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「宮城県美術館コレクション散歩」は、美術館の所蔵作品や収蔵作家を素材に、毎回角度と切口を変えたテーマで開催する講座です。今回は、2012年1月14日に開幕する特別展『クレーとカンディンスキーの時代』にちなんでテーマを設定しました。20世紀初めにヨーロッパで起こった絵画の革新と、日本における同時代的反応について、「内なるものの表現」の展開という視点でお話しします。
「日本画の反逆児と未来派の出会い」 ―尾竹 竹坡《月の潤い・太陽の熱・星の冷たさ》 ―講師:庄司 淳一(当館学芸員)
《月の潤い・太陽の熱・星の冷たさ》は、花形作家としての地位をなげうった尾竹竹坡(おだけ ちくは)が、イタリア未来派など同時代ヨーロッパの美術革新に呼応して描いた作品です。人間的苦悩の表現を企図したこの破格の日本画について、作者の生涯と照らし合わせてお話しします。
1919年作
「内なる風景の描出」
―萬 鉄五郎 《郊外風景》―
講師:大嶋貴明(当館学芸員)
明治末から大正にかけ、ゴッホ・マティス・ピカソらの新しい作風を、熱狂的に受け容れた若い画家たちの中で、萬鉄五郎はその先駆者でした。単なるスタイルの摸倣に終わることなく、深く自己を掘り下げ、造形の原点を求め続けたこの画家の営みを、《郊外風景》を例にお話しします。
1918年作
「内的響きの絵画への道」―W.カンディンスキー《E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作》―
講師:小檜山 祐幹(当館学芸員)
《E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作》は、作者が抽象絵画の作風と理論を確立して間もない1914年の制作です。純粋な形と色そのものを画面上で組織して、精神的内容を観者に伝え、表現する絵画。音楽にも似たこの新しい造形にいたる道程を、本作品に即してお話しします。
1914年作
「20世紀絵画としての文人画」
―冨田 溪仙《福建龍骨車図》―
講師:庄司 淳一(当館学芸員)
大正の美術で注目すべき現象の一つは、東洋文人画復興の動きが起こったことです。これは、20世紀ヨーロッパ絵画の主観的傾向と同質のものを、古い伝統の中に見い出したところに発していました。《福建龍骨車図》(ふっけん りゅうこつしゃず)を中心に、萬鉄五郎ら洋画家までもが参入した、この絵画動向についてお話しします。
宮城県美術館アートホール
(佐藤忠良記念館地階)
電話または当館受付にて
(ただし12月19日―23日の期間は、メンテナンス休館のため電話のみの受付となります)
Tel:022-221-2111
各回ごとの受講も可能ですが、できるだけ4回連続での受講をおすすめします。
12月23日(金曜日)まで
60名
各回とも90分程度
無料
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