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宮城県で養殖されているカキは,マガキと言われる種類で,生食に利用される割合が高いのが特徴です。
カキは7~8月頃に卵を産み,浮遊幼生の時期を経て,岸壁や岩礁等,様々な所へ付着します。この性質を利用して,カキの浮遊幼生が集まりやすい場所へホタテガイの貝殻を連ねた採苗器(コレクター)を垂下し,これにカキの稚貝を付着させます。宮城県ではカキの産卵時期になると,水産技術総合センターが中心となり,本県の種場である松島湾及び石巻湾等におけるカキ浮遊幼生の発生状況や成長具合を調査し,情報提供を行っています。
<種ガキ採苗風景>
<種ガキ(ホタテガイ殻(原盤)に付着)>
種ガキ通報(水産総合技術センター)をご覧になりたい方は以下リンクを参照ください。
宮城県はカキの生産が盛んですが,その種苗となる種ガキの国内有数の生産地でもあり,生産された種ガキは県内外へ供給されています。震災前は,例年,100万連以上(種ガキ採苗用施設1連にホタテガイ殻(原盤)を約70~80枚)の種ガキを生産していました。
付着した貝は,いったん日干しにしたり,水深の浅い場所へ棚を作って潮の満ち引きで干出するようにします。これは,弱い貝を殺し,強い貝だけを残すためです。
現在のカキ養殖は,松島湾,万石浦等,水深の浅い場所では「簡易垂下式」,外洋に面した石巻湾や牡鹿半島周辺では「延縄垂下式」,県北部では「筏垂下式」の養殖が行われています。
また,宮城県漁業協同組合石巻市東部支所では,従来の養殖施設を基準に波浪によるショック防止・対波性の向上・脱落防止を目的とした,「ブランコ方式」を全国に先駆け独自に開発する等,養殖手法の開発・改良が現在も行われています。
そのまま生でも食べられる程きれいな宮城県の清浄海域で,1年から2年かけて育成(養殖)されます。
<簡易垂下式養殖>
<延縄式養殖(漁場)>
<筏式養殖>
<延縄式養殖(水中)>
宮城県では,品質の良いカキを提供できるよう,水産技術総合センターや気仙沼水産試験場で,カキの身入り早期回復のための温湯処理試験や,サイズの揃った身入りの良い殻付きガキ生産のための養殖試験,細菌浄化試験などの試験研究を行っています。
カキ養殖を営む経営体数は2018年時点で,全国で2,065経営体あり,うち宮城県は367経営体と全体の18%を占め,全国で最も経営体数が多くなっています。カキの生産量が最も多い広島県の経営体数は287経営体で,大きな会社組織の経営体が多いのに対して,宮城県は家族単位の小さな経営体が多いのが特徴です(農林水産省HP2018年漁業センサス「かき類養殖を主とする漁業経営体」より)。
震災前の平成22年のカキ生産量(殻付き)をみると,全国では約22.1万トンの生産があり,宮城県は約3.6万トンで全国2位でした。震災により宮城県のカキ養殖は壊滅的な被害を受けましたが,平成29年には約2.4万トンまで生産復旧しています(農林水産統計より)。
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