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2020年農林業センサスの管内の基幹的農業従事者の年齢別構成は、40歳未満が約4.7%、40歳代が約5.5%、50歳代が約8.5%、60歳以上が約81.3%となっています。なかでも65歳以上は約68.3%と、基幹的農業従事者の約7割を占める状況となっています。
平成27年(2015年農林業センサス)と比較すると40歳代未満の農業従事者の構成比率が減少しており、60歳代以上が7.7%増加しているなど農業就業人口の減少が進む中、担い手の高齢化が一層進んでいます。
認定農業者については、農業経営基盤強化促進法に基づき認定された「農業経営基盤の強化の促進に関する基本構想」を令和3年に見直しを行い、認定農業者等の担い手の確保・育成を推進してきました。認定農業者数は、基本構想目標数674経営体(令和12年度末目標)に対して、594経営体(令和4年3月末現在)で目標をやや下回っていますが、法人では77経営体(令和4年3月末現在)が認定を受け目標を上回っています。
管内の「家族経営協定」の締結状況は、98件(名取市27件、岩沼市5件、亘理町47件、山元町19件)となっています。(令和4年3月末現在)
震災後、沿岸部を中心に補助事業の導入や大区画ほ場整備事業の実施、生産体制の再編により、農業法人が数多く設立されました。農業経営基盤強化促進法による認定を受けた農業法人は、震災前の12法人から77法人(令和4年3月末現在)に増加しました。
農地中間管理事業の活用等で農地集積が進み、大規模水田農業に取り組む法人と大型の園芸生産施設を導入した園芸生産法人が増加し、この中には農業生産額1億円を超えるアグリビジネス経営体8法人(令和4年度仙台地振調べ)が含まれています。
新規就農者の動向は、平成29年から令和3年までの5か年間で129人となっており、近年増加傾向となっています。そのうち、雇用就農者は85人で全体の約66%を占めています。
農業従事者の減少と高齢化は進んでいるものの、園芸経営体の後継者は安定的に就農している傾向にあります。近年は、園芸部門の新規参入や雇用就農に関する相談件数が増加しています。
亘理名取地区農村青少年クラブは、令和5年4月13日現在の会員数は9人で減少傾向となっていますが、先進地視察研修会や宮城県農業大学校生との交流会の開催など活発な活動が行われています。これらのクラブ員の半数以上は、いちごを栽培する専業農家の後継者で、ほかは兼業農家の子弟となっています。
農村生活研究グループは、農山漁村のよりよい生活や地域活性化のために農家の女性達がグループを作り活動する組織です。令和5年3月末現在、岩沼市の4グループが独自に活動を継続しています。
震災前は、外食産業の子会社による企業参入が1社のみでしたが、震災後は、いちご、トマト、芝、露地野菜、養豚等で企業参入され営農が継続されています。
施設作物を生産する経営体では、温度・湿度・二酸化炭素濃度などをモニタリングする環境測定機器の導入が進んでいます。令和4年度の管内における導入状況は、いちご生産者で24件、きゅうり生産者で2件、ばら生産者で1件となっています。
なお、温度・湿度・二酸化炭素濃度などを、植物にとって最適な環境になるように複数の制御機器を作動させる高度な環境制御装置の導入も進んでいます。令和4年度の管内における導入状況は、いちご生産者で13件、トマト生産者で1件となっていて、これらの環境制御関連技術導入により収量・品質の向上が図られています。
営農面積の大規模化が進む土地利用型作物を扱う経営体では、スマートフォンも入力端末に使える営農管理システムや、薬剤等の散布に使うドローン、収量コンバインや自動操舵田植機などの機器導入が進んでいます。
農産物の産地直売活動は、農業協同組合や市町が設置した4か所の他、個人やグループでの直売所がありますが、近年は、量販店からの要請によるインショップでの販売も増えています。
農産物を活用した観光活動は、いちごやぶどう、ブルーベリーでの摘み取り園が開設されています。
農家レストランの取組は3経営体で行われており、いずれも、米や野菜、そば等の自社農産物の特徴を生かした郷土料理やメニュー開発により、仙台圏からの利用客を多く招き入れています。
地域で特徴的な農産物の加工品として、りんごジュースやいちごを原料とした菓子やワインなどの生産が行われており、特産物として販売されています。
適切な農場管理を目指して、食品安全、環境保全、労働安全等に取り組む農業生産工程管理(GAP)を取り入れている農業者が少しずつ増えています。
管内では、農業法人2社がグローバルGAP認証(グループ認証、個別認証)を取得しています。また、宮城県農業高等学校がASIAGAP認証を取得しています。
管内の耕作放棄地は、2015年農林業センサスでは、1,053ヘクタールと2010年農林業センサスの712ヘクタールより341ヘクタール増加しました。耕作放棄地の増加によって、獣害の増加や食料生産力の低下が懸念されることから、農地中間管理事業などを活用した耕作放棄地対策が課題となっています。
野生鳥獣による農作物被害は増加傾向にあり、令和3年度の管内における被害額は約2,590万円に及んでいます。特にイノシシによる農作物被害は深刻になってきており、令和3年度の管内における被害額は約950万円で、野生鳥獣被害の約4割を占めています。そのため、管内すべての市町で、被害防止計画の策定や鳥獣被害対策実施隊の設置が行われており、進入防止柵の導入支援などの鳥獣害防止対策に取り組んでいます。
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