ここから本文です。
近年頻発している設計洪水量を超える豪雨災害への備えは,ハード事業(ダムの建設や,川の堤防の整備・排水路改修やポンプ場増強等)による根本的な対策が急務ですが,費用と時間がかかるため速やかな被害の軽減に追いつかなくなってきています。そのため,流域にある雨水の貯留機能をフル活用して治水対策を行う流域治水が注目されています。その一つの対策として,農家の理解と協力を得て田んぼに一時的に雨水を溜め,ゆっくりと排水させることで川へ流れる水の量を減らし,洪水被害を軽減する田んぼダムの取り組みが全国的に展開されつつあります。
本実証では,田んぼダム効果の検証,適地検討手法の確立に取り組んでおり,田んぼダムの話し合いをスタートする前に効果の判定が出来ることを目指しています。
図1は通常の水田と田んぼダム実施水田の断面図です。左図の通常の水田では,降雨時に水田から雨水がそのまま排水路に流れ,排水路の水位が上昇するのに対し,右図の田んぼダム実施水田においては,排水パイプの径よりも小さな穴の開いた調整装置(堰板)を取り付け,ゆっくりと雨水を流すことで,排水路の急激な水位の上昇を防ぎます。その時のピーク排水量は図2に示すとおりで,田んぼダムの実施により通常の水田と比べピーク流出量(最大排水量)を7~9割程度抑制することが分かっています。
古川農業試験場では,モデル地区における田んぼダム効果検証のため,排水流量観測,一筆排水量調査,排水解析モデルの検証(一部新潟大学に委託)等を行い,効果の見える化を行っています。
図1通常の水田と田んぼダム実施水田比較断面図
図2比較ピーク流量図
お問い合わせ先
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
重要なお知らせ
こちらのページも読まれています
同じカテゴリから探す