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第4章 計画の基本構想
高度情報通信県みやぎ推進計画基本構想体系図
「2010年 みやぎ情報ルネッサンス」の実現に向けて
最近の情報処理及び情報通信の技術革新により社会の様々な分野で情報化が急速に進展し、社会経済活動や行政サービスのあり方、さらには個人のライフスタイルなどに大きな変革をもたらしてきています。とりわけ、情報ネットワークシステムの進展は、空間と時間を越えて地域と地域、企業と企業、人と人、さらにはこれらの相互の結びつきを促進し新しい社会経済システムやコミュニティを形成すると予測されています。
県においては、21世紀を目前に控え、「日本一の福祉先進県づくり」、「個性と誇りに満ちた地域の創造と県土の均衡ある発展」、「変革に挑戦する産業経済の活性化」などの施策方針のもとに各種施策を展開していますが,活力ある自立した豊かなみやぎの地域社会を実現する上で、情報政策は戦略的な重要性をもっていると言えます。
このたび、21世紀の情報化社会を展望し、「生活者の視点」、「地域の視点」に立ち地域の抱えている課題や地域特性を踏まえながら、今後の地域情報化施策の基本的方向を示す「高度情報通信県みやぎ推進計画」を策定いたしました。
この計画は、「県民一人ひとりの夢がかなえられていく情報環境の実現」を理念として本県が、情報通信技術と情報化社会の環境の変化に即応しつつ、21世紀(2010年)において日本を先導する高度情報通信県の一つになることを目指し、「みやぎ情報コミュニティウェイ構想」をはじめとする14の構想を提示しています。
今後、この計画に基づき、行政、企業、学術研究機関、関係団体等が自主的、積極的に緊密な連携を図りながら情報化施策を展開し、高度情報化へ取り組んでいきたいと考えています。
最後に、この計画の策定にあたりまして、宮城県高度情報化推進懇話会の各委員をはじめ、各市町村、多くの県民の皆様から様々な機会を通じて貴重な御提言や御意見をいただきましたことに心から御礼申し上げます。
これからも一層のご理解と御協力を御願い申し上げます。
平成10年3月
宮城県知事 浅野 史郎
「高度情報通信県みやぎ推進計画」の策定にあたって、経済社会全般に関する世界および日本の潮流予測を基に、宮城県における環境変化を想定し、情報通信分野において宮城県の将来あるべき姿を展望します。
本計画の各構想が、宮城県総合計画の基本理念を踏まえながら、着実に推進されることによって、本計画の最終年度2010年においては、宮城県が日本を先導する高度情報通信県のひとつとなるでしょう。
21世紀は、地球化・国際化(グローバリゼーション)がこれまで以上に進展するものと考えられます。経済的には、ヒト・モノ・カネ・情報等の経営資源がより良い条件・環境を求めて世界を駆け巡り、市場原理と自己責任原則に代表される世界標準(グローバル・スタンダード)に基づいた大競争の時代が続くでしょう。従来の国家間の競争に代わり、地域の比較優位が問われ、地域間の競争時代が始まるといわれています。社会的には、地球規模の人的交流によって、異文化との接触機会が飛躍的に増大し、異文化への理解が深まるとともに自らの文化を新たに位置づける時代となるでしょう。政治的には、和平への歩みが多くの成果を生み出すかたわら、覇権を求めての地域紛争が頻発する恐れがあるとされています。
世界の人口は増大を続け、2025年には100億人に達するとの推計があります。人口増加と急激な経済活動の進展にともない、地域間の貧富の差が拡大し、地球規模での環境破壊が進み、資源・エネルギー・食糧が枯渇する等の危険性も指摘されています。
1970年代から始まった科学・技術革新は、先端分野において一層の発達を続けるものと考えられます。なかでも、情報通信分野における技術革新は、その急激な進歩と変貌ぶりから情報革命あるいは第三次産業革命とも呼ばれ、経済・産業・社会・生活等、人間のあらゆる活動分野に多大な影響を与え始めています。各種の情報通信ネットワークが地球の隅々まで張り巡らされ、コンピューター等の情報端末と結合されて、仮想的世界が日常生活の一部となるサイバー文化が出現するでしょう。
高齢化と少子化が更に進み、対応を誤ると、経済的、社会的、文化的な活力が低下してしまう危険性があるといえます。地球的大競争(メガ・コンペティション)による産業の空洞化が進展しますが、日本の競争条件が相対的に有利となる時点からは、海外から日本への産業回帰が行われるものと期待されます。高齢化社会に対応するため、健康、福祉、医療、教育等の質的な充実と社会環境の整備が不可欠となる一方、他方では財政危機への対応を迫られるという困難な状況が続く可能性があります。
日本が、国家としての活力を保ちながら、世界において必要とされる役割を果たしていくためには、政治・経済・社会・文化等あらゆる面において大胆な変革が必要となっています。新たな国土創造への絶えざる取り組みが不可欠となり、行財政改革、規制緩和、首都機能移転、地方分権等の着実な推進が期待されています。なかでも、高度情報化社会の世界的な拡大に対応するために、情報通信基盤の整備が急速に進められるものと考えられます。
国民の価値観が、物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさをも重視する傾向に変化していくものと考えられます。多様性と創造性に価値を認め、生活者としての意識をもって行動するようになり、自らが生活する地域・コミュニティとの共生を大切にする等、新たな文化が醸成される可能性が高いといえます。とりわけ、情報革命が空間と時間を越えて人と人とを結び付ける新しい社会経済革命であるという性格をもつために、従来の社会・経済システムだけでなく、個人の生活スタイルや価値観にも変化を与え続けていくでしょう。電子地域社会(サイバー・コミュニティ)の出現により、国家間の関係が複雑化し、世界的な共通文化が日本を覆う一方、他方では民族的色彩が強化されていくことが予想されています。
農業におけるウルグァイ・ラウンド問題等農林水産業を取り巻く国際政治・経済上の問題は今後とも続出し、宮城県にも大きな影響を与えていくものと考えられます。しかしながら、21世紀半ばに予想される資源・食糧不足を契機として、長期的にはこれらの産業状況が好転する可能性があります。製造業およびサービス産業における空洞化現象も、今後しばらくは進行していくかも知れません。しかし、宮城県が、空港・港湾における国際的ハブ機能、高度な研究開発機能、市場開発機能、都市機能等、産業立地の諸条件において相対的な優位性を獲得することによって、これら産業の回帰のみならず、新しい産業集積が創出される可能性があります。
宮城県においても、高齢化の進行に加えて、多くの地域の過疎化と一部地域の過密化から生ずる問題を抱えるようになることが指摘されています。過密による都市環境の悪化と過疎による耕地等の荒廃によって、自然環境の破壊が進む恐れがあります。2025年には、仙台圏に本県人口の75%が集中するという予測もあり、広域市町村圏と地域・コミュニティの活性化が最大の課題となると考えられます。高齢化が進むほど、コミュニティの生活者として、いきいきとした毎日を送ることができるような生活環境の形成が、強く求められるようになるでしょう。
高度情報化の流れは、宮城県においても大きなうねりとなっていくでしょう。例えば、科学技術庁等の技術予測によると、2004年には行政の窓口サービスがネットワーク上で実現するとしており、宮城県の各自治体も早急な取組みを迫られています。企業等を牽引役として、多くの分野において高度情報化が急速に進むと考えられますが、情報化の能力や取組み意欲の差がそのまま情報化社会における強者と弱者につながる懸念も予想されます。
経済社会全般の潮流予測によって、宮城県が解決すべき問題と挑戦すべき課題の輪郭が浮かび上がってきます(詳しくは第3章「情報化の方針」に述べてあります)。現在の潮流は、たとえばインターネットの世界的広がりが地球を覆う脳細胞の増殖として語られているように、人類がかつて経験したことのない変化であるといえます。変化の核心は情報通信技術の革新であり、18世紀末の第一次産業革命、19世紀末の第二次産業革命に続く第三の産業革命、より正確には21世紀に向けた社会経済革命が起きつつあります。この変化によって、行政としての在り方も大きく改革を迫られています。
この変化は、歴史的・地理的要因等により従来から負ってきた経済的ハンディキャップ等を克服し、ひいては日本のリーダーとなり得るチャンスでもあります。例えば、情報産業の裾野を広げることを通して既存の産業の活性化を図ったり、新たな産業を創出することが可能となるでしょう。あるいは、情報ネットワークを構築することによる利便は、過疎の地域でこそ享受できるといえます。高度情報通信県みやぎ推進計画は、高度情報化時代の到来と進展に即応する情報通信基盤の構築によって、宮城県が21世紀において日本を先導する高度情報通信県のひとつになることを目指す構想です。
本計画が推進されることによって、宮城県が将来直面する問題・課題の解決に大きな役割を果たすものと考えます。さらに、県としては、時代の変化に即応しつつ、宮城県総合計画の基本理念に基づき、定められた県政推進の方向に沿って、戦略プロジェクト構想による各種施策を着実に実施することによって、来るべき21世紀への準備を完了し、新たな飛躍の土台とする考えです。
本章においては、地域情報化の意義を宮城県の地域を活性化するための有力な政策手段として捉え、情報通信技術の将来の動向を見極めつつ、日本、宮城県、県内市町村における地域情報化の現状と動向について述べてあります。
地域情報化とは、最新の情報通信技術を総合的に活用することによって、次のような目的を達成し、個性的で魅力ある地域・コミュニティからなる宮城県を創造するための、有力な政策手段であるといえます。
地域情報化においては、地域ないしコミュニティという考え方が非常に重要になってきます。地域とは、なんらかの意味でまとまりをもつ地理的範囲をいい、きわめて広い地域からきわめて狭い地域までも指し、その範囲は使用される文脈から判断されますが、本計画においては、広域市町村圏までの範囲で使用しています。コミュニティは、県民が生活者として相互に関わりと関心を共有する地理的生活圏として使用しています。
情報処理技術、情報通信技術は、ハードおよびソフトの両面において秒進分歩の発達を続けており、2010年までの動向を的確に予測することは困難ですが、情報技術全般の潮流としては、デジタル化、マルチメディア化、ネットワーク化、インタラクティブ化、オープン化、ダウンサイジング化等を中心として展開されていくものと考えられます。
科学技術庁等の技術予測によれば、2000年までに実現するとされている技術として次のような例があげられています。手帳サイズのコンピューターで世界中どこからでもマルチメディア通信ができるシステム(2003年)、電子決済システム・電子現金システムによるネットワーク上の電子取引きの普及(2006年)、電子小学校・中学校の開校によりどこからでも学習・卒業できる制度(2008年)、電子的な選挙投票(2009年)等です。その他、1チップ当たり1ギガビットメモリー級以上の超LSI、通信ネットワークの広帯域化、大容量・リムーバブル・書き換え可能な光ディスク等、数多くあり、2010年までには、メガネなし立体テレビ、介護ロボット、個人対応の電話番号によるグローバルな移動通信、リアルタイム動作の自動通訳電話、ニューロコンピューター等が実用化されると予想されています。
地方公共団体のうち、都道府県や大都市においては、地域情報化計画の見直しや新計画の策定の動きが相次いでいますが、小規模市町村では策定率が低い等、情報化に対する取り組み姿勢に差があり、それが地域間格差の拡大につながっていると考えられます。
いくつかの地方公共団体については、21世紀の先導的モデルを目指す動きが見られますが、多くは、施策に個性的な内容が乏しく、地域・コミュニティのニーズの把握という点において不十分であると考えられます。
国の施策動向としては、情報通信高度化の便益を最大限に活用して、安全で豊かな、しかも、活力のある地域社会づくりを一層推進するため、独自の情報化施策を積極的かつ戦略的に実施していくことを要請しています。その際に重視すべき事項として、グローバルな情報発信性、人に優しい情報化、「広域」概念の変化、地域における情報通信格差の是正等を明示しています。
国の構想の指定を受けるなど、各種情報通信基盤の整備を進めてきており、一定の成果は挙げていますが、情報通信分野における飛躍的な技術革新を背景とする高度情報化社会の進展に対する対応が不十分であったと考えられます。その結果、現状においては、情報化の水準が、全国の都道府県の中でもかなり低い水準に止まっていることは否めません。しかしながら、技術革新のスピードが早いということは、これからの取り組み方次第で先行している他の自治体にキャッチアップし、さらに追い越すことも可能であることを意味します。そこで、従来計画を抜本的に見直し、高度情報通信県みやぎ推進計画として打ち出します。
本計画の策定にあたっては、県民意識調査および行政意識調査の結果、中間報告書に対する県民や企業等からの意見を、広く取り入れています。
いくつかの地域において先進的な取り組みが行われていますが、全体的には低い水準にあるといえます。しかしながら、県内市町村においても、今後の努力次第で高度情報化の先進地域になっていくことは十分可能であり、そうした取り組みが期待されています。本計画においては、市町村がこれまでに取り組んできた地域情報化の施策を統合的に包摂し、さらに進んで高度な情報化に取り組むことができるような枠組みを設定してあります。
全体的にみて低い水準にとどまっている理由としては、情報化を推進する人材の不足、情報化推進の重要性に対する認識不足、情報通信基盤整備の遅れ、財源不足等があると考えられます。
地域情報化に関し、全国の先進的取り組み事例に学びつつ、宮城県にとって真に必要な高度情報化はどのようにあるべきかについて、本計画の理念、目的、地域情報化の課題、本計画の目標の各観点から明確にします。
宮城県が高度情報通信県となり、2010年には、日本における情報革命の中心地域として日本を先導しているだけでなく、世界の情報化先進地域のひとつとなって21世紀の情報ルネッサンスを担っています。
県民一人ひとりの夢がかなえられていく情報環境の実現こそ本計画の理念です。
宮城県における県民の利便性向上、地域・コミュニティの活性化と地域経済の活性化、地域間情報格差等の是正、県民による情報の活発な受発信、ならびに行政サービスの飛躍的な向上が本計画の目的です。
県民の相互理解と共感を育み、コミュニティの生活者ニーズを充足できる情報化によって地域・コミュニティ社会を活性化します。また、情報化を触媒として、すべての既存の産業を再構築し、マルチメディア等の情報関連産業を核とする新しい産業群を創出することによって地域経済を活性化します。社会と経済の相乗的活性化によって、県民一人ひとりが、質的に高い水準の生活を享受できるようになります。
情報環境の整備を促進し、県民が、だれでも、どこでも、いつでも、必要な情報を自由に受発信できる、情報障壁・情報格差のない地域づくりを推進します。とりわけ、障害者や高齢者等、高度情報化の進展によりハンディキャップを負いがちな方々にとっての快適な情報環境の実現に留意します。
県民一人ひとりが主役となって、みやぎならではの個性的で価値ある地域情報を世界に向けて発信し、世界から価値ある地域情報を受信することによって、世界的な地域交流・国際交流の舞台で活躍できるよう、情報環境の整備支援を推進します。
行政情報の公開を原則とし、生活者の視点および地域・コミュニティの視点に立つことを原点として、県民本位の行政サービスが提供できるよう、行政内部の情報環境を整備促進します。
理念に基づいた目的を実現するためには、克服されなければならないいくつかの課題があります。本計画では、宮城県および県内市町村における地域情報化の現状と動向を踏まえて、次のような課題を設定しました。
高度情報化社会にふさわしい情報通信基盤が未整備であること。したがって、できるだけ早い時期に県内の情報通信基盤を整備し、それを活用できる体制を整えることが必要です。整備を促進するに当たっては、国の施策展開に連動しつつ市町村との密接な連携を行い、あわせて、民間による整備促進を積極的に誘導・支援することによって、情報技術の急速な発展にも対応できるようにします。
高度情報化社会への適応を主体的・積極的に進めようとする意欲が充分でないこと。したがって、行政・県民を問わず、情報活用の重要性を認識し、情報活用能力(情報リテラシー)の向上を図ることが必要です。
県内産業の空洞化が進み、休廃業が増加する等によって、経済活力が低下する傾向にあること。したがって、宮城県の経済・産業活性化の有力な方策として、情報技術の活用が不可欠となっています。情報技術を触媒として、既存の産業を再編・再構築するとともに、マルチメディア等情報関連産業を核とする創造的産業群の育成支援が必要です。
高齢化の進行および過疎化の拡大によって、地域・コミュニティにおける活力減退が続いており、地域の個性的な情報発信力が低下していること。したがって、地域情報化をテコにして、それぞれの地域に新たな独自性や個性(ローカル・アイデンティティ)を創造していくことが必要です。
行政サービスの提供が、供給者側の視点から行われやすく、必ずしも県民のニーズを充たしているものとはなっていないこと。したがって、行政内部の高度情報化を推進することによって、県民本位の行政サービスを展開していくことが必要です。
高度情報化に関する諸施策を具体的に展開していくため、次のような達成目標を設定します。
県民および行政等の使用目的に応じて、最適のネットワークでリンクできるよう、県全域をカバーする情報通信網の構築を推進していきます。県内の幹線となる高速・大容量のデジタルネットワーク、準幹線となる中速・中容量のデジタルネットワーク、地域・コミュニティにおける支線となる一般回線ネットワーク、防災等に対応する特別のネットワーク、企業・研究機関・ボランティア組織とのネットワーク等、情報環境の進展に即応した最適のネットワーク整備を促進していきます。
高度情報化社会の到来に向けて、県民が活用できる簡易な情報化拠点を、地域・コミュニティの実情に応じてきめ細かに整備し、地域間における情報格差を解消していきます。あわせて、既存産業の活性化と新たな産業群の創出のため、中核的な情報化拠点の整備を促進していきます。さらに、広域市町村圏のニーズに対応するため、高度の行政情報機能を備える情報化拠点を整備していきます。
県民への行政サービスを充実するため、最適の情報データベースの構築とアプリケーションの開発を行ない、高度情報化社会にふさわしい情報システムを整備していきます。保健・医療・福祉、教育、環境等、地域・コミュニティのニーズに対応する生活便利情報の提供、産業の情報化推進および新たな産業創出支援に対応する情報サービスの提供、国際交流を含む地域間交流支援に対応する情報サービスの提供等を行っていきます。
地域・コミュニティにおいては、情報環境を生活者として使いこなせるよう、丁寧できめこまかな情報教育を推進していきます。産業と学校教育の場においては、時代を先取りできるような才能を発掘し育てるための協力を行っていきます。地域間交流については、情報環境の活用を通じて、県民が広く参加できるような機会を提供していきます。さらに、県民に対して的確な行政サービスを提供できるよう、行政職員に対する教育の充実を図って行きます。
行政事務処理の迅速化、行政手続きの簡素化、行政情報のデータベース化とアプリケーションの開発、行政情報の公開等は、県民に対する行政サービスを高度化する上で不可欠となっています。これらを達成するため、行政情報の電子化と高度利用、行政情報の共有化と流通の円滑化等、行政内部の高度情報化を推進していきます。
基本構想に関して、構想策定の前提条件、全体構想、構想の枠組み、構想の展開スケジュール、および構想の体系図を示してあります。
高度情報通信県みやぎ推進計画の最終年度を2010年と設定してあります。2010年までには、世界の政治・経済・社会・文化・科学技術等の趨勢がやや明確になると予想されており、2010年が21世紀の最初の時代区分になるとも言われています。情報通信技術が秒進分歩の変革を見せ、それにつれて高度情報化社会の姿も急激に変貌している現在においては、むしろ、2010年を目標達成の最終年度とすることによって、時代の風潮に押し流されることを防ぎ、計画と実際のブレを少なくすることができると考えます。
本計画は、基本構想という形式を採用してあります。本計画の理念、目的、課題、目標を貫いている考えは、宮城県が、情報通信技術と情報化社会の環境変化に即応しつつ、2010年には日本を先導する高度情報通信県のひとつとなるということです。基本構想は、この最終目標を達成するために提示された考え方の枠組みであり、施策体系と個別の施策を象徴的に表現する役割を担います。
本計画の全体像を表現するために、「2010年 みやぎ情報ルネッサンス」という全体構想を設定します。21世紀の情報ルネッサンスは、先駆的な高度情報化施策によって変革を遂げた宮城県が日本をリードしていくという意図を込めてあります。
14の基本構想は、人間の活動領域と情報基盤の構成要素から構成されています。構想はいずれも相互に関連する関係にあり、具体的な施策はいずれも、体系図(マトリックス)から導きだされることになります。
人間の活動領域を、「社会・地域・コミュニティ」、「経済・産業・ビジネス」、「文化・学術・教育」、「公共・行政・福祉」の4分野に区分し、これに重要性の観点から、「災害・リスク」分野を加え5分野とし、それぞれの活動領域について主たる「担い手」と「目的」を抽出してあります。
情報基盤の構成要素を「情報ネットワーク」、「情報化拠点」、「情報システム」、「情報教育」の4要素に区分し、活動領域の5分野との組み合わせにより20の構想対象を想定しました。
これらの20の構想対象から、県が推進する高度情報化計画としては、直接的に関わることのできる程度が相対的に小さいか馴染まないと考えられるもの、および既に情報化の推進が相当程度なされていると考えられる6構想対象を除いて、14の構想を選定してあります。
高度情報通信県みやぎ推進計画基本構想(体型図)
全体構想:2010年みやぎ情報ルネッサンス
14の構想・主要施策群・関連施策群・スケジュール
情報ネットワーク | 情報化拠点 | 情報システム | 情報教育 | ||
---|---|---|---|---|---|
社会・地域・コミュニティ 担い手:生活者・個人等 目的:地域活性化 |
情報コミュニティウェイ [生活情報ネット] |
情報コンビニ [生活情報化拠点] |
いきいき 生活情報 [生活情報システム] |
情報塾 | 情報交流大使 |
経済・社会・ビジネス 担い手:企業・企業家等 目的:産業活性化 |
[産業情報ネット] | マルチメディア インダストリーセンター [産業高度情報化拠点] |
産業クラスタ情報 [産業高度情報化システム] |
情報天才異才 | |
文化・学術・教育 担い手:個人・NPO・大学等 目的:文化振興 |
情報フリーウェイ [ボランティア情報ネット] [学術・教育情報ネット] |
[ボランティア情報ネット] [学術・教育情報ネット] |
[ボランティア情報ネット] [学術・教育情報ネット] |
||
公共・行政・福祉 担い手:県・市町村等 目的:行政サービス高度化 |
情報ハイウェイ [行政情報ネット] |
情報市場 [行政情報ネット] |
情報大百科 [行政情報ネット] |
情報エキスパート | |
災害・リスク 担い手:全県民・全組織等 目的:防災・リスク管理 |
情報セーフウェイ [防災情報ネット] |
[使用可能全拠点] |
[防災・災害情報システム] |
[防災訓練] |
コミュニティの情報ニーズに対応できる情報ネットワークを提供します。
それぞれのコミュニティの特性に最適の情報ネットワークを整備します。
コミュニティの生活者が必要とする生活関連情報について、コミュニティにある情報化拠点から受発信できる通信網を段階的に構築していきます。
県内の各地域にはそれぞれいわゆる地域特性があり、情報ネットワークのありかたも一様ではありません。そこで、従来の地域概念を「県民が生活者として相互に関わりと関心をもつ地理的生活圏」であるコミュニティの集まりとして再構成し、一つのコミュニティに最低限一つの公共の情報化拠点を設置できるよう、コミュニティのための情報ネットワークの整備を推進します。
県民がコミュニティの生活者として必要とする生活関連情報は、できるだけ近くの情報化拠点から、できるだけ早く、できるだけ安い費用でしかもできるだけ効果的に受発信できるように情報ネットワークを形成する必要があります。
パーソナルコンピューター(パソコン)は、いまや爆発的な勢いで普及しはじめており、県内でも各事業所等の職場、学校、公共施設等への導入が進んでいます。将来はコミュニティの公共施設への導入、各家庭へのパソコンの普及も徐々に進むものと考えられます。あわせて、通信やコミュニケーションの新しい手段として、インターネットへの関心が高まっており、パソコンを主な情報端末とする情報通信ネットワークの整備も求められています。
情報ネットワークが整備されると、いつでも、どこでも、だれでも必要な情報の受発信ができるようになるものと期待されています。コミュニティの生活者にとっては、情報ネットワークの整備状況が向上すればするほど、様々な利便性や可能性が増して、そのコミュニティの活性化が促進されることになります。情報ネットワークが整備されないままのコミュニティと整備の進んだコミュニティとでは、コミュニティの活力に大きな落差が生じます。
それぞれのコミュニティにとって最適の情報ネットワークを整備することを目標として、民間、市町村及び国による情報ネットワークの整備状況を考慮しつつ、適確な施策を推進していきます。計画の最終年度には、県内のコミュニティ情報ネットワークが、質量両面において日本のトップレベルとなっていることが目標です。
パソコン等の情報端末が設置される「情報コンビニ」(みやぎ情報コンビニ構想)までの情報ネットワークをどのように構築するかには、様々の選択肢があります。
情報コミュニティウェイは、コミュニティの生活者が日常生活で必要とする情報(みやぎいきいき生活情報構想)を簡易な情報化拠点である情報コンビニで受発信するための通信網であるという位置付けにあり、その性格上、大量の情報量や緊急性の高い情報を前提とする通信網ではありません。
原則として、情報コンビニが設置される施設等の性格、規模の大小、利用者の数等を総合的に検討して上記の通信回線等の中から最適の組み合わせを選択していきます。さらに、ネットワークの構築は、県、市町村、民間、国等の整備状況を考慮しながら進めていきます。
基本的には、県庁ならびに合同庁舎が高速大容量のデジタル回線網で結ばれた後、市町村の意向を尊重しつつ回線の速度や容量および接続時期等を決定し、順次、各市町村役場とのネットワークを増やしていき(みやぎ情報ハイウェイ構想)、このネットワークにリンクできる情報コンビニを可能な限りコミュニティに設置していきます。
これらのうち、県内市町村の役場ならびに県の施設に設置する情報コンビニに関するネットワークについては、市町村と協調しながら可能な限り早く構築を進めます。さらに、近くに公共の施設が無く、交通の不便な地域のコミュニティについては、通常のアナログ回線を使用してネットワークを構築することになります。
日常の生活圏が地理的に隣接する他県の一部と重なっていたり、密接なつながりをもっている地域のコミュニティについては、それらの県と協調しながら最適のネットワークの構築を進めます。
みやぎ情報コミュニティウェイ構想に関する主要な施策は、「コミュニティネット整備事業」として推進します。
フェーズ1においては、コミュニティの特性や区分、コミュニティ間の相互関連等についての現状分析を行い、これに基づいて情報コンビニのプロトタイプとなるモデル事業を実施するため、試験的・実験的に必要となる回線等の構築を進めます。情報コンビニモデル事業の対象となるコミュニティごとに、最適の情報ネットワークの構築を行います。
フェーズ2においては、情報コンビニの拡大に合わせて、ネットワークを段階的に全県に拡大し、ミニマムな規模で構築します。ネットワークの規模は、県民のニーズによりますが、一応の目安として、市町村役場数および県の公設施設数に県内の郵便局数を加えた規模がミニマムです。
フェーズ3においては、県内のコミュニティすべてをカバーできるネットワークが完成されることになります。ネットワーク環境、情報環境の変革に適応するコミュニティネットワークの在り方を検討します。
ボランティアグループやNPO等の社会的な活動を、情報ネットワーク活用の面から支援します。
ボランティアグループやNPO等が必要とする情報ネッワークに応じた効果的な仕組みづくりを推進します。
情報ハイウェイを開放することによって、インターネットの利用促進を行います。
ネットワークが十分に発達した社会では、情報は自由に流通する性質を持つようになります。インターネットの発達にみられるように、情報が自由に流通するために最適のネットワークとは、ボランティアベースの自律・分散型ネットワークが相互にリンクして形成されます。また、どのような形態であれ、ボランティアグループの活動はネットワークの存在を必要としています。
みやぎにおいても、コミュニティの生活者のニーズを把握し、地域の課題の解決のために活動しているボランティアグループやNPO等が増加しつつあります。こうしたボランティアのうち、パソコン通信やインターネット等の情報ネットワークを活用しているグループ同士が相互にリンクしていけば、県全域をカバーできる最大のネットワークが生まれる可能性があります。そこで、ボランティアグループ等が自由かつ積極的に情報ネットワークを相互リンクできるよう支援策を推進します。情報ネットワークは、相互リンクによって、自己増殖的に拡大していく傾向があります。みやぎのボランティアグループやNPO等も、自然に相互のネットワークを広げていくことでしょう。今後は、個人ベースでのボランティア活動も増えていくとともに、個人と個人の情報ネットワークが数多く形成されていくものと考えられます。
科学技術庁等の調査によれば、2007年には個人対応の電話番号が実現し、世界中どこにいても希望する個人との通話を可能にする移動通信が実用化されると予測しています。このような時代において県民のニーズに即応した行政を実現するには、県内全域のボランティアグループやNPO等の情報ネットワークと行政の情報ネットワークが有機的に連携をとれるようになっている必要があります。加えて、大規模な災害時においては、ボランティアベースの情報ネットワークが威力を発揮しうることが実証されており、この点からも行政との関わりが重要です(みやぎ情報セーフウェイ構想)。
ボランティアグループ等がそれぞれに形成している情報ネットワークの積極的な相互リンクを進めていくことによって、みやぎの情報インフラを全体として高度なレベルに整備していきます。これらのネットワークを、情報の受発信能力が高まっていくように政策的に支援していくのが基本的なしくみです。
みやぎにおいてもインターネットを利用して情報の受発信を行っているボランティアグループ等が増加すると考えられることから、インターネットの利用促進を主要な支援施策とします。
コミュニティの生活者のニーズに根差した情報ネットワークが県全域をしっかりと覆うようになったとき、このネットワークとリンクした県の高速・大容量のネットワークも最大限の効果を発揮することになります。
みやぎ情報フリーウェイ構想に関する主要な施策は、「インターネット利用促進事業」として推進します。
フェーズ1においては、県内における各種のボランティアグループ、NPO、団体等の実態調査を情報化の観点から行い、どのような支援施策が最も効果的かを把握するとともに、ボランティアグループ相互の人的つながり(オフラインネットワーク)の形成が促進されるよう、支援を行います。
フェーズ2においては、インターネットの利用支援を含めた支援施策を必要に応じ策定し、段階的に実施するとともに、コミュニティをまたがる情報ネットワークの形成促進の観点から、ボランティアグループ等のネットワーク間リンクを推進していきます。
フェーズ3においては、情報ネットワーク環境の世界的な変化に対応した情報フリーウェイの在り方を再検討し、施策に生かしていきます。
広域市町村圏の情報ニーズに対応できる情報ネットワークを提供します。
市町村、地域、コミュニティの情報ネットワークに連なる情報幹線網(バックボーン)を整備します。
県庁および合同庁舎間に高速・大容量のデジタル回線網を構築し、市町村役場への段階的拡充を推進します。
県民の利便向上、コミュニティと地域経済の活性化、情報格差の是正、情報の活発な発信、行政サービスの飛躍的向上というこれらの目的を達成するためには、県内の要所を結ぶ高速・大容量の情報ネットワークを構築することが不可欠となります。このような幹線道路ともいうべきデジタル回線網をバックボーンといい、行政サービスの飛躍的向上のための行政事務処理の効率化・迅速化、行政手続の簡素化、行政情報のデータベース化等を推進していくうえでも、これらの実現の前提条件となります(「行政内部の高度情報化」)。とりわけ、医療、福祉、教育等の県民にとって極めて大事な情報が走るハイウェイであり、県、市町村、各種機関を結ぶネットワークシステムの水準を高いレベルに保っておく必要があります。
行政サービスの公平性(緊急性の高いものから段階的に実施すること)、平等性(だれでも、どこでも、いつでもサービスの享受が可能であること)、柔軟性(相互に連携性、互換性のある施策の実施・運用がなされ、既存の資源が有効に活用されること)、即応性(利用者ニーズ、技術革新、危機管理に対応していること)を確保するため、県民が日常的に接触をもっている市町村役場をネットワークする情報幹線を構築するとともに、市町村を越える7広域市町村圏および隣接する他県地域につながる生活圏に対応する情報幹線として、県庁と8合同庁舎のネットワークを拡充していきます。
みやぎの情報ハイウェイがこのような形で構築されると、県内のどこにでもこの幹線から支線を伸ばしたり(みやぎ情報コミュニティウェイ構想)、すでにある情報ネットワークとリンクしたり、ボランティア団体等が情報ネットワークとして利用したりする(みやぎ情報フリーウェイ構想)ことが可能となります。
高速・大容量のデジタル回線網を、県庁、県庁と8合同庁舎間、各合同庁舎と近隣の市町村間に設置して、県のみならず市町村を網羅した行政情報流通のための情報ネットワークの構築を進めます。この情報ネットワークをみやぎにおける行政情報ネットワークの幹線(情報ハイウェイ)として位置付けます。
この情報ハイウェイを市町村・国・民間等の情報ネットワークと効果的にリンクさせていくことによって、県民が最も利用しやすい情報ネットワークを県全域に構築していくことが可能となります。
みやぎ情報ハイウェイ構想に関する主要な施策は、「行政情報ハイウェイ整備事業」として推進します。
フェーズ1においては、高度情報化のためのインフラ整備は、地域の活性化につながり、産業・経済の活性化を誘発するためのインフラでもあることから、幹線となる回線網の速度・容量・規模や設置の順序・時期ならびに費用等についての調査を行い、情報ハイウェイの在り方を探ります。関係機関と協議・調整を図りながら、可能な限り早い時期にみやぎにとって最適の行政情報ハイウェイの構築を進めます。
フェーズ2においては、情報ハイウェイの一層の活用を促進するために必要な施策を実施していきます。
フェーズ3においては、情報ネットワーク環境の世界的な変化に対応した情報ハイウェイの在り方を再検討し、施策に生かしていきます。
防災、災害、緊急時のニーズに対応する情報ネットワークを構築します。
安全に関する情報ネットワーク機能の高度化と統合化を図ります。
衛星系通信システムおよび地上系通信システムを基幹とする整備・運用を推進します。
県民の日常生活において安全・快適であり、経済・産業において不可抗力的リスクが最小であり、研究・教育・文化面において高い水準であり続けるためには、みやぎの防災・防犯・医療・環境保全等に関する情報ネットワークが整備されていなければなりません。これまでにも、県としてさまざまな施策を各分野で実施してきました。これからも分野ごとにきめ細かな施策を実施していくことに変わりありませんが、高度情報化社会の到来にあわせて、県民の安全に関わる情報を可能な限り同一の情報ネットワークで扱うことが要請されています。
とりわけ、大地震、津波、洪水、大火災、大事故等の災害時や緊急時には、被害の状況等についての情報収集を正確・迅速に行い、避難勧告情報や交通規制情報等を適時・的確に提供することが不可欠となります。このような事態においては、普段は正常に機能していた情報ネットワークが使えなくなる恐れがあります。
情報セーフウェイという構想のもとに、従来それぞれに構築されてきた安全等に関する情報ネットワークを有機的にリンクさせ、全体としてのネットワーク機能の高度化を図るとともに、一層の信頼性を求めて新たな情報システムを構築していきます。
信頼性の高い新たな情報ネットワークとして、地域衛星系通信システムによるネットワークを構築し、あわせて、地上系通信システムの拡充・強化を行うことによって、情報セーフウェイの基幹的構造を完成します。安全等に関する現在の各種ネットワークをこの新しいシステムと統合的に運用し、これらに市町村の情報ネットワークをリンクして重層的な情報セーフウェイを形成します。
みやぎ情報セーフウェイ構想に関する主要な施策は、「防災行政情報システム整備事業」として推進します。
フェーズ1においては、現在の総合防災情報システムの整備拡充および地域衛星系通信システムの構築を進めます。
フェーズ2においては、全システムの運用・管理に移行していきます。あわせて県以外の情報ネットワークとのリンクを促進します。
フェーズ3において、時代の変化に適応するセーフウェイの在り方を研究し、更新していきます。
コミュニティ対応の簡易で便利な情報化拠点(情報のコンビニエンスストア)を提供します。
この拠点を活用して、コミュニティの生活者としての県民に対する行政サービスの向上を図ります。
県市町村の公共施設、郵便局、民間施設、商業施設等に行政窓口として設置していきます。
情報化拠点は、利用者のニーズに応じ、設備能力や施設規模においてさまざまな形態であり得ます。コミュニティの生活者として必要とする行政情報や生活情報を、身近で、時間を気にせずに受発信できる簡便な情報化拠点に対する県民のニーズは、今後の高度情報化の進展につれてますます高まっていくものと考えられます。
情報コンビニの基本的なねらいは、ひとつのコミュニティにひとつの行政窓口を設置することによって、生活者としての県民に対する行政サービスを飛躍的に向上させることです。県民が、生活に関連して行政上必要となる諸手続きを、近くで、気軽に、いつでも済ますことができれば極めて便利であり、行政にとっても、行政サービスを地域間格差なしに提供できることとなります。
通信・ネットワーク技術等の情報技術の発達の上に立つ情報コンビニは、高度情報化社会への対応の第一歩であるに止まらず、高齢化社会への対応でもあり過疎化等の地域間格差解消の有効な手段でもあります。さらに、行政にとっては、県民の生活者としてのニーズをリアルタイムで把握できるという点において画期的であり、行政サービスの向上に直結するものです。
情報コンビニは、コミュニティ対応の簡易情報化拠点という位置付けにあり、行政手続きをしたり、行政情報を検索したり、行政への相談や苦情申立てを行ったりする他に、生活者として必要となるさまざまの生活情報を入手したり(みやぎいきいき生活情報構想)、行政以外の情報提供者からの情報を入手したり、商品・サービスを購入したりすることができる機能をあわせ持っている必要があります。特に、行政手続き・行政情報・行政相談等、行政が直接的に関わるものについては、利便性の高いシステムである必要があります。
情報コンビニは、県内のすべての市町村役場、県の公共施設の大部分、学校・公民館・図書館・病院・駅等のコミュニティにおける公的施設の他、郵便局・金融機関・商業施設等コミュニティの生活者が集まる便利な場所への設置を進めます。したがって、県民だけではなく、県内を訪れる観光客の方々にとっても、観光情報を入手する便利な窓口となります。
国においては、郵便局に情報端末を設置して住民登録や登記手続きができたり、通信販売や高齢者世帯・核家族向けサービスが利用できるようにする計画があり、これが実現するとみやぎにおいても455の郵便局に住民用の情報端末が置かれることになります。また、全国チェーンのコンビニエンスストアでは、全国数千ヵ所におよぶ店舗すべてに顧客用情報端末を置き、コンサートのチケット予約や旅行手続きの予約の他、通信販売ができる体制を整えつつあります。銀行等金融機関が、コンビニエンスストアにATM(窓口端末)を設置する動きも始まっています。県としては、このような情報化の動きと施設等の設置状況を把握しつつ、国や民間等と積極的に協調・協力を図り、可能な限りこれらの情報端末を情報コンビニ構想の端末として使用できるよう取り組みます。
みやぎ情報コンビニ構想に関する主要な施策は、「コミュニティ端末設置事業」として推進します。計画の最終年度までに、すべてのコミュニティに最低ひとつの公共の情報化拠点(行政情報端末)を設置することが目標となります。
フェーズ1においては、情報コンビニのプロトタイプとなるモデル事業を早期に実施するために、情報コンビニの形態・機器・システム・モデルコミュニティの選定等についての詳細な調査研究を行います。この結果に基づいてモデル事業を相当期間にわたって実施し、それぞれ特性のあるコミュニティに最適の情報コンビニのタイプを確定していきます。
フェーズ2においては、市町村役場のロビー等オープンな場所に市町村ごとの情報端末を配置し、あわせて、コミュニティの特性区分に合致する県の公共施設や市町村の施設等に情報コンビニを増設していきます。国や民間との協力・提携による情報コンビニの設置も積極的に推進していき、県内に相当数の情報コンビニを配置します。
フェーズ3においては、国や民間との協力・提携によって県全域に網の目のように情報コンビニを張り巡らせます。ただし、この段階においては、情報ネットワークの手段・態様も高度化と多様化が進み、また、情報機器の集積度が極めて高度になっていることから、県民ひとり一台の情報端末普及という状況も想定されることに対応して、情報コンビニの機能や役割を再検討していきます。
マルチメディア等の情報関連技術を、あらゆる産業へ実践的に応用していくための情報化拠点を提供します。
マルチメディア等の情報関連技術を触媒として、みやぎの産業の活性化・高度化を進め、新たな産業群(クラスター)の形成と頭脳集積を図っていきます。
広域市町村圏対応の地域拠点施設と中心施設からなるネットワーク型施設の構築を推進します。
高度情報化の波は、産業のあらゆる分野に急激な構造的変革を引き起こしつつあり、従来の産業が新たな産業群として再編され、活性化される大きな可能性をもたらそうとしています。わが国においても、すべての県や多くの自治体が、高度情報化をテコにした産業活性化と地域活性化になんらかのかたちで取り組もうとしている準備段階にあります。産業の高度情報化が成功するかどうかが21世紀におけるみやぎの将来を決定するといっても過言ではありません。高度情報化社会は、マルチメディア社会でもあり、コンピューターネットワークをベースとするサイバースペースがビジネスの場となる社会でもあります。
このような時代には、従来の一次・二次・三次という産業区分や業種区分にあまり意味はなくなり、知識・情報・ネットワーク・マルチメディアを媒介として産業を再編成する構想力そのものが競争力の源泉となってきます。知識・情報・ネットワーク・マルチメディアを媒介として、みやぎのあらゆる産業を横断的に再構成し、競争力溢れる新たな産業群(クラスター)を形成していく必要があります。
マルチメディアテクノロジーは極めて広い産業分野に関連をもっています。マルチメディアの出発点は、文字、数値、音声、写真・動画等の映像、産業に関わるすべての情報など、あらゆるものがデジタル化されることにあります。コンテンツをパッケージ(CD-ROM等)や通信ネットワーク(インターネット等)あるいは放送等の媒体(メディア)によって提供することがマルチメディアの主要な領域となります。
21世紀におけるみやぎの産業の中核として、このように広い産業連関をもつマルチメディア産業を位置付けることは、みやぎの産業の活性化・高度化にとって極めて重要であり、現在縦断的に策定・実施される産業関連施策を横断的に包含することにもなります。みやぎの産業が、マルチメディアを触媒として再構築され、マーケットニーズに即応した新たな産業クラスターを形成しつづけるとき(みやぎ産業クラスター情報構想)、魅力ある職場を求めてIターン・Uターン等が起こり、新しいインフラである頭脳集積がなされ、地域活性化が達成されるでしょう。
マルチメディア関連テクノロジーの研究・開発を行い、みやぎの産業への実践的応用によって具体的な成果を産み出し、マーケット情報と技術情報を核とする新たな産業クラスター形成の先導的役割を担う中核的施設として、マルチメディアインダストリーセンターの設置を推進します。
この施設は、広域市町村圏対応の地域拠点施設と中心施設から構成されるネットワーク型の施設として一体的に運用します。広域市町村圏においては、マルチメディアインダストリーセンターは、ネットワーク社会における新たな人材交流センターでもあります。従来の異業種交流や産学官交流に代わり、地域・コミュニティの生活者が参加するような産学官県民の交流が活発化し、地域のニーズをベースとする新たな産業が創出される可能性を秘めているといえます。
設置に当たっては、新たに建設するケースと従来の施設を転用するケース等さまざまの観点から検討して決定することになるでしょう。いずれにしても、関連する他の施設や研究機関等とネットワークを組んで事業を進めていくことになります。事業形態、設置場所、規模、機器内容等の詳細は、綿密な調査の結果と諸般の事情を考慮して決定することになります。
マルチメディア関連テクノロジー、なかでも各種のアプリケーションソフトは、成長が期待されている分野であり、設備投資が比較的少なくて済むという利点があります。優秀な人材をいかに育て、集めるかが決め手となりますので、この面においてもマルチメディアインダストリーセンターが大きな役割を果たすことになります。
マルチメディアインダストリーセンターは、従来のピラミッド型の組織運営ではなく、自律・分散・協働・自立を原理とするネットワーク・フラット型の組織運営とし、十分な支援策のもとに県が民間に委託し、成果重視主義をとります。
みやぎマルチメディアインダストリーセンター構想に関する主要な施策は、「マルチメディアインダストリーセンター(仮称)設置事業」として推進していきます。
フェーズ1においては、マルチメディアテクノロジーの産業への実践的応用をベースとして、みやぎに新たな産業クラスターを形成していくための施設は、どのような内容であるべきかの調査研究からスタートします。ここでは、広域市町村圏ないし市町村において実施してきた施策および実施中の施策をどのように有機的に関連づけ、この構想に取り込んでいくかについて十分な検討を加え、次いで、基本的な方向づけに基づきコンセプトの詳細な設計を行います。
フェーズ2においては、広域市町村圏対応の地域拠点施設および県全体の中核的施設について、コンセプト設計に基づいて既存施設の転用等により、立ち上げます。設置のプロセスと並行して、関連する他の施設ならびに研究機関等との協働(コラボレーション)を県内はもとより県外・世界を含めて行えるよう、研究・開発・応用のためのネットワークを構築します。これらのネットワーク型施設は、人材交流ならびに人材育成の場としても、積極的に活用されることになります。
フェーズ3においては、具体的な成果の検証結果と情報・ネットワーク環境の世界的変化を勘案しつつ、施設能力の増強、事業形態の見直しを図っていきます。
行政情報の収集、加工、蓄積、活用、受発信を必要十分な水準において行うことのできる情報化拠点(行政情報の総合市場)を整備していきます。
県全域および広域市町村圏の行政情報ニーズに対応していきます。
県庁および合同庁舎のインテリジェントビューロー化を図るとともに、市町村の役場や他の情報化拠点を地域情報センターと位置づけ、高度情報化を支援します。
県全体の情報ネットワークの幹線として、みやぎ情報ハイウェイの構築が推進されますが、この高速・大容量のデジタル回線網は、県庁、合同庁舎、さらに市町村役場を結ぶことになります。県外の自治体や国との情報の受発信を含め、ここをすべての行政情報が流れ、行政サービスの提供も行政に対する県民からのアクセスも最終的にはこのハイウェイを通過することになります。ハイウェイに位置する県庁、合同庁舎、市町村役場等は、あらゆる行政情報の収集、加工、蓄積、活用、受発信のプロセスに大きな役割を担うことを期待されているといえます。市場は、扱い商品の鮮度と品揃えが重視され、商品に関するあらゆる情報が世界中からもたらされ、交換され、世界に向けて発信される場でもあります。情報市場も、行政情報という扱い商品に関して同様でありたいと考えます。
県内には異なった特性をもつ7広域市町村圏があり、さらに、隣接する他県の地域と共通の特性をもつ市町村圏もあります。これら広域市町村圏等のニーズにきめ細かに対応するため、合同庁舎がそれぞれ置かれており、高度情報化においても、合同庁舎を広域市町村圏における情報化拠点とすることが最適です。そこで、県庁および合同庁舎が、広域圏対応の情報市場としてふさわしい機能を担うことができるよう、県庁・合同庁舎全体としてインテリジェントビューローという位置づけとします。
インテリジェントビューローは、高度の情報機器・設備・施設を備え、行政情報のデータベースを構築・保有し、行政情報に関するエキスパートを配置している広域圏ニーズ対応の情報化拠点という性格・機能をもっています。情報ハイウエイに連なる市町村の役場やその他の情報化拠点は、必要に応じて地域情報センターとして位置づけし、支援をしていきます。
県庁LANの水準をベースとして、広域市町村圏の特性ならびにニーズを勘案し、各合庁に最適の装備と人材の配置を行います。行政情報の開発、行政情報の統合データベース化の研究、統合データベースの構築、県民等に対する情報提供方法の研究・開発、これらに関連する施策の立案・実施を行います。広域圏を施策の立案・実施の具体的なフィールドとして高度情報化を推進していきます。
市町村役場等については、当該市町村における情報化計画、情報化の経緯や現状、住民のニーズ等を総合的に勘案して支援していきます。
みやぎ情報市場構想に関する主要な施策は、「行政情報ネットワークセンター整備事業」として推進します。
フェーズ1においては、行政情報ネットワークセンター整備が県庁LANをベースとする情報化拠点機能の構築・運用であることから、県庁の高度情報化拠点としての機能の在り方を早急に決定し、ネットワークの構築、機器・設備等の装備の導入・設置、人材の適正配置を進めます。あわせて、広域市町村圏の特性・情報ニーズを的確に把握するための調査を行ない、情報ハイウェイの整備状況を勘案しつつ、各合同庁舎ごとに適正な規模・性能の情報化拠点を整備していきます。各合同庁舎の所管区域内の市町村の役場等については、当該市町村の自主的な情報化計画をもとに、支援すべき内容を定め、支援していくとともに、市町村役場等にも設置される情報コンビニとのリンクを並行して進めます。
フェーズ2においては、情報コンビニの段階的拡大にともない、県民のニーズ・広域圏住民のニーズがほぼリアルタイムで把握できるようになることが予想されることから、行政情報をより早く、より正しく、より丁寧に提供し、施策に迅速に生かすことのできるよう、情報化拠点を運用していきます。
フェーズ3においては、情報ネットワーク・情報機器・ソフトウエア等の情報環境の激変が予想され、インテリジェントビューローとしてこれに対応できる施策を展開していきます。
コミュニティの生活者が、毎日をいきいきと暮していくうえで必要な生活関連情報を提供します。
暮らしに役立ち、いきがいにつながる生活関連情報の充実を図ります。
行政手続きの窓口、公益サービスの窓口、暮らしの相談窓口、行政情報の公開、文化・催事・スポーツ・趣味情報、行政への発言、コミュニティ情報、緊急時サービス等について、ネットワーク上の統合的なデータベースを構築していきます。
県民がコミュニティの情報化拠点において、生活者として必要な情報を、いつでも、安いコストで、易しい操作により受発信できる環境は、高度情報化社会における不可欠なインフラといえます。こうした情報環境を創出するには、情報ネットワーク(情報コミュニティウェイ)、情報化拠点(情報コンビニ)、情報教育(情報塾)に加え、情報システム(いきいき生活情報)が必要です。
みやぎにおいても、高齢化と過疎化が進みつつあるコミュニティは数多くあります。このような地域・コミュニティにも高度情報化の影響が及んできます。これからの情報化社会においてコミュニティが活性化していくためには、そこに生きる生活者が、コミュニティとの積極的な関わりの中で、日々の生活を豊かにする有力な手段として、情報化を享受できるようになる必要があります。
そのためには、行政として提供する情報の内容(コンテンツ)が、だれにとっても分かりやすく、くわしく、幅広く作成してあることが不可欠です。コンテンツがこれらの条件を充たすためには、県の行政情報ならびに県が提供のために収集した情報を高水準・高品質のデータベースとして統合的に構築する必要があります。さらに、このデータベースを先の条件を満たすように加工し提供できるためには、ビジュアルな(絵や写真等を用いて視覚的に分かりやすい)表現手法を多用する等、高度のアプリケーションが開発されなければなりません。本当の意味で日々の暮らしに役立ち、県民の生きがいにつながるような生活便利情報の提供を進めます。
いきいき生活情報の内容を構成する項目の枠組みは、おおよそ次のようになります。
みやぎいきいき生活情報構想は、「いきいき生活情報ネットワーク事業」として推進します。いずれの段階においても、生活情報の統合データベースの構築と提供アプリケーションの開発を、情報環境の変化に合わせて進めることが前提となります。
フェーズ1においては、県民に必要な生活情報の項目・内容・提供方法等について調査し、その結果に基づいて関係機関等との交渉を行い、情報コンビニのモデル事業拠点において、できるところから情報提供を進めます。
フェーズ2においては、公的情報に加え、民間等の情報についても、民間等の協力を得て・県民ニーズの高いものから順次組み込んでいきます。
フェーズ3においては、世界の公的情報の提供を検討します。
地域として比較優位をもつ産業の有機的な集積(クラスター)をみやぎに創出するため、商品・サービス開発に直結するマーケット情報および技術情報を集積し(産業クラスター)、提供します。
マーケット情報および技術情報という経営資源を活用できるシステムの構築によって、情報を核とする従来産業の再編ならびに新たな産業育成につなげ、競争力ある産業クラスターの創出を促進します。
産業クラスター創出の基盤として、情報通信関連技術を活用できるシステムの構築を推進し、情報通信関連産業の育成を図ります。
産業の分野においても、地方が中央主導と中央依存によって問題解決を図ることのできた時代は終わり、地域のことは地域が自ら考え、自ら解決していかなければならない時代になってきました。みやぎの経済が従前どおりの流通経済依存型、公共投資依存型、農林水産資源供給型のままでは、その将来は危ういといわなければなりません。
世界や我が国の地域の中で他に抜きんでた競争力をもっている地域というのは、その地域に強力な「産業クラスター」を形成することにより「地域の比較優位」を獲得できたからであるということが、学問的研究によっても、実践によっても明らかになっています。例えば、アメリカのシリコンバレー、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク、イタリアの第3のイタリア、フィンランドのオウル、東京の大田区、静岡の浜松市、岩手の北上市などにはそれぞれの産業クラスターが形成されています。
「クラスター」とは、ある核を中心にして相互に近接して集まり、ひとつのまとまりを形成している状態をいいます。産業についても、経営資源の何を核にするのか、産業間のつながり方をどのようにするのか、まとまりの規模をどの程度にするのかなどによって、さまざまな形態の産業クラスターの形成が可能となります。上記の地域はいずれも、中小企業を主体に特色ある企業群、振興支援組織、大学群などがクラスター状に集積し、人材・技術・ノウハウが結合して互いに利用しやすい状況になっているとともに、地域外への強力なネットワークが築かれており、企業が限定的な機能しかもっていなくても競争優位を保てるような「外部経済効果」が期待できる地域社会を形成しています。
経済のグローバル化の進展により、みやぎの産業も空洞化の懸念が強まっていると同時に、みやぎへの新たな企業誘致が困難になりつつあります。さらに、品質も良くて割安な輸入品の増加による流通業界の競争激化に加えて、ガット・ウルグァイラウンド合意等により農林水産業への影響も懸念されるなど、みやぎの産業はかつてないほど厳しい局面を迎えています。
どこの地域にとっても、国際間の水平分業の進展により、産業の競争の舞台はこれまでの国家間競争からグローバルな地域間競争に移っています。このため、みやぎの産業も基盤技術の集積、固有技術の育成、高度技術の開発等により技術集約型の産業を目指すとともに、生活者の真のニーズに応え得る成熟社会型の商品・サービスを提供できるようになる必要があります。さらに、環境問題や食糧問題の解決に資する産業であることも要請されています。
地域産業が厳しい局面を迎えるなかで、ベンチャー企業育成の大きなうねりが各地で見られるなど、新たな産業群を地域で内発的に創出していこうとするさまざまの試みがなされています。地域が競争優位にたてる地域産業を自ら創出する産業フロンティア精神を発揮すべき時代がきています。
産業クラスター戦略では、他の地域と比べて特色のある産業を中心として、成長の原動力となる技術・人材・支援組織・関連産業・大学・公設試験研究機関等を集積します。ここで重要なのは、マーケットのニーズと産業・技術のシーズの融合機能、産業クラスター創造を担うプレーヤー達の協働(コラボレーション)を可能にするコーディネーション機能であり、企業・産業側の意識改革です。
みやぎを取巻く環境の変化に対応していくためには、みやぎに最適の産業クラスターを内発的に創造していく必要があります。クラスター創造の核となる産業は、主として地域外・県外との競争力、地域内連関、研究開発・技術動向、市場動向等の観点から詳細な分析を行うことで決定することになります。
競争力ある商品・サービスを開発していくために最も重要な情報は、マーケット情報と技術情報です。これらの情報が経済環境の変化に即応して的確に把握され、活用されていくなら、個々の企業の競争力が強化され、自ずと地域の競争力は高まっていくでしょう。なぜなら、商品・サービスとは、消費者・利用者にとって、さまざまの情報が集積されたものであり、それらの情報価値を比較考量することによって購買選択が行われるからです。例えば、消費・利用目的からの商品本体の情報、価格からの価値の情報、形態・パッケージからのデザイン情報、製造者・提供者に関する情報、産地に関する情報等などです。
商品・サービス開発に直結するマーケット情報と技術情報を集積し、企業等が積極的に活用できるシステムを構築すること(産業クラスター情報の集積化)が、しくみの中心となります。この産業クラスター情報システムを活用して競争力ある商品・サービスを開発していくには、関連するさまざまの企業・研究機関・行政等をコーディネートし、市場開発につなげる機能が必要となります。この機能を担うのが、マルチメディアインダストリーセンター構想です。情報通信関連技術および情報通信関連産業をすべての産業領域における基盤として活用し、従来の産業の活性化と新たな産業の創出を支援する仕組みとなります。
みやぎ産業クラスター情報に関するシステムは、国の諸施策を活用しつつ、市町村、民間、大学・公設試験研究機関、その他関連機関との協力のもとに、県の産業振興プランの一環として具体化していきます。
みやぎ産業クラスター情報に関する主要施策は、「産業クラスター創出事業」として推進していきます。産業クラスター創出の観点からみやぎの産業の現状を研究すること自体が、みやぎの経済・産業の活性化のみならず、地域・社会の活性化にとっても多大の利益をもたらすことになります。さらに、情報システムによるサービスの充実に関する施策として位置付けしてあるのは、実際に産業クラスターを創出することによって、あらゆる分野においてみやぎを変革していく可能性が生まれることにつながるからです。
フェーズ1として、産業クラスター情報研究会を設立し、産業クラスター創出のための推進機構をどのようにすべきか、創出のための拠点をどこにすべきか等について詳細に検討し、産業クラスター創出モデル事業を展開します。この段階では、モデル事業対象地域の競争力のポテンシャル分析、地域関連産業資源に関るマーケットニーズの調査および技術シーズの検討を行います。
フェーズ2として、モデル事業対象地域を拡大し、それぞれの地域の企業等による商品・サービスの市場開発を支援します。この段階では、フェーズIにおいて行った調査の対象を全県に広げ、これらの情報を集積化し、産業クラスター情報システムを構築します。
フェーズ3として、産業クラスター創出機構を設立して実際に産業クラスター創出プロジェクトを立ち上げるることになります。世界的な産業の高度化、技術変革の方向を踏まえて、産業クラスター発展方策の将来像を描きつつプロジェクトを充実させていきます。
行政情報の提供基盤を整備して行政サービスの充実を目指します。
行政情報の統合的なデータベースを構築し、県民ニーズに合致した情報の提供ができるアプリケーションの開発を進めます。
県ならびに関係機関の情報環境を調整し、文書情報等の電子データ化や行政事務処理の高度情報化を推進します。
県民のニーズにあった行政サービスを迅速・的確に提供し、行政手続きをできる限り簡素化するためには、情報ネットワークである「情報ハイウェイ」ならびに情報化拠点である「情報市場」に加え、適応する情報システムが必要になります。さらに、行政情報の公開(ディスクロージャー)は時代の要請となっており、各種の行政情報を利用しやすいかたちで県民その他に対して広く提供することが、県民の行政への理解と共感を呼び、連携と協力を引き出し、県民からの建設的な提言に支えられた行政改革にもつながることになります。
県および県関係機関の情報環境の整合性をはかり、情報システムを改善して、県行政情報の統合的なデータベースを構築し、利用者の立場に立ったアプリケーションを開発することが不可欠です。これが完成すると、県および県関係機関の各組織を横断的にネットワークすることになり、行政改革が適正な方向で進められ、電子県庁として機能が強化されます。
県庁、合同庁舎、県の関係機関の情報ネットワーク、情報機器、情報システム、配置人員等の情報環境の点検と見直しをすること、情報環境の相互の整合性を図ること、書類等のかたちで記録されている行政情報を整理・分類し、電子データ化を順次進めること、日常の行政事務処理のデジタル化を順次進めること、情報提供等のためのアプリケーションの開発を行うこと、県行政情報のデータベースの統合化を進めることが主要な仕組みとなります。なお、県行政の効率的な推進の観点から、政策決定支援システムの開発も行っていきます。
県民に対する情報の提供は、県のホームページ等を通してできるところから開始し、情報コンビニモデル事業の展開や情報市場事業の進捗状況にあわせて取り組んでいきます。
みやぎ情報大百科構想に関する主要な施策は、「みやぎ2010総合データベース構築事業」として推進します。
フェーズ1においては、県ならびに県関係機関の情報環境の点検・見直し・調整をはかり、システム間の整合性を高め、事務処理のデジタル化を進めます。あわせて、既存の書類情報の整理・分類・電子データ化を進め、体系的な情報蓄積を行います。
フェーズ2においては、県行政情報のデータベース化を行い、横断的で統合的な行政情報データベースの構築を進めます。情報提供のためのアプリケーション開発および政策決定支援システムの開発にも取り組みます。
フェーズ3においては、「情報大百科」が「いきいき生活情報」の重要な部分を構成していることから、予想される世界的な情報環境の変革にあわせて、ネットワーク上のデータベースの新しい在り方を研究・開発し、提供の充実を図っていきます。
情報教育とは、情報の創造、加工、蓄積、活用、受発信ができ人材の育成をいいます。
先進的な高度情報通信県を実現するためには、高度情報化社会に対応できる望ましい人材の育成を、横断的な施策展開によって推進する必要があります。人材育成の目指すところは、単に情報技術の利用に巧みな人材を育てることではなく、21世紀の日本をリードし世界に通用する新しい宮城県人像を、従来の観念に囚われることなく、新しい教育体制と普及啓蒙活動によって創造することにあります。
新たな宮城県人像としては、次のような特色が相互に分かちがたくつながった人物像が望まれます。
本計画においては、「みやぎ情報塾」、「みやぎ情報天才異才」、「みやぎ情報交流大使」、「みやぎ情報エキスパート」を、宮城県に おける情報教育・人材育成として構想し、支援促進を図っていきます。
コミュニティの生活者のための情報教育の場(情報教育のための現代寺子屋ないし私塾)を提供します。
コミュニティベースでの楽しく、ていねいな情報教育により、情報リテラシーの向上を図ります。
情報コンビニ等の情報化拠点を教育の場とし、情報教育ボランティアがコミュニティの生活者を指導します。
みやぎに情報ネットワークが網の目のように張り巡らされ、すべてのコミュニティに少なくとも一つの情報化拠点が置かれているような環境が出現したとしても、コミュニティの生活者がこのような情報環境を自由に使いこなせるようにならなければなりません。パソコン等の情報機器・端末を使えるというに止まらず、生活者自らの人生を豊かにし、自らのコミュニティを活性化していくために、情報環境を上手に利用できること、情報のもつ利便性と危険性を十分に理解していること等が要求されます。
情報通信等の分野における急速な技術革新はこれからも続き、その成果がコミュニティに波及してくることは避けることができません。コミュニティの生活者のために、生涯学習の一環として、必要十分な情報教育を気軽に楽しく受けることのできる環境を段階的に整備し、もって県民全体の情報リテラシーの水準を高く維持していくことが、この構想のねらいです。
コミュニティの情報コンビニ等を主要な教室とし、情報教育ボランティアが講師・インストラクターとなって、パソコンの操作等を学ぼうとするコミュニティの生活者を教えるというのが情報塾の基本的な仕組みです。コミュニティにおける情報教育を社会教育の場としてとらえれば情報塾となり、教える人材の育成としてとらえれば情報教育ボランティアとなります。情報教育ボランティアは、情報環境の活用が得意であり、ボランティアとして教えることに意欲をもっている県民であれば、だれでもなれるし、できるだけ多くの県民になっていただくのが望ましいといえます。
コミュニティにおける情報教育のボランティアとなれる県民が増えれば増えるほど、みやぎの情報リテラシーの水準が着実に高くなっていきます。昔の時代の寺子屋や私塾において、読み・書き・そろばんという技術のみならず、人生のあるべき道をも塾長や仲間から学ぶことがあったように、情報教育ボランティアという仕組みが上手く機能していけば、コミュニティベースでの、丁寧でしかも興味溢れる情報教育が実現することになります。
このような能力と意欲のある方々を、情報塾の講師・インストラクターとしてお願いできるような仕組みづくりを推進し、指導マニュアルや学習テキストの作成、教室利用等についても、情報教育ボランティアの方々、とりわけ社会教育の知識経験を積んだ方々の創意工夫を基本としつつ、活動の支援策を講じていきます。
みやぎ情報塾構想に関する主要な施策は、「ネットワーク情報塾事業」として推進していきます。
フェーズ1においては、情報塾の場所として使用できる可能性のある県の施設を調査選定し、あわせて市町村および民間に対して施設・場所の提供を広く呼び掛けます。情報コンビニモデル事業の実施と同時に情報塾のモデル事業を展開していくのが効果的と考えられます。情報コンビニの段階的な設置状況に合わせて情報コンビニごとに情報塾も増やしていく必要がありますが、市町村や民間からの積極的な要望があれば、情報化拠点の整備構想とは切り離して情報塾を立ち上げていきます。
情報教育ボランティアについては、ネットワーク情報塾事業の表裏一体の事業として位置付け、できるだけ早期に仕組みづくりを推進していきます。情報教育用の教材については、情報教育および社会教育の専門家による教材開発、情報教育ボランティアによるコミュニティでの活用を促進していきます。
フェーズ2においては、情報教育ボランティアの組織化をネットワーク上で行ない、情報教育・学習の需給マッチングを図るとともに、コミュニティの活動を通じて情報教育を行うことができるような仕組みづくりを推進します。
フェーズ3においては、コミュニティにも影響を及ぼすと予想される情報環境の変革に適応し、新たな社会教育と生涯学習の在り方を検討していきます。
情報関連分野における優れた才能が存分に活躍できる場を提供します。
若く優れた才能を積極的に求め、評価し、育成する気質・風土をみやぎに醸成し、情報関連分野の人材の集積を図ります。
情報関連分野における各種コンテスト等を通じて才能を発掘し、ワークショップの設置等による才能育成の仕組みづくりを推進するとともに、学校等における情報教育および人材育成の促進を支援します。
高度情報化社会は、情報という目にみえない資産が重要視され、情報が新たな価値を生み出していく知識社会・知価社会といえます。このような社会では、創造性・独創性を育成することが、あらゆる分野において活力を維持し高めていくために、不可欠となってきます。
みやぎにおいても、地域・コミュニティの活性化と新たな経済・産業の創出を図っていくためには、秒進分歩とされる情報技術の世界的な変革の中で、情報関連分野において時代を先取りするような才能が自ずと集まり、その才能を発揮できるような環境を整えていく必要があります。
情報関連分野の優れた才能を発掘し、その才能の育成を図ろうとするねらいは、そのような風土や気質をみやぎに醸成することによって、県内の小学校、中学校、高等学校をはじめ、専門学校、大学等において、積極的に情報に関する新しい考え方や技術を学び、新しい情報分野にチャレンジするような創造的精神に溢れた若者達を産み出せるようにすることです。
みやぎが情報関連分野における才能にとってふさわしい県であるという評価イメージを確立し、日本から、世界から、多くの情報天才・異才が集まってくることにつなげます。
情報関連分野において優れた才能を育て、高い評価を与えることのできるような県民気質やみやぎの風土を醸成するための雰囲気づくりおよび仕組みづくりが、基本的なしくみです。小学校、中学校、高等学校の各段階における情報教育を着実に推進するとともに、専門学校、大学における高度な情報教育の支援を促進していきます。小学校から大学院レベルまでの教師・研究者の交流を促進し、効果的な情報教育の展開が県全体として行われるようにし、みやぎにおける情報教育の質的な向上をも図ります。
情報教育と人材育成に対する県民の関心を喚起するため、情報関連分野のコンテスト等各種の催しを定期的に開催し、各コミュニティごとに情報チャンピオンを育てる活動を積極的に推進します。さらに、デジタルアーティストの天才やクリエーターの異才が世界から参加するようなコンペをみやぎで開催できるための基盤づくりを進めます。このような天才異才が集まる「人材ハブ」をみやぎに形成していくために天才異才の活動を支える人材群としてのサポーターの育成から始めます。
情報関連分野の若い才能を伸ばすため、ワークショップおよび特別育成機関の設置を関係団体や大学等との協力のもとに進めるほか、具体的なテーマを設定した留学制度等みやぎならではの学習システムを構築していきます。
みやぎ情報天才異才構想に関する主要な施策は、「みやぎマルチメディアクリエーター育成事業」として推進します。この事業は、情報関連分野における各種コンテスト・コンペの開催、広域市町村圏対応のワークショップの設置およびマルチメディアクリエーター等を育成するための実践的教育システムの整備を併行して進めます。
フェーズ1においては、情報関連機器、情報技術、情報システム、マルチメディア関連のソフトやコンテンツなど、広い意味での情報フェアの催しを定期的に行っていくための調査と詳細プランニングを行います。具体的なテーマを設定し、活動を通じて学習する仕組みをつくり、参加が自己実現の機会となるような催しを採りあげます。みやぎマルチメディアフェアを拡充し、生徒・学生等によるマルチメディアコンテンツコンテストを全県的に開催することから始めます。次に、たとえば、みやぎの自然環境観察学習システムとしてのフィールドミュージアム、マルチメディアコンテンツ制作技術を活用するネットワーク美術館づくり等です。地区予選からの勝ち上がりコンペ方式等により各コミュニティに情報チャンピオンやスター選手を育てていくなど、県民の幅広い参加を得るための広報と動機づけをこの段階において十分に行います。これらの催しに生徒・学生が多数参加するようになるために教師・研究者の交流を促進するとともに、情報教育の質的向上を図る施策を展開していきます。
フェーズ2においては、情報人材ハブのサポーター層を形成していくために、広域市町村圏に対応した情報化拠点等を活用してワークショップを設置し、新しい情報の匠ともいうべき人材群を育成するとともに、若く優れた才能を伸ばしていくためのフィールドとして、マルチメディアラボ等の整備を関連機関と連携して推進します。マルチメディアラボの主要な機能は、マルチメディアインダストリーセンターに設置します。さらに、フェーズIにおいて推進したコンテスト等の催しの定着を図り、主要な県民行事になるよう環境整備を進め、全国から、世界から、多数の応募作品等がよせられるよう評価を向上させていきます。
フェーズ3においては、情報人材ハブの機能をさらに高めるため、優秀な頭脳のみやぎへの集積を可能にする施策を、時代の変化に合わせて積極的に推進していきます。
情報交流を活用した地域間交流・国際交流の場を提供します。
情報交流を積極的な地域間交流・国際交流に発展させることができる人材の育成、気質・風土の醸成を図ります。
全国的・国際的イベント等へのボランティア参加や姉妹提携地域等との交流を情報環境面から支援し、住民相互のネットワークの形成を促進していきます。
高度情報化社会においては、県民の多くが、コミュニティの生活者として、ボランティアグループやNPOのメンバーとして、インターネット等の情報ネットワークを通じ、県内の他のコミュニティや地域、県外地域、さらに海外の地域と情報交流するようになっていきます。
県民一人ひとりが地域間交流の主役となり、みやぎの情報を世界に向けて発信し、みやぎに世界の情報が発信されてくるという循環を形成することによって、姉妹提携をしている地域等との交流自体が活発化してくると考えられます。このような情報交流の在り方が継続されれば、県民の国際感覚が磨かれ、地域の活性化にもつながり、人材がみやぎに集まることによって産業の活性化にもプラスとなるものと期待されます。
みやぎを21世紀をリードする高度情報通信県にしていくための施策のひとつとして、県民ベースによる地域間情報交流の活発化を支援することは、創造的チャレンジ精神を育て、その長期的な波及効果を期待することができます。県民一人ひとりが、みやぎを代表する地域間交流の主役となって活躍していくことが、直接的な効果はもとより、間接的にさまざまの望ましい効果を産み出すことになるでしょう。
情報交流大使構想の基本的なしくみは次のとおりです。全国的あるいは国際的イベントがみやぎで開かれる機会に、県民の方々にイベントの運営の裏方として、情報機器の操作の補助や記録広報等の補助をボランティアベースで引受け、活動の過程を通じて他県や外国の人々と交流を促進していただける仕組みをつくります。
他方、県と姉妹提携等をしている地域とが双方の住民の間で、情報ネットワークを使った情報交流を図ることからスタートし、これを契機とする具体的な国際親善・国際協力の交流へと拡大していき、次いで、海外の他地域との情報交流をも順次進めていき、みやぎと海外各地域との具体的な国際交流にまで発展させていく仕組みをつくっていきます。
さらに、インターネット等の情報ネットワークを活用して、海外等の地域やコミュニティと情報交流を行っているボランティアグループやNPO、それらのメンバー、県民の方々、あるいはこれから情報交流をしたいと考えている方々に対し、それらの交流が行われやすい環境づくりを促進します。
みやぎ情報交流大使構想に関する主要な施策は、「ワールドワイド情報交流事業」として推進します。
フェーズ1においては、情報交流大使モデル事業の一つとして、国民体育大会やワールドカップ・サッカーなど全国的あるいは国際的なイベントがみやぎで行われる機会に県民が情報ボランティアとして参加できる仕組みを関係諸団体と連携して構築します。たとえば、各市町村などにおける住民と選手等の参加者との交流の実況をインターネットで発信したり、参加者の出身地の人々からのメッセージを受信したりという交流を行います。
さらに、県民から情報交流大使を公募、選定し、これらの方々に姉妹提携している地域住民と、インターネットを使っての交流を相当の頻度で実験していただくこともモデル事業として推進していきます。これらの情報交流の結果として、双方住民の相互訪問や体験滞在、県が行うイベントにおける情報交換・親善等の実現につなげていきます。
フェーズ2においては、情報交流の対象地域を拡大するとともに、情報交流に役立つような全国的あるいは国際的なイベントを積極的に企画・誘致し、より多くの県民が情報交流大使として参加できる仕組みをつくり、海外各地域の住民代表との交流親善の催しとして、情報交流大使サミット等の交流の場づくりを推進します。
フェーズ3においては、みやぎが国内ならびに世界における情報交流をベースとした地域間交流の中心となれるための施策を検討していきます。
県民ニーズに的確に応えることのできる行政情報サービスの専門家となることを目指します。
インテリジェントビューローとしての行政情報環境を使いこなして行政サービスを提供できる人材の育成を図ります。
現場・現実・現物に基づくOJT方式情報教育をベースとしつつ、高度情報化への高い意識と意欲をもって業務に取り組める研修システムの開発を推進します。
みやぎの高度情報化を推進していくにあたっての大原則は、つねに県民が主人公であるということです。県民が、だれでも、どこでも、いつでも、ひとしく高度情報化の恩恵を享受できるようになるためには、県民の日常生活に深く関わりを持つ行政情報の提供者として、県自体の高度情報化が不可欠です。県の高度情報化を成功させる鍵は、県ならびに市町村の職員すべてが情報化への深い理解をもち、パソコン等の情報端末を自由に扱えるようになることです。県民のニーズに的確に応えるため、行政情報の取り扱いの専門家・エキスパートとして、可能なかぎり最新の情報環境を活用して行政サービスを提供できるような人材を育成していく必要があります。
みやぎにおいても、情報化と国際化が進展し、高齢化が進んでいくにつれて、県民の行政情報に対するニーズも多様化し、複雑化していきます。このような状況に対応するためには、行政情報に関する必要十分なデータベースを構築する能力や県民が使い易いアプリケーションを開発する能力、情報端末等の情報環境を使いこなせる能力、国際的にコミュニケーションを行える能力、県民に分かりやすく説明できる能力等など幅広い能力を身に付ける必要があります。県ならびに市町村の職員がこのような能力水準に達すれば、情報教育ボランティアとしての積極的活動等を通じて、みやぎ全体の情報リテラシーの水準をも押し上げることにつながるものと期待されます。また、行政改革を進めていく上でも、大きな力になるものと考えます。
行政内部の高度情報化を担う人材を県庁・市町村役場内部に育成していくことが、情報エキスパート構想の基本的な仕組みとなります。一般行政事務その他の「現場」で、「現実」に県民ニーズに応えるために、情報端末等の「現物」を扱うことを通して、情報教育を行うというOJT方式を基本としつつ、現行の情報処理研修の体系・内容を見直し、全体の目標水準を引き上げていきます。県民ニーズの変化に適応した行政の高度情報化への高い意識と意欲とをもって、業務に取り組んでいけるような人材を育成する新しい研修システムの開発を推めていきます。
みやぎ情報エキスパート構想に関する主要な施策は、「行政情報エキスパート育成事業」として推進します。
フェーズ1においては、現行の情報処理研修の体系・内容の見直しを図り、今後整備されると考えられる情報環境にあわせて、トレーナー養成制度等を含む水準の高い総合的な情報教育制度の研究、早期導入を図っていきます。パソコン職員一人一台体制とするとともに、庁内・役場内LANによる電子メールシステムの利用促進や外部データベースの活用について研修を実施していきます。
フェーズ2においては、電子文書交換システムの導入、文書情報のデジタル化、ペーパレス化、行政情報の統合データベースの構築等の方向に沿った研修を推進していきます。あわせて、すべての部局にトレーナーを必要数配置し、人事異動等ローテーションにより行政サービスの水準に影響を与えることのない体制の整備を進めます。
フェーズ3においては、情報環境の世界的変革が予想されるところから、これに対応できる行政情報教育・人材育成について、国内や海外の行政機関への派遣や大学院等への留学制度も含め、新たな在り方を検討していきます。
本計画を推進していくためには、それぞれの活動領域における情報化の担い手のニーズに即応しつつ、十分な普及啓発活動を行っていくことがなによりも重要です。全県あげての推進体制がとれるような推進組織づくりを早期に行います。また、計画を推進する上で考慮しなければならない共通事項についても留意することが大切です。
情報ネットワーク、情報化拠点、情報システム、情報教育の充実を図りつつ、ボランティアによる地域情報化推進の組織進の中心的なメンバーとなって活躍できるボランティアの人材を発掘します。
大企業を中心に、高度情報化への先端的な取り組みや人材育成が行われると考えられますが、必要な人材の確保や育成を行うゆとりのない中小企業に対しては、情報化への公的支援を充実していきます。
大学、研究機関等においては高度情報化に対する独自の取り組みがなされており、地域情報化推進への積極的な助言や指導が期待されます。学校教育の場における情報教育の充実が地域情報化推進の土台となるものと考えられます。小中高等学校それぞれの段階にふさわしい情報環境を早期に整備し、情報基礎教育の徹底を図るとともに、情報教育を通じて独創性・創造性が養われるような教育支援を促進していきます。
公共・福祉における高度情報化の推進は極めて重要であり、最適な情報環境を早期に整備促進する必要があります。公共・福祉の視点に立つ発想が、地域情報化の推進に対して貴重な示唆を与えてくれるものと考えます。行政における推進体制については、県と市町村との連携が不可欠の前提となりますが、特に県及び市町村における推進体制は次のとおりです。
高度情報化は、全ての行政分野に関連を有し、かつ長期間にわたり、対処していかなければならない課題であるため、各部局の横断的連携のもとに総合的、計画的な推進を図っていくことが大切です。このため平成8年7月に設置した「宮城県高度情報化推進委員会」を中心として、全庁的に情報化を推進します。
地域の情報化を推進するためには、地域に根ざした施策の実施が必要であることから、住民に最も身近な行政を担当する市町村の役割が重要です。このため、市町村においても推進体制の整備に努める必要があります。また、生活圏の拡大に対応して近隣市町村が広域的な連携を図ることが重要なことから、広域行政事務組合などの情報化に対する取り組みを充実させていく必要があります。
高度情報化・地域情報化は、情報という無形の対象を、情報ネットワーク等の情報環境に依存して取り扱うという特質を持っています。とりわけ、インターネット活用の世界的な広がりによって、その双方向性と同時性という特質が、諸刃の剣となる危険性を秘めています。本計画を推進していくにあたっても、次の事項には特別の考慮をはらう必要があります。
行政、企業、県民等がそれぞれの役割を分担し、相補ないながら、宮城県の高度情報化・地域情報化を実現していきます。ここで、行政の基本的な役割は、行政サービスの提供と環境整備の支援にあります。
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