしたんだ,だからそうでしょうという言い方をすることになるんだろうと思うんですよ。そういうふうにして考えていくと,実際に訴訟活動において,実施機関が証拠として出す資料そのものは,おそれにしておこうが,相当規定にしておこうが,訴訟活動自体はそんなに違いはないのかなというふうにおもうんですけれども。そうすると,最終的に問題になるのは真否不明のような状態になったときに,おそれ規定だとおそれのあるということを立証しなければならないですから,真否不明では立証できていないわけですから,実施機関の負けとなることは明らかですよね。相当性の立証で足りるとすれば,もちろん,相当性の立証がなければ実施機関の負けなんですが,相当性というのは,当然,中身の判断をさせるわけではないので,その周辺の事情を出せば,ある程度その立証を認めてもらえる可能性は多くなるだろうと。そうすると,やはり,相当性の第一次判断権を実施機関に与えておいた方が,実施機関にとっては出したくない情報は出づらいということは確かなんだろうなという気はいたします。それで,あまりそういうことが発生するのかしないのかは分かりませんけれども,問題は,本来出しても構わない情報を,相当性ということで中身の実体的な判断を裁判所が出来ない状態になっているということが,出るべき情報も出なくなってしまうのではないだろうかということが一番恐れられるところだろうと思うんです。第一次判断権を認めることができないという立場をとるとすれば,中身を裁判所が見れればいいんだけれども,非開示になっているものを判断するわけだから,その非開示になっている中身を裁判所に見せてしまうことは,今の訴訟制度ではできないわけですよ。インカメラはないんだから。民事訴訟法をちょっと調べてみましたら,民事訴訟法にインカメラの規定がありますが,これは文書提出命令のところなんですね。文書提出命令を出すか出さないかのところで,一定の要件を実施機関が,行政機関が主張したときに,じゃあちょっと見せてみろと言うことはできる仕組になっているんですね。これは,実態判断をする前の手続ですから,なるほど,これは文書提出命令をかけられない,却下しますよという場合には,処分としては出てこないと。出てきていない証拠をもとにして判断はできないわけですよね。裁判所は頭の中では分かっているけれども,手続的にはそれは使えない。訴訟の場に証拠としては出ていないんだから。例えば,証拠提出命令を原告が出したと。当然,実施機関はこれこれこういうわけで出せませんというと思うんですけれども,証拠提出命令を認めるかどうかの判断のためとして,一応,インカメラで見せてくださいと,そして裁判所が見たと。そうすると,これは実施機関の言うとおりではないか,こんなもの開示するわけにはいかないでしょうというふうなことで,必ずしもそれは文書提出命令の要件とちょっとずれていますから,実質的な部分では,重なっている部分がかなりあるんじゃないかと。そうすると,文書提出命令を裁判所が却下すると,そうすると却下されたということ自体,弁論の全趣旨として斟酌して,判決本来の請求に対する応答としての判断ですね。これをやっていくときに使えるかと。この部分になると,僕はどういう議論がされているのか分からないし,そのおそれ判断みたいなものにしておいても,裁判所は判断できるじゃないかというふうに言い切れないんですね。だから,そういう意味では,訴訟法的にはなかなかやっぱりおそれ判断を裁判所にしてもらうということ自体が,現在の訴訟法そのものが,かなりやりづらい方法になっているかなという気がしないでもないんですけれどもね。訴訟活動としては,おそれの判断でも,相当の判断でも,やらなくてはいけない訴訟活動はそんなに違わないと思うんですよ。おそれ規定にしておいて,詰めた議論をやっていったときに,現在の訴訟法では文書提出命令の範囲でしかインカメラがないというところで,裁判所におそれの存否を判断させるというのは,恐らく,文書として提出されていないものを証拠にしなければならないわけだから,どちらに有利に働くかということになるのか,僕も現実に判断しかねていますけれども,実施機関にかなり不利になるんですかね。証拠として出せないのかな。文書提出命令で拒否することによって,自分が判断してもらいたいものが出ないわけですよね。真否不明になると,おそれではやっぱり実施機関に不利になるんですかね。おそれが立証で出来てないということになるわけだから。

それがまず一つですね。それと,我々がどうしても考えざるを得ないのは,個人情報保護法及び他県の条例等が第一次判断権を認める形になっていることと,県の情報公開条例,これもいろいろ議論はあったけれども,第一次判断権を認める形の規定になっているわけですよね。そういった状況も全く無視できないものがあるのかなという気がしています。それで,情報公開条例のことなんですけれども,平成12年でしたっけ,改正があったのは。

事務局

施行は平成13年4月1日で,その4年後を目標に…。

馬場会長

大議論をやった後,ともかくやってみようと。それで,問題があれば4年後に,もちろん開示規定だけの問題ではないですが,改めて見直そうという見直し規定が附則として置かれているんですね。平成17年にそういった時期が来ることになりますけれども,情報公開条例の方では,私,詳しくは分かりませんけれども,何件か旧条例ですかね,旧条例での裁判ですかね,新条例でも裁判はあるんでしょうか。

事務局

ございません。

馬場会長

裁判があってですね,実施機関,それから開示を求める双方の経験というものがそれなりに積まれて来ているんだろうと思うんですね。そういう経験を踏まえて恐らく平成17年の見直しということがあるのかなと。そうしますと,今,僕の議論が全てではないと思いますが,非常に判断が難しいところがありますので,情報公開条例とこちらが違うというのもちょっと変だなと,まあ,変なことはないんですけれどもね。当然,保護法益も違いますから,開示の要件が違ったっていいわけですけれども,やはり,ある程度そういった整合も必要性があるのかなと。そうすると,とりあえず第一次判断権を与えておいて,平成17年の情報公開条例の見直しのときにですね,個人情報の開示の方も見直してもらうというような形でいいんじゃないのかなと最終的には思ってきたんですが,いかがでしょう。

井坂委員

後押しになるかどうか分かりませんが,先が分からないという点につきまして情報を一点申し上げておきます。会長は基本的に民事訴訟法に沿ったお話をしておりましたが,一応,盲腸のごとき行政事件訴訟法第24条というものがございまして,この手の争いは基本的には行政訴訟となり,職権証拠調べが不可能ではないという規定ぶりになっております。しかし,その際にも一旦職権で裁判官が証拠を調べた場合には,相手方にその情報を当事者にさらすということですので,全く問題は解決いたしません。インカメラが使えるわけでもないと。出せない情報がその形で公開をするという観点では同じことであります。ただ,この問題に関しましては,弁護士のお二人の先生方は御案内のとおり,現行行政事件訴訟法の改正話というのが進んでおりまして,このからみでどのような議論がなされているか,私もちょっとと不勉強で承知していませんが,その点でも雲がかかっている状態であり,場合によっては,情報公開関係のものに関してましてですね,新行政事件訴訟法でインカメラ等の採用の可能性も恐らくある。かなりの事件数を占めることは当局も理解しているはずでありますので,そこのところ,状況が違ってくるという可能性もあるということで,ますますこちらとして独自に判断して動きづらいわけですし,しかも,本当の意味での情報公開法等に基づく「おそれ」,地方自治体レベルでは今お話があったとおりだと思いますが,国レベルでは私の聞いている限りではでておりません。答申レベルのところに留まっていて,そろそろ裁判がというところだと思いますが。なかなか独自にどうだろうかと推測するのが難しい領域ではないかと思います。ですから,私としては非常に形式的な理由で国法及び情報公開条例等と文言を合わせておき,将来の問題として考えるといったところ以上のことがなかなか独自には動きにくいのかなというふうな感じは持っております。

馬場会長

他の委員はいかがでしょうね。

村松委員

同じように,法律と足並みを揃えておくということで,しょうがないんじゃないでしょうかね。

馬場会長

平成17年に,もし,情報公開条例の方でいろいろと裁判をやった結果,第一次判断権を置いておくとやっぱり問題があるというところで,見直しが必要だということであれば,それはこちらもそのときに見直してもらうということを建議案の中に書いておいて,そういった形で,全面的に心の底から認めているわけではないけれども,諸事情の中でそういった形にしますということでですね,第一次判断権を実施機関に認めるという形にさせていただきたいと思います。では,そういう形で確認をさせていただきます。

井坂委員

一言だけ。アリバイを作るようですが,ここの審査会の権限は当然インカメラですので,がっちりやらせてもらうということ,そのことを県民に対してアピールしてはいただきたいと思います。裁判所のことをいろいろと我々が考えた上での結論ではありますが,こちらとしては相当の理由だろうが,おそれだろうが,同じスタンスで基本的には臨むことになる,文書を見せていただいて判断させていただくということを前提としていただきたいということですね。

村松委員

その点は,警察も同じような御見解のようでしたので。

馬場会長

では,ここの議論は今のようなことで確認させていただきたいと思います。

それから,非開示の条件なんですが,実は,規定ぶりが県の情報公開条例と違います。これは,情報公開条例の方は司法警察情報であれば,第一次判断権は警察にあると,予算関係文書については,もとの原則のおそれを戻すよと。だけど,その中で公共安全情報に関するところは第一次判断権を実施機関に認めるという,二転三転した規定の仕方になっているんですけれども,個人情報保護条例の場合には,実施機関に単に第一次判断権を認めるという規定の仕方にしていいだろうと思います。それ自身は,情報公開条例では行政文書という形で特定することになっているですが,個人情報保護条例の場合は個人情報ということですから,この個人情報の性格を規定しておけば十分であると。つまり,司法警察情報ないしは公共安全情報に関しての個人情報は非開示基準ですよというふうに規定しておけば,その文書の性格がどういうものであれ,とにかく,そこの部分はだめだよという縛りがかかるわけですから,そういう形でいいだろうと思います。それでよろしいですね。

(委員,了承)

では,そのように確認させていただきます。それと,私,読んでいて気付いたんですが,気になる部分があって23ページの6の文書なんですけれど,これですね,「なお,行政文書に記載された個人情報が開示の対象となることから,情報公開条例のように予算執行関係文書とそれ以外のものについて,文書の性格によって区別して非開示事由を規定する必要はない」と書いてありますね。これは,すっとよむと分かりづらいような気がするんです。それで,この「なお,」の後に,「個人情報保護条例において開示の対象となるのは行政文書ではなく,行政文書に記載された個人情報が開示の対象となることから」と,分かりやすくするように,そういう文章を入れていただきたいんですが。

事務局

分かりました。

馬場会長

では,この点の議論につきましてはこの程度にさせていただきたいと思います。

ちょっと時間がなくなってきたんですが,罰則規定のところですね,ちょっと整理しなおしたわけですよね。これ,事務局からちょっと説明していただけないでしょうか。

事務局

はい。前回の建議案の3,4,5,6と両罰規定に関し手は変更はないんですけれども,1番の2年以下の懲役又は100万円以下の罰金の部分なんですが,前回につきましては,個人情報が記録された行政文書ということになっておりまして,行政文書といいますと,紙媒体でも電磁的記録でも,組織的に共用されていれば行政文書になりますので,いろいろな一覧表になっていたり,台帳になっていたり,体系的に構成されているものと,単に文書になっているものとは広範性が異なるのではないかということで,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金という部分に,検索することができるよう体系的に構成されたものというふうに行政文書を限定しまして,さらに,それだけでなく,ほかの行政文書もございますので,実質秘が記録された行政文書について,正当な理由がないのに提供した場合については1年以下の懲役,又は50万円以下の罰金と,これは地方公務員法に委ねることもできるんですが,罰金の量刑の面でバランスがとれないのかなというふうに考えまして,1,2に対象文書によって区分したということです。

馬場会長

どうもありがとうございます。ということで,条文の整理をしたということになるんですけれども,この点についてはいかがでしょうね。

阿部委員

罰則規定のところで一箇所教えていただきたいんですが,例えば,個人情報を取り扱う事業者,受託事業者への罰則規定というのはあるんですが,それと,県外であっても,例えば,事業者に関しては宮城県の条例であっても規定されるということを,以前,御説明いただいたと思うんですけど,例えば,従事者の場合ですね,従事者が仮に会社を辞めてしまっている場合には,どういった罰則規定がかかるんでしょうか。

事務局

会社を辞めていましても,建議案の1に「従事している者若しくは従事していた者」となっておりますので,辞めていた場合でも,不正に提供した場合には,もちろん,罰則がかかるということです。

阿部委員

これは,県外であっても罰則規定がかかるということですか。

事務局

はい。そもそも実施機関から委託を受けた事務に従事するということになりますので,特に県内に限らず,委託を受けて従事していれば対象になるという要件になりますので,住所地が宮城県にあろうが,福島県にあろうが,それは考慮する必要はないのかなと考えております。

馬場会長

よろしいですか。

阿部委員

はい。

馬場会長

開示された文書の性格で分けたということですよね。それで,罰則の軽重をつけたということですよね。これは,体系的な文書とそうでないものということでは,やはり,公益の侵害の大きさの違いもあるので,これはよろしいかなという気がしますけれども。よろしいですか。

(委員,了承)

では,そのように決めさせていただきたいと思います。

事務局

36ページの提供を受けた者への罰則の関係を留意事項に書かせていただいたんですけれども,審査会の方から了承をいただきました提供を受けた者への罰則に関しまして,構成要件等が憲法上の表現の自由などに問題が生じるかなというところがございまして,御意見をいただいておりしたので,こちらの方には入れさせていただいた上で,慎重に検討を行った上で判断することというふうに書かせていただいたんですけれども。

馬場会長

個人情報保護という法益を考えると,不正な手段ないしは利益を図る目的で受けた側の罪は重いのではないかということで,委員の方から意見が述べられたんですが,これにつきましては,今,事務局の方からも御指摘がありましたように,いろいろと検討しなければならない問題点ですね。それと,ちょっとこの時間帯では,そこまで検討した上で罰則を規定することが難しいという部分もあるものですから,さらに今後検討することとして,留意事項の方に書くに留めてはどうかというのが事務局からの意見であるわけなんですが,これについてはいかがでしょう。成瀬先生,いかがでしょうか。

成瀬委員

私は憲法上の問題は生じないんじゃないかなと思うんですけど,もちろん,国の同種の法律が予定していない行為を条例で罰するというのは,多分,罪刑法定主義に問題があって,国の規定よりも条例の方が捕捉範囲が広いというのは問題があって,そういう意味で憲法上問題があるかもしれませんが,知る権利等は,構成要件の書きぶりによって十分クリアーできるんじゃないかという気もするんですけど,でも,さっき言ったように,国の法律で禁止していないことを規定するのは問題だということと,あくまで今回の罰則は,守秘義務違反という観点で規定されていますので,個人情報の保護という観点よりも,むしろ個々人が義務を尽くすべきだという発想になっているんで,そこは発想を転換していくような考え方があってもいいのかなと思ってますけど,会長がおっしゃるように時間的な問題もありませんので,節足に罰則規定を新しく設けるというのはよくないと思いますので,とりあえず,これでいいと思います。

馬場会長

では,そのように今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

どうやら大きなところはほぼ終えたんですが,細かいところが多少あるものですから。現行の非開示基準の中で法定代理人からの開示請求があったときのものですね,これ,事務局の方から多少見直した案が出されているんですが,これについて,事務局から説明をお願いします。

事務局

建議案の22ページ,非開示基準の(7)になりますが,前回の建議案では「利益を害するおそれがあるとき」というふうに規定したんですが,未成年者の法定代理人の開示請求を制限しないという趣旨から,あくまでも,親と未成年者の利益が明らかに相反する場合というふうに限定しておかないと,法定代理人による開示請求を認めている趣旨からも整合性が取れないのではないかということから,「おそれ」ではなくて「明らかに認められるもの」というふうにさせていただきました。

馬場会長

今,事務局の方から説明がありましたが,この点はよろしいですか。

村松委員

ちょっと待ってください。法律はどうなっていましたっけ。

井坂委員

法律ではそこに独立の規定はないはずです。1号のところで包括的に個人の権利利益を害するおそれがあるときというような書き方になっていたと思いました。

村松委員

生命,健康,生活又は財産を害するおそれのあるとき,「おそれ」ですよね。

事務局

こちらは「おそれ」になっています。

成瀬委員

でも,利益は限定しているわけですよね。利益の種類を限定していますよね。

村松委員

「おそれ」ではなく,「明らかに認められるとき」なので,虐待の問題があって,措置理由を明らかにしろと,その場合,明らかにしたからといって,生命,健康をなどに害を及ぼすとは明らかには認められないんじゃないかと思ったんですよ。だから,「おそれ」を抜いたことで,親に開示する余地が大きくなっていくかなということをちょっと気にしたものですから。

馬場会長

これは,どうしても「明らかに認められるとき」にしなければならないんですか。

事務局

いいえ,確かに村松先生のおっしゃるとおり,虐待のケースを念頭に置いていたものですから,確かに虐待が発生しているかどうか調査中に開示請求が来た場合には,明らかかどうかということは言えないと思います。

馬場会長

そういう意味では微妙なケースに対応するには「明らかに」というふうに限定してしまわない方がいいかもしれませんね。

村松委員

だから,法律は「おそれ」ですよね。

馬場会長

せっかく事務局に考えていただいたんですけれども。では,「おそれ」に戻していただいて,語尾の表現は最終的に建議案として確定して出すときに調整させていただきたいと思います。

ちょっと時間がなくなってしまったものですから私の方から一点だけ。先ほどの10条のオンライン結合のところの問題なんですけれども,留意事項の1ですね。ここに「他の専門機関による判断を加えるなど遺漏のないように行うことが必要である」と書いてあるんですが,ここはもう少しはっきりと,しかも,時期的に漠然といいよという話ではなくて,早急に第三者性を有する専門機関を設置してというふうに書いてもらったほうがいいんじゃないかなという気がするんですけれどもね。

事務局

本日お渡しした資料の13ページに,表現として適切かどうかは別としまして入れてはおきました。

馬場会長

私の方から皆さんにお諮りすべきことは以上ですが,事務局の方から,この点をちょっと忘れてますよということがありましたら,指摘していただきたいんですが。よろしいですか。

事務局

はい。

馬場会長

非常に急ぎ足ではあったんですけれども,一応,全部検討が終わりました。細かいところを建議案として確定するのに,文書の表現とか,そういった部分を見ていただいて確認しなければならないんですが,時間がないものですから,そういった詰めは私と事務局との間で調整させていただきたいと思います。この点は一任していただきたいと思います。よろしゅうございますか。

(委員,了承)

では,そのようにさせていただきたいと思います。

それでは,今日の審議会は終わりにさせていただきたいと思います。

お問い合わせ先

県政情報・文書課情報公開班

宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

電話番号:022-211-2270

ファックス番号:022-211-2190

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

information retrieval

このページに知りたい情報がない場合は