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地盤沈下の原因は、主として、いくつかの帯水層の集合体である地下水盆内における地下水の過剰な揚水によるものとされています。過剰な地下水の揚水は、地下水位の低下と帯水層の水圧の低下を引き起こし、粘土層に含まれている水が帯水層に絞り出され粘土層が広範囲にわたり収縮します。その結果として地表面が低下し、これが相当量に至ったとき地盤沈下となります。地盤沈下は、一旦発生するとほとんど回復不可能で、また、社会的損失も多大なものになることから、その未然防止が特に重要となります。
このため、地盤沈下が見られる仙台平野地域、古川地域及び気仙沼地域において、地表面の変動を観測する水準測量及び地下水位の観測を継続し、地盤沈下の状況の把握に努めることとしています。また、「工業用水法(昭和31年法律第146号)」及び「公害防止条例」に基づき、地下水揚水量の削減及び適正な利用を指導し、地盤沈下の未然防止を図ることとしています。
本県では、地盤沈下がみられる地域を対象に、地表面の変動を観測するための水準測量調査を行っています。現在、仙台平野(仙台市・塩竈市・名取市・多賀城市・岩沼市及び利府町)、古川地域(大崎市古川)、気仙沼地域(気仙沼市)において地盤沈下の状況の把握に努めています。
地域 | 実施機関 | 測量距離 水準点数 測量精度 |
基準日 | 仮不動点 |
---|---|---|---|---|
仙台平野 (仙台市・塩竈市・ 名取市・多賀城市・ 岩沼市・利府町) |
宮城県、仙台市、 塩竈市、名取市、 多賀城市、岩沼市、利府町 |
337.9km 324点 1級水準測量 |
平成30年9月1日 | 仙台市青葉区本町三丁目8-1 宮城県公共水準点MI00 |
古川地域 (大崎市) |
大崎市 | 22.56km 24点 1級水準測量 |
平成31年1月1日 | 大崎市古川北町 大崎市古川水準点B |
気仙沼地域 (気仙沼市) |
気仙沼市 | 17.995km 14点 1級水準測量 |
平成30年11月1日 | 気仙沼市八日町一丁目 気仙沼市水準点0 |
仙台平野地域、古川地域、気仙沼地域で水準測量調査が実施されています。主要な水準点の変動をみると、昭和50年代後半までは最大で年間3~10cm程度沈下していますが、昭和60年代以降は徐々に沈静化の傾向にあります。
なお、平成23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震やその余震の影響と思われる大きな変動(沈下)がみられています。
仙台平野地域では昭和49年度から仙台市、塩竈市、名取市、多賀城市、岩沼市及び利府町の5市1町で水準測量調査を実施してきました。平成24年度以降は3年毎に調査を実施しています。
主要な水準点の変動量をみると、昭和50年代後半までは最大で年間4~10cm程度沈下していますが、昭和60年代以降は徐々に沈静化の傾向にあります。
古川地域では、大崎市古川地域で水準測量調査を行っています。昭和50年度からの主要水準点の変動量は、仙台平野地域と同様に昭和50年代の後半までは沈下傾向がみられるものの、昭和60年代に入ってからは市街地周辺の一部を除いては沈静化してきています。
平成30年度の変動量は、-15~0ミリメートルとなっております。
気仙沼地域では、気仙沼市内で水準測量調査を行っています。
主要水準点の変動量は、昭和50年代と比較すると、沈下は徐々に沈静化の傾向にあります。平成30年度の変動量は-3.8~0.1ミリメートルとなっております。
県は、仙台市宮城野区苦竹の観測井において地下水位及び地盤収縮量の監視測定を行っています。地下水位の経年的な変動はほぼ横ばいの傾向にあります。平成23年には、例年に比べ大きな水位の低下が見られますが、原因は不明です。また、観測の結果によると、当該地区の沈下は最も地表に近い沖積層と、その下の洪積層の収縮によって生じていると考えられます。
昭和50年に「工業用水法」(昭和31年法律第146号)に基づき仙台市東部地域、多賀城市の一部及び七ヶ浜町の一部約90平方キロメートルが地域指定され、工業用の地下水の揚水規制を実施しています。指定区域内では、揚水設備(吐出口の断面積が6平方センチメートルを超えるもの)により地下水を採取し、これを工業の用に供する場合は、揚水設備の設置に当たり知事(仙台市内の区域は仙台市長)の許可を必要とします。
また、県は、昭和49年以来「地盤沈下防止対策要綱」によって、仙台市宮城野区苦竹地区等を指定し、地下水揚水量の削減指導を行ってきており、平成8年には、それまでの要綱による指導を公害防止条例による規制としました。現在、条例に基づいて規制を行っている地域は仙台市の一部、塩竈市の一部、多賀城市の一部及び利府町の一部62.4平方キロメートルあります。
条例は、規制地域内で揚水設備(吐出口の断面積6平方センチメートルを超えるもの)により地下水を採取しようとする者には、業種及び用途にかかわらず届出を義務付けており、建設工事に伴う揚水も対象としています。また、地下水採取量の記録、報告を義務付けるとともに、地下水採取量の削減、水源転換等の指導を行っています。
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