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本年3月11日に発生した東日本大震災に伴い、東北電力及び東京電力の管内の地域は、原子力発電所の停止などにより電力供給が大幅に減少した。さらに、菅直人内閣総理大臣による中部電力浜岡原子力発電所の停止要請により、夏場の電力不足問題は東日本のみならず全国的な問題に発展している。
電力の供給力不足は、国民生活や日本経済全体に大きな影響を及ぼすことから、政府は、今夏の電力需給対策に加え、将来的な新エネルギー戦略を見据えた施策を速やかに打ち出す必要がある。
しかしながら、政府の電力需給対策本部が5月に発表した対策においては、国民に節電を呼びかけることをしつつも、節電のインセンティブが働くような施策は盛り込まれていない。
よって、国においては、夏場の電力不足を前に予算措置を含めた電力需給対策を早急に打ち出し、次の事項について速やかな実現を図るよう強く要望する。
1 自家発電設備、太陽光発電・蓄電池、太陽光利用システムの導入補助及び自然エネルギーを活用した発電施設の開発・普及に対する支援を大幅に拡充すること。
2 LED照明設備の導入補助や、エコポイント制度の復活等、国民に対して節電のメリットが実感できるような施策を早急に実施すること。
3 稼働中の原子力発電所の災害対策について、早急に指針を示し、安全対策を講ずること。
4 電力需給の逼迫が長期化することを踏まえ、法制度の見直しや運用改善について早急に検討し実施すること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年6月20日
宮城県議会議長 畠山 和純
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
経済産業大臣 あて
原子力防災対策は、昭和36年に制定された「災害対策基本法」と、これに基づき中央防災会議が策定する「防災基本計画」及びこの基本計画に沿って地方公共団体が定めた「地域防災計画」等により必要な措置を講ずることとしている。昭和55年6月には「原子力発電所等周辺の防災対策について」(以下「防災指針」)が決定され、具体的な対策として原子力防災に対する考え方、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)、緊急時環境放射線モニタリング、災害応急対策及び緊急被ばく医療の実施など原子力防災活動に必要な技術的・専門的事項が示されている。また、平成11年12月に「原子力災害対策特別措置法」が制定され、それに伴い「防災指針」もEPZの対象施設の拡大、核燃料物質の放出や臨界事故への対応など大規模な見直しが行われ、名称も「原子力施設等の防災対策について」となった。その後も随時改訂が行われてきている。
今般の東日本大震災により発生した東京電力福島第一原発事故は深刻な被害をもたらした。今日までの対応は、初期対応に始まり「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の運用や国民への情報開示、住民避難指示などが十分に機能したとは言えず、国内外に大きな不信を招くとともに二次被害の拡大が懸念される。放射性物質放出範囲の拡大とともに各被ばく医療機関の機能発揮における課題も明らかになった。
また、東北電力女川原発が立地する本県においては、オフサイトセンターが大津波により壊滅して原子力防災拠点機能を喪失し、同様に各モニタリングポストも津波被害と停電により機能を失った。これらの組織的課題や事象は「防災指針」等今後の原子力防災対策の根幹を大きく問い直すものである。加えて今回の事態を見ると、平時の原子力防災訓練のあり方についても、地震・津波による重大事故の想定や訓練自体の高度化など、今次災害を踏まえた、より強化された実効性があるものでなければならない。
よって、国においては、原発事故の一刻も早い収束、健康及び環境への被害の拡大回避、事故原因の徹底究明と抜本的な対策を早期に講ずるとともに、政府の原子力災害対策のベースであり各地方公共団体の「地域防災計画」のガイドラインとなる、国の「防災指針」をはじめとする国の原子力防災対策の見直しを行うよう強く要望する。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年6月20日
宮城県議会議長 畠山 和純
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
文部科学大臣
経済産業大臣 あて
本年3月11日に発生した東日本大震災は、日本の観測史上最大のマグニチュード9.0を記録し、巨大津波は東北地方や関東、北海道に至る広い地域に甚大な被害をもたらした。死者は一万五千人を超えており、いまだ約八千人の方々が行方不明となっている。被災された方々は、今なお不自由な避難生活を余儀なくされており、一日も早い生活再建と被災地の復旧・復興が強く求められている。
あわせて、漁港や農地が破壊された農林水産業の状況を含め、交通インフラ分断の影響により生産活動が縮小した経済状況を克服するためには、激甚災害制度や被災者生活支援制度の拡充はもとより、新たな法制度による措置等従来の災害復旧支援を超えた対策が求められる。また、高濃度の放射能汚染が生じた東京電力福島第一原子力発電所の事故対応では、国の責任のもと、最終的な収束に至るまで徹底した対策を講ずるべきである。さらに、諸外国は、日本の経済や安全に懸念を示しており、海外からの投資や輸出入に影響が出ている状況にあり、国際的信頼を取り戻すための施策が必要とされている。
よって、国においては、次の事項について速やかな実現を図るよう強く要望する。
1 国民への重要なメッセージを示すとともに国際的な信頼を取り戻すため、経済的打撃の克服、既存原発の安全性確保、新たな地震・津波対策等についての震災復興に向けた総合的な復興ビジョンを早急に策定すること。
2 震災による国家的危機に当たり、国民の生命と財産を守る防災対策をはじめとする新たな安全確保事業を国家プロジェクトとして実施すること。
3 歴史上例を見ないほど広域かつ複合的な災害である今回の大震災の復興に当たり、既存制度の枠組みを超える対策を実施すること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年6月20日
宮城県議会議長 畠山 和純
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 あて
これまで学校施設は、公立私立を問わず、大規模地震や豪雨等の非常災害時には、地域住民の防災拠点として中心的な役割を担ってきた。
このたびの東日本大震災においても、多くの被災住民の避難場所として利用されるとともに、必要な情報を収集し、また発信する拠点になるなどさまざまな役割を果たし、その重要性が改めて認識されている。しかし、一方で多くの学校施設において、備蓄倉庫や自家発電設備、緊急通信手段などの防災機能が十分に整備されていなかったため、避難所の運営に支障を来し、被災者が不便な避難生活を余儀なくされるなどの問題も浮き彫りになった。こうした実態を踏まえ、現在、避難所として有すべき学校施設の防災機能のあり方について、さまざまな見直しが求められている。
国は、学校施設の耐震化及び老朽化対策等については、地方自治体の要望にこたえ、毎年予算措置等を講ずるなど、積極的な推進を図っているが、本来これらの施策と並行して全国的に取り組まなければならない防災機能の整備向上については、十分な対策が講じられていない。
よって、国においては、大規模地震等の災害が発生した際、学校施設において、地域住民の「安全で安心な避難生活」を提供するために、耐震化等による安全性能の向上とともに、防災機能の一層の強化が不可欠であるとの認識に立ち、次の事項を早急に実施するよう強く要望する。
1 学校施設を対象として、今回の東日本大震災で明らかになった防災機能に関する諸課題について、阪神・淡路大震災や新潟県中越沖地震など過去の大規模災害時における事例も参考にしつつ、十分な検証を行うこと。
2 学校施設を対象として、避難場所として備えるべき、必要な防災機能の基準を作成するとともに、地方公共団体に対し、その周知徹底に努め、防災機能の整備向上を促すこと。
3 学校施設を対象として、防災機能の整備状況を適宜把握し、公表すること。
4 学校施設の防災機能を向上させる先進的な取り組み事例を収集し、さまざまな機会を活用して地方公共団体に情報提供すること。
5 学校施設の防災機能向上に活用できる国の財政支援制度に関して、地方公共団体が利用しやすいよう、制度を集約し、窓口を一元化すること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年6月20日
宮城県議会議長 畠山 和純
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
文部科学大臣
国土交通大臣 あて
本年3月11日に発生した東日本大震災においては、沿岸部の大津波被害とともに、内陸部においても液状化被害や丘陵部造成宅地の地滑り被害など地盤災害が多数発生した。
宅地・地盤被害の復旧なくして被災者の住宅の再建すなわち生活の再建は進まず、相当な費用がかかる地盤調査や復旧対策に対する強固な支援が求められている。
しかし、現状では、被災者生活再建支援法上の被害認定は住宅部分に特化し、宅地については対象外となっている。液状化による新たな住宅被害の認定基準が示されているものの、宅地・地盤被害そのものに対する公的支援制度の確立について切望されるところである。
よって、国においては次の事項について速やかに実現するよう強く要望する。
1 宅地・地盤の調査と復旧に対する支援制度を創設し、東日本大震災から適用すること。
2 被災者生活再建支援制度の被害認定に、地割れ、地盤沈下、擁壁亀裂などの宅地被害を加えること。
3 急傾斜地崩壊事業、地すべり対策事業、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業などの災害防止対策事業について、東日本大震災の復旧事業として国庫負担割合を拡大すること。
4 新潟県中越地震の際に実施された人工斜面や周辺の二次被害、がけ高、保全対象に関する特例措置に加え、さらに要件を緩和して事業適用範囲を広げ、住民負担を極力なくすこと。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年6月20日
宮城県議会議長 畠山 和純
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
国土交通大臣 あて
未曾有の被害をもたらした本年3月11日に発生した東日本大震災から三カ月が経過しようとしているが、今なお約十万人の被災住民が避難生活を余儀なくされているほか、期待している復興に向けての動きも進んでいない状況にある。
こうした状況の中で、政府が迅速に本格的な復興に向けた大規模な補正予算を編成し執行していくことが被災者に勇気と安心感を与え、被災自治体がちゅうちょなく的確な事業を実施することにつながり、また、本格的な復興は被災地域のみならず、日本経済全体の復興を意味することになり、国として、被災地域の実情を認識し、復興に係る十分な財源を確保するとともに、自由度の高い、スピード感のあるきめ細やかな対応を図るなど、被災地域の要望に応えていくことが政治に課せられた大きな責任である。
しかしながら、混迷の度を深める国会運営から、本格的な復興に向けた大規模な第二次補正予算案の編成・成立に向けての国会会期の延長幅や第二次補正予算編成時期も固まっておらず、復興政策が宙に浮いている状況である。
こうした国の姿勢は、一刻も早い復興を願う国民の期待や復興に向けて気力を振り絞り立ち上がろうとする被災住民に背を向けるものであり、決して許されるものではない。
よって、国においては、壊滅的被害を受けた被災地域の早期の復興を実現するため、復興に必要な財源の全額確保や被災地域の事情に応じた施策の展開が可能となる制度の創設を含め、速やかに復興が十分に可能となる規模での第二次補正予算を編成し、国会を閉会させることなく会期を延長して、早期成立を図り、国の総力を挙げて復興に取り組むよう強く要望する。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年6月10日
宮城県議会議長 畠山 和純
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣 あて
津波対策を推進するに当たっての基本的認識を明らかにし、津波の観測体制の強化及び調査研究の推進、津波に関する防災上必要な教育及び訓練の実施、津波対策のために必要な施設の整備その他津波対策を推進するために必要な事項を定めるとともに、国や地方自治体における、津波に関する教育及び避難訓練の実施、津波避難施設の指定、ハザードマップ(危険区域)の作成などを通じた想定される津波被害の周知、津波対策に配慮したまちづくりなど、ハード・ソフト両面からの対策を定めた「津波対策推進法案」は、平成22年の通常国会において、議員立法として提出され、いまだ継続審議のままとなっている。
こうした状況の中で、本年3月11日、我が国観測史上最大となるマグニチュード9.0の東日本大震災が発生し、想像をはるかに超える巨大地震と大津波により本県を含む太平洋沿岸地域に壊滅的な被害をもたらした。
長い海岸線を有する我が国にとって、津波被害はすべての沿岸部で起こり得る災害であり、今回の東日本大震災を教訓として、日ごろからの一層の備えによって被害を極少化するとともに、津波災害からの復旧・復興に際しては、地形の変化・地盤の沈下への対応を含めゼロベースから地域を創り上げていかなければならないという課題を認識し対応することが求められている状況になっている。
よって、国においては、継続審議となっている津波対策推進法案に公共施設整備の防災機能の強化や危険物取扱い施設の安全強化、現状復旧を基本とする従来の災害復旧制度ではなく、地域コミュニティを維持しつつ、地域の実情に応じて、新たな地域づくりに必要な制度を創設する等の復旧・復興対策を加えるなどの所要の改善を行い、国民の生命と財産を守り、安定的な生活が可能となるような津波対策推進法案の早期成立を強く要望する。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年6月10日
宮城県議会議長 畠山 和純
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
国土交通大臣 あて
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