宮城県環境基本計画(第4期)
宮城県環境基本計画(第4期)とは
宮城県環境基本計画は,環境基本条例(平成7年宮城県条例第16号)に基づき,本県の良好な環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び県の施策の大綱を定めるもので,「新・宮城の将来ビジョン」の環境分野の個別計画であるとともに,本計画に連なる環境分野の個別計画に施策の基本的方向性を与えるものです。
また,県民,事業者,民間団体などの各主体が,環境に関し考え,行動する際の指針となるものです。
「持続可能な開発目標(SDGs)」やパリ協定など国内外の動向を十分に踏まえるとともに,「宮城県震災復興計画」以降の県民生活や社会経済活動の状況を見据え,環境課題の解決と本県の良好な環境の保全及び創造を実現していく環境政策の方向性を打ち出す必要があることから,第4期となる新たな「宮城県環境基本計画」を策定しました。
計画の期間
本計画の計画期間は,令和3年度から令和12年度までの10年間とします。
目指す環境の将来像
本計画の目指す将来像を,次のとおり設定します。
豊かで美しい自然とともに,健やかで快適な暮らしが次世代へ受け継がれる県土
- 私たちの生活は自然環境を礎とした生態系の中で成り立っており,地球温暖化などの気候変動をはじめとする環境課題に取り組むことが重要です。
- 自然災害への耐性や回復力を備えた,強くしなやかな社会を形成するとともに,豊かで美しい自然と共生した,将来にわたり安心して快適に暮らせる県土を目指します。
持続可能な社会の実現に向けて全ての主体が行動する地域社会
- 日常生活や事業活動によって生じる環境への負荷を抑制することが,持続可能な社会の実現のために不可欠です。
- 2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロとする目標を掲げ,県民,事業者,民間団体及び行政など地域社会を構成する全ての主体が,省エネルギー,省資源,自然環境への配慮などに「自分ごと」として取り組み,一人一人が着実に行動する地域社会の形成を目指します。
将来像を実現するための基本方針
宮城県の目指す環境の将来像を実現するための基本方針として,次のとおり定めます。
基本方針1
「震災復興計画」以降の社会・経済の状況を見据えた新しい宮城の環境の創造
- 「新・宮城の将来ビジョン」を踏まえ,震災復興の取組による県民生活や社会経済活動の状況を見据えた環
境課題の解決と良好な環境の保全及び創造を目指します。
- 「宮城県地球温暖化対策実行計画」の削減目標の着実な達成を図り,さらに「2050年二酸化炭素排出量実
質ゼロ」を実現するため地球温暖化対策を一層進めていきます。
基本方針2
SDGsや「地域循環共生圏」の考え方を踏まえた,環境・経済・社会の統合的向上
- 複雑・多様化する環境課題解決のため,「持続可能な開発目標(SDGs)」や「地域循環共生圏」の考え方を取り入れ,分野横断的な視点から取組を推進します。
- 災害や感染症のリスクも考慮しながら,地域特性を生かした資源・エネルギーの地域内循環や人的・物的交流の促進等により,環境・経済・社会の統合的向上を目指します。
基本方針3
気候変動の影響への適応
- 喫緊の課題である気候変動の影響に対応するため,「地球温暖化の進行を抑制するための対策(緩和策)」に加え,「気候変動の影響による被害を回避・軽減するための対策(適応策)」を併せて推進します。
将来像を実現するための政策
宮城県の目指す環境の将来像を実現するための基本方針を踏まえ,政策体系を次のとおり定めます。
政策1 脱炭素社会の構築
- 「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」の脱炭素社会の構築に向け,県民総ぐるみで地球温暖化対策を推進します。
- 徹底した省エネルギー化を進めるとともに,地域特性を生かした再生可能エネルギーの導入や,水素エネルギーの更なる利活用の推進,環境関連産業の振興等により,環境・経済・社会の統合的向上に取り組みます。
- 気候変動の影響への対応が喫緊の課題となっていることから,政策1を軸に,関連する政策分野において,被害を回避・軽減するための対策(適応策)を推進していきます。
政策2 循環型社会の形成
- 循環型社会の形成のため,全ての主体が廃棄物の3Rを意識した行動を実践する環境づくりを推進します。
- プラスチックの海洋流出や,食品ロス・食品廃棄物の増加等の問題に対応するため,廃棄物の発生抑制や,循環資源として地域で有効活用する取組を推進するほか,AI,IoT等最新技術の導入支援により,廃棄物処理全体の高度化・効率化を図ります。
- 排出事業者の意識醸成,監視指導等により廃棄物の適正処理を推進するとともに,災害に伴って発生する廃棄物への対応や公共施設等の長寿命化等に取り組みます。
政策3 自然共生社会の形成
- 自然共生社会の形成のため,豊かな自然環境や生物多様性の保全,野生鳥獣の適正な保護管理に取り組みます。
- 都市と農山漁村の交流等により地域の豊かな自然環境や景観等を活かした魅力発信に取り組むとともに,やすらぎや潤いのある生活空間の整備・充実を図ります。
- 次世代に豊かな自然環境を継承できるよう,多様な主体と協働し,気候変動の影響や災害にも対応できる基盤づくりを進めます。
政策4 安全で良好な生活環境の確保
- 安全で良好な生活環境の確保のため,大気環境や水環境をはじめとする生活環境の各分野において,環境のモニタリングや良好な環境の維持・改善,環境悪化の未然防止に取り組みます。
- 化学物質や放射性物質について,環境汚染の防止や測定情報の発信等に取り組みます。
- 大雨による河川等への土砂流出や,水温上昇による水質の悪化等が懸念されることから,気候変動にも対応できる水資源の確保対策を進めます。
全てに共通する取組
- 共通取組(1) 全ての主体における環境配慮行動の促進・支援,環境にやさしいライフスタイルへの転換
- 共通取組(2) 環境経営等の促進・支援,持続可能な経済システムの構築
- 共通取組(3) 各主体相互のパートナーシップによる協働・連携の推進・支援
- 共通取組(4) 持続可能な社会づくりを支える環境技術の開発・普及・支援
- 共通取組(5) 環境教育,情報の集約・発信,普及啓発
- 共通取組(6) 環境の保全・活用に関する協定の締結,開発行為等における環境配慮
- 共通取組(7) 規制的措置,公害紛争等の適切な処理及び環境犯罪対策
各主体の役割
将来像を実現するためには,全ての主体(県民,事業者,教育機関等,民間団体,市町村,県)が,持続可能な社会の実現に向け,環境負荷の少ない生活や事業活動を実践することが期待されます。互いに連携・協力しながら,自主的・積極的に取組を進め,持続可能な地域づくりに向けて行動することが重要です。
計画的な推進
- 管理指標と目標値を設定し,毎年度,点検評価結果を公表します。
- おおむね5年を目途に見直しを行います。
資料
策定の経過はこちらです。(宮城県環境審議会環境基本計画策定専門委員会議の結果)
旧計画はこちらです。