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画家の像
松本竣介(1912-1948)
1941年
162.4×112.7cm 板、油彩
松本竣介は東京生まれですが、父の郷里である岩手県で育ちました。彼の絵は、色彩の対比や奔放なタッチによって訴える絵とは対照的です。《画家の像》も全体は茶系統でまとめられ、色彩の帯域は決して広くはありませんが、細部まで変化に富み、ところどころ青や赤味を帯びていて単調ではありません。黒く細い線描もデリケートです。表現の微妙な効果にいつも意識的であることから、静かですがニュアンスに富んだ彼の作品が生まれるのでしょう。
《画家の像》は1941年の二科展に出品されました。自画像であり、家族図であり、都市図でもあるこの作品は、思いがけない細部までとらえられていると同時に全体は象徴的でもあります。この年の雑誌『みづゑ』1月号の「国防国家と美術」という記事に「生きている画家」を寄稿して反論した松本は、画家をも翼賛体制に組み込もうとする時代に、何によって自分は自分であるのかということを十分意識してこの作品を制作したと思われます。
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