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立体的な「かたち」を見るとき、それらを工芸的だと感じたり、彫刻のようだと感じたりすることに着目し、量塊としての「かたち」と装飾としての「かたち」について考えるワークショップを行いました。静物をモチーフに様々な造形を試みることで、私たちが「かたち」に抱く感覚を再確認しました。
今回はリンゴをモチーフとして、木材でつくることとしました。1日でリンゴを完成させるために、材料はバルサ材を使用することとしました。バルサ材を使った作品例と、その制作工程を紹介した後、制作に入りました。
立方体のバルサをのこぎりやバンドソーで切り始める人、小刀やのみを使って少しずつ削る人、ベルトサンバーで大胆に削る人など、やり方は様々でした。少しずつバルサ材の特徴を感じ取りながら、自分に合った方法を見つけていきました。
小刀やカッターで削った面を残し、いわゆる彫刻的に制作したり、紙やすりで表面を丁寧に削り、工芸的に制作したりするなど、仕上がりは様々でした。形ができあがった人から水性ニスを数回塗って1日目は終了となりました。
2日目は、前日につくったリンゴを持ち寄り、これまでに感じたことなどを共有することから始めました。彫刻的に作ったリンゴと工芸的に作ったリンゴをもとに、その見た目から感じることについて意見を交わしました。その後、アルミシールを表面に貼り付ける装飾について説明し、それぞれのリンゴに装飾を行いました。アルミシール以外にも、ホログラムシートや和紙を貼り付けて装飾するなど、参加者の個性が表れる時間となりました。
できあがった様々なリンゴをお互いに鑑賞し合い、それぞれの制作意図や工夫した点、感想等を共有しました。
最後に、塊としてのモノと表面としてのモノという観点から、私たちがモノを見たときに抱く感覚について考えました。木を削って作った状態のリンゴと、アルミシールやホログラムを貼った後のリンゴを思い出し、表面が変わったときに、その塊に感じる印象は変わったかについて確認するとともに、彫刻や工芸の様々な作品とも比較しながら、意見や感想を交わしました。
彫刻や工芸品のような立体物は、鑑賞を苦手に感じる人もいるかもしれません。そのような中、今回は塊と表面、量塊と装飾に注目し、実際に制作を通じてリンゴの変化を追うことで、私たちがモノを感じることについて考えを深める機会とすることができました。
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