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豊川 絢子(とよかわ あやこ)さん
派遣期間:2018年7月~2020年7月
派遣国:ルワンダ
職種:公衆衛生
ルワンダに来て7か月が経過しました。こたつにみかん…日本の冬が懐かしい今日この頃です。さて今回は、任地での活動の1つである、水質検査について紹介します。
日本で私たちが飲んでいる水道水は、水道法で規定された51項目の水質基準を満たしています。世界的にみても、水道水を飲むことができる国はまれです。ルワンダでは、水衛生公社:WASAC(Water&Sanitation Corporation)が都市部の給水事業を担っています。浄水場で処理された水が各家庭や公共水栓に供給されますが、日本とは違い、検査されている項目は少なく、毎日1時間に1回測定する項目(pHや濁度など)もあれば、1ヶ月に1回しか測定しない項目もあるそうです。
現在、WASACの処理水が供給されている公共水栓1か所、保護湧水1か所を選定し、毎週水質検査を実施しています。簡易検査キット(パックテスト® 共立理化学研究所)を使用し、硝酸性窒素、アンモニア性窒素、鉄、フッ素、遊離残留塩素(公共水栓のみ)を測定しています。最近、pHや電気伝導度、水温も測定できるようになりました。今後は大腸菌も測定し、天気や降水量と併せて考察していく予定です。
この公共水栓では、毎週木曜日に水質検査を実施しています。供給されているのはWASACからの処理水ですが、まれに残留塩素が検出されない日もあります。浄水場の水が公共水栓に届くまでの間に、大きな貯水タンクが設けられており、多くの人が雨水を利用する雨季には、その貯水タンクの中で水が滞留し、消毒成分が揮発してしまうこともあるそうです。今のところ、その他の項目に異常は見られていません。
測定項目 | 測定値 |
---|---|
気温 | 21.8℃ |
水温 | 23.1℃ |
pH | 7.28 |
電気伝導度 | 680μS |
硝酸性窒素 | <0.2mg/l |
アンモニア性窒素 | <0.2mg/l |
鉄 | <0.05mg/l |
フッ素 | 0mg/l |
遊離残留塩素 | 0.1mg/l |
この保護湧水では、毎週水曜日に水質検査を実施しています。この「保護」という言葉は、「水質が保証されている」という意味ではなく、「自然に湧き出ている水にパイプを通し、周りをコンクリートで固め、動物が近寄らないように柵を設けている」ことを意味しています。なので、水はもちろん未処理です。この保護湧水はいつも硝酸性窒素が高く(10mg/Lを超えることが多い)、周辺の畑の肥料や家畜の糞便由来ではないかと予想しています。
測定項目 | 測定値 |
---|---|
気温 | 28.0℃ |
水温 | 23.7℃ |
pH | 5.10 |
電気伝導度 | 268μS |
硝酸性窒素 | 5mg/l |
アンモニア性窒素 | <0.2mg/l |
鉄 | <0.05mg/l |
フッ素 | 0mg/l |
不定期ですが、村を訪ねた際に、井戸水の水質検査をすることがあります。井戸の管が錆びてしまい、鉄の濃度が非常に高く、鉄臭いものもありました。村人の話によると、鉄濃度が高い水は、洗濯に使うと洋服の色が変わってしまったり、バナナを煮ると黒く変色してしまったりするそうです。また、硝酸性窒素が高い井戸もあり、これらについては、周辺の畑や家畜の糞便由来と考えています。
測定項目 | 測定値 |
---|---|
気温 | 22℃ |
硝酸性窒素 | 5mg/l |
アンモニア性窒素 | <0.2mg/l |
鉄 | <0.3mg/l |
フッ素 | 0mg/l |
井戸修理中
井戸修理に集まる村人たち
壊れた井戸と湖
水質検査を始めると子どもたちが興味津々に集まってきます
公共水栓で水質検査を手伝ってくれた男の子
お気に入りスポット この丘を下ると保護湧水があります
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