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第1号 平成14年10月
宮城県中南部下水道事務所
大和浄化センター放流口(竹林川)と遙かに望む七つ森
全面大ガラス張りの所長室は、視界が広くとても落ち着く。眼前に新火力発電所のプラント施設、タンク群、煙突が広がり、そこからは常に煙が青空に向かってたなびいている。エネルギー供給基地プラントまでの距離は5~600mほど、遮蔽物がないため近くに感じる。又、隣接する処理施設が一望に見渡せ、朝日が最終沈澱池の水面に輝いている。
前職の南部山浄水場に引き続き今年度から下水道を担当することになりましたので、よろしくお願いします。水道では、普及率も97%と高く、維持管理業務が主でしたが、下水道は、県全体の普及率は66%と低く、これからまだまだ整備の必要な分野です。当事務所では、仙塩・阿武隈川下流・鳴瀬川・吉田川の4流域下水道を所管しており、いくつかの課題を抱えながらも、各処理場とも順調な稼働を続けています。今後の流入量増加に伴い、処理施設の増設が行われ、汚泥処理施設の整備、周辺水域の環境基準の達成に寄与するための対応施設の整備も進んでいます。
今後とも、関係市町村との連携を密にしながら、よりよい下水道行政を進めていきたいと考えています。
所長 村井 怜
主な事業としては、仙塩流域の4系列機械・電気設備、仙塩塩釜中継ポンプ場の硫化水素対策、阿武隈川下流流域の5系列の土木工事の着手、汚泥コンポスト化施設脱臭設備となっています。
事業費は、補助事業45億・県単3億の計48億となっています。
仙塩流域 | 阿武隈川下流流域 | 鳴瀬川流域 | 吉田川流域 | |
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処理場 |
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管渠等 |
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※普及率(%)=(処理区域内人口/行政区域内人口)×100
※H13の県全体の普及率66.6%(全国平均63.5%)
これまで、流域の関係市町村のご協力を頂いて変更認可申請書の作成を進めてきましたが、平成14年10月中に、仙塩流域下水道事業の事業認可を変更します。
事業認可計画の主な内容及び変更点は次のとおりです。
【処理場施設】 | ||
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項目 | 今回計画 | 既計画 |
計画策定年次 | 平成14年度 | 平成11年度 |
計画目標年次 | 平成19年度 | 平成16年度 |
計画区域面積 | 8,297.33(ha) | 8,195.17(ha) |
下水道計画人口 | 350,400(人) | 336,200(人) |
計画処理水量(日最大) | 216,093(立方メートル/日) | 211,468(立方メートル/日) |
沈砂池池数 | 変更なし | 3池 |
主ポンプ | φ600×48m3/分×2台 φ900×95m3/分×3台 (内1台予備) |
φ600×48m3/分×2台 φ900×95m3/分×2台 φ900×109m3/分×2台 (内1台予備) |
水処理施設系列数 | 系列 | 4+1/2系列 |
処理能力 | 222,000(立方メートル/日) | 256,950(立方メートル/日) |
水処理方法 | 標準活性汚泥法(2,3系列) 嫌気・無酸素・好気法(1,4系列) |
凝集剤添加活性汚泥法 |
凝集剤添加設備 | φ3.0m×H3.3m×8基 | |
汚泥濃縮タンク | 変更無し | 内径11.2m×水深4.0m×3槽 |
汚泥濃縮機 | 20m3/hr×4台 30m3/hr×4台 |
20m3/hr×4台 30m3/hr×5台 |
消化タンク | 変更なし | ソロバン玉型 内径20.0m×側深9.6m×2槽 上下円錐形 内径16.6m×側深24.9.m×3槽 |
汚泥脱水機 | 変更なし | 高効率型ベルトプレス脱水機 150kg/m・hr×1台 120kg/m・hr×1台 遠心脱水機 30m3/m・hr×3台 |
汚泥焼却炉 | 変更なし | 110t/日×2基 |
【管渠施設】 | ||
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幹線名 | 今回計画 | 既計画 |
七北田川左岸幹線 | 変更なし | 13,463m(φ2,500~φ1,350) |
利府幹線 | 変更なし | 2,094m(φ1,000~φ900) |
多賀城幹線 | 変更なし | 1,395m(φ900~φ800) |
仙台幹線 | 変更なし | 5,134m(φ2,000~φ1,000) |
塩釜幹線 | 変更なし | 3,143m(φ1,200~φ600) |
七ヶ浜幹線 | 変更なし | 1,044m(φ900~φ600) |
合計 | 変更なし | 26,245m |
整備が進む仙塩水処理4系列
仙塩流域下水道事業と同じく、流域市町村の御協力を頂いて変更認可申請書の作成を進めた結果、平成14年7月8日付けで、鳴瀬川流域下水道事業の事業認可を変更しました。
事業認可計画の主な内容及び変更点は次のとおりです。
【処理場施設】 | ||
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項目 | 今回計画 | 既計画 |
計画策定年次 | 平成13年度 | 平成10年度 |
計画目標年次 | 平成19年度 | 平成16年度 |
計画区域面積 | 1,112.39(ha) | 804.64(ha) |
下水道計画人口 | 30,070(人) | 22,340(人) |
計画処理水量(日最大) | 11,529(立方メートル/日) | 9,110(立方メートル/日) |
処理能力 | 変更なし | 12,200(立方メートル/日) |
水処理方法 | 変更なし | オキシデーションディッチ |
沈砂池 | 2池 | 1池 |
主ポンプ | 変更なし | φ200×3.0立方メートル/分×2台 φ300×8.8立方メートル/分×1台 φ300×8.6立方メートル/分×1台 (1台予備) |
反応タンク | 変更なし | 6池 |
曝気装置 | 変更なし | 12台 |
最終沈澱池 | 変更なし | 6池 |
塩素注入設備 | 変更なし | 50~650cc/分×2台 (1台予備) |
汚泥脱水機 | 変更なし | 遠心脱水機 10立方メートル/hr×2台(1台予備) |
放流ポンプ | 変更なし | φ200×3.0立方メートル/分×2台 φ300×8.8立方メートル/分×1台 φ300×8.6立方メートル/分×1台 (1台予備) |
放流渠 | 変更なし | φ900 1式 |
【ポンプ施設】 | ||
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幹線名 | 今回計画 | 既計画 |
三本木ポンプ場 | 変更なし | 2.3立方メートル/分×2台(1台予備) |
松山第1中継ポンプ場 | 2.0立方メートル/分×1台 2.8立方メートル/分×2台(1台予備) |
2.8立方メートル/分×2台(1台予備) |
松山第2中継ポンプ場 | 5.4立方メートル/分×2台 6.0立方メートル/分×2台(1台予備) |
5.4立方メートル/分×2台 6.0立方メートル/分×1台(1台予備) |
鹿島台中継ポンプ場 | 変更なし | 3.0立方メートル/分×2台 5.7立方メートル/分×1台 6.1立方メートル/分×1台(1台予備) |
小牛田ポンプ場 | 2.6立方メートル/分×2台 3.3立方メートル/分×2台(1台予備) |
2.6立方メートル/分×2台 3.3立方メートル/分×1台(1台予備) |
【管渠施設】 | ||
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幹線名 | 今回計画 | 既計画 |
志田幹線 | 変更なし | 19,490m(φ900~φ250) |
小牛田幹線 | 変更なし | 1,640m(φ700~φ300) |
合計 | 変更なし | 21,130m |
阿武隈川下流流域下水道センターにおいて、汚水量の伸びによる水処理施設増設の必要性から、第5系列の土木工事が今年度から2ヶ年債務で発注されました。
工事番号: | 平成14年度工国阿下1-001号 | ||
---|---|---|---|
工事名: | 県南浄化センター水処理施設(土木)建設工事 | ||
工事概要: | 水処理施設第5系列 | 計画下水量(日最大)26,000立方メートル/日 | |
最初沈殿池 | 躯体工 | L=19.2m W=27.9m H=3.4m | |
基礎工 | φ600mm N=73本 | ||
反応タンク | 躯体工 | L=63.0m W=27.9m H=5.5m | |
基礎工 | φ600mm N=149本 | ||
最終沈殿池 | 躯体工 | L=47.7m W=27.9m H=3.6m | |
基礎工 | φ600mm N=113本 | ||
分水槽 | 躯体工 | L=9.45m W=6.8m H=3.0m | |
基礎工 | φ600mm N=6本 |
硫化水素は、汚水中に含まれる硫黄化合物(硫酸イオン)が嫌気条件下で細菌によって生じ、人体に有害な悪臭物質です。さらに、硫化水素が酸化されると硫酸が生成され、金属やコンクリートを腐食します。
中継ポンプ場から処理場までの圧送管(ダクタイル鋳鉄管φ600L=約2,000)及び自然流下管(FRPφ=1100,L=約850m)の腐食を防止するために、いくつかの硫化水素抑制工法を検討した結果、仕様決定審査会(開催:7月10日 構成:下水道課、事務所)を経て「酸素注入方式」を採用することとしました。
県としては初めての対策事業で今年度発注することとなっており、管渠等の延命に寄与するものと期待されます。
去る7月16日、「阿武隈川下流流域下水道処理水放流に伴う環境等に関する調査委員会(通称:放流委員会(委員長:東北大学名誉教授 松本順一郎))」が開催されました。
この放流委員会は、「県南浄化センター処理水放流に関する協定・覚書」(県対閖上・亘理町・仙台市各漁業共同組合)に基づき毎年開催されるもので、平成13年度の二の倉地先海域の調査結果について報告しました。
年4回の水質等の調査、年2回の底質・生物調査結果については、これまでと特に変化はなく、今後も継続調査していくことで、了承されました。
7月22日から7月26日まで、都市局所管の会計実地検査(第3局上席調査官(都市・地域担当))が行われました。そのうち当事務所では、総括副長が7月23日に仙塩浄化センター、7月25日に県南浄化センターの現場検査を、調査官補が7月25日に当所所管4流域下水道の主に土木建築工事の書類検査を行いました。検査の結果、いずれの調査官からも指摘事項はありませんでした。
県 | 下水道公社 | 委託業者 | 計 | |
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中南部下水道事務所 | 26人 | 26人 | ||
仙塩処理場 | 10人 | 53人(日本ヘルス株式会社) | 63人 | |
阿武隈処理場 | 2人 | 8人 | 54人(荏原エンジ株式会社) | 64人 |
吉田処理場 | 9人 | 31人(日本ヘルス株式会社) | 40人 | |
鳴瀬処理場 | ||||
計 | 28人 | 27人 | 138人 | 193人 |
※鳴瀬処理場について、昼間は吉田処理場の職員が現場操作し、夜間は遠隔操作(無人)となる。
入りそめて 国ゆたかなり みぎりとや 千代とかぎらじ せんだいの松
現在に伝わるこの和歌は、”独眼竜”と異称された戦国時代の英雄、初代仙台藩主「伊達政宗」公が城下の縄張りをした慶長5年(1600)12月から翌6年、7~8年にかけて新城下を建設した頃の感慨を詠んだもとされております。
これは、それまで幾多の戦乱をくぐり抜けてきた政宗が文字通りの戦国の世の終焉ともいえる関ヶ原の合戦後、この戦功で、徳川家康から南の刈田郡他一万余石を加増されました。このため、政宗が本拠にしていた玉造郡岩出山は、ますます北方に偏ることになり、統治の都合もあって領内の心臓部ともいうべき宮城郡国分荘(こくぶのしょう)千代の地に治府を移し、険阻の誉れ高い青葉ヶ崎に新城を築きました。
和歌の内容を現代風に訳すと、文頭の”入りそめて”は「入り初めて」と書いたもので、後に続く”国ゆたかなり みぎりとや”にかけ、みぎりは「砌」と書くもので、何かのきっかけとか物事の起こりとかを意味しております。いわんとするところは、わたしが入府して国(=領国)を豊にする先駆けとしたい、またはその豊かさの魁(さきがけ)となりたい、というもの
また、これはそれまで千代と書いて、「せんだい」と読ませていた地名を「ちよ」とよみ、これを”千代(ちよ)とかぎらじ”と詠んだところに千代(せんだい=千年の世)といわず、万年の世にも無窮の栄えあれかしと寿(ことほ)いだものといい、千代をあとのせんだい=千代にかけ、さらに松をかけたところに年中緑濃い松の木に無限の発展を祈願したといえます。同時にこれは「仙台」の地名の起源となりました。仙台藩祖、政宗の建国の精神と強い使命感と自負心を表しているといえましょう。
さて、当事務所のある多賀城大代地域は、国分荘千代と同じ宮城郡にあり、平安朝期の奥州政庁・多賀国府の置かれた多賀城はじめ、陸奥国分寺があった仙台、奥州一の宮である塩釜神社が鎮座する塩釜、これに古来から風光明媚で知られた松島、そこに建つ瑞巌寺、といった伝統的な土地に近接していることから、早くから中央および各地の人々が移り住んで土地がよく開拓され、”国府文化”ともいうべきものが形成されていおりました。その故から、古い寺院とか由緒ある神社、また郷土を物語る史跡に富んでいます。
大代といえば、桝形囲貝塚(ますがたかこい・かいづか)が知られております。大正8年(1919年)長谷部言人(はせべ・ことんど)博士によって調査がなされ、「石器時代にも稲あり」と公表されて一躍有名になりました。当貝塚の籾痕のついた土器底部には、教科書にも記載されていて、現在では弥生時代の特徴として水稲耕作が行われていたことは常識となっていますが、当時としては画期的な出来事で、その研究の端緒となった遺跡として有名です。
(つづく)
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