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掲載日:2012年9月10日

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第67回宮城県個人情報保護審査会会議録

第67回個人情報保護審査会会議録(公開で審議を行った部分)

  1. 日時:平成15年9月17日(水曜日)午前10時から午後0時10分まで
  2. 場所:宮城県行政庁舎11階 第二会議室
  3. 出席委員:馬場会長,成瀬委員,阿部委員,村松委員,井坂委員
  4. 議題:個人情報保護条例の一部改正について

第67回個人情報保護審査会会議録の表

発言者 内容

馬場会長

それでは,本日の審査会を開会したいと思います。

前回は,利用停止請求権というところまで議論をいたしましたので,本日は検討項目の一つである第三者照会というところから審議を始めたいと思います。この第三者照会といいますのは,いわゆる個人情報の開示をするときに,第三者の情報がその中に入っていることがあるわけですけども,そういった場合にこれを開示するということになりますと,第三者の権利の問題が出てくるわけで,そのことの保護という趣旨ですね,そういったことも含めて第三者照会制度を設けるべきではないかというのが一つの検討項目になっているわけですけども,まず,これをやりたいと思います。これについて意見を求めたいと思いますが,どなたかお願いいたします。

井坂委員

この規定に関しましては,ある程度ほかのところとリンクするわけで,問題は裁量開示と,それから,非開示事由の中にですね,非開示事由の中でさらに例外的にこの場合は開示するという規定があることを想定した場合。その時の例外的に解される場合におきまして,第三者の個人情報が当該情報の中に含まれている場合に,第三者の権利利益の保護を目的として設けられた制度ということになろうかと思います。その点に関しまして,今申し上げましたとおり,非開示事由の件及び裁量的開示の件とリンクをするわけだと思われますけども,その点について大方の方向がですね,裁量開示制度,どれほど使われるのかは,私が前に申し上げましたように,該当事例があるのかはいささか不明な部分はありますが,設けられる方向であるならば,また,国の行政機関個人情報保護法の14条第3項にありますように,今私が述べた二つ目の点ですけども,例外的に非開示情報でも開示するという形での規定を採用する場合におきまして,それらの場合,他者の個人情報が含まれている場合も,あえて一定の理由から開示するという制度になるかと思われますが,その場合におきましては,第三者照会制度を条例上設けるということ,これは国の法律も同様でありますけども,これは必要になってくるだろうというふうに判断いたします。

余計なことかもしれませんが,最近知ったことなんですけども,市町村の扱っている個人情報の一つに国民健康保険関係だと思いますけども,いわゆるレセプトという情報に関しまして個人情報開示の請求があるということなんですが,それに関して,レセプトの開示がかなり一般的に行われるようになったときに,どうやらまだ地方分権改革以前ですけれども,国,現在の厚生労働省ですね,当時の厚生省から一種の通達が来まして,その時には病院の方にレセプトを開示するということについて,お伺いを立てろと。そして,その結果を見てから開示せよというような趣旨の通達が来ておるそうです。ですが,これはですね,正直言って分権改革以前の話でありまして,もはや通達という形では国が口出しする話ではないけれども,慣行上は,それがどうやら生きているということであります。これは多くの自治体の個人情報保護条例はそうだと思いますが,このような通達の趣旨は,条例上はですね,一つは病院の個人情報と,病院という一つの医療法人の個人情報というものが,患者さんの個人情報として開示されるときに出るという側面もあっての,まあそのことを踏まえての制度なのか,より変な制度なのかは分かりませんけども,より好意的に解釈すれば,そのようなものだろうと。ところが,これが旧通達という形で存在しているということは,決して健康的なものではないということは言えます。ですから,その点も含めて,恐らく県ではその問題は関係ないと思われますけども,その他の恐らく県の所轄する法令の中にもそういったものが含まれていないかどうかについて,つまびらかではありませんけども,制度化する必要はあるというふうに一応考えられると思われます。

恐らく,本日いただきました資料21に書いてあるようなフローでやっていくということは,制度化する必要はかなりあるというふうに考えております。一応意見といたしまして,フローの中で反対意見が提出されてからですね,開示するかに関しまして,2週間の間を置くというのは,国の法律ではそのようなことになっているということですね。特に棄却等決定から開示までの間にも2週間というようなことになっていますが,この期間の長短に関しましては,それほど長さの点を問題視することはないだろう思われます。私もよく覚えていませんが,訴訟に関する控訴期間その他を見ても,このぐらいの期間というのは,よくあることだろうと思われます。ただ,その時間の長短よりもですね,個人の権利保護のために,どのような制度とするか。この場合の個人というのは,自分の情報が第三者により開示されてしまうということに関して反対意見等を出した側の個人の保護ということでありますが,その点については,開示されてしまったらお終いだという部分が開示ということに関してはあり得るわけですから,これについて,より手当をしておく必要がある。行政不服審査法に基づきまして,不服申立てはできますというようなことは,必ず教示されることは当然でありますが,それに加えて,どういうことができるのかと。特に重要なのは執行停止の請求ができるということですが,これは必ずしも行政不服審査法に基づく教示事項になっておりません。現行法の下では。これについて,少し考えなければならないということになります。

また,これはいつになるか分からないんですけども,国で行政事件訴訟法の全面改正が進んでおりまして,教示に関して,行訴法の方でも考えるということになっております。そのことについて先取りすることは,今のところ難しいかと思われますが,今後の対応として,そのような国自体の訴訟法自体の変更ということを踏まえて対応することを前提とした上で,どの程度サービスをすることができるのかということ。これをもう少し,国の法律よりも親切にすることは考えられるということではないかと思われます。

最後に第三者とされるものが個人の場合を前提に今お話ししたわけなんですけども,場合によっては,よその行政機関から提供されたものにつきまして,これは行政機関が第三者ということで意見の照会を求めて,ちょっと困るということを言われたけども,こちらの方で開示してしまうというような場合もあり得るかと思いますが,そのことについては,どういうふうな方向で,第三者照会のそもそもの第三者に入らないという可能性もあると思いますけども,入るとするならば,このときには,これまでお話ししていたような制度の趣旨というよりは,むしろ単によその行政機関に対してお知らせします,でも開示しましたというようなことを説明するという説明責任の規定に留まる程度のことなのかなという気もいたしますが,これはあまり多くの例があると思われませんので,主に個人の権利保護ということを前提としますと,これを制度化するということは必要である。また,より第三者の権利を保護するために,より丁寧な対応,単なる教示と,行政不服審査法上の教示を超えたところの制度を考えるべき必要はないのかといったことがあるのではないかということです。

2週間という期間に関しては,特に意見なしと。まあ,これでも構わないのではないかというのが私の意見です。

馬場会長

はい,どうもありがとうございました。第三者照会制度そのものを設けること自体は,その方向でよろしいんではないかという基本的な立場で意見が述べられたかと思います。今の話の中でも第三者照会をしてですね,照会さえしておけばいいというだけではなくて,さらに権利保護という意味で,不服申立てだとか,さらに,執行停止のような制度も設けるべきではないかというふうなことも検討すべきだということだと思いますけども,ほぼこの問題に関しての問題点は網羅された形で今,井坂委員から発言があったかと思いますが,他の委員は御意見どうでしょうか。

井坂委員

追加的に,確認的な意見なんですけども,私はこの第三者が反対意見を出すということがかなりあると思うんですけども,これが出たからといって直ちに非開示になるというような扱いは今のところ前提としていないと考えております。先ほど言ったレセプトの件に関しましては,実は反対意見が出たらほとんどダメみたいな雰囲気での運用がなされていると思われますが,国の法律及び恐らくそれにならった素案でも,基本的に,これは反対意見があっても場合によっては開示する可能性があると。そのことを前提とした上で,審査会でかませるなり,なんなりといったような形での権利保護が講じられるということを前提にしているということでありますので,反対意見が出たから直ちに非開示にするということを前提にはしていないということを確認しておきたいと思います。

馬場会長

ありがとうございました。まさにこの制度を設けることについては,第三者は自分の情報については防衛的になるというのが一般の傾向としてはあると思うんですよね。ですから,そういった個人情報の開示請求をした人のですね,むしろ情報,行動が相手方に漏れてしまうといった問題点もあるし,また,防衛的な行動を事前に準備させてしまうのではないかというおそれも考えられるわけですけども,しかし,一般的な意味においては,第三者自身の独自の権利保護ということも当然制度としては様々な利害関係の調整ということが必要なわけで,そういった配慮というのは必要だろうと。それが,別な意味での弊害を発生するところを今,井坂委員が発言されたような運用ないしはチェックができるという制度として作っていけばいいんではないだろうかということはあろうかと思いますけども。さらに他の委員の御意見はございませんでしょうか。

馬場会長

特になければ,今,井坂委員が発言された内容で,基本的な方向をここで確認していくということでよろしいでしょうか。それでは,第三者照会制度は設けるということで,かつ,開示する場合の2週間の期間を置くということも基本的によいということで確認したいと思います。それから,第三者からの不服申立制度といったこともですね,検討していくという方向で確認をしたいと思います。

それでは,次のテーマに移りたいと思いますが,次のテーマは他法令との調整ということで,これは行政機関法の25条のところで法律のレベルでは調整がされているわけですけども,そういった関係で条例でも様々な問題が発生しますので,この辺の条例での調整規定をどうするかという問題がありますので,この点について委員の発言を求めたいと思います。

成瀬委員

私の方から簡単に意見を申し述べたいと思います。行政機関法25条,45条に適用除外規定があるんですけれども,現行の宮城県の条例でも26条3項に一般的な規定がありまして,そこでは,他の法令の定めるところによって,自己に関する個人情報が閲覧できるなどの場合には,第2節の規定を適用しないといった同じような適用除外規定がありますので,ただ,今後,現行の26条3項の規定をさらに行政機関法の25条のように詳細に規定していくべきだという点については,その方向で進めていってよいんじゃないかと私も思っております。

行政機関法は,45条1項でさらに適用除外を設けておりまして,そこでは,刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判,検察官云々とありまして,そのような場合には同じように適用除外とするという規定があります。現行の条例にはその規定はありませんけども,それはそのようなものは,基本的には個人情報保護条例の対象にはなっていなかったという前提でよろしいんですかね。今後,実施機関にそういうところも入ってくると,同じような規定を設ける必要が恐らく条例にも生じてくると思いますので,行政機関法45条1項の適用除外に相当するものを条例に同じように取り込んでいくのは,基本的には妥当なのだろうというふうに思っております。ただ,適用除外の規定,条例では26条にまとめておかれているわけですけども,行政機関法45条1項に当たるような適用除外の趣旨というのは,他の法令で閲覧できるからという理由とは趣旨が違うように思いますので,その規定をどこに位置付けけるのかというのは,若干問題なのかなという気がしております。調整の必要は当然あるだろうという趣旨です。以上です。

馬場会長

はい,ありがとうございました。それでは,行政機関法25条のような規定及び45条に類した規定を置くというのは,当然必要なことであるということで発言があったかと思いますけども,現在,条例26条3項に他の法令等で開示ができるという場合にはやってくださいよと,これは適用しませんよという形になっていると思いますけども,行政機関法25条は,詳しく規定されているわけですけども,詳しい表現なだけに,ちょっと複雑な書き方になって,一見よく分からないところもあるんですね。これはなかなか全てを読み込むのは大変なんですけども,現在の条例の26条3項と行政機関法25条というのは,全く違うことを言っているのかどうかが読んでいてよく分からなかったところがあるんですが,この辺,事務局ではどのように読まれているか,もし検討されたことがあれば参考としてお聴きしたいと思いますが。

事務局

基本的には法25条の方でより詳細に規定されておりまして,現行条例の26条3項,4項の方ですね,こちらの方が法律の25条に対応する形になろうかと思うんですけども,これらの解釈上の内容につきましては,基本的には条例も法律も特段変わるところはなく,法律の方がより詳細に規定されているというふうに理解しております。以上でございます。

馬場会長

ありがとうございました。それから,行政機関法の45条の規定ですね,これは司法関係に関連する一連の処分の結果を請求されたときには,ダメですよという形のものだと思うんですけども,端的に言うとどういった情報のことなのか,その辺についても事務局から説明願えればと思うんですが。

事務局

法45条第1項の適用除外規定なんですけども,こちらの方は一言でまとめてしまえば,いわゆる犯歴情報といわれているものと伺っておりまして,犯歴情報といわれるものの中には,前回の警察の方の意見聴取の中にもありましたけども,留置情報ですとか,例として,電子計算機処理の個人情報の保護に関する法律,いわゆる旧法ですけども,こちらの方にも規定はありましたが,刑事事件簿ですとか,不起訴事件告知書綴などそういたものが例として挙げられております。犯歴情報が45条1項に規定された趣旨といいますのは,前科チェックのシステムとなる危険性があるということで,本人の社会復帰,更生保護上問題になり,本人の不利益になるおそれがあるといったようなことから,45条の方に規定されたと伺っております。以上でございます。

馬場会長

ありがとうございました。そうしますと,これは一連の手続きの流れという意味では,例えば捜査情報であるとか,そういったものとの関連性もあるわけですけども,そことはまた違う観点からの情報ということで捉えて,別な意味で開示しないという保護に掛けるということですね。そういう意味では,特殊な側面もございますので,別立てで規定するということも,手法としてはあり得るということですかね。では,以上,確認的な作業を行ったわけですけども,他の委員はこの点についていかがでしょうか。

馬場会長

特にないようであれば,これも当然法律との関係を読み合わせるとか,そのような作業においても必要なことになりますので,成瀬委員からの発言された内容で,当審査会でもその点を確認するということでよろしいですか。はい,それではそのように確認させていただきます。

それでは,次は,罰則規定ですね,これをどうやっていくかと。現在の条例では特に職務上知り得たものを漏えいした場合の罰則はないわけですけども。法律には個人情報の不正取扱い等に罰則が設けられているわけですけども,これらを本県の条例ではどうするかというような問題があろうかと思います。また,罰則を設けようとする場合には,その対象範囲や量刑をどうするかといった,なかなか難しい問題も出てきますが,これらをどうするか。

それから関連しまして,外部委託に係る受託者等の義務規定ということも検討しなければなりませんが,これも関連してきますので,検討項目としては審査会の権限が先なんですけども,順次やりたいと思います。

まず,罰則規定をどうするかということについて,意見を求めたいと思いますが,いかがでしょうか。

成瀬委員

私の方から意見を申し上げたいと思うんですけども,現在,宮城県の条例には罰則規定が存在していないわけですよね,条例のレベルでは。まず,その理由を伺いたいというのが一つです。そこに特別の理由,どうしても設けたくないという積極的な理由がないのであれば,基本的には条例に罰則規定を設けていくというのは,妥当なのではないかなと思いました。3点目ですけれども,他の都道府県の条例についても資料としていただいておりますけども,他の都道府県においては審査会等の委員への罰則のみを条例レベルでは規定しているというところが多かったようですけども,それはなぜなのかということです。どうして業者とか受託業務従事者とか,あるいは地方公務員等についてそのような規定が置かれていないのか,その根拠について事務局にお伺いしたいということと,4点目に行政機関法には53条から57条で罰則ということで,全5条が置かれていますが,56条は適用範囲の問題で,57条は過ち料の方の過料ですので,厳密には刑罰としては53条から55条ということになるのかもしれませんけれども,その行政機関法と同様の規定の罰則を設けてはいかがかということが検討項目に挙がっているのは,そういうことだと思うんですけども,法の解釈ですね,条例に罰則を入れる場合にも,行政機関法が非常に大きな意味を持つというか,それに倣ったような形で罰則規定を置ければ,それが一番分かりやすいとも思うんですけども,そう考えた場合に行政機関法の53条から55条について,私,個人的に伺いたい点がありました。

まず,初めに53条ですけども,罰則の53条のところで,まず受託業務従事者という言葉が用いられているんですが,受託業務従事者というのが,どの範囲の人物を指すのかが曖昧なような気がしました。一番狭く捉えれば,直接的に記録等,入力業務等を行う人だけということになるんでしょうけれども,そのような入力業務を行う人を統括するような上司も含まれるのか,あるいは,業務主体ですね,会社それ自体等も含まれるのかという点が一つ疑問に思いました。

さらに同じく53条ですと,個人情報を第三者へ提供する行為を処罰しているわけですけども,改正検討項目にもそのような業務従事者とか,職員が正当な理由なく個人情報を提供する行為を処罰しようとしているわけですけれども,それは提供を受ける側ですね,提供するということは提供を受け取る側もあるわけですが,提供を受け取る側の方にむしろメリットがあるというか,情報を欲しがっているわけですので,そちらの方は利用主体ということになるんでしょうけども,提供を受ける側についての罰則規定を法律レベルで設けていない趣旨というのは一体どこにあるのか。もし,そこに合理性がないのであれば,条例の方では,むしろ提供行為と並んで受領行為というのも処罰の対象として含めていくべきではないかという気がいたしました。

さらに法律の53条,55条もそうですけれども,対象となっている文書等の性質,属性についてですね,個人の秘密に属する事項が記録された文書等の収集とか,そのような個人の秘密という概念が用いられているんですけども,ここでいう個人の秘密というのが,一体いかなるものなのかというのが曖昧ではないかなという気がしました。と言いますのは,住所とか電話番号というのは,一見個人の秘密のような気もするわけですけれども,電話帳にはこれらの情報が載せられているわけですし,氏名は恐らく個人の秘密には含まれないと思うんですけども,そうすると氏名を手掛かりに,住所や電話番号は知ることができることも少なくないわけですよね。そのような場合に,電話帳に載せてある人の情報,電話番号や住所については,個人の秘密とは言えないけども,何らかの理由で電話帳にそれを載せてない人については,個人の秘密というふうに異なる取扱いを行う趣旨なのかどうか。個人の秘密という概念が非常に曖昧で,そういう規定方式,文言でいいのかなという疑問を覚えました。

7番目に過ち料,不正手段による開示ですね,法律の方では57条で不正な手段によって個人情報の開示を受けた者について,過料,過ち料の方ですけども,それを科すとしているわけなんですが,過料とした趣旨というのは一体何なのかという気がしました。で,県の職員が個人情報を漏えいする場合と,そうではない人物が不正な手段を用いて個人情報を取得する場合,被害者である個人情報の主体ですね,その人の被害というのは同じで,職員が漏えいするのか,そうじゃなく,不正な手段で取得されてしまう,漏えいされてしまうというのは,あんまり差がないのではないか。とすれば,片方を過ち料として,片方を刑罰にするというのは,しかも懲役等も含めてですね,重い罰則を科すという,その合理性がどこにあるのかというのが少し疑問に思いました。

さらに,57条関連ですが,自己情報の開示請求に当たって,不正な手段を用いる場合と他人になりすまして開示請求をする場合とでは,侵害される法益といいますか,利益に相違があるんじゃないかという気がします。つまり,自己情報を開示するに当たって,偽造パスポートを使うとか,そのような不正な手段を用いた場合も捕捉対象になるとする場合,それは自分の情報を開示させているわけですので,そこでは個人情報の漏えいという点は問題にならない。むしろ,開示手続の適正性そのものを保護の対象とすることになるんでしょうけども,そうではなくて,他人になりすまして,こっちがそうですね,他人のパスポートを偽造して他人になりすまして開示請求をしたような場合というのは,その場合は個人情報が他人に渡ってしまう,その意味では個人情報そのものが保護の対象になっているのかなという気ましまして,不正な手段を用いる場合というのを,一括して括ってしまっていいのかなという気がいたしました。

私としては,個人情報の漏えいというか,自己の秘密にしたい情報を,他人に漏らされてしまう,あるいは,他人が取得してしまうというのを防止するためだけで,罰則というのはそれだけでいいのかなという気がしました。不正な手段で自己情報開示する場合というのは,過料に処するというのはいいかもしれませんけども,そこまで必要あるのかなという気も若干しないではありませんでした。大体そのようなところです。

馬場会長

それでは,今,成瀬委員から質問が何点か出されたと思いますが,項目が多かったので,全部メモしきれたか分かりませんが,とりあえずメモできた部分でお分かりになれば事務局でお答えいただければと思います。さらに,不足している部分があれば,成瀬委員から指摘していただいてお答えいただければと思います。

事務局

まず,1点目なんですけども,宮城県において罰則規定が設けられていなかった理由ということが1点目だと思いますけども,まず条例の方にもですね,職員の義務規定が規定されていまして,個人情報を正当な理由なく,みだりに他人に知らせてはならないというふうに規定されています。また,地方公務員法の34条1項の方に,職員が職務上知り得た秘密を守るべき服務規律というのが定められています。それで,この守るべき秘密といいますのが,一般的に了知されていない事実であって,一般に了知させることが一定の利益の侵害になると客観的に考えられるものをいうと解されておりまして,これはいわゆる実質秘といわれているものでございます。一方,先ほど申し上げました条例の職員の義務規定なんですけども,職員の義務における職務上知り得た個人情報といいますのが,実質秘に該当するか否かに関わらず,職務上知り得た個人情報全てをいうというふうに解釈上はされております。このことから,個人情報の守秘義務を実効性のあるものにするためには,その違反に対して罰則規定を置くという意見もその当時はありましたけども,可罰要件を吟味した場合に職務上知り得た全ての個人情報とするには無理があると,秘匿性の高い実質秘が妥当であると考えられることから,この場合には地方公務員法の守秘義務違反に対する罰則規定が既に存在しているということから,新たに罰則規定を設ける必要性が乏しいというふうに判断していたものであると認識しております。

なお,その当時は,国及び他県においても罰則規定はないと理解しておりました。ただ,旧法においては,過料の部分は規定されておりました。

次に他の都道府県において,委員の罰則のみを規定しているのはなぜかという御質問だったかと思いますけども,こちらについては,地方公務員法上の守秘義務の関係がございまして,実際そちらの守秘義務違反の方で対応すべきではないかということから,委員には特段罰則規定が適用されるところがありませんので,委員の罰則規定を設けている趣旨ではないかと。直接他県の方に確認したというわけではありませんので,その趣旨としては,そういったことではないかというふうに推察されます。

3点目が受託業務の従事者の方の御質問でしたが,従事者本人,入力作業に直接携わっている者のみへの適用なのかということと,法人への罰則の適用はあるかという趣旨かと思いますけども,こちらにつきましては,法律の解釈部分になりますので,明確ではない部分も確かにあるかと思いますけども,確認している時点で申し上げますと,あくまで業務に従事している者又は従事していた者ということで,実際の行為者が対象になるというふうに聞いております。その関係でですね,その法人の一員である者,上司であったり,そういった者も対象になるか否かという部分になりますと,直接従事していないということであれば,対象にはならないというふうに推察されます。

なお,法人への罰則の関係なんですけども,法人自体へは直接的には,刑法でも法人に対しての犯罪能力は否定されていると理解しておりますが,法人への直接罰則を科す規定は行政機関法にはありませんので,法人に対しては,罰則は科されないというふうに思われます。

次に4点目なんですが,個人情報の第三者への提供を行った場合,提供を受ける側の処罰の関係だと思いますけども,法律をそのまま読み込みますと,当然,提供を受ける者に対する罰則規定は特にございません。法律の保護法益につきましては,公務の適正化,行政機関において個人情報が適正に取り扱われているか否かとそれに対する国民の信頼ということが保護法益とされていると伺っております。そういった点から考察しますと,当該法律については,行政機関が保有する個人情報に対して適用されるものであると理解されまして,行政機関の職員に対して法律が科せられているという部分がございます。こういった法律の趣旨ですとか,保護法益など,また,提供を受ける者への罰則の適用範囲,こちらがあまりにも拡大して,範囲を広く捉えてしまいますと,ちょっと掴みきれない部分もあるといったようなことからですね,提供を受ける者に対しては,罰則は適用されないと認識しておりますけども,仮に共犯ですとか,教唆,幇助が考えられた場合にはですね,こちらについては確認をしている段階ではなく,的確かどうかは分かりませんけども,国家公務員法の教唆,幇助に対する罰則ですとか,あとは提供を受ける者に対して刑法で適用できる部分については,刑法に委ねるといった部分も考えられるのではないかと理解しております。

次に,個人の秘密の解釈につきましては,先ほど申し上げたとおりなんですが,いわゆる実質秘が対象になりまして,一般的に了知させることが一定の利益の侵害になると考えられる場合,こういった場合の実質秘が個人の秘密に該当するというふうに考えられます。

最後の点が過料の部分ですね。法57条の過料にした趣旨ということなんですけども,法律の解釈といいますか,こちらの過料の規定は旧法にも規定がございまして,旧法から引き継いだ部分は解釈的には当然あろうかと思うんですが,その解説的なものを見ますと,過料につきましては,行政上の秩序違反行為に対する制裁としての秩序罰であるということで,過料にした趣旨は,開示請求に当たりまして適正な権利行使を担保することが本条の保護法益であるということから,もう一点が処理情報には個人の秘密にかからないものもあるということから,刑罰ではなく過料にしたものということで,ただ今,成瀬先生から御質問のありました一括して括っているのか否かというふうなお話もありましたけども,法律上では,不正手段という部分については一括して括って過料としているというふうに理解することができるかと思います。以上でございます。

馬場会長

はい,ありがとうございました。成瀬先生,いかがでしょうか。

成瀬委員

今の御説明,よく分かったんですけども,そうしますと法律の趣旨というのは,個人情報を保護することを直接の目的としているのではなくて,職員の守秘義務とか受託業務従事者等の職務を誠実に履行せよという,そのような何と言いますか,行為規範というのか,一定の重要な職務に携わっているわけだから,その人間は誠実に職務を遂行しなければいけないという方向に処罰の本質というか,規制の網をかけようとしている気がするんですよ。条例を作るときのスタンスですけども,個人情報保護条例という名目上からも,処罰の趣旨というのを個人情報保護という方向に持って行かなくてもいいのかなという気がするんですね。そうすると,過料のところでも,不正な手段によって自己情報を開示させた場合というのは,自分の情報に関するわけですから,そこには個人情報の侵害はないわけですね。ただ,嘘ついて,役所を欺いて個人情報を引き出しているから,そこを捉えて過料を科そうというのは分からないでもないですけども,それに対して,私が別人になりすまして別人の個人情報を引き出したという場合は,職員は騙されているわけだから,職務上の義務違反はないわけですよね。でも,個人情報は漏れてしまっているわけですよね。それは,この法律では捕捉できないということになるんですかね。それとも,嘘をついているから詐欺だとか,一枚のペラペラの紙を財産犯で捕捉するとかっていうのも考えられなくはないですけども,それは何か本質がずれてしまっているのかなという気がしないではないんですよ。だから,罰則を設けるときに宮城県の条例としては,法律とはちょっとずれるかもしれませんけども,私,個人的には個人情報の保護という点を前に出した規定ぶりにしたほうがいいのではないかなという気がしたんですけどね。そうすることによって,地方公務員法とか,国家公務員法上の守秘義務との関連も,法条競合ではなくて,法益が別なので,観念競合かなという気がするんですよ。個人情報が漏れていると。片方で職員が職務義務を犯していると。そうすると,侵害された利益が異なるということで,観念競合になるのかなという気がするんですね。

基本的な方針として,個人情報を保護するんだという観点を前に出した罰則を設けたほうがいいんじゃないかな,宮城県の特徴にもなるんじゃないかなという気がしました。国の法律は,どちらかというと,職務義務とか,業務を誠実に履行しろとか,そういう方にウェイトがあるのかなという気がしたということです。

馬場会長

はい。よろしいでしょうか。行政機関法の57条に相当する規定を条例の中にそのまま持ち込むということではなくて,不正手段によって情報を取得する者の主体を分けて考えると。これが他人である場合は,やはり過料では済まない,むしろ罰則を科すべきであると,そういった御意見ということですね。

成瀬委員

それと,提供する場合もですね,職員が義務に違反して提供する場合はもちろん処罰していいと思うんですけども,積極的に働きかけるとか,詐術を用いて他人の個人情報を取得する行為については,取得行為についても網を被せなければいけないのはないかという気がするんですけど。職員とか,業務者が義務を尽くせばそれで済むのか,個人情報を保護するという観点からは,取得しようとする側にも網を被せなければいけないんじゃないか,それは従来の財産犯の規定で捕捉すればいいんだという意見もあるかもしれませんが,私はそうではなくて,条例に特別の罰則規定を設けてもいいのではないかという気がしています。

馬場会長

分かりました。これは,成瀬委員から指摘された全く新しい論点になるかと思いますが,これについて,他の委員は御意見いかがでしょうか。指摘されれば,なるほどと思うんですけども,ただ,一応法律よりさらに重い処罰を,しかも対象が違っているところに設けていくということもあるものですから,その点,ある種の不安を感じるところはあるんですけども,どうでしょう。

井坂委員

成瀬先生の意見,いろいろ敬重に価する点があると思うんですね。一つは,成瀬先生はそのようにおっしゃるんですけど,やはり公務の適正の保護の要請はいかざるを得ないということと,地公法の関係での刑罰の程度ということは,当然考えなければならないところだと,やはりその要素は消すことは困難かなということ。それから,むしろ成瀬先生に聞きたいのは,他人になりすまして,情報を引き出す行為一般というものに対して,刑法その他について何らかの処罰の可能性はないのかということについて,ちょっと詐欺とかということについて,あるいは文書を財産に見ればというお話があったんですが,それについて,もし,よろしければ,刑法学的知見を披露していただければ,より有益かなと思います。

成瀬委員

そもそもずっと伝統的にやっているわけで,基本的には財産犯でしか捕捉できないんですね。だから,情報が刑法の保護対象になるかというのは,もうずっと昭和40年ぐらいからやっていて,この前ようやく,今年ですね,不競法が改正されて,営業秘密については保護の対象に含められましたけども,それまでは,基本的には情報そのものっていうものは,刑法の保護対象ではないという考え方が強かったと思うんですね。ですから,個人情報とか,その情報についてのコントロール権とか,そういう権利意識が高まってきているから,もし,個人情報を保護する必要があるというなら,従来の財産犯の枠組みを超えて,個人情報そのものを保護対象とした罰則規定を設けるというのは,一つの意見かなと思うんですけども。

井坂委員

それと,それ以外にですね,これは確かに方向としては,成瀬先生がおっしゃっていることとずれますけども,公務に対してですね,他人になりすまして何かをするということ自体に対して,公務の適正の方面から処罰の対象になるといった話は,何かあるんじゃないかと。

成瀬委員

それは,旅券法とか,個々の法律はもちろんあるわけですけども。他人になりすまして,パスポートをとるのはダメだとか,当たり前の話ですけど。でも,それは文書偽造でもやろうというふうに普通は考えるんでしょうけど,旅券法違反とか,文書偽造とか,その辺で処罰できるんでしょうけども,私は個人情報保護条例の中に罰則を設けるのであれば,罰則の本旨というか,その個々の条文の本質は,やはり個人情報の保護になければならなんじゃないかなと。それが確かに会長がおっしゃったように,今までの法律のレベルの議論を大きく超えてしまっているので勇気がいる,私も今,非常に勇気を持って言っているんですけども,処罰対象の拡大等になっていきますので,反発もあるかとも思うんですけども,罰則で規制していくべきだという声も出てくるかと思うんですけども,一つの個人情報を手厚く保護すべきだとか,住基ネットの問題でも個人情報の漏えい等を恐れているわけですので,個人情報そのものを保護の対象として高めていくという方向で踏み出してもいいのではないかと個人的には思っています。

馬場会長

はい,ありがとうございました。

井坂委員

もう一点だけ。相手方,情報提供をされた側に対して,処罰の範囲を拡張すべきという御意見なんですが,十分に考えられることだと思うんですけども,そのときにも,やはり処罰の対象をどの程度認めるのかというについては,もう少し議論が必要だと思います。例えば,仙台市で去年度末に起こった件ですと,委託業務者がよそに下請けに出したと,孫請けですか,その出したという件はですね,素案の,中の61条1項に引っかかって,受託者は処罰の対象になりますが,そのときに契約を受けた相手もですね,処罰の対象となるのか,そこまで拡張することは,私はたぶんないだろうと。その件で処罰の対象とされるべきなのは,むしろ2項に該当するというか,かなり悪質な行為をもって提供を受けた者に限定されざるを得ないだろうということで,ここは,ストレートに受けた者も同罪でしょうというような議論にはならないということ。これは成瀬先生も同意見だと思いますが。

成瀬委員

そうですね。あとは目的で絞るとかですね。例えば,不正の利益を得るために使用する目的でとか,何らかの目的で絞るとか。ただ,やはり普通提供を受ける側がないと提供をしないわけですよね。むしろ提供を受ける側が,提供を受けた個人情報を利用して,一定の利益を得るわけで,業者とか,あるいは,職員の側は,提供を受ける側から見返りをたぶん得るわけでしょうね。何も理由がないのに情報をどんどん漏らす人もいるかもしれませんけども,そういうケースよりも,むしろ深刻なのは,個人情報を不正に取得して,ダイレクトメールを送るとか,一定以上の年収の人をピックアップしてとかですね,そのような悪用をするところに,たぶん本質があると思いますので,そうすると,やはり,受けた側の方が悪質性が高いのかなと。もちろん,情報を提供した側も職務義務違反というか,義務違反の側面はあると思いますけども,実害はむしろその後に生じてくるのかなという気がしたので。もちろん,井坂先生がおっしゃったように何らかの形で絞らなければいけないと思いますけども,提供を受ける側を処罰するなら目的を設けるとか絞らなければいけないと思いますけども。でも,やはり処罰の必要性はあるのかなという気は個人的にはしております。

村松委員

処罰の必要性があるというのは分かるんですが,先生が考えておられる提供を受ける側と,他人になりすましてというところについては,たぶん,刑法でいけば先ほど出てきた国家公務員法とか地方公務員法の教唆とか,幇助ということでたぶん網に掛かってくる。それから,第三者が他人になりすましてというところについては,たぶん私文書偽造とか,行使とか,そういうところでの罰則がたぶん出てくると思うんですね。ですから,過料とですね,そういう罰則と是非とも条例で処罰規定を設けなければならないかどうかというのを,刑法的な観点を見据えた上で議論した方がいいかなというふうに今は思っています。ちょっと躊躇するかなというところです。

成瀬委員

村松先生のおっしゃることはよく分かるんですけども,もし国公法とか地公法の教唆,幇助で行くならば,その保護法益は何かというと,教唆して何を侵害しているかというと,個人情報を侵害したのではなくて…。

村松委員

今のところは,事務局の説明ですと,公務の適性さとか,受託事業者の業務の誠実な履行とか,そういうことはあるんですが,そのもっと先には,個人情報の保護をそういうことで保護するんだという大前提があるんだろうと思うんですよね。だから,おっしゃらなかったけれども,保護法益は個人情報の保護というところにあるというふうに理解していいんじゃないかと私は思っているんですけどね。

成瀬委員

地公法とか国公法だと,個人に関わらない,例えば国家機密とか,県庁で保有している,県としての外に出せないことっていうのも当然保護対象に含まれてきているので,地公法とか国公法の守秘義務の保護法益を,個人情報に限定してしまうのは不可能というか,難しいのではないかなという気がするんですね。

地公法違反とか,国公法の守秘義務違反の教唆で捕捉する,それで捕捉できるからいいんだとなってしまうと,結局,保護法益は公務の適性化と,まあ守秘義務そのものということになってしまうのではないかと。私の感覚は,個人情報そのものを保護の対象とした罰則規定,あるいは規定ぶりを考えていった方がいいのではないかということなんです。でも,こだわりませんので。いずれ,勇気のある,難しい問題ですので。

馬場会長

具体的にどういった場合が出てくるかということをここで想定していくのは,なかなか難しいところがあるんですけども,確かに保護法益が違いますから,他のものでは捕捉しきれない穴みたいなものが生ずるかもしれないという,現在のところは疑念的なおそれですけども,そういったところがあると。そうすると,個人情報保護条例と言っていながら,実は罰則で保護しているところは,別なところだけを保護して,肝心のところが穴が空いてしまう可能性があるんじゃないかというところを御指摘されたのだろうと思うんですけども,この点はですね,確かに御指摘を受ければ,むしろ自分の情報を不正な手段で取得するということは,なかなかある意味では考えられないところもあると思うんですね。自分の情報をもらうのに,まあ出してもらえないものを特殊な方法でということは確かにあるのかもしれませんけども,むしろそういう意味ではやはり個人情報で一番恐れられるのは,本人自身ではない人のところに漏れていくということを保護しようとしているわけだから,そこを罰則規定においてもきちっと押さえておこうというのは,ごもっともな指摘だろうとは思うんですね。ただ,先ほど言いましたような処罰範囲を広げていってしまうという問題があるので,ちょっと注意を要するかなという気がいたしますけども。なお,それは重要な検討課題ということで,御指摘を受けた件については,さらに検討していくということにしたいと思います。

成瀬委員

一点だけいいですか。確認ですけど,事務局にも説明していただいたんですけども,個人の秘密は実質秘だということだったんですが,そうしますと電話帳に載っている住所や電話番号は含まれないということになるんですかね。つまり,その個人が自分の名前を手掛かりにして,電話番号,住所が他人に知られてもいいというふうに判断していることになるわけではない?

事務局

どこに書いてあるかだと思うんですね。まさに電話帳に書いてあるもの自体は公に出ているものですから,電話帳そのものが実質秘ということではないと思いますけども,同じ住所とか名前が行政文書のどこに書かれているか,その氏名,住所がどういう状態で併記されているかによってですね,条例14条の非開示情報に当たるかどうかの判断が必要かと。ですから,氏名だから,住所だからというよりは,その個人情報が持つ性質,行政文書の中にどのような状況で個人情報があって,どのような状況で含まれているのかという問題になってくると,まさに個別の判断が出てくるというふうに考えられます。例えば,内部密告情報ということで,誰々の業務について怠慢があるというふうな情報があったと。たとえその人のことが電話帳に載っていたとしても,個人名自体を明かせるかどうかは分からないわけですから,その行政文書の中の個人情報がどのような性格を帯びているかということを個別に判断していくしかないのではないかと。

成瀬委員

そうしますと,名前すら個人の秘密に当たるときがあるという趣旨ですね。通常,一般には名前は秘密事項には入らないですよね。

問題となっている対象文書,ファイルに応じて,どこまでが実質秘かということを考えていく,個別的な判断だということですね。分かりました。

馬場会長

その辺,なかなか難しい議論があるかと思いますね。

井坂委員

あと一点だけ。むしろ成瀬先生に聞きたいんですけども,これは確認的ですが,

素案の中には両罰規定が出てきたんですけども,私はあまり刑法は得意ではないですが,これについてちょっと一言。通常,両罰規定はこのようなものだということなのか,それと必要性について御意見を伺えればと思うんですけども。素案の62条ですね。

成瀬委員

基本的には,このような規定を置く可能性はあるのではないでしょうか。ただ,罰金刑が個人と同じでいいかというのは,一つ問題ですよね。罰金を科す場合というのは難しい問題があるんですが,あまり高くするのは問題なんですけども,ペイしてしまうと法人処罰の場合に特に問題だと思うんですけども,例えば50万円罰金払っても200万円儲かるんだったら,意味が無いわけですよ。独禁法とかでよく問題があると思うんですけど。条例ですから,難しいんですけど。

井坂委員

無理ですかね。無理でもないですかね,ある程度条例にもありますね。

馬場会長

条例に罰金を科すときの上限は。

成瀬委員

懲役は当然ありますよね。罰金の上限は。

事務局

懲役は2年で,罰金は100万です。

井坂委員

ということは,これ以上はどうにもならんということですね。

成瀬委員

無理ですね。100万ぐらいの罰金だとあまり法人に対する罰としては意味がないというか,ただやはり行政的に何かしたほうがいいかもしれませんね。

井坂委員

その時は,別に刑法の適用の可能性ですか。そこで,併合的にやるということしかないということですかね。

成瀬委員

もちろん,あまり経済的な観点では効果がなくとも,処罰された会社だという社会的な制裁とかを期待して置くというのは,もちろん無意味ではないとは思うんですけどね。

馬場会長

それでは,これは確認しておかなければならない点が何点かあると思うんですけども,ここの結論を出す前に,業務受託者にも罰則を科すということが検討項目になっていると思うんですけども,そもそも義務規定を置くかどうかということが前提になると思いますので,この点についてまず御意見を伺ってですね,後で罰則をどうするかという結論を出したいと思います。

村松委員

私の方から。外部委託自体なんですけれども,個人情報保護の安全保護の原則という大原則があるんだろうと思うんですね。そういう観点とか,外部漏えいした事件についての多くは,受託先からの漏えいだったわけですよね。個人情報の保護を徹底するのであれば,抜け穴を作らないという意味で,原則は委託禁止というのを明文化して欲しいかなというのが一点あります。今,条例も規定されていますが,法律もそうなんですけども,この安全保護の大原則というのは当然とも言えるんですが,読み方によっては,外部漏えいしないような適切な措置さえ講じれば,外部委託が許容されると。そこには歯止めがないかのようにも読めてしまう構造になってるものですから,原則禁止というのをどこかに盛り込んで欲しいかなというふうに思っております。そのような観点から行きますと,当然やってきたんだと思いますが,外部委託をしなければいけない必要性というのが今一つ分からない。今日,資料等も配付されましたので,その辺を簡単に御説明いただけたらと思います。そのような委託基準を設けて,例外的に外部委託をすると。それで,その場合に受託先の義務とか,漏えいした場合の罰則というのは規定すべきであって,それは職員が漏えいした場合と同じような重さのものになってしょうがないかなと思ってきました。

馬場会長

どうもありがとうございます。今の村松委員の意見ですと,個人情報の保護という観点から言えば,個人情報を含むものという限定を付けていいのかと思いますが,業務について基本的には委託してはならないという態度で行くべきではないかということと,委託の実態というかそういったことが分からないということで説明をいただきたいということがあったかと思いますが。恐らく,実状としては,かなりいろんな部分での外部委託というのはあるんだろうと思いますので,現状から考えると,なかなか厳しい御意見かと思うんですが,この辺りは事務局でいかがでしょうか。

事務局

はい,外部委託の現状ということなんですが,全てを今説明できるわけではありませんけども,宮城県だけに限らず,全国的に行政機関はですね,個人情報取扱事務に限らず,広く外部委託を行っております。この外部委託につきましては,業務のもちろん効率的な面であるとか,自治体が行う上で必要な設備を有していないですとか,技術的に外部委託が必要であるとか,そういった面から外部委託をすることによって,事務の適性化,効率化等を図っているということになります。

個人情報保護条例につきましても,現行の規定上は,もちろん外部委託禁止とはされておりません。委託をするに当たってはということで,13条の方にですね,委託に伴う措置ということで,委託を受けたものに対して必要な措置を講じることと,委託業務に従事している者に守秘義務的なものを科すというふうな内容になっております。その広く公に認められている委託ということで,その中でも個人情報を取り扱う事務の委託については,もちろんより適切な委託先での適正な取扱いであったり,実施機関の取扱いであったり,そういったものを定める必要があるということから,資料22の方で,本日配付しておりました個人情報取扱事務の委託基準ということで,個人情報を取り扱う事務を外部に委託する場合には,このような措置を執りなさいということでの基準を定めております。こちらの内容につきましては,もちろん委託ということで,第2にありますとおり,一般に委託と称されるもののほか,印刷,筆耕及び翻訳等の契約並びに公の施設の管理,使用料の収納等々,広く委託を捉えまして規定しているところでございます。その中でですね,委託にあたっての留意事項と,契約に当たっての措置ということで,資料22の2ページになりますが,契約書の方に個人情報取扱特記事項ということで,秘密の保持ですとか,収集,利用の制限ですとか,漏えい,毀損,滅失等の防止等,再委託の禁止等の規定を契約書上に盛り込むか,もしくは特記事項として契約書に添付するかといったようなことで,個人情報の適切な管理を行ってくださいということを契約で義務付けるということで,現行はこの委託基準に基づきながら,個人情報取扱事務を委託する際は,これに沿って事務を行っているということになっております。以上でございます。

馬場会長

ありがとうございました。そうしますと,現行条例13条で委託に伴うところの個人情報の秘密保護というのは,ある意味では受託者には義務付けがあると。ただし,これはかなり包括的な規定の仕方ですから,仮に受託者に義務規定をおいて,そしてそれを罰則規定に繋げていくということになりますと,それを原則的な形にするのか,例外的な形にするのかは置いておいてですね,いずれにしても,どういった行為を捉えて罰則規定の対象になる義務と考えるのかというあたりの案というのは,事務局の方では具体的には何か考えているのか,いわゆる秘密を漏らした場合ということだけで考えてらっしゃるのでしょうか。

事務局

基本的には,職員の義務と同等の義務を課すということになりますので,現行の13条は,あくまでも努力義務の規定になっておりますので,職員と同等の義務を課しつつ,罰則の方でも職員と同様に,従事者に対しても同様の罰則を科すというふうに案としては考えた上で,資料としては提出しております。

馬場会長

はい,分かりました。要するに職員と同じ内容で義務を課して,これに罰則規定を設けるとすれば処罰の対象にしていくということなんですけども,とりあえず,そこはそのように理解をしまして,この規定を設けるに際し,委託をしてはならないということを明記すべきという村松委員の御意見がありますので,ここの点について,少し他の委員の御意見を伺いたいと思いますがいかがでしょう。

阿部委員

委託してはならないと明記するというのは,現状ではかなり難しいのではないかなと思っております。ただ,心配しているのは,資料22の2ページに個人情報取扱特記事項ということで書いてあるんですが,例えばですね,委託をする場合に契約上いろいろと規定があるというのは分かるんですが,現状において,例えば,庁内で作業を行う場合にはある程度のチェックはできると思うんですが,外部で作業を行ったりするときにですね,ここに複写又は複製の禁止とか書いてあるんですが,この辺が一番怖いところなんですね。現状において委託した場合,そのチェック機能というのは,今どのようになされているか教えていただけないでしょうか。

事務局

現状ということですが,全てについて網羅できる説明ではありませんが,複写複製の禁止という項目がありますし,各実施機関の方で外部委託を発注する際にですね,この特記事項を参考にしつつ,契約書に盛り込む場合もあれば,盛り込まない場合もあると。契約書に別に項目立てされていれば,この特記事項が全て契約書に出てくるということにはならない場合もあります。複写複製の禁止につきましては,基本的には業務の範囲内で必要であれば,委託に当たっては認められていると考えられます。例えば,その後の複写したものの消去ですとか,廃棄ですとか,そういったものの確認についても,文書等で消去しましたとやりとりする場合もあれば,職員が立ち会っている場合もあれば,確認をしていない場合もあるという様々な取扱いが現状としてはあると思います。ですから,必ず複写を,まあ複写は一応原則禁止にして業務の範囲内は認めるですとか,そういう取扱いも当然あるんですけども,委託した先でですね,全ての委託先の業務内容など,複写したかしないか,廃棄したかしないか,そういったところまで全てを網羅して確認をしてますというところは,やっていないところは確かにあると思います。

馬場会長

よろしいでしょうか。それでは,規定するときに基本的にどういった態度で行くべきかというのは,やはり態度を明らかにしておかなければなりませんので,この点,委託してはならないという規定ぶりにするのか,それとも,委託する場合にはという形で義務的な規定を置いていく形とするのか,その辺いかがいたしましょうか。

村松委員

事務の効率化は分かるんですけどもね,せっかく個人情報保護の法令ができて,先駆けて条例は作ってるわけですけども,発想を違えるということになってきたわけですよね,個人情報をきちんと保護するのだと。今の委託基準とか,特記事項があってもですね,今のままで,仙台市と同じことがなかったのは,ラッキーだったと思わなければならないんだろうと思うんですよね。それで,個人情報保護法ができて,もうこれで委託基準があるから必要な措置を講じているんだということには,ちょっとならないんだろうと思うんですよ。しかも,今の状態ですと,条例だけ改正した,けれども,どんどん外部委託をすることによって情報が垂れ流しになるかもしれないというのが,どうも是正できないような気がしてるんですよね。ですから,そこら辺,ちょっとコスト感覚は分かるんですが,コストと情報の大事さというのをもう一回秤に掛けて取り組んでいただかないと,ちょっとザル法になってしまうかなという気がしてるんですが。

馬場会長

他の委員,いかがでしょう。

井坂委員

明確な意見ということではないんですけども,かなり条例そのものを作るというよりも,今の村松先生の御意見もですね,この委託基準なるものが,このままで必要な措置ということには解されないということもあるかと思うんですが,ここは残念ながら条例そのものにそのこと自体を載せられるかどうかというレベルで考えなければならない。その後はどちらかというと,事務局及びこちらがですね,今後の条例の運用の中で,条例を変えたのであるから,この委託基準ではいかんという方向で処理をすべきことなのか,それとも条例である程度のことを明文化するという必要があるかという問題だと思います。私の個人的な意見ですが,原則委託禁止と謳うのはいささか強すぎるだろう。できるのは,先生がおっしゃったところの例外的かどうかはともかくとして,基準について,条例である程度の線を出し,かつ,これまで使っていた委託基準に関しては,全面的に今後見直すということが,条例を見ても明らかになるようにするという筋というぐらいしかないのではないかと思われます。私個人はどの程度出来るかよく分からないんですが,例えば仙台市が例の問題の過程で,改善として外部委託する場合については,先ほど阿部委員の方からも出ましたけども,基本的には庁内処理を原則とするという方針を打ち出しているというふうに聞いております。つまり,実施機関の方の目の届く中でやっていただくというのを原則とするという方向にしたということだそうですけども,そういったものは恐らく条例そのものには書けないとは思いますが,方針としては参照に価するだろうと。ただ,県の事務は,仙台市とは比べものにならないのかどうか,これは政令市と県のどちらが大変だという究極の問題にもなるかと思いますが,そこのところはいろいろあるかと思います。そこについては,私としては条例である程度のところを規定し,このままではよくないというのを明確にするぐらいではなかろうかというのが,個人的な意見です。

馬場会長

ここだけの議論をやっている時間もありませんので,申し訳ないんですが。それでは,ここで今の規定ぶりについて結論を出しきることは留保させていただいて,ともかく義務規定を設けていくということ自体はついては,よろしいですね。はい,そのように確認させていただきます。

その上で,先ほどの議論に戻しますけども,罰則規定を設けることについて,何点か確認させていただきたいんですけども,審査会の委員も罰則適用の対象にするということも検討対象になっているわけすが,これ自体はいかがですか。これは,成瀬委員の御意見は当然ということで言われたわけですが,いかがでしょう。

(委員,了承)

はい,それでは,当然ということで,これは我々だけがそういった義務から免れるのは,どう考えてもおかしいことだと思いますので,これは設けていくとことにしたいと思います。

それから,罰則を適用する範囲,対象とか,量刑をどうするかという問題はあるんですけども,これは条例案の草稿を事務局で作成していただいて,それを最終的に検討させていただくということで,処理させていただきたいと思います。

それから,確認しておかなければならないのは,事務局の素案では,両罰規定が置かれているわけなんですけども,確かにこれは実行行為者よりもむしろその背後にいる人の方が重要な役割を果たしているということがあり得るわけで,したがって,会社の責任のある人の方が重要だということはあるんですが。いかがでしょう,この両罰規定を置くということは。ある意味で,実効性の部分を考えると怪しい部分もあるんではないかと,先ほど御指摘もあったかとは思いますけども。ただ,不名誉ということで効果を期待する部分もあるという御指摘だったと思いますが。これは,よろしいですか。罰則規定を設けていくということで。

井坂委員

例えば,情報の処理を独立行政法人に委託するということも考えられますが,あまり議論したことはないと思いますが,独立行政法人の犯罪能力という,犯罪の処罰の対象とするということについて,私も制度ができたばかりで,十分に勉強していませんけども,たぶん刑法の世界でもまだ,話もしたこともない話だとは思うんですが。この法人という言葉には,形式的にとれば,独立行政法人も含まれるし,むしろ地方自治体等他の行政主体も含まれるように見えるんですけども,この辺がどうなのかなというについて気にはならなくはないんですが,私の方でも考えてみますが,刑罰の対象としてその辺を成瀬委員にお伺いしたいんですが。

成瀬委員

独立行政法人でも,基本的には法人と一緒ということでよろしんじゃないでしょうか。

井坂委員

ただ,いわゆる行政を行うというものに対してですね,刑事罰の対象というのはあったのかなと。例えば,自治体が犯罪をしたということで,国から罰則を受けるとかということは,これまで行政主体というものの能力というものをこちらも十分考えてはいなかったんですが,独立行政法人というものが出てくるということになると,これまで特殊法人が相当他の方面で悪さをしていたんですが,そこの刑罰がかかることまでやっていなかったんで不問に付してきたんですが,ここもちょっと考えなければならないのかなという気がいたしました。

馬場会長

確かにその辺は我々もあまり考えたことのない問題点ですので,念頭に置いていきたいと思います。

それと,過料についてですが,地方自治法の14条の方に過料というのがあるようですが,この関係を少し事務局の方で説明願います。

事務局

条例上は,過料を科す場合は,上限は5万円ということで地方自治法上は制限されております。法律上は10万円ということになっておりますけども,条例になると5万円が上限になるということでございます。

馬場会長

そうしますと,条例で過料の規定を置くとすれば,5万円以下。そして,どこで線を引くかということですね。上限ぎりぎりまでにしておくのか,それとも,そんなに重くなくてもよいというふうに考えるのかということですけども,いかがでしょうか。上限の5万円ということで,確認しておいてよろしいでしょうか。

(委員,了承。)

はい,それでは,そのように確認しておきます。

それでは,罰則の議論はこの程度にさせていただきまして,次は,これは事前の準備を必ずしもきちっとしてなかったんですけども,審査会の権限をどうするかということですね,これをやりたいと思います。

現在,審査会の構成等の規定は32条から39条まで設置,組織,運営等については規定されているんですけども,現実には要領という形で,例えば必要な範囲での調査を行うとか,ないしは,開示決定に対する異議申立人から意見陳述を求めるとか,こういったことについては,要領でやっているわけですけども,これをきちっと条例の中に規定すべきではないかということが検討項目に入っております。これにつきましては,私が考え方として申し上げますと,これはやはり県民の,例えば意見陳述を行うということについても,審査会の権限として明記されておれば,当然その反射的な効果として,そういうこともできるんだということが条例を見れば分かるという形にもなりますので,条例にきちっと書き込むことで方向性としてはよいというふうに考えておりますけども。仮に審査会の権限というものを条例の中に書き込むとすれば,どの部分が書き込まれてくるのかについて,事務局の方でこういった点ということを検討されている部分があると思いますので,御説明願えればと思うんですが。

事務局

まず,資料の23の方を御覧ください。条例に規定されていない部分以外の部分については,資料23の審査会運営要領に規定されておりまして,この運営要領の方に規定があります,例えば運用手続面,第2の委員に通知するものとするといった規定等以外のものの規定,第3条不服申立に係る審査の原則ということと,第4条の理由説明書,第5条,それと意見陳述関係として補佐人の規定も併せて第6条,第7条の部分,第8条の陳述人の数も運用的な規定ですのでこれも飛ばしまして,会議開催の原則の部分の第9条1号の部分ですね,これは不服申立の諮問があった場合は公開しない非公開の規定になりますけども,この第9条の1号部分,これらの部分をですね,条例化するということで,審査会の権限の強化を図りたいということになります。規定としましては,法律の規定と情報公開条例の方,情報公開条例の方にはすでに審査会の権限が明記されていますので,そちらの規定などを参考にしながら,要領の方から条例化する部分をさらに詳細に訂正した上で条例化していきたいという部分がございます。その他,要領にはなく,条例化するものとして考えられる部分が,不服申立人等からの意見書を提出することができるといった規定,提出資料関係の閲覧規定を定めるということを検討しております。併せて,審査会の権限を強化するに当たりまして,現行条例の方の24条なんですけども,不服申立ての規定が24条に1項,2項と規定されていますが,審査会の方へ諮問した場合,実施機関が不服申立てを受け,審査会へ諮問した場合に,審査会の方へ資料の提出を行うことを義務付ける規定ですとか,審査会の答申を尊重する旨の規定が,24条2項にございますけども,これを別立てとして,答申の尊重ということで,審査会の権限ということと関連して,条例に明記していきたいと考えております。以上でございます。

馬場会長

ありがとうございました。ということで,現在要領にある部分を条例に高めるということなんですが,私は先ほど申し上げたとおり,基本的にはそういう方向でよろしいだろうというふうに考えておりますけども,これはいかがでしょうか。御意見がございましたら…。

無ければ,よろしいでしょうか。それでは,そういうことで確認をさせていただきたいと思います。

それでは,個別に検討項目として我々に与えられた具体的なテーマということでは,以上で検討を終わりますけども,その他ということで,さらにこの際検討しておくべきことがないかということを,最後に検討したいと思いますが,その前にですね,条例の改正検討項目ということにつきまして,意見募集をしていたと思うんですけども,結果がどのようになっているか事務局から御報告をお願いしたいと思います。

事務局

意見募集につきましては,7月22日から8月22日までの1ヶ月間,意見募集として,情報センターやホームページ等で募集しました。資料の24の方になりますが,提出意見ということで,2件ほどございまして,こちらの方に記載しておりますけども,1点目が警察本部長及び公安委員会を実施機関に加えることはよいことかと思いますが,諸問題や難しい点があるかと思いますので,慎重な討議のもとよりよい法規制をお願いしますというのが1点です。

2点目としまして,個人情報保護法に対する対応として,プライバシーマークというものがございますが,プライバシーマークを検討しておるという方なんですが,管理体制,窓口の設置等難しい面と費用がかかるということがあり,なかなかプライバシーマークの申請ができない現状があるということから,神奈川県,山梨県で実施しております自治体への事業者業務取扱登録制度があるんですが,この制度について,宮城県の方でも検討できませんかといったような意見がございました。以上でございます。

馬場会長

ありがとうございました。それでは,意見募集で寄せられた意見も含めてですね,個別の検討対象になっていなかった事項について,さらにこういったものもこの際検討しておくべきではないかという点がありましたら,この際議論の対象にしたいと思うんですけども,とりあえず私の方で,こういった点が問題になるんではないだろうかということを考えた点と,事務局の方でこういった点についてもさらに検討しておく必要があるんではないだろうかと私の方に事前に御指摘をいただいた点もございますので,時間はあまりないんですが,それらを検討してみたいと思います。

まず,今,公募された意見の中での2番目ですけども,個人情報の事務取扱の登録制度について他の県ではあるということですので,こういった点も個人情報を保護していくという一つの制度として設けるということはアイデアかなと思いますが,これについて御意見をいただきたいと思うんですけども。仮にこのような制度を設けるとすれば,どういったことが考えられるかということで事務局でお考えになっている点があれば,御説明願えればと思います。

事務局

御説明いたします。事業者登録制度ということで,意見募集のあったものにも書いてあるんですけども,ここにあるプライバシーマークにつきましては,旧通産省の所管公益法人で,財団法人日本情報処理開発協会が制度化,創設したものでございます。社団法人4団体を認定団体と指名しておりまして,4団体がプライバシーマークについての認定を行っていると。その際にお金が随分かかるというふうなことでございます。プライバシーマーク制度につきましては,JIS規格の旧15001という規格に基づいて行っておりまして,かなりシビアな標準,基準を詳細に設定してございまして,例えば,情報収集のあり方とか,情報提供のあり方,情報の管理のあり方を詳細に内部で独自に定めろと。それを1年間ぐらい運営しまして,それを監査にかけて,監査で問題になった問題点を,またスパイラル的に社内で問題点を改善すべく,改善点を見出して,その改善点をまた反映しなさいということで,時間的に途切れるというのではなくて,どんどん続いていくものなんですね。かなり基準的には,取り入れるべきものがあるとは思いますけども,事業者にとっては費用の負担がかかるというのが,やはり一番のデメリットかと思います。

神奈川県につきましては,実際に事業者登録というのはやっておりますが,どのような登録をしているかというと,本県条例の7条のような形で事業者が取り扱っている個人情報がどのようなものなのか,どのような目的で取り扱っているのか,その個人情報がどのように外部に提供される可能性があるのかと,個人情報の保有目的と個人情報の流れを公開しているというものでございます。それをもって,県民に対しては安心感,事業者に対しては企業イメージのアップ,県としては個人情報の保護の推進ということで,三者全てに得があるということで,神奈川県の方ではやっているということでございます。

それで,事務局のスタンスとしては,個人情報の保護でございまして,本年3月に仙台市で市民税データが紛失したという事件がございました。委託事業者が再委託する過程で情報が漏えいした,紛失したという事件だったんですけども,県でも個人情報を取り扱う委託業務について,やはり県が積極的に個人情報の漏えいについて,例えば,委託業務についてですね,防止すべく積極的に関わるべきではないかというふうなスタンスではおります。仙台市では審査会等を設置して,委託契約をする前に従前に審査を経なさいと,経ないとダメですよという制度も出来ているようですけども,県としても委託業務,個人情報を含む委託についても,トータルでやはり施策を講じなければならないということで,内部的には検討しております。やはり,その個人情報についてガイドラインの策定とか,あるいは,委託業者の義務の強化とか,罰則の新設など,トータルの施策で対応しなければならないと考えておりますけども,その施策の一つとしてですね,委託契約前に個人情報に係る委託先の社内セキュリティ,そういったものを従前にチェックしておく制度がやはり必要じゃないかと。神奈川県のように個人情報をどのように扱っているかというふうなものを登録するだけじゃなくて,もう少し社内的な体制とかも含めて,県の今後策定するガイドラインに沿った,基本的な個人情報の保護の意識があるかどうかという,事業者の従前のチェックというのを,この登録制度でうまくすると担保できるのはないかと考えているところでございます。以上でございます。

馬場会長

ありがとうございました。今の事務局からの紹介ですと,事業者の登録制度というものを設けるだけではなくて,委託契約をするという際に,内部的なセキュリティのチェックまでできるような制度として,より本県としては個人情報保護を重視した制度として考えるということのようですけども,それはそのとおりかと思いますが,当然,これは審査会,事務局だけといいますか,ここだけの議論だけではなく,当然各実施機関との連携も必要となりますので,こういった制度自体をですね,今回の条例の中に設けていくのか,それとも,そういったことも考えていくという建議の程度に留めるのか,その辺は,今の段階としてはあるのかなという気がしないわけではないんですけども,こういう制度を検討していくということについては,十分考えていいことじゃないかなという気がしますけども,いかがでしょうか。

井坂委員

こういう制度を設けること自体について,原則的には賛成なんですけども,神奈川県のを拝見しましたら,まさに個人情報を扱っておりますということの登録のレベルであって,中身に関してそれほどチェックが行き通らない。登録の拒否に関しましても,著しく不適正でなければ拒否しないと。これは相当甘い規定であると。その分,恐らく登録制度の信頼感というのもそれほど高いものにならないのではないかと。その分,審査はやりやすいだろうということだと思います。

仮に理想論的な,会長や事務局がおっしゃったようなところを入れるのが,私も正論だとは思いますが,それなりにチェックをかけなければならないなということになるかと思います。

それと,こういう制度を設けるときにいつも言うんですが,大体無視されるんですが,登録制度を設けるとともにですね,登録に定めた内容と実態が違うということが調査の際に判明した場合につきましては,これは登録を,いわゆる行政法学にいう撤回に関する明確な根拠規定及び撤回されたということを事実上のサンクションとして公表するという制度を設けなければならないということだと思います。何とか県認証の何とかが,こういったまずいことをやったというのは,はっきり言って,県の信用も相当損なうということ。これは,それについて,県はこれぐらいのことしかやってませんということで,後で自白していい恥をかくというのが往々繰り返されることでありますので,そこについて,恥は恥でしょうけども,そのときにきちんと,その通りだと思いますので,登録の方はこのように撤回させてもらいました,この業者は事実上個人情報を扱うのに相応しくないということを示すべく,その旨も県民一般にお知らせする。撤回の条項については,行政法学上かなり色々議論がありますので,きちんと根拠規定を設けておくほうが,何にしてもよかろうというふうに考えております。

馬場会長

今,井坂委員からは,まさに条文にきちんと根拠規定を盛り込むという形で,今の指摘された意見を前提にして盛り込むという御意見かと思いますけども,この点は,当委員会の全体としての意見として,そのような方向で確認させていただいてよろしいですか。

(委員,了承)

はい,それでは,そのように確認させていただきたいと思います。

次にですね,実は,これは個別の検討の時に,きちっと検討しておくべきことだったろうと思うんですけども,今回,個人情報の開示請求があった場合に,実施機関に新しいところを加えるということもあるものですから,情報の性格によってですね,存否応答そのものができないという場合もあり得るということで,存否応答拒否を制度として入れようということを確認させていただいておりますが,ただ,その際の問題点がありまして,存否応答拒否ということになりますと,そもそも自分の個人情報があるのかないのかが全然分からないということがありまして,そういうことはないとは思いますけども,やはり制度を作る際に注意しておかなければならないのは,これをあまり安易に使われますと,個人情報の保護の趣旨というのが,全く骨格が崩れてしまうということもおそれとしてはないわけではないと思うんですよね。何と言いますか,同じ制度を執るにしても,またそこに一つある種の枠みたいなものをはめておくということも,考えてみる必要があるのではないかということがありまして,その辺,どうしたらいいのかということがあるんですけども,委員の中で御意見がありましたらお伺いしたいんですが。

馬場会長

これにつきましては,存否応答拒否ですから,中身は当然分からないわけですけども,やはり個人情報保護審査会でですね,なぜそういった処分をしたかということについての説明をお聞きするということは,制度としては設けておいた方がいいんではないだろうかという気がいたします。それについて,拘束力自体は問題があるかと思いますが,何らかの意見を述べさせていただく機会を設けておいたほうがいいだろうという気はするんですが,この点はいかがでしょう。

井坂委員

基本的には,会長のおっしゃることに同意するわけですが,どういうふうに制度化するかというのは,一つかなり難しい問題があるかと思います。存否応答拒否が出た時点で,不服申立てがあれば,どのみち当審査会は関与するわけで,その際に理由は聞けると。これはいいんだろうと思うんですが,その他の場合について,どのように存否応答拒否処分に関して,こちらではどのように情報を得るか。その情報を得た上で,建議等が可能になるわけですけども,それをどういうふうにやるのかということですね。

個別に存否応答拒否処分をやる前に,審査会の方に説明してくれということにする。ただし,これはものによっては,かなり相当,実質的に困難だろうという形になるでしょうし,それをやった場合に事後的にという形になるのかと,その辺について,一つ考えておかなければならないのかなというふうに思います。審査会としては,存否応答拒否処分について情報を知って,その上で建議をしなければならないこともあるということは,基本的に必要なのではないかなというふうには思っています。ただ,いつの時点で情報を得られるか,得るよう制度にするのか,それがちょっとどういうふうに考えるのかということは,私としても明確ではありませんが。年末に,これぐらいの存否応答拒否処分がありまして,一括して説明させていただきますと,かなり時間が経ってからの一括説明では,かなり審査会としてもやりようがないのかもしれませんし,かといって事前にやるならば,審査会に話を通してくれというようなことを要求すると,かなり実施機関側として厳しいという意見も出るのかもしれません。

馬場会長

確かに,どの時点でということを考えると,非常に難しい判断というか,決断を迫られるような気がしますが,これにつきましては,ここで詰め切るということはなかなか難しいでしょうから,少なくともこういった何らかの異議が申し立てられる前の段階で,我々がそういったことがなされつつある,ないしは,なされたということを知って,かつ,意見を述べる機会というのが与えられていいんではないかなと思いますので,このこと自体は,そういったことを何らかの形で盛り込んでいくということはよろしいですか。いかがでしょう。

まだ結論は出さないで,もう少し検討した方がいいという御意見があれば,伺っておきたいと思いますけども。特にございませんか。

村松委員

他のところで,他の自治体等でですね,濫用される危険性に対するチェックなので,そこら辺を事務局で調べていただくとか,そういうことで,どういうやり方があるのかということを知りたいと思います。

馬場会長

ここの結論自体は,やはり微妙な問題があるような気がしますので,確認は留保させていただいて,他県が同じような制度があるかどうかを調べていただいて,分かる部分があれば,次回に情報提供していただければと思います。

次はですね,個人情報を含む文書の廃棄という問題があるようなんですが,この点をどうするかということについては,なかなか難しい問題があるようなんですけども,一応念頭に置いて考えなければならないということもあるようなので,この辺を事務局の方から簡単に説明していただけますでしょうか。

事務局

条例の11条の3項にですね,実施機関は保有の必要がなくなった個人情報については,確実に,かつ,速やかに廃棄,又は消去の措置を講じなければならないというふうには規定されております。ただ,その解釈を見ますと,ここでは保有の必要がなくなったというのは,文書規定により保存年限が規定されていますが,それが保存年限が切れてしまったものに限られているようなことでございまして,一つは実施機関が持っている不必要な個人情報についてどうするのかと,方向性としては,不必要な個人情報については廃棄しろということをやはり明記すべきではないかということが一点,それから,11条3項にこのように廃棄,消去について規定されておりますけども,内部的に意識が徹底しているかどうかといいますと,ちょっと疑わしい面があるかなということで,一つは,適正管理は適正管理ですけども,廃棄というのは非常に個人情報保護の重要なポイントだと思いますので,適正管理から独立して,廃棄を設けるというのが必要ではないかということと,先ほど申し上げました保有の必要がなくなったというよりは,保有の必要がないという情報をどうするかということについても,きちっと規定する必要があるのではないかということでございます。

馬場会長

ありがとうございました。この点につきましては,歴史的・文化的文書というものの取扱いという問題もあるようなんですけども,ここはどのような問題があるか,説明をお願いします。

事務局

11条3項のただし書き以下に,歴史的又は文化的資料として保存される公文書に係るものは,この限りではないという規定がございます。現在,文書保存年限,例えば30年の保存期限が切れますと,それを廃棄するか,あるいは,このただし書きを適用して歴史的,文化的な文書として公文書館に保存するかということで作業がございます。30年以上経ったという対象文書について,公文書館で歴史的文化的価値があるかというふうな判断の下に,残すべき文書を候補として挙げます。それに基づきまして,文書を保存している原課がですね,残してもいいよとか,そういった協議をしまして,最終的に情報公開室長が歴史的文化的価値のある資料ということで指定して,公文書館に送ってやるという作業でございますが,現在1年間に厚さはまちまちなんですけども,1,000冊ございます。問題点として,その行政文書のどこに個人情報が入っているかということも分からないままに,公文書館に送っているというのが現状でございまして,問題点として,果たして個人情報のチェックをせずに,そのまま公文書館に送ってよいのかどうかという問題はやはりあるということでございます。

馬場会長

そうしますと,ここの問題については,私も十分問題点が分かりきっていないところがある気がするんですけども,個人情報を含む文書の廃棄を,保存年限が過ぎたら廃棄しなさいという原則規定を設けたとしても,公文書館へ送る歴史的文化的文書と選り分ける作業をしてからでないと,どれが廃棄できる文書であるのかどうかが分からない点があるということですね。

事務局

そのとおりです。

馬場会長

そうしますと,これを制度として,はっきり書き込んでしまうというのは,なかなか難しい問題があるのかなという気はしますけども,そういうことであれば,履行不能のことを書くわけにもいきませんので,もう少しこれは検討していくということでよろしいでしょうかね。これは今回,こういった問題があるということを,どこかで指摘するかどうかは別としまして,将来に渡って考えていかなければならない問題という程度にしたいと思います。

 

次に他のものに移りたいと思いますが,今度,法律が出来たということの関係で,条例の中にもきちっと確認をしておいたほうがいいのかなということとしてですね,事案の移送という問題ですね。ある実施機関に開示請求が出されたけども,その判断を他の実施機関がした方が適切であるという場合があり得ると。そういった場合に,移送という手続を設けた方がいいんではないかということがあるんですが,これについてはいかがでしょうね。

移送の手続が安易に使われてしまうと,たらい回しにされていつまでも出てこないという問題があるかと思うんですが,これはやはり情報を一番最初に必要に応じて収集したところが,場合にもよるので一概にそうとは言えないと思いますけども,判断に適しているということを直接請求を受けたところが考える場合には,速やかにそちらに移送して,そこで判断してもらうということは,制度としては設けておいたほうがいいのかなという気がきますので,これはよろしいですか。

(委員,了承)

それでは,そのように確認させていただきます。

それから,先ほども話題に出てきましたけども,独立行政法人の問題がありまして,当該法人を条例上,どのように取り扱うかという問題があるんですが,これはきちっと書いておいたほうがいいんじゃないのかなと。民間と一緒の問題として,いわゆる普通の法人として扱うのか,それとも,独立行政法人は従来,国の行政を行っているわけですから,国の機関と同列に見るかという問題があるんですが,これはいかがでしょうか。

村松委員

国と同列で。

馬場会長

国と同列でよろしいということですが,よろしいですか。

 

情報公開条例では,国と同列に扱うという規定があるようですね。

事務局

そのとおりです。

馬場会長

ということになりますと,必ずしも取扱いが同じである必要はないかもしれませんけども,県の取扱い上,混乱が生じないという意味では一緒にしておいた方がいいのかなと。一緒にしておいて特別不都合が生じるということが明らかであれば,別にする必要はあるでしょうけども,特段今想定されなければこれでよろしいのかなと思いますけども,よろしいでしょうか。

(委員,了承。)

それでは,そういったことで確認させていただきたいと思います。

それと,これは私の方で,この議論を始める前後辺りから意識してたことなんですが,これを提起したいと思います。それは,現行条例9条なんですけども,利用及び提供の制限という規定が9条にあるんですが,これは原則的に実施機関は個人情報を取り扱う目的以外の目的で利用し,又は提供してはならないという原則がありまして,これに例外があって,こういった場合は利用提供してもいいですよということになるんですが,そのうちの6号がありまして,これは同一実施機関内で利用する場合,又は他の実施機関,実施機関以外の県の機関,国若しくは他の地方公共団体へ提供する場合で,事務に必要な限度で使用し,かつ,使用することに相当な理由があると認められるときというふうな規定があるんですね。ただ,これは,事務に必要な限度で使用し,かつ,使用することに相当な理由があると認められるときというふうな限定が付いているんですが,これは果たして限定になっているのだろうかという疑問を以前から持っていまして,他の実施機関が,ないしは,実施機関以外の県の機関若しくは国というところがですね,ある情報を実施機関に提供してくれというようなことは,事務に必要性もないのに提供して欲しいということは恐らく無い。それこそ,先ほどの何らかの地位を利用したり,悪用しようとする人がいれば別ですが,そうでない限りは何らかの必要性があって提供してくれないかということがあると。それはもちろん必要があるということであれば,相当な理由があるということになるだろうと思うんですね。そうしますと,個人としては一定の実施機関に個人情報を提供しているんだけども,全く予想外のところに,自由に結局流れて行ってしまうというのを認めている規定になるのではないかという気がするんですね。

それで,もちろん全くダメかと言われれば,それはいろんな意味で必要性があるということもあり得るでしょうから,全くダメという形にするのも如何かと思いますけども,やはりもう少し厳しい制限を加えるべきではないかというふうな気がしております。

そういった問題意識は,恐らく事務局にもあったと思うんですが,資料の条例改正の素案の中の8条6号ですね,事務に必要な限度で使用し,かつ,使用することに合理的な理由があると認められるときというふうに,合理的という文言を入れた案を作っていただいたんですが,同じような問題意識があったのかなと思いますけども,合理的なという言葉使いにすれば,絞りがかかるのかどうかといった問題はあるんですけども,やはりかなりの理由がないと他の実施機関が取得,保管している情報を,全く別の行政機関ないしは実施機関がですね,欲しいからくれと言えば,直ちに行ってしまうということではない絞りが必要なのではないかなという気がしまして,問題提起をしたいなと思って,今お話しさせていただいているんですけども,いかがでしょうか。

事務局の素案の中で,合理的という素案を作成されていると思いますが,その問題意識は,いかがなものだったんでしょうか。

事務局

意識としては,会長と同様にですね,事務に必要な限度で使用し,かつ,使用することに相当な理由ということで,現行条例がなっておりますので,もう少し要件を厳しく,ハードルを高くということを念頭に置いてですね,合理的なという表現の問題はまた別として,外部提供に当たっての制限を,よりハードルを高くすべきではないかという意識でございました。以上でございます。

馬場会長

それでは,この問題については,考え方も分かれるところかと思いますので,問題提起程度に留めさせていただきたいと思います。時間も10分も過ぎてしまいましたので,一応ですね,我々が与えられた検討項目は,留保した部分も結構あるんですけども,これは次回以降の検討の中で確定していくということにいたしまして,与えられたもの及びその他必要があるんではないかと思われる部分も含めてですね,個別の検討は今日のこの程度で終わりにさせていただきたいと思います。

事務局の方からは,何かありますか。

事務局

特にありません。

馬場会長

それでは,今日の審査会は,これで終わりにさせていただきたいと思います。どうも御苦労様でした。

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