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掲載日:2012年9月10日

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第66回宮城県個人情報保護審査会会議録

第66回個人情報保護審査会会議録(公開で審議を行った部分)

  1. 日時:平成15年8月26日(火曜日)午前9時30分から正午まで
  2. 場所:宮城県行政庁舎11階 第二会議室
  3. 出席委員:馬場会長,成瀬委員,阿部委員,村松委員,井坂委員
  4. 議題:個人情報保護条例の一部改正についての実施機関からの意見聴取及び審議

第66回個人情報保護審査会会議録の表

発言者 内容

馬場会長

定刻になりましたので,本日の個人情報保護審査会を開催いたします。条例の改正ということで,知事の方から我々の審査会に意見を求められているわけですが,検討事項は多岐に渡っているわけですが,その中で新たな実施機関,警察関係を入れるですとか,職員の人事情報については開示請求の対象に入っていないということでしたが,そういったものについても検討するということで,検討項目に入っているわけですが,その審議するに当たっての資料を必要とするということで,関係機関の実情とか,ないしは意見というものを伺っております。それで,前回は人事課の方から意見を伺ったわけですが,本日は警察本部からの意見をいただけるということになっております。また,教育庁教職員課から,教職員の情報ということでお話をいただく予定になっています。県警本部の方は予定としては9時30分から10時20分くらいまでということですが,事前に人事委員会の方の調整をお願いしていましたが,これはいかがでしょうか。

事務局

人事委員会からは,人事制度については,人事課がすでに意見聴取を受けていること,また,開示請求,訂正請求の対象となっても,現行条例の訂正請求の規定や他法令との調整の規定がそのまま適用されるのであれば,別に申し述べる必要はないことから,意見聴取は必要がない旨,事務方から話がありました。事務局としては,人事の救済制度についての概要を知りたい旨話したところ,別紙のとおり資料14として提出がありましたので,後ほど目を通していただきたいと思います。

馬場会長

分かりました。それでは,早速,県警本部の方からの意見を聴取したいと思いますので,県警本部の方に入室していただいてください。

(県警本部職員入室)

馬場会長

本日はどうも御苦労様でございます。今日は当審査会で県警本部の方から御意見をいただくということで,おいでいただきました。まず,委員の紹介をさせていただきたいと思います。こちらから,阿部委員でございます。成瀬委員でございます。井坂委員でございます。それから,村松委員でございます。私,会長の馬場でございます。よろしくお願いします。

説明をいただく前に,県警の方にも御紹介をお願いしたいと思います。

警察本部

私,警務部長の藤村でございます。こちらが県民応接課長の橋本でございます。こちらが県民応接課の安井課長補佐でございます。

馬場会長

どうもありがとうございました。それでは,事務局の方から伝わっていると思いますが,知事から当審査会へ,実施機関として,公安委員会,県警本部長を加えるということについての検討ということで意見を求められています。それにつきまして,我々の検討の資料にしたいと思いまして,県警の事務というものにどのような内容のものがあるか,ないしは組織を含めてお話いただきたいと思います。また,実施機関に入った場合,入ることの良し悪しということもあると思いますが,そもそも,どんな問題が発生するとお考えなのか,そのあたりのお話をお聴かせ願えればと思います。それでは早速ですが,よろしくお願いいたします,

警察本部

それでは説明させていただきます。お手元の資料の13ですか,要旨というものが配布されていると思います。それと資料の1から4が配布されているかと思いますが,そちらに基づきまして御説明をさせていただきます。

本日は県公安委員会,そして県警察の組織や全国警察との関係,あるいは犯罪捜査をはじめとします,警察活動の特殊性等について説明申し上げまして,個人情報保護制度の実施機関に私どもが加わるに際しての必要な措置等についての考え方を申し上げたいと思います。

なお,私ども県警察といたしましては,法律の制定を機に,個人情報を取り扱う事務や保有する情報等の実態について,警察署を含むすべての所属を対象に,現在,調査をしているところでありますが,相当数の事務や情報が対象となりますことから,現時点におきましては,その整理にはまだ至っていないということをあらかじめ御理解いただきたいと思います。

まず,第1の現状等についてであります。はじめに,個人情報の保護に関する私どもの基本的な認識について申し上げます。

行政,あるいは民間における個人情報の取扱いに関しては,IT化の進展に伴い,総国民的に利用が拡大されており,その保護をより徹底していくべき状況にあるものと理解しており,私どもとしても個人情報保護の重要性を深く認識しているところであります。また,先般,個人情報保護関連5法が制定され,このうち行政機関法におきましては,国家公安委員会及び警察庁を含むすべての行政機関を対象として,現行制度の全面的な見直しにより,個人情報保護に関する制度が充実されたところであると承知しております。

さらに,基本法では地方公共団体としての責務が定められ,本県におきましても,改めて県としての保護制度の充実を図るために,今回,条例改正の検討が加えられたものであり,私どもといたしましても,その必要性についても理解しているところであります。

さて,県警察で保有しております個人情報の保護に関しましては,現在のところ,警察の組織,また,犯罪捜査等,警察活動の特殊性から,現行条例の実施機関から除かれているものでありますが,保有する電子計算機処理に係る個人情報の取扱いに関しては,国家公安委員会規則において,安全性や正確性の確保,利用・提供の制限,警察職員の義務等が規定されているところであります。

しかしながら,この規則は電算情報に限って対象としておりますことなどから,県警察としまして,関連5法の制定を機に,改めて保有する個人情報の保護に関する事項の明確化を図り,その適切な取扱いを確保するべきであると判断し,その方向性をもって,前向きに検討を始めたところであります。

このような考え方に立って,現在,保有情報の調査を進めているところでありますが,警察組織あるいは警察活動に関しましては,現在においても,さらには今後将来におきましても,その特殊性が伴うものでありますことから,私どもが条例の実施機関に加わる際には,それぞれの規定について,制度上の配慮がなされることが必要であると考えております。

続きまして,第2の警察組織等について御説明申し上げます。お手元の資料1,2,3,4とございますが,こちらに基づいて説明をいたします。

まず,資料1でございますが,警察庁を含む警察機構と警察法に定められております都道府県警察の相互協力の関係について,概略的に整理したものであります。資料2は,県警察の組織について整理をしたものでございます。

資料3は関係法令等を抜粋したものであります。

まず,資料1でございますが,初めに警察の責務ということで,これについては警察法2条1項に規定してございます。「個人の生命,身体及び財産の保護に任じ,犯罪の予防,鎮圧及び捜査,被疑者の逮捕,交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たること」が警察の責務とされております。

続きまして,その下の段の警察機構であります。国におきましては,内閣総理大臣の所轄の下に国家公安委員会が設置され,その管理の下に警察庁が設置されております。県におきましては,知事の所轄の下に県公安委員会が設置されておりまして,その管理の下に県警察本部が設置されておるところであります。

国と県の関係でありますが,警察法第16条第2項によりまして,警察庁長官は都道府県警察を指揮監督することとされております。また,こちらの資料には記載しておりませんが,県警察本部の長であります警察本部長,これは警察法第50条によりまして,国家公安委員会が県公安委員会の同意を得て任免することとされております。また,県警察におきまして,警視正以上の階級にある警察職員,これは地方警務官と呼ばれておりまして,警察本部の部長等がそれに当たるわけですが,警察法によりまして国家公務員とされておりまして,警察本部長と同様,国家公安委員会が県公安委員会の同意を得て任命することとされております。

続きまして,都道府県警察の相互協力等についてでございますけれども,こちらの方に書いてございますけれども,都道府県警察は,都道府県の機関として設置され,それぞれの都道府県の管内の警察責務を果たすものでありますが,広域組織犯罪,外国人犯罪等,事象の広域化・国際化等に対応するため,相互に密接な連携を取りながら共同で処理し,又は管轄区域外にも権限を及ぼすこととなっております。

続きまして,資料2でございます。県警察の組織でございますが,県公安委員会の管理の下に警察本部が設置されまして,それぞれ県内の区域を管轄します25の警察署が設置されております。また,警察本部の内部組織としまして,図表のとおり部制が置かれておりまして,それぞれに設置する課や執行隊によって,事務が分掌されているものであります。

そして,警察署につきましても,それぞれに課が設置されておりまして,警察本部の部制に対応した事務を処理しているものであり,地域における現場活動の第一線を担う交番・駐在所等が警察署の下部機構として設置されているものであります。

ただいま御説明申し上げました県警察の組織の設置根拠となります警察法等の関係規定,それから警察本部に置く課ごとの所掌事務につきまして定める宮城県公安委員会規則につきまして,資料3,4に抜粋をしておりますので,以後の御検討の参考にしていただければと思います。

続きまして,警察業務の特殊性ということについて御説明申し上げたいと思います。先ほど申し上げました警察の責務につきましては,警察法第2条第1項に規定されておるわけでありますが,これを一言で申しますと治安の維持ということになります。この治安の維持というものは,社会全体の平穏と健全な発展の前提となるものでございまして,いわば国の根幹に関わるものでありまして,この責務に任ずる警察業務は,本来的に地方的性格と併せて国家的性格を併せ持つものであると言われております。

近年の社会情勢の変化に伴い,犯罪捜査等の警察業務の対象となる事象の広域化や国際化,あるいは多様化,複雑化が著しいところでありまして,このような状況に的確に対応していくためには,単一の県警察で処理することは困難でありまして,警察庁という国の警察機関を含めて全国の警察が共同し,又は一体となって対応していく必要があるということになります。

これを警察法の規定に照らした場合には,資料1を再び御覧いただきたいのでありますが,下の方に都道府県警察の相互協力等と書いてありますが,ここに概略整理してありますとおり,警察庁及び都道府県警察相互の関係については,警察法の第4章の規定を中心に定められているものであります。このうち,警察庁との関係につきましては,先ほど申し上げました警察法の16条2項によりまして,警察庁長官は,都道府県警察を指揮監督すると定められておりますほか,61条の3の規定によりまして,広域組織犯罪等に対処する場合に,警察庁長官は必要な指示をすることができると定められております。

現行の警察法又は地方自治法では,都道府県単位に警察を置くことを基本とされているものでありますが,ただいま申し上げました警察事象の広域化等に対処するためには,警察法第59条の規定のとおり,都道府県警察相互間の協力が必要不可欠であるということになります。この趣旨を前提といたしまして,60条の3によります広域組織犯罪等を処理するための管轄区域外での権限行使や,61条の2の共同事案処理等における指揮の一元化等が予定されているのであります。

このように,警察法に規定されておりますとおり,警察組織につきましては,単に都道府県単位で設置されているというだけではなく,警察事象に的確に対応するために必要となる国家的性格を併せ持っているのであります。

続きまして,第3の警察活動,犯罪捜査情報等の特殊性について申し上げます。

まず,犯罪捜査等及び警察法2条に規定します警察責務に任ずる活動についてでありますが,ただいま申し上げましたとおり,警察法2条1項の責務に任ずる事務を警察はつかさどるものでありまして,具体的には,警察官職務執行法や刑事訴訟法によりまして与えられた権限を行使し,あるいは道路交通法等個別の法令によります権限を行使することとなります。

すなわち,警察は,犯罪捜査や犯罪の予防を目的とした活動をはじめとする治安維持のための幅広い職務を執行するということになります。また,同時に,これら警察活動を支える管理的業務や運転免許,あるいは風俗営業許可等のいわゆる行政的な事務を処理しているものであります。

したがいまして,犯罪捜査活動等として,刑法犯の捜査や暴力団対策法の施行,あるいは警備犯罪に関わるような団体等の情報の管理,薬物事犯,経済関係事犯等の取締り等々を行う上で,広範囲の情報を取り扱う必要があるということは,改めて御説明申し上げるまでもないかと思います。

続きまして,犯罪捜査その他警察活動に係る全国的な斉一性・統一性の確保の必要性についてでございます。

治安維持という警察業務が国家的性格と地方的性格を併せ持っていること,さらには,警察法に規定されておりますとおり,警察庁長官による指揮監督や都道府県警察相互間の協力等が予定されていることを先ほど御説明申し上げましたが,このことは,警察法が,単に組織法として予定されるものではなく,実際に発生している広域組織犯罪等の警察事象に対応するため,あるいは,その特殊性に対応するために,実体的なものとして予定されているものと考えられるのであります。

全国警察の密接な連携や共同処理により,犯罪等に対処するためには,それぞれの県警察の活動が,全国的に斉一性が保たれ,統一性が確保されていく必要があるものと考えられるところであります。

続きまして,第4の警察活動,犯罪捜査情報等の特殊性への配慮についてお話しいたします。

まず,警察情報等の特殊性,全国斉一性の観点による条例上必要とする措置についてでございます。冒頭でお話しいたしましたとおり,現在,県警察では,条例の実施機関となるという方向性をもって,保有情報や取扱事務の実態についての調査を進めているところでありますが,同時に,条例による制限や義務等の規定と警察活動との関係について,慎重に検討を加えているところであります。

この中において,現時点で申し上げられる点として,特に,県警察が,条例の実施機関となる場合には,ただいま申し上げました警察組織や警察事象の特殊性,さらには全国的な斉一性に配慮された上で,治安維持に関わる警察活動に,いささかも支障が生じることがないよう,条例上の適切な措置が講じられる必要があるということであります。

条例第2章では,実施機関が取り扱う個人情報の保護に関する様々な規定が定められておりますが,警察活動との関係から,これら規定について,慎重かつ十分な検討を加えた上で,所要の措置が講じられる必要があるものと考えております。

条例上,制度上の措置についてでございますが,今申し上げました点を踏まえ,現行条例についての意見,あるいは私どもが実施機関となる場合に必要となる措置等について,条文構成に従いまして,その主要な部分を申し上げます。

まず,事務登録,収集制限,それから利用・提供制限に関する規定。条例の7条,8条,9条の関係についてであります。

まずは個人情報取扱事務の登録等についてであります。条例7条の個人情報取扱事務の登録・閲覧についての規定,これにつきましては,実施機関が取り扱う事務について,できる限り,その存在や内容を明らかにして適正な取扱いを確保するとともに,県民等の自己情報へのアクセスを円滑にしようとする趣旨であると私どもは理解しております。したがいまして,私どもで取り扱う事務のうち,運転免許や各種許認可等の専ら行政的な事務に係るものにつきましては,最大限この規定の趣旨に沿って,登録・閲覧を実施していくべきものと考えられるところであります。

しかしながら,私どもの業務には,犯罪捜査に関するものや,捜査に密接に関連する指名手配手続,犯罪手口情報の収集管理などのほか,暴対法に基づく指定暴力団に係る認定資料の収集管理,あるいは極左暴力集団に関する情報等,国の公安に関わる警備情報の管理などのように,その事務の存在自体や個別具体の内容を公にすることによって,本来の活動に支障が生じるものが数多く存在しております。

したがいまして,これらの活動等に関しましては,この規定による事務登録等の義務についての適用除外とされる必要があると考えております。なお,このことにつきましては,行政機関法では,11条2項1号において引用する同法10条2項の規定により配慮されているものであります。

続きまして,収集制限,利用・提供制限について,条例の8条及び9条についてであります。これら規定では,個人情報の収集,あるいは保有している情報の利用等に関して,目的の明示や本人収集の原則等の義務を課し,又は利用や提供の制限を加えているものであります。

しかしながら,ただいま申し上げましたような,犯罪捜査や暴力団情報の収集等につきましては,その対象者による証拠隠滅や逃走等が謀られないよう,秘匿することが前提となるわけであります。仮に,被疑者に関する情報や犯罪情報等の収集に際して,事件捜査であることなどをその都度本人に明示し,又は本人から直接収集するということは,想定し得ない形態でありまして,このような義務や制限を課した場合には,その目的を達成することができないという自体を招くことは,改めて御説明するまでもないことと考えております。

また,保有情報の利用や提供に関しましても,全国警察の相互協力において,捜査情報等を相互に交換し,又は共有することは必然のものであるといえます。さらには,犯罪捜査以外の分野におきましても,例えば,先ほど申し上げました指定暴力団の認定資料に関しましては,全国に散在します関係情報がその対象となっていることなどから,現行条例の「緊急やむを得ない」等とする限定的な例外規定では,不十分であると考えております。さらには,現行9条6号の例外規定に関しましても,公的機関との関係を想定されているものと解されますが,犯罪捜査等を想定した場合には,適当ではないと考えられるものであります。

したがいまして,これら規定に関しましても,犯罪捜査等警察活動の特殊性に配慮したものとされる必要があると考えております。

続きまして,開示請求,訂正請求,利用停止請求に関する規定,条例の14条から22条に関する部分であります。この部分では,本人情報に対する開示請求及び訂正請求について定められ,23条において,是正申出について定められておりますが,私どもで保有します個人情報の性質に照らした場合,一律にこれら請求権の対象とすることは,行政機関法との関係を含めて,支障が生じることとなるものと考えております。

具体的には,その一つとして,刑事訴訟法に規定する訴訟に関する書類又は押収物の取扱いについてであります。関連5法として制定されました,いわゆる整備法により刑事訴訟法の一部が改正され,同法に規定する訴訟記録については,行政機関法第4章の開示,訂正及び利用停止に関する規定は適用しないこととされたところであり,法律の施行との関係から,条例におきましても,同様の措置が講じられることが必要であると考えております。

また,2点目といたしまして,いわゆる犯歴に関する情報についてであります。

この犯歴に関する情報につきましては,行政機関法45条1項におきまして,訴訟記録と同様に4章の適用除外とされているものであります。

犯歴に関する情報と申し上げましても,個別具体的に,いかなる情報がこれに該当するかという点につきましては,現時点では明確な解釈等がなされておりませんが,少なくとも,捜査情報等,私ども保有する情報の多くは,これに関わるものになると考えられるところでありまして,現時点で想定される一つの例といたしましては,警察署において管理されております被留置人又は留置に関する情報が,これに当たるものではないかと考えております。

法律においてこの規定が定められた趣旨につきましては,現時点では公式な解釈等が示されてはおらず,明確な説明として申し上げられるものではありませんが,総務省,あるいは警察庁の説明によりますと,犯歴情報が開示請求等の対象となると,例えば,企業等の第三者が本人に開示請求させることによって,当該本人の前科前歴のチェックをすることを可能とすることとなり,結果的に,本人の不利益を招くおそれがあることから,開示請求等の規定は適用しないこととしたとされているものであります。

このことにつきましては,本来,個人情報保護制度は,個人に関する情報を適切に取り扱い,そして,本人が自己の情報にアクセスでき,必要により訂正等を求めることができるものとすることによって,その本人の権利利益を保護しようとするものであると考えられておりますが,このような犯歴情報に関しましては,ただいま申し上げましたような例のように,結果的に本人の権利利益を害するという事態を招くこととなり,制度の趣旨には馴染まないものであると考えられているということができるかと思います。

私どもでは,ただいま申し上げましたとおり,捜査関係資料のほか,被留置人に関する情報等の犯歴に関する情報を多く保有しておりますことから,条例においても,法律と同様の措置が講じられる必要があるものと考えております。

続きまして,開示請求に係る非開示規定の整備,存否応答拒否の創設についてであります。

私どもが実施機関となる場合に必要とする措置として,ただいま申し上げました部分のほか,非開示規定に関しましても,所要の整備が必要になるものと考えております。

その一つが非開示規定の整備についてでありますが,条例14条4項の規定につきましては,基本的には情報公開条例と同様のものとされるべきであると考えております。

この規定に関しましては,県警察に限定される問題ではないものと理解しておりますけれども,特に現行6号の公共安全情報に関しましては,警察で保有する犯罪情報あるいは捜査情報の特殊性や,全国的な斉一性の観点から,情報公開条例との整合性が図られる必要があるものと考えております。

情報公開条例の規定に関しましては,私どもが実施機関に加わった際に,現行の条文に改正されたという経緯がございます。その当時におきまして,国の法律との整合性を確保する必要があるということにつきましても,基本的な理由であったと承知しております。すなわち,今回の個人情報保護条例に関しましても,非開示規定の性質,あるいは犯罪捜査情報等の特殊性から,同様に整備される必要があり,端的に申し上げれば,行政機関法と同様の規定とされる必要があるということであります。

続きまして,存否応答拒否規定の創設についてでございます。非開示規定に関連するものといたしまして,情報公開条例と同様に,保有する個人情報の存否自体を明らかにしないことができるとする,いわゆる存否応答拒否の規定が必要になると考えております。例えば,ある個人について暴力団であると認定する資料につき,本人から開示請求がなされた場合に,対象となる情報又は行政文書が存在するか否かを答えるだけで,当該本人が暴力団対策の対象であり,又は対象でないことを明らかにすることとなるわけであります。すなわち,現行条例によった場合,請求に対しては,開示又は非開示,あるいは不存在といった処分のいずれかを行わなくてはならないということとされておりますが,ただいま申し上げました暴力団関係情報のように,こういった処分を行うこと自体が,本来,非開示情報としての保護法益を損ねるという結果を招くことになるものであります。

したがいまして,例で申し上げました暴力団関係情報のほか,内偵捜査や裏付捜査等の犯罪捜査情報や,警備犯罪に関わるような団体等の情報などについて想定しました場合にも,現行条例には規定されていない存否応答拒否の規定が必定のものであると考えております。

続きまして施行時期,運用の開始時期についても申し上げます。

結論から申し上げれば,私どもが実施機関に加わることとなります改正条例につきましては,行政機関法の施行日以後とされる必要があるということであります。

その理由の一つといたしまして,十分な準備期間が必要となるということであります。私どもといたしまして,条例に基づく個人情報保護制度を実施するに当たりましては4,000人弱のすべての警察職員に対して,個人情報の適切な取扱いに関し,改めて周知徹底するとともに,条例に基づく制度の基本等に関する教養を行うことが必要であると考えております。

また,現に保有します情報又は取扱い事務の実態を確実に把握した上で,これら情報と条例の規定との関係につきまして,慎重かつ十分に検討を加えるなど,相当の準備期間が必要となるものと予測しております。

さらには,これら準備の過程におきましては,行政機関法と刑事訴訟等や警察官職務執行法等をはじめとします関係法令との解釈上の関係などにつきまして,並行して確認することを必要とするものであると考えられることなどから,こういった事情を総合的に考えますと,改正条例の施行時期につきましては,相応の配慮をいただく必要があるものと考えております。

もう一つの理由といたしまして,行政機関法との施行時期との関係であります。この法律に関しましては,公布後2年以内の政令で定める日から施行するとされておりまして,平成17年4月ごろの施行になる見込みということで伺っております。また,御案内のとおり,全国の都道府県におきまして,公安委員会あるいは警察を実施機関とする条例は,現在のところ存在していない状況であります。

このことは,言い換えますと,警察という機関において,個人情報保護制度を実施している機関は皆無ということで,早くても法律の施行によって,警察庁等が実施するであろうということになります。

これまでに,例外規定の必要性や,非開示規定の整備の必要性等の理由といたしまして,全国の斉一性や統一性について申し上げてまいりましたが,この条例の施行時期に関しましても,同様の理由から,理想的には,全国警察が同時に施行されるというようなことになりますが,現実的に全国都道府県の条例を一括して改正するということは,全くもって考えられるものではありませんことから,少なくとも,施行時期についての一つのバロメーターとして,行政機関法の施行日を基準として考え,早期でも,法律の施行日以後とされるべきではなかろうかと考えております。

以上,私どもが個人情報保護条例の実施機関に加わる場合において,必要となります措置,あるいは御配慮いただきたい事項につきまして,その主要な部分を御説明申し上げましたが,冒頭で申し上げましたとおり,私どもといたしましては,条例に基づく保護制度を導入することを前提に,現在,実態調査をはじめとする基礎的な準備作業を進めているところでありまして,同時に,条例規定の関係等につきましても,慎重に検討を加えているところであります。

したがいまして,私どもの現時点での調査や検討も,未だ未成熟であることは否めないことから,本日,あるいは以後の御検討におきまして,いろいろと疑問等が生じましたら,是非,私どもにお問い合わせいただければ,可能な範囲で今後とも御説明申し上げてまいりたいと考えております。

以上,県警察としての考え方などについて申し述べましたが,今回の条例改正に関しましては,警察組織等の特殊性について御理解をいただき,慎重なる御検討をお願いしたいところでございます。よろしくお願いします。

馬場会長

どうもありがとうございました。他の出席の方,補足がございましたらお願いします。

警察本部

特にありません。

馬場会長

ありませんか。それでは,ただいま警察本部の方から全般にわたっていろいろと御説明いただきましたが,御説明いただきましたこと,ないしは御説明から必ずしもはっきりしなかったこと等について,各委員の方から質問がございましたら出していただきたいと思いますが,いかがですか。

馬場会長

ほかの委員には考えていただくことにしまして,まず,私の方からお聴きしたいんですけれども,先ほどいろいろと御説明いただきましたけれども,警察,特に犯罪捜査ですね,全国的,広域的な捜査ですとか,他県,国との連携が必要なんだろうと思いますけれども,今度の行政機関法の中で,警察庁が実施機関に入っているわけですが,そういったこととの関連でですね,国の方から各県で条例の制定がある,実施機関に入れられるというようなことが動きとしてある場合に,こういった方向で考えてもらいなさいというような,国の方から示唆のようなものはあるんですか。

警察本部

条例の改正に当たりましては,警察業務に支障が生じないように,先ほど説明したようなことについて,条例が整備される方向で検討をするべきだということは言われております。

馬場会長

まさに一般的な,どういう表現がふさわしいのか私も分かりませんが,そういった程度のことであるということでよろしいですね。

阿部委員

存否応答拒否規定の創設ということでお話がありまして,それはもちろんだと思うんですが,非開示基準と存否応答拒否の創設,これに関してあまり広げてしまいますと,ほとんどが出てこないという可能性があるのではないかと思うんですね。それで,その2つについて,もう少し詳しく教えていただけませんでしょうか。どのような非開示基準であれば,どのようなものであるべきか。存否応答拒否の創設というところでも,もう少し詳しく教えていただきたいのですが。

警察本部

非開示規定の考え方につきましては,私どもとしましては,個人情報保護条例で独自に規定するというものではありますけれども,対象となる情報について考えますと,情報公開条例で予定されています情報,あるいは行政文書,これと基本的には同じものになるというような考え方で,今回検討させていただいているというものが基本であります。

したがいまして,全体的には第三者個人情報というものから,事務事業遂行情報等々ということで,様々な情報を予定して規定されていると。それで,特に,警察として専ら関わるであろうということで,ただいま公共安全情報について御説明申し上げました,という考え方でございます。

それで,公共安全情報につきましては,平成12年の情報公開条例の改正の際に,議会の御審議をいただいたり,御検討いただいた結果として,現行の情報公開条例の規定になったという経緯がございました。それで,実際にどのような情報が予定されるかとか,そういった点は,その当時十分に議論していただきまして,警察の保有する情報に配慮をいただいた規定にしていただいたと。そして,今回の個人情報保護条例に関しましても,基本的に考え方は同じで,そのような御配慮をいただきたいと。ただ,その考え方としましては,その当時も恣意的な運用ですとか,御心配ということも,実際にお話を頂戴したという経緯はございますが,これまで2年間,情報公開制度を施行している中でも,そのような判断というものは決して許されるものではなくて,実際にもそのような解釈と考えでさせていただいておりますので,その点の考え方について御理解をいただきたいという考え方でございます。

それから,存否応答拒否という規定に関しましても,ある意味,非開示規定と同じように,情報を開示しないということについて,結果的には同じではあるんですが,その対象となるのが,個別具体の情報というよりも,そのような公開して欲しい,あるいは開示して欲しいということについてお答えするだけで,法益を害してしまうという,稀にあるであろうということを想定して,情報公開法,今回の行政機関法でも同じような考え方で規定されているということで,これも,宮城県でいえば,情報公開条例においても創設されておりますし,個人情報保護条例でも,御本人の情報,あるいはその他の情報も含めまして,このような配慮がされた規定が必要であるというふうに考えているということでございます。

村松委員

先ほどの御説明で,行政的事務については登録・閲覧について,開示の方向で検討することは十分あり得るんだというお話だったかと思うんですが,部門ごとにそういうことで開示していい,ここは治安の維持,捜査等に支障を及ぼすということで,資料にいろいろとセクションがあると思うんですけれども,そこでの事務ということで一応は判断できるものなんでしょうか。その分類等について,どのように考えているのかを,もう少し御説明いただきたいと思うんですけれども。

警察本部

冒頭でも御説明いたしましたが,今,警察署も含めて全所属の事務とその保有しております個人情報について調査しているところでありますので,その辺の明確な区分け等につきましては,調査結果を踏まえてということになりますけれども,事務なり根拠となる法律の条文というものにつきましては,行政的な部分と捜査の部分というものは分かれておりますので,そこはできると思います。すみません,明確に説明できなくて申し訳ないんですが,根拠に基づいて区分はできると思います。

村松委員

すみません,突っ込みますけれども,資料の場合,警務,刑事,警備というところについては,犯罪捜査に関係あるかなと。総務はちょっと分かりませんが,生活安全とか交通部,ちょっと微妙かもしれませんが,免許とか風営法の関係での届出したものについては,閲覧とかを認めていいかと思いますが,右の方の事務は秘匿したいとか,左の部門については,というふうなことで分かれるものなんでしょうか。もう少し,部門ごとに微妙に区別しなければならないと考えているのかどうかをお聴きしたいんですが。

警察本部

分かりました。今,例で挙げられました生活安全部,あるいは交通部につきまして,それぞれ許認可と申しますか,行政的な事務もございますし,同時に,例えば生活安全部であれば,銃器薬物,生活経済事犯の取締りですとか,少年の非行防止でありますとか,あるいは交通部につきましては暴走族の取締りでありますとか,そういった犯罪捜査の部分を持っておりますので,組織の部単位で,こちらで持っているものは,というふうに部単位で分けることはできません。また,課単位でも行政的なものと捜査と両方担当している銃器薬物対策課がありますが,銃器薬物事犯の取締りとともに,猟銃所持の許可という行政的な事務も行っておりますので,組織的に明確に区分するということができるところもありますが,できないところもあるということで御理解いただければと思います。

馬場会長

よろしいですか。そうしますと,各部局の取扱事務の種類によっては,公共安全に係るものと,そうではないものが出てくると。今,整理していただいているということですが,どれくらいかかる予定なんでしょうか。

警察本部

できるだけ早くということで鋭意努力してはおりますが,明確にいつということまでは…。条例の施行につきましては,法の施行後ということで…。

馬場会長

法の施行後に事務の分類を示していただいても…。

警察本部

今,法の施行後と申し上げましたのは,条例の施行時期についてです。こちらの方でいろいろとお聞かせいただいて,そういった検討の動向をフォローしながら,できるだけ早くというふうに努力して行きたいと思います。

馬場会長

分かりました。我々も審議の過程で具体的な質問が出てきましたら,再度御足労いただくということもあると思いますので,そういったときに具体的に指示されれば,じゃあこの点はということで,急いでやっていただくこともできるでしょうから,そのようなことで,極力,御協力をお願いしたいと思います。他の委員から質問はございませんか。

井坂委員

説明のなかったことを聴くのは非常に酷かとは思いますが,今度の条例の改正の中で人事情報ということが挙がっていまして,警察も一つの独立した組織ということで,資料を見ますと警務部が人事の所轄であり,かつ,下を見ると警察学校と,広い意味での教育採用機関があるわけですが,ここに関しまして,人事情報が開示の対象となった場合の問題点について,今答えるのは厳しいものがあると思いますので,情報をいただきたいと。県の他の人事部門には抵抗感があるようですが,特に警務部の関係している人事部門のところと,県警察学校でもいろいろと試験が行われているはずですから,警察官個人から出てきたというときにどういう問題点があるか,そういった点につきましては,あとで情報をお願いしたいと思います。

馬場会長

その点につきまして,後でお願いしたいと思います。時間もオーバーしましたので,今日の県警本部からの御説明はこの程度にさせていただきまして,必要であればお願いするということにしたいと思います。今日はお忙しいところ,ありがとうございました。

警察本部

どうもありがとうございました。

(警察本部退席)

馬場会長

それでは,次の教職員課の方の入室をお願いします。

(教職員課入室)

馬場会長

本日はどうも御苦労様でございます。個人情報保護条例の改正ということで,知事の方から我々の審査会に意見を求められておりまして,人事情報についての開示・訂正ということが検討項目に入っておりますので,それに関連しまして,教職員課からいろいろとお話をお聴きしたいと思い,おいでいただきました。

お話を伺う前に,委員の紹介をさせていただきたいと思います。こちらから,阿部委員でございます。成瀬委員でございます。井坂委員でございます。村松委員でございます。私,会長の馬場でございます。御出席いただきました教職員課の方にも,御説明の前に紹介をお願いしたいと思います。

教職員課

私,教職員課長の大西と申します。よろしくお願いいたします。こちらが,小中学校人事専門監の加藤でございます。こちらが給与班長,課長補佐の加藤でございます。

馬場会長

では早速お願いしたいと思いますけれども,これは事務局の方から伝わっているだろうと思いますが,どういった個人情報を保有しているかということと,これを開示・訂正の対象とするということで,7条の取扱事務の登録の対象とするかどうかとか,そういった点を検討するわけですが,そういった問題点についてお聴きしたいと思います。よろしくお願いします。

教職員課

それでは,私の方から,御通知のあった内容と,それから,今,会長からお話があった内容につきまして,御説明させていただきたいと思います。

まず,教育委員会,教育庁で所管しております人事の概要について,ざっと申し上げますけれども,県職員が30,000人いるうち,教育庁関係職員が約20,000人になります。3分の2が教育庁です。さらにそのうちの約14,000人が小中学校の教職員でございます。これは,いわゆる県費負担教員と言われております。どういうことかと申しますと,県立学校の教職員というのは,県の職員と全く同じ仕組みで動いているわけですけれども,県費負担教員,小中学校の教職員というのは,県が給与の半分を負担し,国が給与の半分を負担してということで,国庫負担の対象になっている教職員を県費負担教員と言っております。ですので,市町村立学校の教職員は,身分はあくまでも市町村の職員ということになるわけでございますが,任命権は県の方にあるということでございます。県が市町村教育委員会の内申を受けた上で異動を行うということで,市町村は,常日頃,市町村立学校の設置者ということで服務監督権を持っていると。そういう二重構造になっているということを御理解いただければと思います。

これは基本的なものとして,職員の名称,生年月日,本籍,現住所,職歴,給与といった基本的な情報が入っているということでございます。この中身は閲覧可能でございますし,訂正も適宜行うということになってございます。

もう一点,これは人事評価に関する情報ということで,地方公務員法40条の規定に基づく勤務成績の評定ということ,いわゆる勤評を行っているわけでございますが,これにつきましては,公正かつ円滑な人事運営の確保という観点から,開示は前提としておりません。付け加えさせていただきますと,先ほど申しました県費負担教職員,小中学校の教職員につきましては,この勤務評定を行うのは市町村教育委員会というふうにされております。市町村教育委員会が行った勤務成績の評定結果を,県の方に報告していただく,提出していただくという関係でございます。

したがいまして,県が保有している情報として勤評があるわけでございますが,作成したのは市町村ということでございます。

それから,給与関係の情報でございますが,これは昇給昇格発令通知書,あるいは給与明細書,こういったものを職員に対して明らかにしていくということでございます。

そのほか,職員が作成して提出される書類,これには個人異動調書というものがございます。これは,この職員個人の職務に関する内容,あるいは異動の希望というものがありますけれども,個人異動調書の中に所属長の意見というものがございます。県立学校であれば県立学校長が,留任が適当なのか,転任が適当なのかといったような意見を書いております。それから,市町村立学校であれば,市町村立学校の学校長の意見,それに加えて,市町村教育長の意見,これが同じ様式の中に入っているというのが個人異動調書でございます。

それから,病気休暇を取得した際の診断書などといったものも提出されているといった状況でございます。こういったものにつきましては,個人異動調書につきましては,本人が作成したものにつきましては,適宜訂正の機会というものが当然ありますけれども,所属長,すなわち学校長ないしは教育長が出している所見の部分につきましては,評価に関する情報ということになりますので,本人に対しての開示は行わないという取扱いにしております。

それから,本人以外が作成するものとしましては,人事異動の内申書がございますし,それから懲戒処分等の場合の処分を検討する際の資料といったものがあるというわけでございますけれども,こういったものも同様に円滑な人事運営を確保するという観点から,開示は行っていないという状況でございます。

それから,御通知のありました2点目の国,宮城県の公務員制度改革の動向ということでございますが,これは,大きな状況としては人事課の方から御説明があったものと同様かと思います。平成13年12月に公務員制度改革大綱というものが閣議決定されておりますので,現在の職務給から職能給への転換というもの,それから,能力評価,業績評価からなる新しい評価制度を導入するという大きな流れがございます。平成18年度からスタートするという段取りにはなっておりますけれども,現在のところは国会にまだ改正法案がかかっておりませんので不透明という状況がございます。

教育委員会では,この動きも見据えながら個別の改善策といったものを進めておりますけれども,一つ申し上げられるのは,委員の先生も御存知かと思いますが,最近,指導力不足教員ということで,教科指導力ですとか,あるいは子どもに対する接し方において,問題があるとされる教員の問題が出てきております。この点につきましては,宮城県の教育委員会の方では研修制度を立ち上げまして,資質の改善に努めていただくということを行っているわけでございますが,その研修に入る際には,本人に対しても十分な説明,あるいは指導を行った上で,研修を受けて改善に努めていただくということにしておりますので,これは評価に関わる情報を,いわば研修教員と共有する形で臨んでいきたいというふうに考えている制度でございますし,現在,宮城県で行っております研修制度はそういった形で,研修教員本人へのフィードバックというものを前提にした制度を構築しているところでございます。

それから,教員の評価に関するもう一つの取り組みとしましては,今年度から10年経験者研修というものを始めております。これは,教員として採用されて10年を経過した教員に,今一度,自分の多様な能力について自己評価をしていただいて,それと学校長,所属長の評価と突き合わせて,さらに資質を高めてもらうという研修を今年度から開始しているところでございます。この研修につきましても,ただいま申し上げましたとおり,自己評価が前提となっております。

それから,さらに今年度から検討を開始しておりまして,16年度から早ければ施行したいと考えておりますものに,教員の新しい評価システムというものがございます。

これは,現在の勤務評定制度が本人に対するフィードバックが必ずしもない,あるいは処遇に反映されていることが明確でないという反省から,新しい,校長のみの評価ではなく,保護者の意見ですとか,児童生徒からの意見というものを含めた,多様な評価を教員に関して構築していこうという,調査研究を開始しております。この点についても,教員本人の自己評価をベースにした形で考えていきたいということで,現在,調査研究会議の方で検討をお願いしているところでございます。現在の制度改革としては,以上のとおりでございます。

3点目,開示請求の対象とされることによる諸問題ということでございますが,ただいまの説明の中で既にあったわけですが,一つには,市町村教育委員会との関係というものを,私どもとしては挙げたいと思います。これは,先ほどから申し上げておりますとおり,書類,保有している情報の中に,主体が県ではなく,市町村という主体が価値判断をした部分というものがございまして,それを織り込んだ形で作業を進めているという状況でありますので,これが,いわば開示請求の対象とされることによって,県と市町村との関係がより微妙なものになるという可能性がなきにしもあらずと考えているところでございます。

それから,もう一つは,開示請求等の多発を惹起するおそれがあるのではないかというところでございますが,先ほど申し上げました指導力不足教員等の対応というのは,こちらの審査会に若干御迷惑をおかけしている部分があるわけでございますけれども,そういう対応も含めて,評価に関する部分というのは,やはり非常に微妙な問題がございますので,人事関係が開示請求の対象となった場合には,開示請求の多発ということが,実際上懸念されるところでございまして,それに係るこちらの方の事務処理も,現状においてもかなり繁忙を極めておりますので,職員数を考えると現実的になるおそれがあるのではないかと考えたところでございます。

それから,実施機関としての考え方でございますけれども,まず,教職員の評価につきましては,これも御説明申し上げておりますように,評価システムというものを別途構築していきたいという中で,その評価システムというのは自己評価,あるいは本人に対するフィードバックというものを織り込んでいきたいということを検討しているところでございます。

そういった意味では,この個人情報保護制度の趣旨というものが,県民の権利を確保するという観点ではございますけれども,我が方が構築しようとしている教職員の評価システムという別の枠組みの中で,開示についての一定の手続というものが担保されるのではないかという考えも一方では持っているところです。

それから,現在,改正されました法の14条におきまして,人事管理に係る事務に関して,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのある個人情報について適用除外ということでございますけれども,ただいま御説明している現状からいたしますと,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれという要件が抽象的なところは否めないというふうに思っておりますので,現実に,個々具体の開示の場面において,どのように判断すべきなのか,あるいは評価に関する情報をきちっと除外していただけるような仕組み,ここを担保していただく必要があるのではないかと考えているところでございます。私の方からは以上でございます。

馬場会長

はい,ありがとうございました。それでは委員の方から今の説明に対して,そのほかにも何か聴いてみたいということがありましたら出していただきたいと思いますが,いかがでしょうか。

馬場会長

私の方から一点伺いたいんですけれども,先ほど,新しい評価システムですとか,実際の職員との間の評価に関するフィードバックのシステムとか,そういったものを構築しつつあるということだと思いますけれども,そういったものが一定の成果を見てくるのは,法律との関係ですとか,独自に進められるのか分かりませんが,どれくらいの時間が必要だとお考えですか。

教職員課

ただいま検討していただいております調査研究会議,これは今年度から開始しておりまして,その調査研究会議の御提言を受けて,早ければ平成16年度から施行を開始してききたいということでございますけれども,大きなシステム転換になりますので,一定程度試行を積み上げていった上で,本格的なシステムとしていく必要があるのではないかというふうに考えております。先ほど申し上げましたように,平成18年度から公務員制度改革が行われるというスパンがありますので,我が方も16年度,17年度に試行を行った上で,18年度から本格的にシステムを転換していければと考えております。

阿部委員

すみません。すごく細かいことを聴いて申し訳ないんですが,先ほどおっしゃった制度改革の2番目の,10年教員研修制度というものを構築されるということだったんですが,先ほどの御説明ですと,自己評価というのが一番の基本であるというふうにおっしゃいましたが,今ある指導力不足教員の研修制度も,なかなか御本人の納得が必ずしも得られている状態ではないのではないかという懸念があるんですね。今議論されている10年教員研修,これについても不利益処分にならないようにということを,きちんと考えていらっしゃるんでしょうか。

教職員課

基本的には,指導力不足教員に対して行っている長期特別研修も,職階で行っております10年研修も,あくまでも研修ということですので,教職員個々人の資質を高めてもらいたいという趣旨で行っているところでございます。いわば研修の効果を上げるためにも,自己評価ということを前提にしたいということで,最終的には本人の自己評価と,それを監督する立場の校長の評価が食い違うということもあろうかと思いますけれども,そのあり方というものも,校長の方がもっと評価をしている項目が多い場合もあれば,本人よりも校長の方が厳しい評価をしている場合もあり,様々ですので,そういった実践を積み重ねながら,教職員の資質が高まるように努力していくということになるかと思います。

井坂委員

今度,検討を開始している新しい教育評価システムという話,私も正確ではないかもしれませんが,そこで多様な評価ということですが,これまで所属長等の評価を中心にしていたものを,保護者とか,教育を受けている学生・児童の評価も組み入れるというふうに聴いたんですけれども,そのときに,どういうふうに当該教員の評価に関する情報を収集するというか,それについてどのような制度を考えているのか,現在考えているところだけで結構ですので,ちょっと教えていただきたいというのがあるんですが。これ,情報の収集ということと関係してきますので,それについて考慮しなければならないということもありますので。

教職員課

収集の主体は教育委員会です。今の段階では,調査研究会議で審議を開始していただいているというところですので,必ずしもそこは明らかになっておりませんけれども,学校長は常日頃から職員を指導,監督しておりますので,そこで得られる情報というのはあると思います。それから,評価する権限は校長にありますが,教頭が校長以上に常日頃の実践の中では各教職員に接しているわけですので,教頭が得られる情報というのがございます。それから,保護者,児童,生徒からの情報というものも適宜収集することになるかと思います。あるいは,現在,学校には学校評議員というものが置かれておりますので,これは外部の方ですけれども,そちらの方も参考にするということがあるかと思います。

馬場会長

はい,ありがとうございました。そのほか,現在,調査研究会議で手法等についても検討中であるということでよろしいですね。分かりました。

それでは,ほかにもまだまだいろいろと御質問はあろうかと思いますが,時間もまいりましたので,今日は教職員課からの説明はこの程度にさせていただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

(実施機関退席)

馬場会長

それでは,予定した実施機関からの意見聴取はこれで終わりたいと思います。この後,個別の検討事項の検討に入りたいと思いますけれども,一旦休憩をしたいと思います。11時から再開させていただきたいと思います。それでは,休憩にします。

(休憩)

馬場会長

それでは,時間になりましたので,再開したいと思います。前回の続きで,個別の検討事項について検討に入っていきますけども,その前に前回開示請求者の範囲を広げるということにつきまして,遺族に開示請求を認めるか否かの議論をしたと思いますけども,その際に問題となりました内縁関係者ということについて,前回の実務上で内縁関係者が保護されているということがあるということがあり,その関係で実務上としてどのようになっているか調べていただいたかと思いますが,事務局のほうで報告をお願いします。

事務局

はい。資料の15の方になります。内縁関係の確認に係る事務処理についてということで,資料を添付させていただいておりますけども,まず,法律関係ですが,そこに記載されておりますとおり厚生年金保険法,健康保険法,労働者災害補償保険法など,こういった法律の中で内縁関係が認められている法律がございます。

2番のほうに,県の事務処理の中で確認ができたものを3点ほど挙げさせていただいておりました。1点目が戦傷者戦没者等援護法ですが,これは戦没者等の遺族に対して,遺族年金等を支給する事務になるんですけども,これについての内縁関係の確認ということなんですが,ちょっとこれは中身が戦没者関係ということで,若干参考にならない部分も確かにあるんですが,基本的には住民票ですとか,死亡者原簿とかいろいろありますけども,住民票関係ですとか,遺族等関係のものでは,遺言書や保険証などが挙げられます。

次に児童扶養手当法の関係ですが,前回もちょっと触れましたけども,児童扶養手当の支給事務にあたり内縁関係を確認する場合ということで,これは担当課の方に口頭で聞き取りしたんですが,基本的には住民票で確認すると。住民票で確認ができない場合は,自己申告と併せまして民生委員等の証明書等で確認をするというふうになっております。

地方公務員等共済組法,これは保険証の被扶養者の認定事務になるんですけども,同居と別居ということで取扱いが分かれておりまして,組合員証,住民票の写し,所得に関する証明書等が同居のほうに挙げられておりまして,別居のほうになりますと,送金に関する証明書等が追加されてくるというような中身になっております。

基本的には,申告書ですとか,住民票,あとは民生委員の証明書等,そういったもので確認するのが一般的のようでした。以上でございます。

馬場会長

はい,ありがとうございました。それでは,後ほどの議論で資料として使わせていただきたいと思います。

それでは,早速本日の検討に入っていきたいと思いますけども,前回まで検討事項としては,番号としては7-2のところまでやりまして,今日は8-1というところからになります。検討事項がたくさんありまして,できるだけ急いでやりたいと思いつつも,なかなか重要な議論では,やはり時間もとらざるを得ないというところがありますが,委員のご協力をいただきまして,充実しつつ,かつ迅速に審議を進めていきたいと思います。

本日,8-1,これはいわゆる現行条例の14条,これは開示請求権の規定ですけども,これに開示できない場合,しない場合,これを14条の4項で規定しているわけですけども,この非開示規定の見直しということで検討をしなければなりません。事前に事務局の方から検討事項を整理してもらっているわけですが,手元の資料では7点ございまして,検討項目自体が多岐にわたっているところがありまして,なかなか整理をするのが大変ですけども,この点について,検討していきたいと思います。この点について,まず,委員からの意見を求めたいと思いますが,どなたか意見がありましたらお願いしたいと思います。

井坂委員

最大の問題点なわけですので,全く熟した発想,考え方がないところで,思いついたことだけを羅列すると。しかも,最初に言っていることと後ろのほうで言っていることが若干非整合なのではないかというふうに思われる部分もあるかと思うんですが,数点簡単にお話ししたいと思います。

一つは,どういうふうに規定を作り直すのかということで,かなりいろいろな部分,現行条例をいじらなければならないんですけども,まず,一つの基準として,どちらに合わせるのか,2つあると思うんですね。一つは県の既存の情報公開条例と合わせていくという方向でいくのか。それとも,国の通称機関法,国の行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に依拠するのかと。全体の作りがかなり違っているということが言えるわけで,同じ県内部での調整をするのか,個人情報保護という文脈で合わせるのかということも一つ大きなことかと。

ですが,後ろのほうで行きますと,どうやら私個人としては,いろんな点を考えるといろんな意味で行政機関法の方がいいという気がしないでもありません。

それから,最も大きな論点だと思いますのは,県警及び公安委員会を実施機関にする関係で,先ほども意見聴取の中でありましたように,非開示事由を見直さざるを得ないということであります。それにつきましては,所属機関が公安を害するということに関して,相当の理由という,ある程度,本当にそうかどうかは学者としては疑問を持っているんですが,相当の理由とつければある程度の裁量の余地があるという認識なんだそうですけども,そのような規定ぶりにすること自体は仕方がないと。現行条例14条4項6号にいうところの公共の安全,秩序の維持に支障が生ずるおそれというところについては,少しいじらなければならないかなと思っております。県条例の関係もちょっと考えたわけなんですが,情報公開という文脈で,しかも予算執行関係文書が知事部局にある場合と,そうでない場合を想定した形で作られた,いろいろドタバタの末,出来上がった県条例の規定の仕方を採用すること,こちらのほうが無論開示される情報の量は場合によっては増えるわけなんですが,これは個人情報保護という,しかも個人による情報開示請求という文脈の中で,こういう規定の仕方を採用することには,若干難しいものがあるだろうというふうには考えております。行政警察と司法警察という形での区分というのも私はあまり意味がない気がいたします。先ほど県警のほうから説明があったところとも関係しますし,簡単にいうと行政警察に関係するところの個人情報開示請求があった場合につきまして,先ほどいった現行条例でいうと14条4項6号に該当するというようなことになる情報は,そんなになかろうというふうにも考えられます。

それから,現行条例14条4項の2号・5号・8号に関しましては,これはまとめてしまうとという形で,そこに仮に加えるならば,人事情報を加えるという国の行政機関法の14条7号タイプに整理統合した方が外見上も,かつ,立法技術上もよいのではないかというふうに思われます。

他人情報に関する非開示に関しては,現実の運用と規定との乖離はないと思いますが,国の行政機関法の第14条2号のように明確化することに一つの意義があると思われます。

また,国の法律の14条2号・3号の非開示事由に,それぞれ人の生命,健康,生活又は財産保護のため必要であると認められている場合につきましては,非開示情報をさらに非開示にしないという,非開示情報からの除外というのも認められていますけども,これは基本的に導入する方向で検討するのが妥当かと思います。

国の法律でいいますと14条3号ロというのがあるんですけども,その中では,情報源を明らかにしないということを理由にして集めた情報について非開示にするという規定があるんですが,これを県で採用するかどうかにつきましては,そういう必要があるかどうかということで決めるべきだろうと考えております。国の法律がこの規定を置いている一つの私が知っている限りでの典型例は,要するに人事院という行政機関がですね,いわゆる人勧を行う際に,民間の給与水準というのはどの程度のものかということについて,ばらさないから教えてくれということを民間企業から集めてまわっていると。それについて,情報公開法や個人情報保護法でオープンにされたのでは,うちの給料の水準をばらしてもらっては困るというような形で設けられているものと思われます。問題は県の人事委員会あるいは人事部局等が,そういった調査をやっているのかと。県内の給与水準等を集めることをやっているのかなということは,私は分からないので,これは人事委員会から聴かなければならなかった話かと思うんですが,出なかったということでは,私の質問もどうしようもないなという気がしないでもありません。これについては,私はちょっと判断しかねています。

ちょっと疑問に思ったのは,国の法律の14条1項は,かなり包括的に個人の生命身体等を害する情報というものを除外規定としているんですが,これが果たして包括的にこういうものを置いておいて,他の規定で非開示にならないものがこれにかかるということになりますと,かなり包括的かつ曖昧なような気がしました。

その後のところはちょっと飛ばしまして,都条例その他に置かれていますように,法定代理人による開示請求に関しまして,未成年者の親,親権者等が開示請求をするという問題につきましては,前回も一定の議論があったわけなんですが,そもそもどの程度まで認めるかということなんですが,法定代理人と本人との間での利益相反関係に関するような場合におきまして,法定代理人による開示請求を包括的に非開示にするというような制度は,かなり個人的に必要かと思っております。典型的には,虐待を行っている加害者とおぼしき親権者による児童相談所における保護に関する資料の開示といった件に関しましては,これはかなり問題があると。ただ,これは他の規定で様々な事務執行上の支障等の理由で非開示にすることは,運用上可能ですが,すぱっと切れる条文があったほうが,いろいろ楽ではあるなということを他の文脈で感じたことがありますので,これについては新設してもいいのではないかという気がします。

最後に,法令秘の規定は法律にはないわけですが,条例において今後どう使うのかということについては,方針を伺っていきたいかなというふうに思っています。

馬場会長

どうもありがとうございました。結構論点が多岐に渡りますので,委員の意見を求めたいと思いますが,ある程度整理をしていかざるを得ないのかなと。基本的には,まず,この14条の見直しが必要だというふうに感ぜられてるのは,いわゆる今回の個人情報に関する法律が成立したということで,それとの規定の関係を整理するということがあるかと思います。県の情報公開条例があるわけですけども,それの規定の仕方は,制定過程の問題も今,御指摘がありましたけども,かなり違った規定のされかたになっておりまして,今,井坂委員からの意見としては,むしろ個人情報保護ということで,法律の規定に揃えるという方向のほうがよいのかなという指摘だったかと思いますけれども,この点については,一応事務局の方であくまでもこれは試案というか,例えばこんなような体裁ということで作っていただいた個人情報保護条例素案,第1稿というのが資料として我々いただいているんですけども,これも同じ考え方で作られているものと考えてよろしいですか。そちらに振って申し訳ないんですが。

事務局

そちらについては,非開示基準の方につきましては,項目が多岐に渡るということもありますし,今おっしゃられましたようにですね,情報公開条例に合わせていくのか,行政機関個人情報保護法に合わせていくのか,それもまだ整理もついていないような状況だったものですから,素案としての考え方としては,法律と情報公開条例のそれぞれのいいとこどりというような形で作らさせていただきました。

馬場会長

ただ,基本的な構造としては,私が見させていただいた限りでは,法律の規定の仕方に倣ったものになってるのかなと。構造的にですね。というふうな気がして受け止めていたんですけども。

事務局

確かに構造上は,法律の構成を参考にさせていただいておりました。おそれ規定とか,非開示基準の差を設ける部分とか,そういったものについては,情報公開条例のほうを参考にして,いろいろミックスした形となっております。

馬場会長

そうですね。ですから,14条の非開示規定は,現行としては,いずれも一定のおそれがあるときという規定になってるわけですけども,そもそも情報の内容,質によってですね,特に警察関係情報が入ってくるということがあってのことですけど,規定ぶりに差を設けていくべきかどうかという問題もあるわけですけども,この点ですね。

検討項目7項目いただいておりますが,14条4項の非開示事由についての規定の仕方を,一つには条文を整理するということと,それから,非開示事由の規定の仕方をいわゆる素案と同じようなことでいいのかどうかですね,それで情報の内容によって非開示をするレベルといいますか,判断基準のレベルを上げたり下げたりしてるわけですけども,それでいいのかどうか。それとともに,警察情報に関して,中でも行政警察と司法警察に分ける必要があるのかどうかという問題もあるんですが,井坂委員の意見としては,ある意味では分ける必要はないのではないかという意見だと思いますけども,そういった場合に,いわゆる第一次判断権,相当な理由があると実施機関が判断した場合には非開示にするといった規定の仕方にする必要があるのかどうか。それから,未成年者の法定代理。大体こういう大きな分け方ができるかと思います。

まず,非開示事由の判断基準を見直すに当たって,情報公開条例と似たような規定の仕方をするのかどうか,それとも基本的な構造としては法律と同じような規定の仕方でいいのかどうかというところが,まず考えてみる必要があると思いますが,この点はいかがでしょうか。

議論のとっかかりといいますか,そういう意味で私の感想というものを,ちょっと述べさせていただきたいと思いますけども,私もやはりこれは規定の構造的な問題としては,法律の規定にならったような規定の仕方でいいんではないかというふうに思っております。一つには県条例の規定の仕方は,先ほど制定過程の問題も指摘されたわけですけども,読んでみますとなかなか分かりづらい規定の仕方になっているんですね。実質的に同じ内容を認めるかどうかという問題もありますが,まず読んで,主義が分かりやすい条文じゃないと自分たちが何ができるのかが分からないような規定になっているような気がします。県の情報公開条例はですね。

ですから,実施機関に第一次判断権を認めるということになるかどうかは議論しなければならないんですが,仮にそうだとしても,もうちょっと条文の規定の仕方は整理をする必要はあるだろうと。いわゆる予算関係の部分を取り出して,別規定にしてですね,そこで相当性を一旦剥奪をして,しかしその中の情報に捜査関係の情報が入っていれば,それは除外するよという二転三転させた規定の仕方になってですね,我々が読んでもなかなか,結局何なんだというのを理解するまでに相当の時間がかかるということがあるものですから,もうちょっとすっきりした条文にすべきなんじゃないかなというふうに私自身は,あくまでも感想なんですけども,思っております。その辺はいかがでしょうか。

公共の安全に関わる情報ですね,これについて個人情報として開示請求がなされたという場合にですね,これはまさに県警に対して請求されるという場合と,他の実施機関に対してなされるという,二通りがあると思うんですけども,実施機関としてはいろんな機関があるわけで,警察以外の実施機関に個人情報の請求がなされた場合に,その実施機関が,公共の安全に関わる情報という判断をして非開示にすると。その場合に,その判断に相当性があったかどうかの判断を審査会がするという形で,県の情報公開条例はそのような形になっていると思いますけども,少なくとも今までの個人情報保護条例ではそういった規定にはなってないわけですね。それを今回の条例の改正にあたって,実施機関は全て公共の安全に関わる情報であるというふうに判断した場合には,第一次判断権を全ての実施機関が持つという形の規定にすると,今の個人情報保護条例よりも絞りがかかってくる,出づらくなるということはあると思うんですね。その辺の問題をどういうふうに考えていくのかというのがあるかと思うんですけども。いかがでしょうか。

かといって,実施機関の種類によって,規定ぶりを公共の安全に関わる情報であるかどうかということについての判断の基準を変えるとなると,それもどうなのかなという気もしまして,つまり県警本部ないしは公安委員会だけをですね,確かに特殊な組織であるという側面は,今いろいろお聴きした中でもありますし,我々も日常的にそう思っているわけですけども,しかし,県条例の中で特別扱いをするという必要があるのかどうかというのは,また別な配慮が必要だろうと思うんですよね。ですから,第一次判断権を実施機関に認めるのか認めないのかという,認めないと言ってしまえば,後はそのレベルをどうするかという議論をすればいいだけになるかなと思いますが,認めるということになりますと,かなりそういった情報は今までよりも絞りがかかってきて,本当に中身として開示すべき情報であるのか,開示すべき情報ではないのかという判断が,審査会ではできないということになりますので,それでいいんだろうかという問題があるような気がするんですね。その辺いかがでしょうね。

仮に第一次判断権を認めないというふうなことにして,例えばその場合に,今回は事務局の案としては情報の種類によって明らかにおそれがあるとか,単におそれがあるとかというふうに規定ぶりを少し変えていますけども,その判断の基準をおそれがある場合というふうな形で緩くしておいてですね,中身については検討させていただくということでも危険な情報を審査会が見逃してですね,それが出ていくということはちょっと考えられないとは思っていますけども。

村松委員

今の観点でいけば,基本的にこの審査会は,やはりインカメラ的な役目を果たすわけだから,あまり大差ない。そういうことで,十分,県警とかそういうところに対して配慮ができるということですので,私は文言については,事務局の方で作って来ていただいた他の機関と同じような規定の仕方でいいかと思います。

それから,最初の方の個人情報保護法の方に依拠するか,それとも,県条例に依拠するかというところですが,私は先ほどの馬場先生の意見に賛同して,基本的な規定の仕方を変えて,個人情報保護法のスタイルで行くべきだと。ただ先ほどの相当の理由というところは,やはり従前のやり方,県の進んだやり方のほうがいいかなと思っています。

馬場会長

ある意味では反論を求める必要があるのかなという気はするんですが,つまりですね,法律の方では,やはり実施機関に第一次判断権を認めた規定になっているわけですね。そういった法律との関係,それから今後他の検討で県の個人情報保護条例の改正という動きが出てくるんだろうと思いますけども,そういったときに,他県がどういった規定をする傾向があるのだろうと。そうすると,法律の規定と違った規定の仕方というのはなかなか取りづらいという雰囲気もあり得るのかなという気がしまして,その辺も我々は検討した上で,どちらにするかという結論は出さざるを得ないと思うんですが,その辺はいかがでしょうね。

村松委員

法律のような規定の仕方にすると,先ほどと同じことになるんですが,県と公安委員会に関しては,おそれではなくて,相当の理由の是非を審査会が判断しなければならないという,違うレベルの審査ということになるんじゃないかと思うんですが,ですから,結論がどっちをいっても同じであれば,基本的には分かりやすい統一の基準でと私は思います。他の機関と同じ相当のおそれではなくて,実際に開示されて不都合があるのかという判断だけでやるべきだと思います。

馬場会長

はい,分かりました。他の委員はいかがでしょうか。

それでは,この点については,十分考え,かつ,決断しなければならないという側面もあろうかと思いますので,そういった論点を指摘する程度に留めまして,さらに各委員ご検討をお願いしたいと思います。

その他の条文を整理していくという関係ですけども,井坂委員の御指摘では,現行の2号ですか,4項の2号・5号・8号を統一して一本化するということでしたか。5号は8号に整理統合するということは資料中でも指摘されてますね。

井坂委員

若干ですね,いろいろ混乱しているところもあるので,そこのところは後でもう少し考えてから。つまり,私,結構作ったときに,事務局の素案というのを十分参照しなかったところがありまして,かなり素案で考えていることと違っている部分もあります。素案でいうと現行の2号はほとんどいじらず,そのまま突っ込んであって,他の部分でたぶん5と8号は整理統合されているような気がするんですけども,そうなった理由ももう少し考えさせてもらった上で,やった方がいいかと思いますので,そのところはすいませんが撤回します。

馬場会長

整理をしていきたいと思います。

非開示基準の見直しについては,もう一つ,未成年者の法定代理人の開示請求がされた場合の非開示条項の新設ですが,これについては,やはり利益相反するような部分については非開示にすべきだろうという御意見だったろうと思うんですが,この点はいかがですか。

この点は,方向性としては,それでよろしいんじゃないかなという気がいたしますけども。いかがでしょうね。この点はこれで確認していいかなという気がしますが。

成瀬委員

ただ,やはり未成年者の利益を害するという文言がすごく曖昧なのかなという気がするんですけど。井坂先生がおっしゃたような事例だったら,明らかに利益を害すると思うんですが,前回の議論とたぶん絡むんですが,見られなくないというか,親にも知られたくないという主観的な利益というものを含めるのであれば,親が法定代理人として客観的には子どものためなんだと思ってやるようなケースですね,子どもにしてみれば知られたくないのだけれども,親としては知るべきだという,例えば子どもが勝手に学校をさぼっているというのは,子どもにとっては知られたくないだろうし,どういうふうな行動をしているのかを親に把握されたくないというのはあるんでしょうけれども,親としては,それを当然知りたいと思うのは合理性があるような気もするので,それで純粋主観的な未成年者の感情みたいなものを利益に含めていいのかなという気は若干しています。客観的に法定代理人が請求することに合理性があるような場合というのをどうするのかというのが問題かなと思ったんですが。

馬場会長

そうしますと,やはり民法にいう利益相反行為ともちょっと違いますよね,ここでいうことは。例えば,虐待というのは,民法の利益相反行為の中には入っていないだろうと思うんですが。この辺を規定としてどう表現していくのかということだと思うんですけども。

成瀬委員

法定代理人が開示請求できる根拠の理解とも関わると思うんですけども,確かに未成年者なので法定代理人がせざるを得ないような場合もあれば,法定代理人が未成年者の個人的な想いとかですね,それを超えて,親の立場から情報を集める必要があると考える場合もあれば,いろんなケースがあると思うので,法定代理人がなぜ開示請求できるのか,その根拠を類型化して,それぞれについて考えなければいかけないのかなという気がしたんですけども。

馬場会長

そうしますと,やはりあまり大ざっぱな基準では…。

村松委員

普通は,親は子どものために親権を行使するという麗しい理屈のもとに制定されているわけだから,子どもの意思とか権利問題と相反するということは考えられていないんだろうと思うんですね。ですが,その虐待のような場合には,まさしく児相に対して開示請求すると,親は見たいけれども,それは子どもの不利益になるということが,まあそこをどういうふうに除外していくかという問題になって,それがたぶん,生命とか健康とか,生活又は財産を害するおそれで国の法律はそこを排除しようとしたんだと思うんですよね。私はこれでいいような気がするんですけどね。その他にもう少し細かく規定しようとしてもなかなかうまくいかないんだろうと思うんですよね。

馬場会長

なかなかやっぱり難しいですよね。それでは,ここの規定の仕方も後から検討してみるということにいたしまして,8-1につきましては,今日の議論としてはこの程度にさせていただきたいと思います。

井坂委員

すいません。最後に言い忘れたんですが,私は未成年者の法定代理だけに限定して話をしましたけども,成年後見の話も今後考えなければいけないということもありましたので。どういう事例が考えれるのかは,さらに検討が必要ですが,それも考えなければならないかなという気はしました。

馬場会長

そうですね,その点もできればカバーできるような規定がいいかなという気がしますね。では,それをさらに検討するということにします。では,この論点については,今日はこの程度にさせていただきたいと思います。

村松委員

その点で,事務局にお願いしたいんですが,成年被後見人の場合で生命,健康,生活又は財産を害するおそれというのは,成年被後見人の場合にどういうことを念頭に置いて規定されたのかということを,調べられるのであれば調べていただきたいと思います。確かに,先ほどの未成年者の場合には,虐待のケースと限定しますと,親が濫用しそうだというのは,児相とか,保護施設とかから出てくるんだろうと思うんですが,成年後見の場合は,どこがそういうとことを発してくれるんだろうっていうのが,ちょっと分からないですよね。ですから,そこら辺をお願いしたいと思います。

馬場会長

その点,事務局の方で調査をしてみてください。お願いします。

それでは,次の論点に移りたいと思います。今度は,開示請求をした情報についての,特に警察が実施機関に入ってくるということで,検討を迫られることなんですけども,いわゆる個人情報の存否応答拒否という応答の仕方ですね。これを新設すべきであるということも検討対象なんですが,これについてはいかがでしょうか。

井坂委員

これについては,それほど知恵があるわけではないですけども,情報公開条例,情報公開法及び国の行政機関法におきましても,存否応答拒否という規定に関しては設けられていると。現行条例には全く規定がないんですけども,いろいろと濫用のおそれがあると。先ほど阿部委員からもありましたように,非常に包括的なものであるような疑問もあるかと思うんですが,この制度自体は,いろいろなこと,別に警察絡みだけではなくて,やっぱり場合によっては設けざるを得ない,場合よっては,これを使わなければ非常に問題が出てくる場合があるということですので,条文化し,制度化すること自体については,一定の必要性が認められるというふうに判断されるのではないかと私自身は思っております。

濫用についての歯止めに関しては,これは正直言って各法令,その他各県の条例を見てもですね,規定化する形で足止めをするというのは非常に難しいところがあるというふうに思っています。そこから先は,不服申立て等が出た場合に,こちらの方の審査会等で,その存否応答そのものが適法かどうかにつきましては,こちらの審査会の権限を明確化するなりの方法で応答するよりほかないのかなというふうに思われるというのが私の意見です。

馬場会長

ありがとうございます。この点については,他の委員,御意見はいかがでしょう。

まず,存否応答拒否という規定自体は,設けざるを得ないだろうという方向性で井坂委員から意見をいただきましたけども。よろしいですか。はい,他の委員もよろしいということで,これはそういったことで確認させていただきたいと思います。

なお,歯止めにつきましては,うまい手だてがあれば,もちろんそれに越したことはないんですが,念頭におきながら今後の検討をしていきたいと思います。

次の検討項目は9になりますが,訂正請求が行える期間ですね。今まで訂正請求に限らず,開示請求があり,開示決定がなされた後に,いつまでに開示を受けなければならないといった,いわゆる期間制限のようなものはないわけですが,この訂正請求に対して期間を設定すべきであるかどうかということについては,いかがでしょうか。

阿部委員

結論的には,実施機関が保有する個人情報は常に正確であるべきであるというふうに考えておりますので,自己に関する個人情報が事実と合致しないと認めるときは,早急に訂正請求を行うべきであると考えています。新法において90日以内となっておりますが,この期間の規定は別としまして,訂正請求が行える期間を設けることに関しては必要であると考えています。ただ,訂正請求の期間を設けて,一定期間経過後であっても,再度開示を受けた上で訂正請求をすることが可能ですので,本人の利益は確保されているものと考えております。

馬場会長

阿部委員の方からは,期間はどのくらいにするかはともかくとしまして,期間設定をすること自体はいいだろうということでの御意見がありましたが,期間についてはどうですか。とりあえず,意見としては。法律では90日以内ということで約3か月の期間を設定しているわけですが,これくらいでいいというのか,もっと短くていいというのか,もうちょっとあったほうがいいのではないかということなのか,これは一つの決断といいますか,そういうことなんですが,結論は最終的には出さなければなりませんので。もしそこまで意見があれば,今の段階で出していただいたほうがいいと思いますが。何しろ検討項目がたくさんありまして,留保した部分もいっぱいありますので,留保した部分がいっぱいありますと,後にどんどん作業が延びていく関係もありますので,決断できるものは,一応目途としては決断してしまったほうがいいかなという気がするんですが。

井坂委員

一応の情報提供的な話だけになりますけども,行政機関に対してのこの手の訂正請求,あるいは後での話となる利用停止請求といった表現になるかもしれませんけども,期間として90日というのは短い方ではないというふうに判断されます。不服申立等は,基本はだいたい60日ということになっておりましたけども,一定の行政に対する広い意味での一種の不服申立てということであるならば,国の法律でいう90日という期間は,短い方ではないことは間違いない。もっと短い例もいくつもあると。この程度の期間では,私はまあ相当だというふうに一応判断しております。

馬場会長

井坂委員からは,法律で言っている90日は,相当な期間ではないかという意見でしたけども,いかがでしょうか。

よろしければ,当審査会も90日というのを採用するということで,ここでの方向性を確認しておきたいと思いますが。

それでは,次,検討事項9の利用停止請求権というのがあるんですけども,これについてはどうするかということですが,ちょっと時間がありますので,今日はこれを全部議論しきれるかどうかは分かりませんが,ちょっとだけ議論に入ってみたいと思います。

現在の取扱いに関しては,是正申出ができることになっていますが,これは権利としてではなくて,あくまでも職権発動を促すというような形での規定ですけども,これに対して,これを廃止して,利用停止請求権と,権利性を認めるということで検討を求められておりますが,これについてはいかがでしょうか。

阿部委員

まず一つ目,利用停止請求権によって,請求者の権利を認めることについては賛成です。ただ,本人の個人情報の利用が事前に本人に知らされている場合であれば,その本人は,自己の個人情報が不適切な取扱いをされていると判断できて,利用停止請求権を行使することができるんですが,本人が知らされていない場合であれば,自己の情報の不適切な取扱いを判断することは困難ですから,利用停止請求権の実効性が失われるものと考えます。ですから,このような場合であれば,県民の個人情報を利用している実施機関には説明責任があるものと考えます。また,利用停止請求権を拒否する場合においても,実施機関には説明責任があると考えます。それと3つ目ですね。利用停止した個人情報が外部に提供されていた場合,提供先においても,利用停止を行う義務を負うことと考えております。

馬場会長

はい,ありがとうございました。今,阿部委員の方から意見が出されたわけですけども,利用停止請求権を認めること自体についてはよろしいと。ただ,停止を求めるべきかどうかについては,情報がそもそも県民に提供されていなければならないので,その説明責任をどうやって果たすかということ,それから,利用停止請求権を拒否する場合というのは,一定の要件を満たしていなければ当然停止請求は拒否することになると思いますけども,その辺の結局異議申立て手続とかそういったものがどうなっているかということを整理しておくということになるんだろうと思いますね。それから,外部に提供したものが,何と言いますか,本人の意思に沿わない利用を,提供先がしてしまったという場合の利用停止請求権というのは,これは認めるべきだという御意見なんですけども,その辺はなかなか技術的に難しいところがあるかなという気がするんですけども。まず,この利用停止請求権を認めるということ自体は,認めてよろしいんだろうと思うんですけども,これは確認していただいてよろしいですよね。そういうことで確認をいたします。

それから,そもそもどういう利用のされ方をされているのかですね,ということについては,これは現状としては,一般の県民が自分の自己情報がどういう使われ方をしているのかというのが,とりあえず,これは自己情報開示請求を受けることができるものについては,登録されていて,これは閲覧できるわけですよね。この辺については,実状としては,どのようになっていますかね。ある程度お分かりになれば。

事務局

個人情報の利用方法の実状ということですかね。

馬場会長

各実施機関が持っている個人情報が,どのような利用のされ方をしてるかということは,実施機関が持っているもの自体は,その実施機関の権限権能の中で使われているということだと思いますけども,それが一定の要件の下に,他機関に提供された場合というのが,いちいち県民の方に知らされているということは,おそらくないのかなという気がしますけども,その辺はどうやれば県民が自己情報がそのような利用のされ方をしているのかを知る方法があるのかということかと思いますが。

事務局

7条の個人情報取扱事務登録及び閲覧の第1項のほうなんですが,9号のほうになるんですけども,利用及び提供の状況ということでですね,登録簿の方にも利用,提供関係の記載はございます。目的外の利用の有無とかといったものも登録簿には記載することにはなっております。

馬場会長

なるほど。そうしますと,登録簿を見れば,他機関にいつ提供されたかということも分かると。

事務局

いつというところまでは,例としてはないんですけども,開示を受けることによって提供をしている,していないなどについては,開示を受けた内容によって当然確認はできると思います。

馬場会長

そうしますと,そもそも登録簿というのが存在するんだと,これを見れば,自分の情報がどのように収集され,保管され,どのように利用されているかの外観といいますか,そういったものは分かる仕組みになっているということですね。

事務局

はい。概要までは確認できます。

馬場会長

そうしますと,そもそもこういった個人情報については,もし興味のある方は,ないしは,必要のある方は,この登録簿を窓口で見せてもらってくれといった広報がですね,やはりきちっとされる必要があると思いますけども。そういったところでの手当をしていけばいいのかなというふうに思いますが。

ですから,そういう意味で,それを一般規定の中に精神規定として盛り込んでおくかという問題はあるかとは思いますけども,条例の中に,さらにそういったことを確認的に入れておくというところまで必要と考えるかどうか,その辺については阿部委員はどういうふうにお考えでしょうか。

阿部委員

今,会長おっしゃたように,あまり細かいところまでは規定はいらないかなというふうに考えています。

馬場会長

はい,分かりました。では,そのような方向性でですね,この点については確認させていただきたいと思います。

成瀬委員

一つだけいいですか。利用停止請求権の素案は31条ですよね。これは国の法律に合わせたんですか。

事務局

おおよそ,そうです。

成瀬委員

基礎的な仕組みが間違っているかもしれないんですけども,国の場合は収集制限ではなくて,保有制限ですよね。そうした場合に,条例の場合は保有制限というのはないんですよね。そうすると保有の方法が不当だと判断されることは,そもそも条例上はないということになるんですかね。国の法律の場合だと3条で,利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならないということですよね。収集した情報をさらに保有することも許されないというふうに私理解したんですけど,条例の場合,収集の方法が適切であれば,それはずっと保有してもよいという趣旨なんでしょうか。

事務局

もちろん収集は収集で目的の範囲内等で適切に行わなければなりませんが。その後の利用についても,条例では9条で目的の中で利用しなさいということで制限に加わってきますので。

成瀬委員

収集と利用さえ押さえておけば,保有を別個に問題にする必要がないのかなという気がしたんですけど。収集した情報をずっと保有しておけば,必要が生じたときにそれを利用することができるわけですよね。国が保有のところに網をかぶせているというのは,収集のところで制限をかけたくなかったということがあるのかもしれませんけど,それよりも情報を目的もないのにずっと保有していると,それを意図しないところで使われる可能性があるから,そういうことを禁じたいんだということじゃないんでしょうかね。

まず,適切に収集するというのが入口ですよね,収集した後に保有するところでも目的がある場合しか保有できないと網をかぶせて,さらに利用のときも,利用に合理性がなければならないという形で,3つの段階があるんじゃないかなという気がしたんですけども。国の法律だと収集という入口のところの網はないと,保有と利用なんだと。県の条例の場合だと入り口で収集のところの適正性を要求する,利用の適正性も要求するが,間の保有というところがないという感じがしたんですけど,それはそれで穴はないという理解でよろしいんですか。

事務局

保有に関しては,保有という概念からいけば,条例で該当してくるところは11条になってくるのかなと。適正管理の方でですね,保有に当たってはという適正管理をするということになろうかと。

成瀬委員

利用停止等請求権の対象に,この11条に当たるものを含めなくてもいいんですかね。

事務局

その辺についても御審議いただければと思うんですが。基本的に想定される問題点等として,資料としてお出ししていた段階では,条例の中では収集,利用及び提供,オンライン結合,そういった各制限規定への実施機関の違反行為に対して利用停止請求ができると想定していたものですから,法律での保有と条例での収集との相違点に関してまで,考慮したものではないということになります。

成瀬委員

保有制限についても利用停止請求権の対象にならなければいけないと思ったんですが,そうすると今の11条の適正管理の部分についても,31条の3項なり,2項で設けなければいけないんじゃないかなと。だから,是正申出の今の23条の対象範囲よりも,条例案の31条は狭くなってしまっているのかなという気がしたんですが,そうではないんですか。それは単に漏れているのか,8条,9条の網をかぶせておけば,適正管理というのも,1号か2号のどっちかに入るんだということなんですかね。

馬場会長

ここはちょっとなかなか難しいところがありますね。読み比べてみて,考えてみないと分からないですね。

法律自体も,保有というのは,まさにこのようなことを持っているということですから,利用の目的を達成してしまった後も,保有してていいのかという議論も出てくるような感じもしますね。

事務局

すみません。ちょっと話の腰を折るようなんですけども,今委員が度々お話の中で出てきている素案というのは,ある程度の事務局のイメージということでございますので,あまりこれに引きずられないでですね,議論をしていただければと思うんですが。ちょっと問題がありますので。よろしくお願いします。

馬場会長

もちろん,これは動かせないものというふうには考えていませんけども,かなり丁寧に作っていただいてますので,できればこれを下敷きにしてですね,加えたり削除したりという程度の作業で済めば,非常に作業効率も上がるかと思いますので,参考にはさせていただきたいと思いますので。

それでは,今の点については,なお今後考えておいていただくということにしまして,基本的なことでの確認はさせていただいたと思います。本日は時間もオーバーいたしましたので,この検討といたしましては,ここまでということで今日は終わらせていただきたいと思います。

次回は11項目からですが,次回はですね,できれば,とりあえずの検討と各項目の第1回目の検討としては全てを終わらせてしまいたいと思っております。ただ,さらに結論を持ち越している部分がかなりありますので,それらも併せて考えますと,現在,我々が予定している日程だけでは,不足なのかなという気もいたしますので,委員のみなさんには御苦労をいただくことになりますけども,もう1日くらい取っておいたほうがいいのかなという気がいたします。それで日程をいただくこと自体はよろしいでしょうか。

(委員,了承)

こういったこともあろうと事前に各委員のご都合をお聞きしていた関係もありますが,10月下旬以降ということで,10月29日はみなさん御都合がよろしいように伺っておりましたが,いかがでしょうか。

(委員,了承)

それでは申し訳ないんですが,10月29日,もう1期日を入れておいていただきまして,使わないで済めばそれに越したことはありませんけども,たぶん全部使うことになるだろうとは思いますので,お願いしたいと思います。

それでは,長時間に及びましたけども,今日の審議会は,ここまでにさせていただきたいと思います。

どうもありがとうございました。

お問い合わせ先

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宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号

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