ここから本文です。
地球規模での高度情報ネットワーク化の進展は、世界のボーダーレス化の流れを一層加速させるとともに、生活、産業、経済等のあらゆる分野を根底から揺るがしつつある。それは、産業革命に匹敵するまさにIT革命と呼ぶにふさわしい社会の構造変革の波である。一方、大都市圏と地方圏といった地域間、大企業と中小企業間、個人間のデジタルデバイド(情報格差)の拡大も深刻な問題になりつつある。こうした時代の流れを背景に、わが国は平成13年1月に「e-Japan戦略」を策定し、2005年には世界最高水準の高度情報国家を実現するという目標を掲げ、国の最重要政策として重点的かつ戦略的にIT政策を推進することにしている。
残念ながら、宮城県はこうしたIT革命の潮流から大幅に遅れている現状にある。依然各分野での情報や先端技術の重要性への認識は薄く、具体の取組も遅々として進んでいない。情報ネットワーク化や技術革新が日進月歩で急速に進展している中にあって、このままでは、地域社会の構造改革がより遅れ、21世紀の成長発展のステージから取り残される心配がある。
宮城の持続的な成長発展を確かなものとするためには、高度情報ネットワーク社会の構築を最優先課題に位置付け、官民一体となり、取組を加速させていく必要がある。そのため、取り組むべき事項を明らかにしたみやぎIT戦略を策定し、その着実な展開を図ろうとするものである。
IT革命への取組は、県民一人ひとり、企業、県、市町村等がそれぞれの果たすべき役割を認識し、まさに総参加・総実践の基本姿勢に立ち、主体的にかつ協働して推し進めるべきものである。
こうした基本認識に立ち、県や市町村、県内の産業経済界、県民生活に密接に関わる団体等が中心となって展開すべきプロジェクトを明確にし、それぞれの立場でその着実な実現に取り組む指針として提言し、各プロジェクトの推進主体における積極的な取組を期待するものである。
平成13~15年度の3か年度とする。
著しい技術革新を背景とした高速大容量の情報通信ネットワーク網の飛躍的な拡大は、世界規模でのネット社会という歴史上かつて経験したことのない新たな社会を実現させた。今や生活や産業経済活動は、高速・広帯域のグローバルかつオープンなネットワーク環境の下で営まざるを得なくなっている。
今後、社会生活や産業経済活動がどのような方向に変化するか、具体の姿を描くことは困難であるが、いずれにしてもこれまでの20世紀型の企業社会、ライフスタイルとは様相を異にする社会が誕生するであろうことは想像するに難くない。ネット社会の進展は、時間や空間といった制約を超え、個人も企業もダイナミックに交流できるなど、新たな可能性を生み出す一方、競争の激化、変化の加速化、知識重視社会の創造など、社会や生活の有り様を根本から揺るがしている。
宮城県は、世界規模のIT化の流れに対して著しくその取組が遅れている。しかも、東京等のIT先進地域との格差も急速に拡大しつつある。こうした現状を打開し、宮城のIT化の基盤を整備していくためには、行政、産業経済等の各分野が地域の現状に対する危機感を共有し、セキュリティ対策等にも配慮しつつ、IT化の推進と社会の構造改革を最優先の地域課題として位置づけ、早急に取り組む必要がある。
このことから、官民一体となった強固な推進体制を確立し、次の実現に向けて、積極的な取組を進める。
また、取組にあたっては、条件不利地域における情報通信環境に配慮しつつ、市町村などにおける先進的な取組に対する支援を強化する。
あわせて、行政、民間企業、大学、NPO、地域住民といった多様な主体の参加と連携強化を基本に置くものとする。
情報通信環境は、光ファイバー、xDSL、CATV,無線、携帯電話、衛星通信、デジタル放送など多様な媒体の飛躍的な発展と融合化により、大きな可能性を秘めたものに変化しつつある。そして、地球規模で進展するブロードバンド社会、さらにはユビキタス社会への急速な展開などを踏まえた多様な情報通信網の組み合わせによる高速情報通信基盤は、生活、産業経済、国土保全や防災等のすべてを支える社会資本として、その整備は急務となっている。
とりわけ、国内的にも地域間競争が激化し、よりポテンシャルの高い地域における戦略的かつ集中的な整備は、本県の競争力を高めていく上で不可欠となっている。同時に、過疎・山村、離島等の地域間情報格差の是正を実現していかなければならない。「競争力強化」と「シビルミニマムの達成」といった困難な課題を総合した取組が求められている。
このことから、国、県、市町村、民間資本において役割分担を行い、協働し、早急な取組を進める。また、相乗効果の高まりを視野に入れ、行政による民間インフラの積極的活用を図る。
プロジェクト名 | 推進主体 | プロジェクトの概要 | 13年度 | 14年度 | 15年度 |
---|---|---|---|---|---|
みやぎハイパーウェブの整備 | 県 市町村 |
総合行政ネットワーク、住民基本台帳ネットワーク、学習情報ネットワークなどを総合した県・市町村・学校等間の情報通信基盤の整備、民間への開放 | 計画 設計 |
構築 | 運用 |
自治体情報通信ネットワーク網の整備促進と相互接続 | 市町村 県 |
地域インターネット、地域イントラネットの積極的な導入とその相互接続による全県的な総合ネットワークを形成 | 整備 | 整備 | 整備 |
CATV網の整備拡大 | 県 市町村 民間 |
一般家庭向けブロードバンド対応型の放送と双方向性通信を先行するCATV網のエリア拡大と機能の強化 | 整備 | 整備 | 整備 |
移動通信用鉄塔施設整備の推進 | 県 市町村 通信事業者 |
過疎・山村・離島地域の活性化、災害や事故などでの不安地域の解消を目指した携帯電話用施設の整備 | 整備 | 整備 | 整備 |
ブロードバンド対応型情報通信環境の実現 | 通信事業者県 市町村 |
全圏域での光ファイバー網、xDSL、無線網等の整備推進による常時接続・定額・低料金サービスの早期実現 | 整備推進 | 整備推進 | 整備推進 |
東北情報ハイウエイの整備促進 | 国 東北各県 民間 |
東北各県が整備しているネットワーク(県情報ハイウェイ)を接続し、市町村までをカバーするネットワーク網を構築 | 検討 | 検討 | |
インターネットエクスチェンジ(IX)の整備促進 | 通信事業者 県 仙台市 |
情報通信の安定性、高速性などを確保する北東日本地域の核となるグローバルIXを整備 (みやぎマルチメディア・コンプレックス構想関連) |
検討 | 整備推進 | 整備推進 |
インターネットの普及は、消費者等ユーザーの意向の把握などマーケティング戦略のあり方を革新させ、あらゆる産業分野で企業間ネットワークの形成、さらには付加価値連鎖の創造力となるとともに、全ての組織、企業経営に絶え間ない経営の効率化、低コストを促していく。情報化は産業活動において最も重要な投入要素であり、情報化の取組が地域産業の盛衰を決めると言っても過言ではない。地球規模でのオープンなネットワークが形成されるにつれ、地域産業にも常に世界水準を見据えた情報化の取組が求められている。
こうした認識に立ち、本県産業経済の落ち込みを抑止し、かつ活力豊かなものにしていくために、商工業、農林水産業や流通業といったこれまでの産業分野区分を越えたIT活用による産業構造改革、経営革新を積極的に進める。
また、技術や情報等の融合と生成を先導する情報関連産業の一層の集積促進に取り組む。あわせて、産・学・官の連携を強化し、研究開発の推進およびその成果の地域企業への移転等を積極的に進める。
プロジェクト名 | 推進主体 | プロジェクトの概要 | 13年度 | 14年度 | 15年度 |
---|---|---|---|---|---|
みやぎマルチメディア・コンプレックス構想の推進 | 県 市町村 民間 |
仙台エリアへのインターネットエクスチェンジ、インターネットデータセンター、コールセンター、アプリケーションサービスプロバイダー、電子認証基盤、ソフトウエア企業、情報通信関連研究施設等の集積を戦略的に展開 | 計画推進 | 計画推進 | 計画推進 |
デジタルコンテンツ産業の振興 | 民間 県 仙台市 |
デジタルコンテンツ製作共同利用スタジオの整備、人材の育成、ビジネスマッチングの強化 (みやぎマルチメディア・コンプレックス構想関連) |
推進体制整備 | 推進 | 推進 |
電子認証基盤の整備 | 民間 県 |
電子申請や電子商取引における本人確認、電子証明書の発行、証明書の有効性検証などを行う電子認証局を整備 (みやぎマルチメディア・コンプレックス構想関連) |
検討 | 整備推進 | 整備推進 |
IT-21センターの整備 | 東北大学 | 産官学連携により、実用化研究を核とした新ビジネスモデルの提案、若手研究者の登用、社会人技術者の先端技術教育などを行う拠点を整備 | 整備推進 | 整備推進 | |
IT関連産業振興支援の強化 | 県 市町村 |
|
実施推進 | 実施推進 | 実施推進 |
IT活用経営革新への支援強化 | 県 県・市中小企業支援センター 県商工会連合会 県中小企業団体中央会 各商工会議所 |
|
実施推進 | 実施推進 | 実施推進 |
産業支援情報提供の充実 | 県 民間 |
|
|
|
|
消費者情報提供システムの構築 |
みやぎ生協 |
「地産地消・交流」みやぎネットワークの構築 |
検討 | 構築 | |
福祉機器開発・研究への支援 | 県 民間 県福祉事業団 |
福祉機器プラザの設置、福祉機器に関するニーズ・シーズ情報のデータベース化と情報提供、企業・研究機関の機器開発支援 | 設置支援 | 設置支援 | 設置支援 |
地域情報化は、その地域に生活する人々の利便性と世界とリアルタイムで交流できる可能性を飛躍的に高めるものである。それは、常に新たな情報へのアクセスや地域内外とのネットワークの形成を通じて、世代を越えた生き生きとした生活を実現するに止まらず、コミュニティの活性化、さらにはSOHOなど新たな情報サービス分野の創造にもつながるものである。
また、医療・福祉関連システム、環境関連や防災関連システム、地域文化資源等のデジタルコンテンツの充実は、住民サービスを高めるばかりでなく、起業化のシーズ(種)を多く内包し、新たな産業創出の契機ともなる。
こうした認識に立ち、全家庭がいつでも、安価、高速の情報通信を活用し、自己実現や安心して日常生活を送れる基本的ネットワークシステムの構築を進める。
あわせて、個性と活力に満ちた地域づくりは、ボランティアやNPO、民間企業など、多様な主体の参加と協働によって進められるものとの基本的考えを踏まえ、その連携を支援していく。
特にNPOは、公共サービスの提供や多彩なコミュニティビジネスの展開、さらには新たな雇用創出が期待されることから、その活動を支援するシステム構築をNPOとの協働の下に進める。
プロジェクト名 | 推進主体 | プロジェクトの概要 | 13年度 | 14年度 | 15年度 |
---|---|---|---|---|---|
みやぎメディカルモール(医療ASP網)の構築 | 大学 県 仙台市 県医師会 各医療機関 |
県内における医療情報ネットワークの構築と電子カルテを中心とした情報共有により、病院と病院、病院と診療所等の連携を促進 | 実証実験 | 推進 | 推進 |
NPO・ボランティア活動支援ネットワークシステムの構築 | せんだい・みやぎNPOセンター 県情報サービス産業協会 県 県社会福祉協議会 みやぎ生協 |
|
実施推進 | 実施推進 | 実施推進 |
環境情報プラットフォームの構築 | 民間 県 みやぎ生協 MELON |
|
構築運用 | 構築運用 | 構築運用 |
学習・文化振興情報プラットフォームの構築 | 県 市町村 東北各県 |
|
構築 |
|
|
ICカードの汎用化推進 | 民間 県 |
民間企業と行政機関の双方で使えるICカードを検討する。 | 検討 | 着手 | |
三陸津波警報ネットワークの構築 | 市町村 大学 国 民間 |
岩手県の市町村とも協力し、三陸沿岸に津波センサを設置し、津波観測・警報ネットワークを構築(津波到来の10~15分前に津波警報を発し、津波による人的被害を回避) | 検討 | 推進 | 推進 |
行政情報の共有化による行政運営の質的向上、ネットワーク技術の戦略的使用による政策課題への迅速な対応、電子申請や電子調達、電子文書交換などによる行政速度の向上と行政コストの低減化、ワンストップサービスなどの実現による県内外からのアクセス改革は、行政サービスの向上はもとより、社会的コストの低減化、産業経済活動の活性化に大きく寄与するものである。それはまた、行政と県民のコミュニケーション手段として、広く地方分権と住民参加型の地方自治を実現していく基盤となるものである。
さらには、情報ツールの活用によるペーパーレス化の実現や移動エネルギーの総体的な削減等は、深刻化する地球環境問題への対応の上でも不可欠と言える。
このことから、わが国全体としての2003年の電子政府実現に向けた取組に呼応し、電子県庁化、電子市町村化を積極的に進める。
プロジェクト名 | 推進主体 | プロジェクトの概要 | 13年度 | 14年度 | 15年度 |
---|---|---|---|---|---|
電子県庁・電子市町村の実現 | 県 市町村 |
|
実施推進 | 実施推進 | 実施推進 |
自治体情報通信ネットワーク網の整備促進と相互接続(再掲) | 市町村 県 |
地域インターネット、地域イントラネットの積極的な導入とその相互接続により、全県的な総合ネットワークを形成 | 整備 | 整備 | 整備 |
地理情報システム(GIS)の導入推進 | 県 民間 |
アウトソーシング・PFI等によるシステム構築 森林・河川管理等におけるGISの活用 |
検討 | 推進 | 推進 |
CALSの積極導入 | 県 民間等 |
電子入札・調達の推進 | 検討 | 推進 | 推進 |
急速に進展するIT革命に対応し、県民生活の質的向上、産業経済の競争力強化を図っていくためには、人材基盤が確固でなければならない。そのためには、すべての県民がITの知識を身に付け、ITの便益を享受し、さらにはその創造的活用ができるように情報リテラシー向上の一層の強化を図る必要がある。
こうした観点から、県・市町村等が連携し、平成12~13年度のIT講習事業の成果を踏まえた県民の持続的な情報活用能力のレベルアップに取り組むほか、障害者の自立支援へのIT活用など、情報分野でのバリアフリー化を進める。
また、小・中・高校におけるインターネット接続など情報環境の飛躍的な改善を図るとともに、カリキュラムの充実を進める。
とりわけ、県内で発生する情報処理需要に対応できず、仕事も技術者も首都圏に吸収されるといった悪循環を脱し、IT先進県への飛躍を目指して、高度情報処理技術者の育成・確保を急ぐ。
プロジェクト名 | 推進主体 | プロジェクトの概要 | 13年度 | 14年度 | 15年度 |
---|---|---|---|---|---|
県民の情報リテラシーの向上 | 県 市町村 |
|
実施推進 | 実施推進 | 実施推進 |
学校における情報通信環境の早期改善 | 県 市町村 |
学習情報ネットワークシステムの再構築(全小・中学校、高校の高速インターネット接続の実現) | 検討 | 推進 | 推進 |
みやぎ情報天才・異才塾の充実強化 | 県 | 次時代の高度IT社会を担う人材育成として小・中学生対象の情報化塾を充実し実施 | 実施 | 実施 | 実施 |
(仮称)東北テクノロジーセンターの設置・運営 | 県 市町村 民間 |
データベース、異機種間接続言語、ネットワークなど次世代情報流通のプラットホーム形成を支える技術者、コンテンツクリエーター、総合プロデューサー等の育成機関の設置と運営 (みやぎマルチメディア・コンプレックス構想関連) |
試行 | 実施 | 実施 |
デジタルコンテンツ産業の振興(再掲) | 民間 | デジタルコンテンツ製作共同利用スタジオの整備、人材の育成、ビジネスマッチングの強化 (みやぎマルチメディア・コンプレックス構想関連) |
推進体制整備 | 推進 | 推進 |
ナローバンドからブロードバンドへの移行は,これまでに比べ伝送容量が拡大する,通信コストの低減化が図られるといった単なる連続性でとらえるべきものではない。この新しい情報通信技術のインパクトは,インターネットの出現に匹敵するくらい根元的なものであり,産業界,企業,個人など,社会全般に広範に及ぶものと言われている。世界的な地域間競争は,こうした移行の中で一層激化している。
確かに県内のデジタルデバイドの解消は大きな課題である。しかし,世界的な競争激化の結果もたらされる格差の拡大は,県全体の未来を左右するものであることを忘れてはならない。
行政,民間等の強い連携の下で,いかに他に先駆けた強烈な取組を打ち出していくか。スピードとインパクトは重要な鍵である。新たな情報産業の本県への導入は,それ自体の経済的寄与や発展性は当然のこと,既存産業の活性化や多彩やコンテンツの製作による情報サービスの創出の起爆剤として認識すべきである。
こうした認識に立ち,県内のもっとも効果性及び実現性の高い地域において先行的にIT産業振興のための特区の形成を進める。そして,その全県的な波及効果を期待するものである。
仙台市域内
インターネットエクスチェンジ、インターネットデータセンター、コールセンター、アプリケーションサービスプロバイダー、電子認証基盤、高度IT技術者養成機関、先端的情報通信技術研究施設等の集積促進
急速に進展しているIT革命に対応していくためには、スピード重視の重点的な取組が不可欠である。このことから、各推進主体にあっては、具体的な行動計画を策定し、プロジェクトを展開するとともに、広く県民等の参加・協力が得られる環境づくりにも努める必要がある。
とりわけ、IT戦略の中心的な推進役である団体及び県にあっては、早急に次のような対応を図るべきである。
お問い合わせ先
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
重要なお知らせ
こちらのページも読まれています