発達障害とは
発達障害について
発達障害の原因は十分に解明されていませんが、親の育て方や本人の努力不足ではなく、生まれつきの脳機能の障害が原因であるとされています。物事の感じ方やとらえ方が異なっているため、とても得意なことがある反面、ちょっとしたことがすごく苦手という偏りがあります。そのため、自分の特徴が周りに受け入れられずに困難を感じたり、自分のおかれている環境に適応しようとして、とても苦労していたりします。
(発達障害情報・支援センターホームページより引用)
発達障害の代表的な3つのタイプを紹介します。人によって3つの特徴が重なることや、年齢や環境によって目立つ特徴が変わることがあります。
広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)
発達障害者支援法では、「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」と、医学的には「自閉スペクトラム症」と呼ばれる自閉症スペクトラムに関する一群です。
- コミュニケーションが苦手
場面や相手によって話し方を変えるなど、聞き手に合わせてコミュニケーションすることが苦手です。
- ことばが遅れる
- 聴力に問題がないのに、話しかけられても気づかないことがある
- 表情や口調、身振りなどから気持ちを読み取ることが苦手
- 比喩や冗談が伝わりにくい
- 人との関わりが苦手(社会性)
人の気持ちが読めず、その場にふさわしい言動がとれないことで、孤立やトラブルにつながりやすい傾向があります。
- 人の気持ちが分かりにくい
- 年齢相応の友人関係が築きにくい
- 集団行動が苦手
- 場の雰囲気が読めない
- 興味や関心が限定されている(こだわり)
聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚、痛覚、温度覚などの感覚が過敏であったり低下していることがあります。
- くるくる回ったりぴょんぴょん跳ねることを繰り返す
- 何時もの場所や時間が変わると混乱する
- 電車や自動車など特定の物にしか興味を示さない
- ルールにこだわり融通が利きにくい
- 感覚の過敏さや鈍感さ
手や身体に触れる感覚、耳で聞く感覚、食べ物を味わう感覚、嗅覚などがとても鋭かったり鈍かったりするため、人と違った反応を示します。
- 特定の音にイライラしたりパニックになったりする
- 人に触られるのを嫌がる
- 偏食が激しい
- 転んでも泣かない
- 疲れやすい
どのように接したらいいの?
- 特徴を理解し、本人の目線に立って何で困っているのかを考えましょう。
- 相手にとって「安心できる」「わかりやすい」支援を工夫しましょう。
(分かりやすく安心できる接し方を工夫しましょう。例えば、あらかじめスケジュールを表などで知らせる、また、予定変更がある場合はスケジュールで事前に知らせるようにしましょう。)
- 言葉がけは、ゆっくり丁寧に。言葉だけではなく、文字やイラストなど、目で見る情報も取り入れるとわかりやすくなります。
- 言われたことを言葉どおりに取ってしまうこともあるので、比喩や遠回しな言い方をせずに具体的で簡潔な話し方をしましょう。
- 集団場面ではクールダウンできる場所を用意しましょう。
注意欠陥多動性障害(注意欠如多動症)〈AD/HD〉
じっとしていることやよく考えてから行動すること、自分の気持ちを抑えることなどが苦手で、忘れ物が目立つことがあります。
- 不注意
注意や集中の配分がうまくいかない状態です。集中すべき時に集中することができず、また計画的な行動が苦手です。逆に、好きなことに集中している時は、周囲に注意が全く向けられないなどの傾向があります。
- 集中できず、すぐに気が逸れる
- 間違いややり残しなどのミスが多い
- 片付けが苦手、忘れ物や物をなくすことが多い
- 日々の活動を忘れてしまう
- 決められた時間を守れない
- 多動性
状況と無関係に動き回ったり、おしゃべりが止められないなど、落ち着きのなさが見られます。無意識のうちに体が動いてしまうということもあって、自分でコントロールすることが困難です。
- みんなが座っている時に席を離れてしまう
- おしゃべりを我慢できず、絶え間なく話す
- キョロキョロ、もじもじして落ち着かない
- 衝動性
目についたこと、思いついたこと、感情などに対して、反応を抑えることができず、衝動的に行動してしまうことがあります。
- 相手の話をよく聞かずに話し始める
- 順番を待てずに割り込む
- 会話がたびたび横道に逸れる
- 結果を考えずに行動してしまう
- 興味がある物にすぐ触ったりする
どのように接したらいいの?
- 言葉での指示は単純明快に。場合によっては、イラストやタブレット端末など目で見る情報を用いて伝えましょう。
- 注意を引いてから指示を出し、大事なことは繰り返し伝えましょう。
- やって欲しい行動は紙に書いて目の付くところに貼っておくと、気がつくことができます。
- スケジュール表などを活用し、行動に見通しや計画性を持てるようにしましょう。
- 気持ちを切り替えられるキーワード、クールダウンできる方法や場所を決めておきましょう。
- 動くことを無理に押さえようとせず、小休止やストレッチ体操などを取り入れましょう。
- 集中が持続するよう、時間配分や活動の量、種類を調整しましょう。
学習障害(限局性学習症)〈LD〉
知的障害や話し言葉には明らかな遅れがないのに、読み書きや計算などに著しい困難を示すものです。算数は得意なのに、国語の成績はまったく振るわないというように、苦手分野に偏りがあるのが特徴です。
- 読む
文字が読めない、意味が取れないなど文字学習が遅れます。また、読めてもすらすら読めなかったり、文中の語や行を抜かす飛ばし読みをしたり、適当読みをするために正確さがなかったり、文章のどこを読んでいるのか分からなくなったりします。
- 書く
読めないために書けないこともありますが、時に読めても書けないことがあります。漢字の偏やつくりが反対だったり、独特の筆順で書いたり、漢字の細かい部分を書き間違えたりします。書かれたものを見て、その通り書き写すことに時間がかかったりします。
- 計算する
数の大小比較や読み書きができなかったり、簡単な計算でも暗算ができなかったりします。日常では買い物のおつりがわからないこともあります。
どのように接したらいいの?
- 「どうしてできないの」と責めずに、なぜつまづくのかを一緒に考えましょう。本人がどうやれば覚えられるのか、よく観察してヒントをさがしましょう。
- 具体的な指示を出し、教える時はゆっくり丁寧に伝えましょう。
- 教えたいことを細分化し、いくつかのステップに分けて順に提示すると、理解がしやすい場合があります。例えば、メモを取ることが苦手な場合、ボイスレコーダーを活用することや、文章が読みにくい場合、代わりに読み上げるといった工夫が考えられます。また、視覚的な形の把握や記憶が難しい場合は、「森は木が3つ」など話し言葉で覚えるなどの工夫もあります。