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平成15年4月22日各位宮城県教育委員会
平成12年11月5日に築館町上高森遺跡において発覚した旧石器発掘ねつ造事件について、その後の東北旧石器文化研究所前副理事長の告白や日本考古学協会から発表された検証結果の中間報告などにより、かなり早い時期から広範囲にわたってねつ造が行われていたことが明らかになりました。
こうした状況を踏まえ、当教育委員会では、前副理事長が関与した県内の148の遺跡について、昨年9月以来、関係市町村、日本考古学協会及び宮城県考古学会の協力を得ながら石器検証並びに遺跡の現地調査による検証調査を実施してきました。その結果、前副理事長が関与した遺跡のうち、確実に旧石器時代の遺跡であると認定されるのは19遺跡のみであり、他の129遺跡については旧石器時代の遺跡とする積極的な根拠が見出せないことが判明しました。
検証結果に基づく関係遺跡の取扱い及び旧石器時代とする積極的な根拠が見出せず旧石器時代としては取り扱えないとした遺跡に関連する図書については、別添資料1・2のとおりですので、御了知いただきますとともに、取扱いに充分留意されるようお願いします。旧石器時代の遺跡として取り扱えないこととなった遺跡の中には、当教育委員会が主体となって発掘調査した中峯C遺跡、馬場壇A遺跡、高森遺跡などが含まれております。自らが実施した発掘調査でねつ造を見抜くことができず、誤った情報に基づく調査報告書等を刊行し、博物館の展示、調査研究及び教育普及活動等に利用してきたことにより、結果的に事実とは異なる歴史認識を広め、学校教育や生涯学習活動、地域起こし事業など各方面に混乱を招いてしまったことについては、その責任の大きさを痛感し、深く反省しているところであります。
当教育委員会としてはこの事件を大きな教訓とし、文化財保護行政を担うものとして今後このような事態を招くことのないよう、発掘調査での複数の調査員による事実関係の確認や出土品のより厳正な取扱いなどに努め、市町村教育委員会とも連携しながら文化財保護行政の信頼の回復に全力を尽くしたいと考えております。
<留意事項>
旧石器時代と認定される遺跡が19遺跡となったことにより、宮城県における旧石器時代の遺跡は、前副理事長の関与がなかった64遺跡を加えた83遺跡となりました。これらの遺跡で確認されている石器はいずれも後期旧石器時代(約13,000年~30,000年前)のものであり、前・中期旧石器時代とされていた遺跡は皆無となりました。
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