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直播栽培は,水稲における省力技術として全国で普及しており,宮城県は東北6県中第1位の栽培面積で,全国で上位です。播種方式は,近年ほ場を湛水状態で種子を播種する湛水直播栽培よりも畑状態で種子を播種する乾田直播栽培が多く,直播栽培面積の58%を占めています(令和4年産)。乾田直播栽培は,栽培面積が年々増加傾向ですが,ほ場が乾燥している3月~4月に作業が集中し,気象やほ場条件等によっては延期や中止,他の春作業と競合を招く場合があります。
このため,古川農業試験場では,乾田直播栽培の実施面積が多く,冬期間の降雪が少なく,ほ場が乾燥しやすい仙台湾沿岸部を対象に春の作業分散を図るため,2月に播種を行う早期播種栽培試験に取り組んでいます。
令和4年度の試験結果は,仙台湾沿岸部の2か所で,一般的な乾田直播と同様の機械および作業体系で,慣行播種時期より早い2月上旬に播種を行い,3月に行う慣行播種と比較したところ,出芽時期は慣行播種より6日早く,収量・品質はほぼ同等の結果となりました(表1,写真1)。慣行播種と異なる点は,種子が播種後出芽・苗立までの間,慣行播種よりも土壌中に長く留まり,様々なリスクに遭遇する可能性があるため,化学農薬を用いた種子消毒・種子処理を行い播種する点です。
この早期播種栽培方法が確立することで,乾田直播栽培を気象やほ場条件等にフレキシブルに対応でき,春の作業分散につながります。今後もこれらの試験を通じて,乾田直播栽培の普及推進が図られるよう取り組んでまいります。
本事業はイノベーション創出強化研究推進事業(初冬直播)の支援を受けて実施しています。
写真1;地点Bにおける慣行播種栽培と早期播種栽培(令和4年8月5日撮影)
表1;出芽,収量,品質等
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