ダニ類が媒介する感染症に注意しましょう
人が、野外作業や農作業、レジャー等で、ツツガムシやマダニなど(以下「ダニ類」という。)の生息する場所に立ち入ると、これらダニ類に咬まれることがあります。咬んだダニ類がウイルスや細菌などの病原体を保有している場合、咬まれた人がそれら病原体に起因した感染症を発症する場合があり、国内では、つつが虫病や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱などが知られています。つつが虫病はツツガムシに、日本紅斑熱はマダニに咬まれることで感染します。また、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、今のところマダニが媒介すると考えられています。
平成28年からダニ媒介脳炎による死亡事例が北海道で発生しておりますので、旅行先での服装には十分ご注意下さい。
1 ダニ類に咬まれないためには(野外でのダニ対策)
- ダニ類は、主に草むらや藪・森林に生息しています。このような場所で長時間地面に直接寝転んだり、座ったりするのはやめましょう。
(草むらや藪・森林などに入るときは、長袖・長ズボン・手袋・長靴等を着用し、肌の露出を少なくするようにしましょう。
- 屋外活動後は、衣類等にダニ類が付着していないかやダニ類に刺されたり咬まれたりしていないか確認しましょう。
- 帰宅後はすぐに入浴し、体をよく洗い、新しい服に着替えましょう。着ていた服は、すぐに洗濯するか屋外で天日干ししましょう。
※ ここで記載しているダニ類は、ツツガムシやマダニのことを指しており、家庭内に生息するダニ(食品等に発生するコナダニや衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなど)と種類が異なります。
<参考リーフレット>
ダニにご注意ください(厚生労働省リーフレット) (PDF:778KB)
マダニが媒介する感染症に注意しましょう(宮城県リーフレット)(PDF:335KB)
2 もしダニ類に咬まれてしまったら
ダニ類の多くは、人や動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し吸血します。特に、マダニ類は長時間吸血し、無理に引き抜こうとすると、一部が人の皮膚内に残ったり、ダニ類の体内や傷ついた皮膚から出る液体に病原体がいる可能性があるので、できる限り手で直接ダニを取ったり、つぶしたりしないようにしてください。吸血中のダニ類に気が付いた際は、できるだけ医療機関で処置してもらいましょう。
また、ダニ類に咬まれた後に、発熱等の症状が出た場合は、早めに医療機関を受診してください。
3 ダニ類が媒介する主な感染症
- つつが虫病
つつが虫リケッチアという病原体を保有しているツツガムシの幼虫に咬まれることで感染します。主な症状には、発熱・リンパ節腫脹・発しんがあり、典型的な刺し口が診断のポイントとなります。
宮城県内において、毎年数人の患者が報告されており、主に春から初夏にかけてと秋に多く報告されています。
この感染症は、人から人への感染はありません。
また、全てのツツガムシがこの病原体を保有しているわけではありません。
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
主にSFTSウイルスという病原体を保有しているマダニに咬まれることで感染します。主な症状には、発熱・消化器症状(嘔気・嘔吐・腹痛・下痢・下血)があり、時に頭痛・神経症状・リンパ節腫脹・出血症状を伴います。
宮城県内において患者報告はありません。
この感染症は、感染者の血液・体液との接触感染も報告されていますが、中国における発生事例の多くの場合、ウイルスを保有しているマダニに咬まれることで感染しています。
また、全てのマダニがこの病原体を保有しているわけではありません。
- 日本紅斑熱
日本紅斑熱リケッチアという病原体を保有しているマダニに咬まれることで感染します。主な症状には、高熱・発しん・紅斑があり、つつが虫病と同様に刺し口が見られます。
宮城県内においては、平成20年に1人の患者報告があって以来、報告がありません。全国的には主に夏から秋にかけて多く報告されています。
この感染症は、人から人への感染はありません。
また、全てのマダニがこの病原体を保有しているわけではありません。
- ダニ媒介脳炎
ダニ媒介脳炎ウイルスを保有しているマダニに咬まれることで感染します。ダニ媒介脳炎にはいくつかの種類が有り、主なものとして、ロシア春夏脳炎及び中央ヨーロッパ型ダニ脳炎があります。症状として、ロシア春夏脳炎では、高度の頭痛・発熱・悪心等の後、髄膜脳炎に発展します。また、中央ヨーロッパ型脳炎では、発熱・筋肉痛などのインフルエンザ様症状が出現し、2~4日続いた後、約3分の1で髄膜脳炎に発展し、痙攣・眩暈・知覚異常がみられます。
日本国内では、北海道において平成5年に1例、平成28年に1例及び平成29年に2例、発生が報告されています。
また、全てのマダニがこの病原体を保有しているわけではありません。
- ライム病
ボレリアという病原体を保有しているマダニに咬まれることで感染します。主な症状には、発しん(遊走性紅斑)・脳神経麻痺・心刺激伝導障害・慢性関節炎があります。
欧米諸国では高緯度地方を中心に多く患者が発生しており、国内では、1986年に長野県で初のライム病患者が報告され、それ以後、特に本州中部以北及び北海道で多く患者が発生しています。
また、全てのマダニがこの病原体を保有しているわけではありません。
4 関係リンク
- ダニ媒介感染症について(厚生労働省ホームページ)(外部サイトへリンク)
- 宮城県内に生息するマダニの病原体保有状況調査 (PDF:557KB)