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掲載日:2012年9月10日

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第65回宮城県個人情報保護審査会会議録

第65回個人情報保護審査会会議録(公開で審議を行った部分)

  1. 日時:平成15年8月8日(金曜日)午前10時から正午まで
  2. 場所:宮城県行政庁舎11階 第二会議室
  3. 出席委員:馬場会長,成瀬委員,阿部委員,村松委員,井坂委員
  4. 議題:個人情報保護条例の一部改正についての実施機関からの意見聴取及び審議

第65回個人情報保護審査会会議録の表

発言者 内容

馬場会長

定刻になりましたので,審査会を開会させていただきます。まず,事務局の方から何かありますか。

事務局

特にありません。

馬場会長

それでは,本日の進行でございますけれども,まず,人事課から今回の条例改正にあたって,どういった問題点があるか等について意見を聴取するという予定になっております。それで,日程を調整していただいておりますけれども,どうなっておりましたでしょうか。

事務局

人事課につきましては,今,外に待機しております。日程が合わないことから,意見聴取が次回に延びたものが3件,教育庁教職員課,それと調整中ではございますが人事委員会,それと警察本部のほうからの意見聴取は次回に移っております。ですから,もしお許しがいただけるのであれば,次回の今のところの公開の審査会の予定は10時開会予定となっておりますけれども,それを30分早めていただいて,9時30分開会の日程にしていただきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。

馬場会長

今,事務局の方から,本日,意見聴取をできる課が人事課だけということで,その他の意見聴取をする予定のところが次回にならざるを得ないということでですね,次回予定以上の部門の意見聴取をする関係で,時間を少し早めなければならないということで,9時30分からの開会ということが提案されたんですが,この件に関しましては各委員,いかがでしょうか。

よろしゅうございますか。それでは,次回については,開会は30分早めまして,9時30分からということで確認したいと思います。

それでは,早速ですけども,人事課からの意見聴取を行いたいと思いますので,入室のほうをお願いしたいと思います。

(人事課,入室)

馬場会長

本日は,御苦労様でございます。今日これから意見聴取をさせていただきますけども,その前にまず委員の紹介をさせていただきます。

まず,私の左側から,阿部委員でございます。成瀬委員でございます。井坂委員でございます。村松委員でございます。

申し遅れましたが,私,会長の馬場でございます。よろしくお願いします。

申し訳ございませんが,今日御出席いただいた人事課の皆様の自己紹介をお願いいたします。

人事課

人事課長の鈴木でございます。よろしくお願いします。人事課で人事班長をしております大森でございます。よろしくお願いします。人事課の給与制度班長をしております相馬でございます。よろしくお願いします。

馬場会長

それでは,本日は,人事等の職員情報を開示請求の対象ないしは訂正請求の対象に加えるということが今回の検討項目に入っておりまして,こういったことについて我々が審議するに当たりまして,そもそも,どのような職員情報をどんな方法で入手されてですね,どんな管理されているのかと。また,今回,そういった開示請求の対象とか,ないしは訂正の対象とした場合に,どんな問題が発生すると考えられるのかということにつきましてですね,担当の部局に当たっていらっしゃるところからお聴きして,今後の審議の参考にさせていただきたいと思いまして,今日はおいでいただきました。よろしくお願いしたいと思います。

人事課

人事課長の鈴木でございます。私の方から,御通知のあった内容と今,会長からお話のあった内容について,お話しをさせていただきたいと思います。

まず,人事等に関する個人情報の概要についてお話をさせていただきますけども,一つは人事記録カード,いわゆる人事記録でございますけども,これには職員の名称なり,生年月日なり,本籍,現住所,職歴,給料,懲戒処分等があった場合には,そのような情報が入っておりまして,これは私の職責で作成するということになってございます。ただ,この内容については,全て職員が当然知っている内容でございまして,当然人事記録を閲覧することは可能でありますし,訂正についても,変更があれば手続きをとっていただくということで,手続も担保されているという内容になってございます。

それから,人事評価に関する情報でございますけども,職員の勤務成績の評定,これは地方公務員法第40条で定期的に勤務成績の評定を行う,その評定の結果に応じた措置を講じなければならないと規定されております。勤務の評定を中心といたしました,いわゆる人事評価に関する情報でございますけども,これにつきましては,現在のところ公正かつ円滑な人事運営の確保という観点から,今は職員に対して開示はしておりません。それから,給与に関する情報でございますけども,労働基準法の15条,これは法律で義務付けられているということで,昇級あるいは昇格発令通知書,あるいは給与明細書,こういうもので本人に対して明らかにしているという状況です。

それから,その他のものとして,職員から提出されるもの,自ら作成して提出される書類,人事関係の書類があるわけですけれども,例えば身上調書でありますとか,これには現在の職務の内容ですとか,あるいは,人事の異動の資料ということで使いますので,異動の希望ですとか,そういう情報が入ってございます。それから,病気休暇取得時の診断書などというものがあります。そういう代表的なものがありますが,こういう職員から提出されたものについては,閲覧等の制限は何ら行っておりません。それから,本人以外が作成するものがございます。例えば,人事異動の内申書がございます。あるいは,懲戒処分,不祥事が起きた場合の処分をする際の検討資料,これについては,それぞれの担当なりが作成するということになりますけれども,これらのものにつきましては,先ほど申し上げた人事評価等に関する情報と同様になり得る。つまり,円滑な人事運営上の確保の観点ということで開示はしておりません。

それから,2点目でございますけども,国あるいは宮城県の公務員制度改革の動向なり,その概要ということでありますが,平成13年12月に閣議決定されておりますけども,公務員制度改革大綱というのがあります。これは様々な要素が含まれていますが,我々に大きく関係するところでは,給与制度を大きく改革しようという内容になっておりまして,いわゆる従来の職務給与から職能給与に大きく転換するという内容が含まれております。現行の勤務評定制度に替えまして,能力評価あるいは業績評価からなる新しい評価制度を導入するということになっておりまして,具体的には評価の公正性,納得性を確保するため,複数の評価者による評価,あるいは評価者の訓練,評価の職員に対するフィードバック,それから,職員の苦情に適切に対応する仕組みの整備等を行う,それとともに制度の趣旨内容を職員に十分周知徹底して評価制度の適正な運用を図るということにされております。この大綱を基にして,実は国家公務員法の改正という動きがあったわけですけども,これは各委員の先生方も報道を通じて御存知かと思いますけれども,これは政府内,あるいは労働組合との調整が未了となりまして,結果的に先般の通常国会では,提出が見送られたという経緯がございます。なお,今,我々が掴んでいる情報では,今後の見通しも不透明であります。当然のこととして,法律に連なりまして,地方公務員制度,我々の地方公務員法についても改正される予定になっておりまして,いずれ平成18年度からスタートするという段取りにはなったんですが,先ほど申し上げましたとおり,見送られたという状況であります。当然,地方公務員制度についても,先行きというのは不透明な状態というふうになっております。ただ,職員の能力評価なり業績評価というのは,そのような制度の改正にかかわらず,我々としては,どうしても着手して行かなければならないという認識でございまして,国を少し先駆けてもやりたいということで,様々な取り組みはさせていただいているというところであります。その際に,当然その人事行政上の納得性なり,透明性というのは大きな要素でございますので,我々が制度運用していく場合に,できるだけ情報をオープンにしていきたいという認識で取り組みはさせていただいているところであります。ただ,公務員制度改革大綱において,評価に関する職員からの苦情に対し,適切に対応する仕組みの整備などもその大綱の中では言及されていましたけども,いずれそういう人事評価なりについては,まず評価者の訓練でありますとか,先ほど申し上げました評価のフィードバックですとか,あるいはそもそもの評価の仕方をどうするか,基準をどうするか,様々な職員が様々な部署で,まさに多様な仕事をしておりますので,その辺をどのように評価していくのかというのは本当に大きな課題であります。ですから,そういうものをひっくるめて,トータルのシステム,制度としてやらないと,なかなかここのところは大変かなと思っております。したがいまして,人事評価に関する情報については,今後,いろいろ制度改革,法律も含めて具体的に進んでいくわけなんですけども,個人情報保護条例あるいは情報公開条例とか,一連の諸制度とは別の枠組み,要するに評価システムの中で開示の仕組み,どういうものをどこまで開示していくのかをしっかりやっていかないといけないのではないかという認識をもっております。

それから,開示請求の対象とされることによっての諸問題という点でいくつか申し上げたいと思いますけども,まず現状としてですね,これまで混乱なく円滑に必要な開示なり訂正が行われてきているという現状があります。内部管理の情報でございますので,仮に今の現状の中でですね,条例化なりがされるということになりますと,逆に厳格化がされて,お互いにやりにくい部分が出てくるのかなという点がまず一つありますし,あるいは,不要な開示請求を多発,誘発をするおそれがあるのではないかということも心配しているところでありまして,結果として,人事行政の運営に思わぬ負担という形で跳ね返る可能性は否定できないのではないかというふうには思っています。

それから,先ほど申し上げましたように,職員の人事評価につきましては,試行を繰り返している段階であります。繰り返しになりますが,評価基準なり,評価の方法なり,あるいは,開示の対象となる情報の範囲なりを十分に検討した上で進んでいく必要があると思いますし,あるいは評価する側,評価される側の意識の改革というものも当然必要であります。それから,当然,能力評価なり,業績評価なりを確立するにあたりましては,職員の目標なり,行動指針というものを明確にする必要があるのではないかと考えておりますし,評価者と評価される方の人間関係とか,あるいはモラルの維持というのも配慮する必要があると考えております。

その諸課題を解決するということを,まず先行させたいというふうには思っております。

最後になりますけども,私ども実施機関としての考え方を申し上げておきたいと思いますけれども,一つはそもそも個人情報保護条例の趣旨を考えたときに,実施機関,県側,我々にとれば行政側が保有する個人,いわゆる県民のみなさんの個人情報に関して開示,訂正請求を認めるということで,県民のみなさんの人権なりを尊重するというのが趣旨ではないかと思っております。基本的にはそういう認識がございます。県職員の人事に関する情報,これはいわゆる内部管理の情報でございますので,開示や訂正を行政処分として行うということについては,情報の位置付けなり,あるいは性格上,個人情報保護制度の趣旨には馴染みにくいのではないかと思っております。したがって,敢えて条例に規定すべき次元のものではなくて,先ほども申し上げたように,別の枠組みで,人事評価なりのシステムの枠組みの中で考えるというのが妥当ではないかというふうに考えております。

それから,現行法令の関係条項をみましても,例えば法の14条におきましては,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのある個人情報については,開示が義務付けられている対象から除外されていると。したがいまして,訂正請求の対象からも除外されているということになっておりまして,いわゆる公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのある個人情報,いわゆる人事情報とは,職員の異動なり,内申なり,人事評価に係る文書等であると理解しているんですけども,開示することによって,将来に向けて公正かつ円滑な人事運営に支障が生じるおそれのある情報とは,こういうものがそういうものであると認識しているところであります。

それから,国とか,他の都道府県でそれぞれ規定の方法,表現のしかたに違いはありますけども,人事評価情報など内部人事管理に関する個人情報の主要な部分については,結果的に開示義務が課されていないというのが実態であると思います。

したがいまして,そのようなことから,現在の個人情報保護条例で人事・給与あるいは福利厚生等の個人情報を開示請求,あるいは訂正請求の対象から除外されているということについては,一定の合理性があるものと思っておりまして,法律や他の団体の条例との均衡という点でも特に問題はないのではないかというふうには考えてございます。私からは以上でございます。

馬場会長

ありがとうございました。他の出席の方からは何かございますか。よろしゅうございますか。それでは,今説明をいただきましたけども,その説明したことを踏まえまして,我々委員の方から若干質問があれば,お伺いしたいと思います。委員の方で,実施機関に質問したいという方は,どなたか…。

村松委員

御説明ありがとうございました。法律では,人事管理に係る事項であっても,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあれば,非開示というふうにできるかと思うんですね。先ほどお聞きしたお話だと,別に実態はそこと抵触しないというような運用がなされていると思われるんですが,具体的に御心配になっておられる評価制度というようなことは,開示することにしても,評価制度自体は開示の対象にはならないと思うんですよ。評価そのものではないから,個人情報を開示するっていうことで,開示の対象にはならない。その御心配なことがちょっとピントこないんですよ。組み込まれたとしても,法律と同じように条例を制定したとしても,御心配なさっていることがですね,何なのかというのが分からないんですが。もうちょっと,具体的にあったら教えていただきたい。

馬場会長

よろしゅうございますか。質問の趣旨は,お分かりになりましたでしょうか。

人事課

たぶん,考え方を右から見るか,左から見るかみたいなところだと思うんですけども,確かにおっしゃることも分かる部分があるんです。法律でも,入口で除外してしまうか,開示の請求は認めるけれども中でおそれがある場合に開示しないというふうにできるかというそこの部分なので,確かに,おっしゃることは分かるんですけども,我々としては,逆にあまり大差がないということであれば,現状でどうして悪いのかというのがまず一つあるわけです。それから,制度の対象としてしまうことで,職員からしてみれば自分の提出したようなものについては,何の支障もなく現在改めて見てもらうとかですね,そういうことをやっている中で,この制度にのることで,逆に手続きを踏まなければならないというふうになってしまう部分があるのではないかというようなことですとか,先ほどちょっとありましたけども,逆にその辺が理解されないままで,どんどん開示請求を誘発するとか,そういったことも,本質的なところではないんですけども,職員個人にとっても必ずしもメリットにならないのではないかというようなことを考えているということです。

馬場会長

御心配の趣旨を説明されましたけども,よろしゅうございますか。他の委員の方,何か別な質問でも,関連質問でも結構でございますので,ございますか。

人事課

もう一つだけ,今のに付け加えますと,制度の仕組みとして個人情報保護条例,保護法制と別な地方公務員法の流れの中で,先程来説明したようなですね,公務員制度改革ということで,法律が変わっていくと。その中で,評価とかについても,苦情処理のシステムを含めて,できる限り開示して行くというのが,おそらく,流れとしてできてくるということになりますので,そちらでも十分に対応できるということもあるということです。

馬場会長

他の委員,いかがでしょう。

私から,今のに関連するんですけども,先ほどのお話ですと,公務員改革の方向性はある程度いずれということはあるようですけど,なかなかはっきりしないという部分もあるようですので,その中でということになりますと,いわゆる情報公開についての制度がいずれはという形でなかなか見えてこないというところもあるのかなと。そうしますと,それまでの間,別な制度で埋めていくということもあり得るのかなという気がしないわけでもありませんし,それから,これは議論になってしまうことなので,ここで申し上げることではないのかもしれませんけども,県の内部職員との関係においての情報公開というのが県民とは別だというのは理解できますけども,やはり一度,制度ではない別な部分で事実上行われるというのは,それはそれで融通の利く便利なところは確かにあるとは思うんですけども,また別な問題もあるのかなという気がしないわけでもないんですけども,その辺はいかがお考えでしょうか。

人事課

実例を申し上げますと,業績評価いわゆる人事評価の,広く考えれば人事評価の中の評価というものがあって,その中の短期間の業績,例えばボーナスに反映させるような業績ですね。我々は,国あるいは他県よりも先行してそういうものを手がけております。実際,今年からスタートさせました。その要綱の中では職員から要望があった場合には,説明をするということにはしてるんですね。ですから,そこのところもですね,今,管理者も非常にプレッシャーがかかるわけです。ですから,その辺のところも,今年9月あたりには,みっちりと研修もしながら,あるいは評価される側,職員の方にも十分お伝えをして,その趣旨をお互いに理解して,そこに耐え得るようなものにしていかないと,ということで,今年1年研修をしながら,あるいは,その部分については試行的にやっております。だから,そういう,何と言うんでしょう,制度をしっかりしたものにするまでのお互いの訓練も含めて,あるいは評価の中身も含めて,かなりみっちりしたものにしないと,かなり混乱するのではないかというふうに思います。ですから,そこのところは十分念頭においた制度なり,法のあり方というのがあるべきと思っております。

馬場会長

他の委員で他の質問はございませんでしょうか。

特になければ,それでは人事課の方からの意見聴取は,この程度でよろしゅうございますか。

では,本日はこの程度で終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

(人事課退室)

馬場会長

それでは,ただ今,人事課からの意見聴取を行ったわけですが,次回は先ほど事務局からありましたように,3つの部局から意見聴取を行いたいと思います。今日は,早速ですが,改正検討項目についての審議に入っていきたいと思います。本日の目標ですけども,そこまでいけるか分からないんですが,検討項目の5番目から11番まで,できれば検討していきたいと思います。順次やっていきたいと思いますけども,本日は検討項目5番のオンライン結合の例外規定の仕方ということで検討をまずしたいと思いますが。これについては,各委員からそれぞれ御自分がお気付きになった点についての事前の意見も出していただいておりますけども,これらも参考にしながら進めていきたいと思います。まず,オンライン結合の例外規定について,阿部委員,いかがでしょうか。

阿部委員

まず,結論の部分からお話しします。まず1番目,IT社会がこれからかなり進展していくと思います。そうしますと,事務処理対応の増加がかなり多くなるものと予想されることによりまして,情報提供の制限の例外を設ける必要があるというふうに考えます。それと2点目に,論点1の法令に定めがあるとしたところですね,ここに関しては,例えば新しい事例とか,特殊な事例というのが発生することがあると思います。特殊な事例に対する判断の必要が今後発生すると思われますので,除外規定を設ける必要があると考えました。それと3番目のですね,実はこれ,3番目としまして,私が頭を痛めたのは,論点1のところにですね,公益上の必要性があるとともに,法令に定めがあり,かつ,セキュリティ対策が万全であることと3つの要件が書いてあるんですが,もちろん今後,情報漏えいの危険性に対して,セキュリティの強化が求められます。そして,セキュリティに関して,実はかなり技術的な専門知識というのが必要になってくるのではないかなと判断したわけです。そうしますと,審査会においてですね,セキュリティの技術的なことに対して,どのくらい判断できるかというところで,できましたら個人情報の情報の中身とセキュリティ問題というのは別枠で考えるべきではないかというふうに考えました。県のほうでセキュリティーポリシーというものを予定されているようですので,セキュリティ対策に関しては,県のセキュリティーポリシーで対応すべきであるというふうに考えました。以上です。

馬場会長

はい,ありがとうございました。阿部委員のほうから3点について意見を言っていただいたかと思います。これは,現在の個人情報保護条例の10条にオンライン結合による提供の制限という条文があるわけですけども,ここに提供できる場合ですね,これをどういった形で規定していくのかということについて,現在は提供してはならないということが原則になっておりますけども,審査会の意見をあらかじめ聴いてできるという形になっているかと思うんですけども,もうちょっと広い例外規定を設ける必要があるのではないかという判断,発想かと思いますけども,ただそれについてもセキュリティの問題というのは,また別に考える必要があるんではないだろうかということが阿部委員から意見として言われたかと思いますが,これについて,他の委員の方,御意見がありましたら求めたいと思います。いかがでしょうか。

事務局

よろしいですか。

馬場会長

はい,事務局でお願いします。

事務局

資料の4なんですが,今,阿部委員のほうからも御意見のありましたとおり,セキュリティーポリシーということなんですけども,これについて若干,今日お渡ししました資料の10番ですね,赤いインデックスの10番のところになりますが,情報システムのセキュリティ対策の概要として資料を付けさせていただいておりました。こちらの方がですね,阿部委員の方から御意見のありましたセキュリティポリシーの方の今現在,県で策定作業中の概要版ということで資料を付けさせていただいております。このそもそものセキュリティーポリシーとはというところから,若干御説明させていただきたいんですが,セキュリティーポリシーといいますのは,企業等が情報を活用するに当たって,セキュリティ上保護すべき対象範囲と対策,その他管理運営等について,その方針を文書化したものということになります。宮城県の情報セキュリティポリシーは,県が所有する情報資産といわれる情報関連一連のものについて,情報セキュリティ対策について,県が総合的・体系的かつ具体的に取りまとめたもので,県の情報資産をどのような脅威からどのようにして守るのかについて,基本的な考え方並びに情報セキュリティ対策を確保するための体制・組織並びに運用などを含めた規定となります。具体的な規定の中身については,資料10のP1の一番下のほうなんですけども,情報セキュリティ基本方針からなりまして,各種の対策基準がきます。最後に担当課所におきましてセキュリティ対策の実施手順を定めていくということになります。その対象と対象情報ですが,セキュリティーポリシー上の対象でまず強制力の及ぶ範囲は,全庁的に方針がかかってくることにはなりますが,強制力の及ぶ範囲は,知事部局の職員が対象になります。その他教育庁ですとか,各行政委員会,企業局,警察本部につきましては,それぞれの判断,検討に基づいて対策を立てていくと聞いております。対象情報の方ですが,あくまでも県の所有する情報資産ということになりまして,セキュリティーポリシーの除外規定の中に,国から預託された情報資産等はセキュリティーポリシーからは除外するというふうに規定されておりまして,例えば,例を挙げれば住基ネットのようにですね,国の方からセキュリティー対策面についても指示があるようなものについては,国から預託された情報資産ということで,県のセキュリティーポリシーの対象にはかかってこないということになります。あくまでも法令に基づくものといったときにですね,必ずしも国の情報資産だからといって適用除外になるかというわけではなくて,あくまでもセキュリティ対策とポリシーを国から指示されているものに関して除外されるものであって,法令の場合でも,運用は県にお任せしますといったものについては,県のセキュリティポリシーにかかってくるということになります。

その審査体制なんですが,2ページの真ん中あたりに情報セキュリティー委員会というのがあるんですが,こちらの情報セキュリティ委員会の方で先ほど申し上げた各担当課所の方で個別のセキュリティ対策等の実施手順を定めますけども,この実施手順について,セキュリティ委員会の方で審査承認を行うという審査体制になるというふうに聞いております。以上が,大体のセキュリティポリシーの概要でございます。

馬場会長

ありがとうございました。資料10について,質問したいんですけどもよろしいですか。1頁の下の方の三角形の基本方針ということで絵が描いてありますけども,ここに情報セキュリティ対策推進本部というのと,情報セキュリティ委員会というのがございますよね,情報セキュリティ委員会というものの性格みたいなものはどのようなものですか。

事務局

事務局の方で確認した関係で概要だけということになりますが,情報セキュリティ対策推進本部の方は知事を本部長としまして,各セキュリティの運営上の報告ですとか,事故があった場合にどういったを対応をすべきかとか,そういった,何と言いますか,全てを包括的に担当する推進本部という形になりまして,情報セキュリティ委員会は,2ページの真ん中に組織体制というのがあるんですが,企画部長を委員長としまして,庁内の各担当部長等が委員となりまして,各担当課所で定めた実施手順の方について,審査して承認をしていくという組織体制になると聞いております,以上でございます。

馬場会長

そうしますと,あくまでも内部的な委員会という形ですね。

事務局

はい,そういうことになると思います。

馬場会長

あまり部局から独立性を持っているというような性格のものではないということですね。

阿部委員の方から意見をお伺いしたんですけども,オンライン結合を行う場合の例外規定として法令に定めがある場合を除くという形を想定されると思うんですけども,それでよろしいですよね。理解としては。そういった場合にですね,法令の中でですね,個人情報の,特にオンライン結合上の個人情報の保護というのが,きちっと手当されていなければ,白紙で法令に任せてしまうという格好になるんではないかというおそれを感じるんですけども,その点は少し検討を要するのかなという気もするんですけども,その当たりは事務局の方では問題点としてはどのようにお考えでしょうか。

事務局

はい。今,会長からお話のありましたとおり,問題点としまして,法令に基づくものを一律に除外してしまうとですね,セキュリティーポリシーでも今申し申し上げましたとおり適用除外されてしまう部分というのが出てきますし,あと知事部局にのみ強制力がかかってくるというふうに聞いておりましたので,法令に基づく場合を一律に除外してしまうと問題点としてはやはりセキュリティ対策等についてですね,個人の権利利益を侵害するおそれがあるか否か,その辺の部分を確認できないものが出てきてしまうというのが懸念されるというところがございます。そういった意味で,例えば,例として審査会への報告を義務付けるとかですね,そういったことも検討の一つとして,適用除外の規定を条例に設ける場合ですが,事後報告にするですとか,セキュリティ対策についてもあらかじめ審査会に報告をしてもらうといったことも方法としては一つあるのかなというふうに思っております。

馬場会長

これは少し飛んだ話になるんで,ある意味では申し訳ないところもあるんですけども,先ほどの資料で見せていただいたセキュリティ委員会ですね,こういったものも当然内部的には考えていらっしゃるということは,やっぱりこういった部分についての慎重さを県の方でもお考えなんだと思いますけども,特に個人情報保護条例の運用ですとか,個人情報保護条例に関連して,特に住基ネット等のいろんな問題を検討していかなければならないことや,慎重に見なければならない部分が発生してきていると思います。我々のような素人が議論するときに,いわゆるパソコンのITという特殊な分野の専門性がなかなかないものですから,全く見えない部分がどうしても出てしまうというところがあるんですね。そういうことから考えますと,私としては,これは全く思いつき的なことで,具体的にどこにどう仕込むという議論を提起するわけではございませんけれども,専門家集団による審査をする独立の機関ですね,こういったものがそういったところを審査できるという体制が何らかの形で必要なのではないかなと。内部的に作ってチェックされること自体は,もちろん,それはそれで結構なことですけども。というふうなことも思いつきで申し訳ないんですが,ちょっと考えているところでございます。この点につきましては,そういった問題点があると。ただ,やはり阿部委員からも提起がありましたとおり,世の中,世界的な趨勢の中で,ITを利用した事務処理というのを無視するということはできませんので,それがある程度スムーズにいくという要請も当然あるでしょうから,法令の定めがある場合という例外規定を置くということ自体は,やむを得ないところがあるのかなということも私自身も思うんですけども,先ほど申し上げた点を意識しながら,なお検討していく必要があるのかなと私自身は思っております。

他の委員の方は意見ございませんでしょうか。

成瀬委員

今現在,オンライン結合による情報提供はなされているわけですか。要するに今でも10条で権利利益の侵害を防止するための措置が講じられている場合っていうのは要件になっているわけですよね。そうすると,実際には情報提供をしているということは,今問題になっているセキュリティ対策が執られていると判断しているから,現に提供しているということですよね。そうすると,法令に定めがあるものを除きというふうに例外規定を入れるかどうかだけが問題で,セキュリティ対策がとられているかどうかというのは,現行条例上も問題になっているということですね。

事務局

条例上は,個人の権利利益の侵害を防止するための措置が講じられている場合を除きということになっておりますので,その点から,セキュリティ対策の面でどうかという部分です。

成瀬委員

もちろんセキュリティ対策が不十分であれば,個人の権利利益の侵害を防止するための措置が講じられていないと判断するわけではないんですか。

 

だから,今問題になっている,私が聞きたいのは,セキュリティ対策がどうかということを問題にするのは,条例の改正の問題ではなくて,現在すでに問題になっているはずじゃないかということなんですね。条例改正,今,議論すべきなのは,例外規定を設ける意味というか,法令に定めがある場合は,一律に情報をオンライン結合で提供してもいいかという議論をしているのではないかと思うんですよ。法令に定めがある場合でも,さらにセキュリティ対策が十分でなければ,情報提供できないという規定にするのではあれば,条例改正する必要がなくって,たとえ法令に定めがあっても10条1項がかぶってくるので,セキュリティ対策が不十分であれば,例え法令に定めがあっても提供しないというふうになるんじゃないかなという気がするんです。そうではないんですか。

馬場会長

そういう意味では,そうでしょうね。

成瀬委員

今,何を議論しているか少し混乱していると思うんですね。ですから,例外規定を入れるというのは,まさにこれに当たる場合は一律に提供するっていうから例外規定なわけで,しかも,現行条例にすでにあるわけですよね。今一つはっきり分からなかったんですけどね。

馬場会長

私の問題の提起も少し混乱したかもしれませんけども。その辺をですね,法令の定めのある場合を除くということを入れれば,現在の条文にある個人の権利利益の侵害を防止するため措置が講じられている場合というのは,当然被っているわけですから,問題ないという御指摘はそのとおりかと思うんですけども,今までにない例外規定を置く場合に,その辺をきちっと整理を少なくともしておく必要があるだろうなという気はします。

成瀬委員

セキュリティ対策は,今までも,もちろん十分やっておかなければならないわけで,それは当たり前のことだと思うんですけど。今,現に情報を提供しているということは,今,提供している分については,少なくとも現段階では対策がとられているという判断を県庁としてやっているということですよね。自信をもってやっているわけじゃないんですか。

井坂委員

審査会の意見を求めるかどうかという問題なのであって,仮に,例えば成瀬先生が言っているようなことを言うならばですね,例えばこういうことだと思うんですね。除外規定は設けて,法令については一応ははずすけれども,場合によっては,こちらとしては口を出すという例外の例外を設けるか否かという形の議論になるだろうと。それが要るかどうかですね。法令に関して一律にお任せということに関して,おそらく阿部先生もかなり議論の余地があるのではないかと。おそらく,いくつかの私の乏しい知識で言うと,確かに上がってきて審査はすると。まあ,一言二言注意してねということをこちらとして答申に結合は妥当であると。一応必要があるから妥当であるが,こういった点に注意してねということを言う。こちらとして,確かに会長もおっしゃるように技術的能力の点もありまして,具体的にどうこうしろということに関しては,一応御注意申し上げるというところ以上のことはできていないということは,事実あるだろうと。それで十分かどうかということは,十分にやっていると県の側はおっしゃっているのだけど,こちらとして,おそらくそれほど十分に審査はできていないこともまた事実なんだということですね。それが,おそらく会長及び阿部先生がおっしゃった技術専門的なところについて,もうちょっと別個の組織があって,判定をするとか何とかといったことがいるのではないかという議論に繋がるのではないかと思うんですけども。

成瀬委員

実際に法令に定めがありといった場合に,具体的に想定されているのは何ですか。

事務局

今の段階では想定しているのは,住基ネットが想定されますけども,今後ですね,このような情報化社会に向けて,法令に定めて,オンライン結合をするとか,電子県庁の実現ですとか,電子政府ですとか,そういったことが今,取り上げられてますので,今後想定されてくるものについて,例外規定を設けたいという部分です。

村松委員

質問なんですけど,今の10条でですね,先ほど実施機関以外のものに提供しているというのは,どのくらいあるんですか。例えば,どういうところに提供しているのか,分かる範囲でいいんで,教えてください。

事務局

個人情報保護事務の手引きの202頁のほうになります。

今ちょっと簡単に申し上げますけども,こちらのほうが審査会の意見を聴いた上でということで,答申によって,10条2項の例外とされているものになります。概要を御紹介申し上げますと,旅券業務処理用端末システムということで,提供する個人情報の類型が,旅券発給申請者の情報ですね。提供先は,国の方へ提供しているということになります。2点目として,軽油流通情報管理システム,こちらの方は,石油製品販売業者等軽油を取り扱う個人事業主の情報ということで,国,各都道府県,委託先として,財団法人地方自治情報センターの方へ提供と。おおよそ,行政機関関係が多いんですけども,この類型で,今手引にありますのは6項目ですが,若干その後,手引作成後も何点か諮問のほうがございまして,答申により除外しているものもございますが,システムとしては大体そういったものが挙げられます。

成瀬委員

確認ですけど,法令に定めがある場合は,審査会の意見を聴かなくても構わないという改正をすることが前提になっていて,さらに加えて,権利利益の保護のための十分な措置がとられているかどうかということを残すかどうかということが争点になっているという理解でよろしいんですか。

事務局

はい,そのとおりです。

成瀬委員

そういう理解でよろしいんですね。

馬場会長

本件に関する論点というのは,ある程度出てきたかと思うんですけども,ここばかりをやっていると,全然できなくなってしまうものですから,申し訳ないんですけども,ある程度問題点を意識できたところで,最終的な取りまとめのところでその点は再度整理をしていきたいと思います。このオンライン結合の問題につきましてはこの程度にさせていいただきまして,次の検討項目に入りたいと思います。

次の検討項目は,未成年者の個人情報に対する親の開示請求をどうするかということになるかと思いますが,これについては,現在は本人が未成年者であるとき,ないしは成年被後見人の場合に,法定代理人にのみ代理請求を認めるという形になっていますが,これをもう少し整理をする必要があるという問題意識だと思います。この点については,意見は,どなたにまず口火を切っていただきますか。

村松委員

では,私の方からですが。提案というか,問題提起の理由としては,未成年者であっても,たとえ親,法定代理人だろうと思うんですが,であっても情報を知られたくない場合があるのではないかと。そこが個人情報保護の観点でどうなのかという問題提起だと思うんですが,それについて私もそれは子どもの成長に従って,どこで区切るかは別として,高年齢になればなるほど,二十歳に近づけば近づくほどという言い方のほうが,適切かと思いますが,そういうことを知られたくない場合があるだろうと。それで,運用でやるのか,条例を改正する方向でやるのかはさておきまして,その点は意思表示が可能と考えられる年齢以降については,本人請求を認めて,親を制限するという運用,もしくは改正ということが必要なんじゃないかというふうに考えてきました。ですので,そういう方向での,運用なり,改正については妥当だと考えてきました。

ですが,ここでちょっと私の方が整理ができていないのかもしれませんが,代理をどういうふうに考えるかという問題で,例えば個人情報保護法,法律でも条例でも何人といえどもという規定の仕方をしてるんですね。例えば民法レベルで言いますと,未成年者については親を通してしか法律的な行動はできないというふうな規定になっていることとの関係で,何人といえどもというようなところで,本人が例えば中学生,高校生若しくは18,19になったときに開示請求ができるのか,実際認めているのかということを確認したいかなということと,それから,理屈は分かるんですけども,具体的に子どもが親に,親権者に知られたくない情報というのは具体的には何を考えているのかというところ,その辺りをお聞きしたいと。

馬場会長

今の点,事務局としてはいかがですか。

事務局

まず,1点目なんですけども,未成年者本人からの開示請求ですけども,これは基本的に条例上は認められております。実際にですね,平成14年度の未成年者からの開示請求は6件ございました。これは,全く未成年者本人からということで,中身としましては,高校,大学入試の試験結果です。条例でも簡易開示制度というのがございまして,口頭でも開示請求ができるというのがあるんですが,この期間を経過して簡易開示制度では見れませんという内容のものがこの6件になります。その開示請求については,高校生,大学生がほとんどだったんですけども,ただ,未成年者本人といいましても,小学生とか,中学生,この辺の問題につきましては,実際実例はないんですけども,小学生の低学年くらいからの請求になれば,基本的には無能力者と考えられるのであれば,請求としては受理したとしても,民法上の親権者の規定ですとか,そういったものの関係から,親に確認をとった上で,請求をどうするかとかですね,そういったことが考えられるのかなと思っております。

あと親権者であっても知られたくない情報というものの例としてはですね,ちょっと確かにどういった情報があるかというと何個も列挙することはできないんですが,例えば,未成年者本人が親から虐待をされている場合で,児童相談所へ相談に行きましたといったような,親の了解もなしに児童相談所へ相談に行ったときの相談記録ですとか,児童相談所で措置されましたといった措置記録ですか,ケース記録といったものが想定されます。あと,センシティブ情報ということで,思想とか,信条ですとか,そういったものも実際,未成年者本人で,ある程度の年齢に達した方であれば,親に知られたくない部分は当然出てくるところがあるのかなというふうに考えております。以上でございます。

馬場会長

ありがとうございました。それでは,この未成年者の開示請求について,村松委員の意見については,15歳以上の場合は未成年者本人だけでいいのではないかといった意見でございますけども,結論的な意見としては,他の委員意見はございますか。

井坂委員

意見ではないんですが,ちょっと確認したいのは,任意代理が求められれれば問題はないと括弧書が書かれているところが,私の無能ゆえに文脈的によく分からなかったんで。これは何について何が認められれば問題がないという御趣旨での意見だったのか。

村松委員

例えば,10歳ぐらいで自分が手続的なことが面倒,煩雑かなというときにですね,親にやってもらいたいとか,親には知られたくないけども,誰か自分の気持ちが許せる人にやってもらう,専門的な人にというようなことがあれば,手続的にも不都合がないのではないかという趣旨です。ただ,この後の議論になるかと思うんですが,任意代理をどうするかという問題と繋がってくるかなというところでした。

井坂委員

つまり今のお話ですと,15歳以上は基本的に自分でやればよろしいと。それ未満の人についての問題についての括弧書と受け取ってよろしいのかと。

村松委員

いえ,全体を通してですけど。だから,子どもから直接,例えば弁護士を代理人として何か手続きをやってほしいということを認めるかどうかという,そういう問題に関連するかなということです。

あとですね,今,民法的な考え方でいくと全部親権者が,子どもの親権者誰それという委任状を出さないとダメなんですね。だから,子ども本人から私たちが委任状をもらって何かするということはできていない。ただ,ここの請求をするときにですね,子どもから直接,例えば弁護士に委任状を出せば,開示請求ができるという運用は可能ですよということになれば,親を度外視してやれるということです。それで,手続的にも何ら不都合はないのではと。普通は,どのようしてやればよいかが分からないことで,子どもが断念することが多いのではないかということを想定しただけなんです。

井坂委員

どうもよく分からないんですね。つまり極論しますと,親だって大概のことはできないわけですね,法的なことは。つまり能力的なことで言えば。法律的な知識もない,こんなことは怖くてできない,あるいは,ほとんどこんな制度知らない。それならば,無論,任意代理が必要だということは,別の文脈での問題のような気がするんですが。それとどう関係するのかは今ひとつ未だによく分からないということは残っているんですけども,これ以上長くやってもしょうがないので。後で私のところで述べるところのイントロとして述べさせていただきますけども,親との関係での利益相反に関することは考えなければならないということをまず一点。これはむしろ委員の方々よりも,事務局に対して次に言わなければならないんですが,その問題に関して言いますと,これは未成年代理の問題だけではなくて,むしろ成年後見の問題の際にも問題になってくるのではないかということもあるのではないかと。それはここの未成年者に関する法定代理請求とは関係はないことですが,いわゆる法定代理といった場合について,未成年者の場合だけを眼中にしておいていいのかなということについて,後からの話のイントロとして述べさせていただきました。

馬場会長

ありがとうございます。それでは,未成年者の問題は,今回はこの程度でよろしゅうございますか。

村松委員

規定の仕方なんですが,資料の中に東京都の場合はちょっと逆転しているかなと。本人確認をしている運用として,例えば親権者が単独で開示請求をしたと。そういう問題,まあセンシティブ情報かもしれませんけども,東京都では確か15歳以上の場合には,本人にも確認している。本人に開示請求がきているけども,あなたは異論がないですかといったみたいに確認しています。だけど,そうすると親に知られたくないということはそれでも達するのかもしれませんが,そこまで本人の情報は本人のものという考え方を徹するのであれば,条例で今は未成年者,成年被後見人の場合は法定代理人でもできるという規定になっておりますけども,そこのところを考えるのであれば,考え方としては条例上15歳未満の未成年者について親ができるという形での限定ができるのかなと考えたんです。運用でやるのか,条例上もきちっと載せるのかというのは,方向性がOKとしても,論点になるのかなと思いました。

馬場会長

それでは,論点の指摘をいただいたところでですね,申し訳ないですが,これもこの程度にさせていただきたいと思います。

次の検討項目に移りたいと思いますが,次は死者の個人情報の開示請求ですね。これを遺族等の関係者に開示請求を認めるかというのが検討項目になっていますが,これについては…。

村松委員

はい。理屈の上からは,死者の権利義務については,相続人が全て権利義務を包括承継するということになっていますよね。そういう観点からいっても,法定相続人には開示を許すべきではないかと考えております。ただ,その範囲は,あまりにも拡大する必要はなく,本当に相続の範囲ぐらいで認めればいいのではないかと。そうですね,妻子が具体的に相続する場合は,その他の親とか,兄弟などには開示をしなくてもいいかなと私は考えてきたんですが,いかがでしょう。

馬場会長

この点は,他の委員はいかがでしょう。村松委員の意見は,相続人に限定すれば十分だろうということですよね。

相続人ではないですけども,一番問題になるかなと思うのは,内縁の妻とかですね,戸籍上入ってない人はどうするかという問題も多少考えておかなければならないかなと思いますが,いかがでしょうね。

村松委員

そうですね。失礼しました。内縁の妻も入れたほうがいいかなと。内縁関係でかなり保護されている部分がありますよね。ですので,その必要性はあるのかと思います。そこもプラスして。

井坂委員

それについては,私もそう思ったところもあるんですが,村松先生が書いているところにひっかかるんですが,資格の確認ということに関しては,これは一体,私も若干は聞いたことがあるんですが,一体どういうふうに現実の,むしろこれは法的にいうと,バッサリと内縁の関係というのは切れることがあるんですが,むしろ行政実務の中で,各種の手当て,年金・恩給支給等でむしろ問題になってくると思いますが,どういった確認をしているのか分からないんですが。その辺の事務的な運用というか,手続き上の事務の負担についてはどうなのかと。

馬場会長

これは事務局では分かりますか。ちょっと部局が離れているので,なかなかすぐには分からないと思いますが。この点については,どうでしょう。市町村課なりがよく分かることなんでしょか。

事務局

例えば,児童扶養手当の支給などの場合は,内縁の関係もあるんですが,確か民生委員とか,そういった方の証明ですとか,そういった方法で確認することはありますね。他にもあったかと思いますけども。

馬場会長

次回までに分かる範囲で結構ですが,調べておいていただければと思います。

それでは,方向性としては,これは相続人ないしはそれに非常に準ずる範囲の者には認めるという方向性ということでよろしゅうございますね。はい,それではこの点はこの程度にさせていただきたいと思います。

次は検討項目6-3ということになりますが,これは現在,開示請求については任意代理が認められていないわけですけども,弁護士とか,医者とかですね,法律的に守秘義務が課せられている者について,どの範囲でというのも議論にはなるのかもしれませんけども,任意代理を認めてもいいのではないだろうかということが検討項目に入っていますが,この点についてはいかがでしょうか。

井坂委員

私が即座に感じた疑問的なところからいろいろあります。まず第1にですね,7月14日にもらった資料の4の5ページの上のところに,任意代理の開示請求についてということで,内容の1はともかく,2のところにですね,守秘義務が課せられている者が,弁護士,医師等がその職務に基づき代理人として開示請求を行う場合とあったんですけども,私にはよく分からなかったんです。例えば弁護士が代理人として選任されていて,請求をするということであれば,これは後ろの方の任意代理の一つの対応で,単に弁護士が代理人として選ばれてやっているというだけのことではないのか。何か弁護士が当然に本人の代理になるという,無論,破産管財人とか一定の場合を考えないではなかったのですが,そのようなレアなケースを考えているのかなと思ったのですが,あまりピンとこなかった。それ以上にピンとこなかったのは,医者がその職務に基づき代理人として活動する場合というのは,そもそもあるのでしょうか。よく分からなかった。ここで言っているのは,病院に入院していて,お医者さんお願いします,自分の情報をとってきてくださいというようなことを意味するならば,それは医者が任意代理になるだけという話にすぎない。医者が何か法的に,あるいは契約か何かであるかもしれませんけども,そのような形で本人の代理人となるという活動をするというのが法的にあるのか,ここのところがよく見ると腑に落ちず,私にはよく分からなかった。私なりに考えると,医者というのは往々にして,私が若干の経験のところから見ましても,患者とは個人情報の開示請求に関しては,利害が相反する関係に立つ場合が多いというふうに思われて,なぜこのようなことが言えるのか。当然守秘義務があるからOKみたいな議論になるのかなということが,すごく分からなかったわけであります。その守秘義務云々の問題と代理権付与の問題というのは,なぜ吟味するのか,無論,後で述べるように個人情報だからそうなのだという議論もあり得るでしょうけども,であったとしても,私は医者というものをここで挙げる理由が分からなかった。たぶん事務局で何か考えておられたんでしょうけども,追認できなかったということです。最初のあたりの2つに書いてあることは,そういうことです。

私は所詮,結果的に任意代理を認めるか否かの問題及び誰に任意代理人たる資格を認めるのか,ただの普通の人でも可か。それとも一定の有資格者に限定すべきかという問題ではないかと思われました。

行政手続法のことをそこに書いてありました。聴聞手続きにおける16条及び該当の手続条例などに関しましては,代理人資格に関しまして縛りがございません。同じ行政上の手続ということであるならば,そのような手続に縛り無しという運用も可能であり,資料としていただいた他の自治体の条例なども,どうやら同様の考え方に立っていると思われますが,そこに書いてありますように,無論この手続きの特異性から見て,別異の扱いの可能性はあると。そのときに登場させていいのは,医者ではなく,弁護士だろうというふうに想定させていただきました。あるいは,司法書士,行政書士等一定の者までは考えられますが,医者というものに非常に違和感を感じました。

それで,当然書面による資格代理証明は,行政手続法でも要請されておりますので,当然必要と思われます。これは誰を任意代理人として認めても当然です。特に次のところなんですが個人情報を扱うという関係上,本人請求を基本とすべきであると。私は,法定代理に関しても相当やばいという立場をとっておりますので,どうしても,やむを得ずという事情がある場合に限定すべきではなかろうかと。それら以外にどういう場合があるのかなと,医者の話も出てきたんですけども,どういうことを想定しているのかなと。つまり先ほど見ていただきました資料の4の5ページの2を見ますと,代理人として開示請求を行う場合及びやむを得ない理由と,私はその及び以下のところしか考えられないと思うんですが,及びという表現をしている以上,前のほうではそういう場合ではないけどOKだという場合を想定されているのかもしれないと。もしそうであるならば,どういう事例なのかをお教え願えれば幸いです。

罰則云々は,これは単に暴走した結果だと思うんですけども,ここまで設けるのかは難しいんですが,次に書いてあることに関連します。やはりやばい情報を扱うということになりますと,弁護士に関しては団体自治による懲戒というものにある程度,私,信用をおくという立場をとらせていただきます。めったなことをしていただいた場合には,当然いろいろな不利益が法的に加えられるということを前提とすれば,そのような者に限定するという考え方もあり得るのではなかろうか。ただし,2人の弁護士を前にして勇気のいる発言かもしれませんが,非常に制度として使いにくくなると思います。それを承知でそうするか。ある程度使い勝手をよくすると危険が増すという相関関係に立つものだろうと思います。この点については,ある種の政治的判断というか,最終的に線を引いて,どちらにしても弊害を消す方向で考えるということになるだろうと。私はどちらをとるべきだということではなくて,こうではないかということだけを述べさせていただくということにします。

馬場会長

はい,ありがとうございます。今,井坂先生から方向性としては,どういった範囲の人間を認めるかということについて,医師についてはかなりの疑問を提起されたわけですが,事務局ではこの医師はどういった場合を想定して検討対象にしたのか,説明できればお願いします。

事務局

はい。事例を想定してというわけでは特段なかったんですが,任意代理を認める場合として考えられるときというのが,守秘義務が課せられている者に対して任意代理を認めれば,個人情報保護制度上では,個人の権利利益の侵害の防止を図るということから,広く代理を認めるのではなく,守秘義務が課せられている者には代理を認めてもよろしいのかなというふうな考え方に立つもので,例示としてですね,弁護士,医師等ということで,行政書士とか,公務員とかもそうなりますが,そういうものを例示として挙げておりました。事例として想定していたのは,医師ではありませんが,弁護士のほうに訴訟のほうの何らかの依頼をしたときに,その業務の関連としまして,行政機関の方に開示請求をして私の情報をもらってきてくださいといったようなことはありかなといった事例を考えていたものです。医師関係については,事例までは想定しておりませんでした。申し訳ございません。

成瀬委員

そこでいう守秘義務というのは,どういったものですか。職務上知り得た秘密ではなくてということですか。

事務局

こちらで想定していましたのは,職務上の範囲で依頼されたものです。

成瀬委員

医師が開示請求して知り得たものは,職務上知り得た事実になるんですかね。解釈として,そういうことを認める人もいるかもしれませんけども,どうなんでしょう。

事務局

守秘義務が課せられている例示を考えたときに,単純に机上で考えられうる限りのものをですね,ここに例示したということだと思うんです。確かに医師ということで,具体例を挙げろといわれても,たぶん具体的には挙がってこないというふうには思われますので,医師が適切な記述かどうかというのは,そうではないと思います。それと,井坂委員がおっしゃった意見の中でそうかなと思われるのは,現在の運用上も自己情報の開示請求ということで,個人情報を確かに本人に返してやらなければならないという使命は,我々は持っているところでございます。現在は,本人確認というものを重きにおきまして,身障者であったり,入院しているときは診断書をとれとか,かなり厳しい条件をもって,郵送の開示請求を例外的に認めているということでございまして,逆にいうと,本人確認ができないものについては,自己情報開示請求は極力認めていないという現状がございます。それに対して,任意代理人をどこまで認めるのかというのは,やはり頭の痛い問題でございまして,代理で来ましたとしても,確かに本人から委任を受けてきたのかという部分もかなりあるわけです。その辺の危険性との兼ね合いで,どこまで任意代理を認めるか,極論として認めないのかといった部分は,やはり検討の余地があるのかなというふうに思っておりました。以上でございます。

馬場会長

それから,井坂委員からの問題提起の中にもあると思いますが,その点についてはどの範囲のことを想定されたのかもう一度お聞きする必要はあるかと思いますけども,事務局の方で弁護士に任意代理権を認めるという場合なんですが,これは現にその人が何らかの事件を受任しておいて,その仕事に関連して個人情報を必要とする場合に委任を受けて取得する場合を想定されているのか,そうではなく,特別な事件としては受任していないけども,手続も大変だし,病気などで行けないなどの場合に,事件とは関係なく本人が自己情報を取りたいんだけども取れないという場合に,そのことだけに弁護士に頼むことも想定されているのか,その辺はどうですか。

事務局

後者のほうは,想定しておりません。あくまでも弁護士等の扱う事件等の過程の中でということで想定しておりました。

井坂委員

そのような場合に,どの程度個人情報開示請求が必要なのかにつきましては,私としては,発言の資格がないなと。というのは,割とそのような何らかの事件に関することを受けてなら,弁護士の方々には別途,個人情報開示請求とは別個の方法で様々な情報取得手段がある場合もあるだろうと。つまり,具体の訴訟になっておりますと,訴訟上の形での証拠等提出命令制度等の利用であって,これを使わなければならないのは,おそらく訴訟になる前の段階ということなんでしょうが,その辺は蛇の道は蛇ということで,弁護士にはいろいろなことがあるのかもしれないなと思いつつ,ただ,それについて,もし必要があるならば,それについては認められるのは構わないのかもしれないと思っております。とすると,他の場合に誰にどの程度ということですね,誰でもいいのか,やはりその他の場合でも弁護士に限定するのかといったような議論はしなければならないかなということだけです。

村松委員

質問なんですが,規定しなければ任意代理が認められないっていうのは間違いなんだろうと思うんですよ。任意代理はそもそも規定の有無に関わらず認められてしかるべきではないかと。ただ,宮城県の個人情報保護条例の開示制度は,法律に先行してできたから,その範囲で代理人を認めない運用を是ということが有りだったかもしれません。個人情報保護法で法律として何人もという形で規定され,それからプラスして法定代理人もすることができると規定された形に国法としてなった以上,これは任意代理が当然にできるだろうと私は思っていたんですよ。それで,できないことの制限はあるのかなと私もちょっと調べたんですが,井坂先生がおっしゃたように,行政手続法でも聴聞の機会には代理人を選任することができるということになっていて,そこのところは別に資格制限はないわけですよね。行政事件訴訟法では,民事訴訟の例によるとなっていて,民訴ではどうなっているかというと,当事者能力と訴訟能力と法定代理とか民法の例によるというふうになってるんですよね。そういう理屈からいくと,未成年者は法定代理人によらなければ訴訟行為はできないという形で規定されているものだから,宮城県が任意代理を認める,認めないを議論する必要は全くないのかなという気がしてたんですが。

井坂委員

私があえて出しました行政手続法の規定が任意代理に関する規定をおいているということは,行政手続におきまして,代理人の選任ができるというのは頭にはないと。まさに16条の規定は創設的規定であり,かつ,弁護士でなくてもよいという点で特異性があるのかもしれない。そのような規定であると思われて,おそらく考えると,他の場合において,本人ができるなら代理人にやらせるのも本人の自由でしょという発想が行政法関係法規にはなってないんだと思います。であるから,本人ができるというふうに書いてあるのであるから,当然本人が自分の意志で任意代理人を選んだならば,その者にやらせて何がおかしいのですかという議論ではないと思います。おそらく,極論しますと現行法の行政機関個人情報保護法に関していうと,ここのところに関して規定がない。ということは,おそらく国法のレベルでの任意代理というのは,反対解釈的に認められない可能性が高いのではないかと思われます。そこについて,あえて他県条例と同様に任意代理の規定を入れるのかどうかということだと私は理解しました。

馬場会長

14条の規定上の従前の解釈としては,任意代理は認めないという理解は当然の前提にされてきてたと思います。ただ,あえて村松先生の問題提起を受けると,何も特に書いてはいないと言われればそのとおりであって,そうすると民法の原則かという疑問も当然にあり得ると思うんですけども,今,井坂先生がおっしゃったことと同じことになりますけども,14条2項で未成年者ないしは成年被後見人については法定代理で開示請求することができるという規定をあえておいているということがですね,任意代理を認めないという反対解釈に繋がるところだったのかなと思われるんですけども。ですから,個人情報保護条例の場合における任意代理の取扱いと,個人情報保護法がどういった思想であるのかということについては,再度我々の内部でも検討してみたいと思います。調べないでお互い意見を言い合っても結論はでませんので,その辺は確認したいと思います。

それでは,この点については,井坂先生の御意見としては,任意代理を認めるとしても,弁護士に限定し,かつ,事務局の説明によれば具体的な事件に関連することだけという範囲でならばということでよろしいですか。

井坂委員

いや,先ほど言ったようにそうではありません。私は事務局の言ったような場合にも限定せずに,事故等で来られないような人が弁護士に頼むということも含んで,弁護士に限定するというやり方が一つ有りだろう。あるいは,他の条例のように,行政手続法の規定と同じように資格制限を認めない,誰でもよいというふうにすることも無論考慮できる。ただ,その時は,いろいろと弊害があり得るので,それについていくつか考えた手を打たなければならないかなということです。無論,弁護士を付けるということになると負担が大きくなりますけども,それについての手当もいるのかもしれません。どちらかかなと考えていると。結論は私にはありません。

馬場会長

むしろ広げる方向で,ただし,どのように限定するかということは必ずしもまだ確定的にはなっていないということですね。そうしますと,具体的な事件に必ずこだわらないで広げる,ないしは有資格者以外にも広げるというのも一定の制限を加えながら考える必要があるのではないかという方向での御意見かと思います。

他の委員は,そういった方向性という意味ではどうでしょうか?

やはり,きちっとした理由はあると思うんですよ。個人の情報をみだりに他人に取得させるべきではないということがあるので,任意代理を原則全く認めないと。これは本当にそれでいいのかというのは,今,村松先生から提起されたわけですが,

発想はあったと思います。

それでは,この点については,現段階では一定の方向性というわけには行かないようですので,なお提起された問題について,それぞれの意見を委員の方でさらに検討して,次回の検討の際にははっきりした方向性を決めなければなりませんので,よろしく御検討をお願いします。

それでは,時間の関係もございますので,次の検討項目に移らさせていただきたいと思います。次は開示決定を受けたときに,いつまでに本人がその開示を受けるかということについて,現在の17条では期間制限がないですね。これに期間制限を設けるかどうかということですが,これについてはいかがでしょうか。

阿部委員

結論から申し上げます。まず,1番目に開示決定通知の一定期間経過後の失効規定は条例に盛り込んでもいいと考えました。一定期間というのは何日とするかはまたみなさんで議論していただければいいかなと思います。それと,ただ一定期間というものを設けたとしても,開示請求者には特別な事情,例えばどうしても来られなかったという入院等の事情があると思いますので,開示を受けられないことも想定されるために,例外規定を設けるべきだと考えました。一定期間を置くことや例外規定を置くことによって,請求者の権利は保障されると考えます。もう一つ,情報公開条例というものがありまして,そちらのほうと個人情報保護条例との整合性について検討すべき余地があるのではないかというふうに考えました。以上です。

馬場会長

ありがとうございます。今,阿部委員から情報公開条例との関係も整理する必要があるのではないかとの問題提起があったわけなんですが,この点は,情報公開条例ではどのようになっておりますか。

事務局

規定は現在は同じです。失効期間は特にありません。

馬場会長

一定の期間制限というのを設けるということについては,考える必要があるという阿部委員の御意見だったんですけども,これについては他の委員はどうでしょうか。

これは,開示決定について期間制限を設けて,それを過ぎてしまえば,その後で再度開示請求を受けるということが想定されているのでしょうか。

事務局

再度請求は妨げませんので,想定しております。

成瀬委員

この失効期間の規定を新たに盛り込もうというのは,やはり県庁側の仕事を楽にしようということですか。実際に取りに来ない人はいるんですか。

事務局

そんなに事例があるわけではないんですが,取りに来ない事例というのはございます。しかも,大量の全庁的な請求でですね,長期間見に来ていないという事例はございます。

あと,付け足しでなんですが,県庁の仕事というわけではなくてですね,個人情報という保有している情報の性質上,いつまでも開示を受けに来ないとなると,条例上も適正管理という規定がございまして,随時最新の情報に更新していくということもありまして,今回,後にもありますけども訂正請求,利用停止請求といった一連の本人関与を構成する3つの請求権が関連してきますけども,訂正請求につきましても,今の条例上も開示前置主義ということで,開示を受けなければならないというのがありますし,利用停止請求もその後の検討ですけども,開示前置主義というものをとればですね,開示を受けなければ,いずれ訂正も利用停止もできない,前置主義をとればですけども,そういう一連の要素がありまして,開示を受けることによって初めてそういった請求権としても確立してくる部分,個人情報の性質上もですね,いつまでも放置するということは問題になりますので,そういった意味から何日以内ということで,開示を受けに来なければ,開示は受けられませんといった失効規定を設ける必要があるのではないかという検討から,こちらのほうの項目に挙げさせていただいているという趣旨でございます。

井坂委員

自らの無知をさらすようで申し訳ないですが,情報公開条例はこうなっているというのはすでに手元にありますが,情報公開法はたぶんなかったんではないかと記憶しているんですが,それで今,事務局から説明があったのは同じ情報であっても個人情報であるということ特殊性からの扱いの違いから正当化されると。おそらく,国の法律もそのことを考えた上で,違った扱いにしているというような理解があるんじゃないかと思うんですが,そのように考えて良いんですか。

事務局

資料の5番の12ページなんですけども,まず,行政機関個人情報保護法の取扱いなんですが,12頁の法律のところですが,法律上は24条第4項に30日以内に開示の実施の方法等政令で定める事項を行政機関に申し出なければならないというふうになっておりまして,この申出が30日以内になければ,開示決定は失効するという形になると思います。この規定については,情報公開法自体も同様に,このように規定されております。法律としては,今,私の方からも,情報の性質が異なる,個人情報の性質上ということを申し上げましたけども,それは今回の検討項目に出させていただいた要素,論点の一つとして説明させていただいたということになります。その他にもいろいろ要点としてはありますが,概要として申し上げさせていただいたということです。以上です。

馬場会長

それでは,この点につきましては,期間をどうするのかという問題はさらにあるわけですが,一定の期間制限を設けるということでよろしゅうございますか。そういった方向性を確認させていただきまして,次に移りたいと思います。

次に移る前に,これは全く検討項目にないことだと思いますが,一旦開示を受けて,その後,同じ内容について開示請求をするケースというのも,過去にはあったと思いますが,これについては特にどうするかというのは検討項目には入れられてないですよね。

事務局

具体的な検討項目には入ってございません。ただ,自己情報開示請求をするときに,個人の情報が正確かどうかという確認をするという目的が一番だと思うんですよね。そうすると,一度情報を確認したからといって,同じ情報がそのまま保たれるというふうなことは言えないだろうと。このことからすると,自己情報開示請求を再度することについて,妨げることになれば,本人が自分の情報が正確かどうかという確認をする手段を削ぐことになりますので,再度自己情報開示請求をすることは必要なのではないかということから,盛り込まなかったわけです。以上でございます。

馬場会長

分かりました。ただ,過去の例では問題のあったケースもあったものですから。

とはいえ,どんな制度でも利用の仕方によっていろんな問題が発生し,それをいちいち阻止するということは不可能なこともありますので,やはり本来の趣旨を生かす方向で考えておくべきかと思いますが,一応そういった問題もあるというのは念頭に置いておきたいと思います。

それでは,次の開示請求について,原則的に開示できないけれども,一定の公益上の必要性がある場合に,裁量的な開示ということを検討すべきではないかということで提起されているわけですけども,この点についてはいかがでしょうか。

井坂委員

裁量開示に関しましては,非常に難しいのは,まず最初にですね,おそらく法律がそうなっている以上はということなんだろうと思うんですけども,先ほど会長の言ったことと若干違いますが,情報公開法及び条例の場合につきましては,公益上の必要による裁量開示ということでありますので,これは場合によっては一部の人の権利を犠牲にしても,このことを知らせなければならないというようなことが考えられたわけですが,法律及び他県の条例等を見ても,個人の権利利益を保護するため特に必要がある場合に裁量開示をするということになるだろうと。これについては,言葉の上から言うと確かにごもっともでありますし,国の法律もそうなっており,他のところもそうだということならば,それに合わせるという必要はあるのかもしれません。ただ,情報公開の場合の公益上必要がある場合ということであれば,まさにカイワレ大根の件も含めて,いろいろ考えようと思えば,考えられたと思われるんですが,適切な事例がなかなか思いつかないというのは,非常に大きな問題。あえて情報公開法の精神を一般化すれば,行政に説明責任があると。なぜこの規定を作ろうとしているのかということにつき,当然,各方面に説明しなければならないんですが,こういうことがあるから必要なんですよということの説明が非常に難しいと。あるのは,国の法律がこうなっているから合わさせていただきました,他もそうなっているので,あまり使われないでしょうけども,あってもいいのではということなのかもしれません。特に,これは私が後で非開示事由のところで,国法の14条は,個人の権利利益を保護する場合にはこの限りにあらず的な規定をいくつかの非開示情報に,例えば法律の14条2号のロ及び3号のただし書という形でですね,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,開示することが必要と認められる情報は,あらかじめ非開示情報からはずされているということになっております。したがって,非常に出番の想定が,国の法律を前提にするとさらに難しくなりつつあると。無論,いくつか考えられなくはないのかもしれませんけども,なかなかうまいことが思いつかないように思います。最後は,制度をつくる場合につきましては,当然第三者,その他及びもう一つ考えられるのは行政上の様々な事務上の利益,行政の事務執行上の利益を犠牲にしてでも開示しなければならないという場合でありますので,そのような犠牲にされる利益,特に個人の利益が犠牲にされる場合における対処が必要であるということで,私が後で関連してやらされている第三者照会の制度というものが,これには必然的に結合せざるを得ないというふうには考えられます。あまりないんですが,このようなところです。

馬場会長

そうしますと,井坂委員の最終的な結論的な意見としては,まだ結論は出せてないと考えたほうがよろしいのかもしれませんけども,裁量的開示を認める理由は見つからないと,こういうことですか。

井坂委員

要するに見つからないというのではなくて,私の能力では想定される事例がどういうものがあるのかが,なかなか分かりにくいというだけです。ただ,私の基本的立場としては,別にあっても構わないということは言えると思います。

馬場会長

この検討項目について,他の委員の御意見はいかがでしょうか。

今,井坂委員が言われましたように,実際にはかなりいろんなところで開示できる場合があり得るわけなので,やはり具体的になるほどそう言う場合かというのが思いつかないと,意見の言いようがないと言うのはよく分かるんですけども。

この辺は,開示できる場合,できない場合というのは,本条例は14条でそれを決めている訳ですけども,その辺及びその他の関連する法令の規定ぶりですとか,そういったものとももう少し検討をして,結論を導いていく必要があるのかなと思いますので,この点については,今日はこの程度にさせていただく以外にないだろうと思います。

実は次の検討項目は,非開示基準の見直しという部分なんですけども,これはかなりボリュームがありますので,ここでこれに入ってしまいますと,審査会の時間が大幅にオーバーしてしまうことになりますので,目標の11番目までは全く及ばなかったんですが,今日の審査会は7-2までと,ここまで検討の対象にさせていただいたということで,本日は終わらせていただきたいと思います。よろしゅうございますね。特にあえて7-2に関して,ここで一言言っておきたいと言う方があれば,ここで御意見を募りますけども。ございませんか。なければ,今日の審査会はこれで終了させていただきたいと思います。

どうも御苦労様でございました。

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