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「りんご樹に寄生が確認されたチャアナタケモドキ」PDF版は,こちらをご覧ください。(PDF:411KB)
チャアナタケモドキ(学名Fomitiporia torreyae)
りんご
チャアナタケモドキは,ナシ萎縮病やスギ非赤枯性溝腐病などの病原として知られている担子菌類です。
平成27年度に,岩沼市りんご生産者からチャアナタケモドキ類似の子実体がりんご樹に寄生しているとの情報を受け,平成27~28年度に宮城県農業・園芸総合研究所(以下,宮城農園研)が現地調査を行いました。その結果,当管内の名取市,岩沼市及び亘理町でチャアナタケモドキ類似の子実体がリンゴ樹に寄生していることが確認されました。これらの子実体を,宮城農園研でnested PCR法(鈴木ら2013,2015)により解析したところ,いずれの子実体もチャアナタケモドキ(Fomitiporia torreyae)と同定されました。
チャアナタケモドキの子実体の形態的特徴は,次のとおりです。
(「ナシ萎縮病(萎縮症)診断ワークショッププレゼン内容(抜粋)」から引用)
チャアナタケモドキの子実体は,ビロード状ではっきりとした傘を作らず,枝に張り付くように形成されます。そのため,子実体が小さい場合,粗皮と見間違う場合があります。また,粗皮直下に小さな子実体を形成している場合があります。
子実体の形成部位は,日本なしと同様,りんごでも枝の裏側(日陰側)に形成されることが多いです。
子実体の色は黄土色~茶色が基本ですが,濃褐色や灰褐色などバラエティーに富んでいます。
チャアナタケモドキは木材腐朽菌として知られ,寄生した樹木を腐朽させます。また,日本なしでは,次のような症状が報告されています。
(「ナシ萎縮病(萎縮症)診断ワークショッププレゼン内容(抜粋)」から引用)
上記以外の特徴として,子実体の形成が確認されないまま木材腐朽が進む事例が確認されています。
りんご樹では,木材腐朽症状が確認されています。今後,日本なしでみられたような木材腐朽以外の症状が伴っていないか,検討が必要です。
今のところ,子実体を取り除き,腐朽していない健全部分まで切り戻す以外,対策はありません。症状が進行してからの発見では樹の伐採が必要となる場合があるので,早期発見に努めてください。
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