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宮城県では、ツキノワグマの大量出没予測を目的として県内の堅果類(ブナ、ミズナラ)の果実の豊凶調査を実施しています。
数年に一度、秋を迎えてもツキノワグマの出没が収まらず、例年の数倍の大量出没が確認されることがあり、それは堅果類の豊凶と関係があるとされています。
ツキノワグマによる人身被害や農林業被害を未然に防ぐため、大量出没を予測し、迅速な出没対応と被害管理の強化や関係機関の連携、住民への周知を図ることが必要です。
ブナの豊凶調査は東北森林管理局により6か所で実施・公開されていますが、宮城県でも、第四期宮城県ツキノワグマ管理計画に基づき、モニタリング調査の一環として地点を増やして調査を実施し、ツキノワグマの大量出没予測を行っています。
調査は国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所発行「ツキノワグマ出没予測マニュアル」に記載されている標準木の果実のカウントにより実施しました。
樹木2種(ブナ、ミズナラ)を対象に、調査地(ブナ17か所、ミズナラ8か所)ごとに3~4本の標準木を設定して、毎年同じ木の枝先に付いている果実の数をカウントし、なり具合を調査します。
双眼鏡で果実の数をカウント(1本につき3方向から合計6回、ブナ15秒、ミズナラ30秒の調査時間を設定)し、カウント数から落下果実密度(個/m²)を算出します。双眼鏡でのカウント数は、その木の樹冠下に落下する果実密度と比例する関係があります。
算出した落下果実密度の平均値を用いて、あらかじめ定めておいた基準(調査開始以降、最も落下果実密度の平均値が高かった地点の値を最大値とみなす)に従い豊凶を判定します。
左:ブナの果実,右:ミズナラの果実
ミズナラの果実の成長の様子。写真左から右へと成長していきます。
令和6年度の豊凶調査の結果はブナが豊作、ミズナラが並作となりました。
宮城県で実施している堅果類豊凶調査の豊凶判定は、結実が少ない方から順に「凶作」「並作」「豊作」の3段階で評価しています。
ブナは大豊作の翌年に必ず大凶作になると言われており、そのような大豊作の翌年の大凶作の年には、ツキノワグマの人里への出没がひときわ頻繁になると言われています。
さらに、宮城県においてブナと共に奥山を代表するミズナラについても、豊凶がツキノワグマの出没に影響していると考えられます。
そのため、ブナ、ミズナラが共に豊作の翌年は両種とも凶作になり、ツキノワグマの大量出没が発生する可能性が高くなると考えられるため、その年には注意が必要です。
今年はミズナラが並作だったもののブナが豊作だったため、来年にツキノワグマが大量出没する可能性は高いと予測します。
なお、これまでの調査結果による豊凶判定およびツキノワグマ捕獲数との関係は次のとおりです。
図ー1 ツキノワグマ捕獲頭数と堅果類豊凶調査結果の経年変化(PDF:243KB)(別ウィンドウで開きます)
ブナ開花・結実調査(東北森林管理局HP)
http://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/sidou/buna.html(外部サイトへリンク)
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