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オーケストラ
三岸好太郎(1903-1934)
1933年
91.0×116.5cm 麻布、油彩
三岸好太郎は札幌市生まれ。おもに春陽会と独立美術協会で活躍し、31歳で亡くなるまでさまざまなスタイルに挑みました。この作品が制作された年の三岸には、オーケストラを主題とした作品がもう二点あります。いずれも一面の黒地の上に白い絵具を雲のように塗り、線描で楽員を描いていますが、少しずつ違う描き方が試みられています。ここにあげた《オーケストラ》は白く厚い色面の上にさらに黄色や茶色の色斑が施され、描かれた楽員たちには、生乾きのうちに引っ掻かかれた線のほか絵具による黒い線描も用いられています。
三岸は生乾きの絵具を子どもたちに釘や金属の棒でひっかかせたこともあったといいます。この作品の線描にも、とらわれない生き生きとした効果があります。そのうえ色面や色斑と線描はたがいに相手を支配するのではなく、両者がつかず離れずの状態で際立たせあっています。この線描と絵画空間の即興的な関わりは、たしかに音楽のたとえに似合っています。
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