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現在の教員不足の状況は、教員の業務が繁忙であり、しかも保護者対応など難しい業務が多い反面、給料などの面でも一般企業の方が条件が良いなど教育職の魅力が薄れ、教員志望者が減ってきている。
そして、新規採用された若い教員の産休・育休の増加や病気休暇・病気休職となる職員の増加もあり、臨時講師の需要が増加しているが、教員採用枠の拡大により既卒受験者の多くが正規教員として採用されたため、臨時講師のなり手が減少し、講師需要に対して供給が追い付かないという構造的な状況が発生している。
特に、年度初めには何とか講師配当ができても、年度途中の産休・育休や病気休暇・病気休職に対応する講師配当は非常に難しい状況となっている。そのため、学校現場では教務主任や中には教頭が学級担任になるケースまで生じてきており危機的な状況となっている。
教員の働き方改革などにより、業務の軽減や待遇面の改善などに取り組んでいるものの、教員不足を解消する有効な手段とまでは至っていないのが現状である。
このような深刻化する教員不足を解消するために、教員の奨学金返還を減免するための予算措置が必要である。過去には、日本育英会(現 独立行政法人日本学生支援機構)が奨学金の貸与を受けた人を対象に、教員などの職に一定期間就いた場合、奨学金返還減免を行っていた。しかし、採用試験の倍率の上昇などから人材確保の役割が薄れてきたことや、職業の公平性の観点などを理由に、平成10年に教員の奨学金返還減免は廃止された。
今、この我が国の学校教育の危機的な状況に当たって、教育職の魅力を発信しこの状況を改善できる有効な手段としては、「教員になったら奨学金を減免する」という制度の復活が不可欠である。
よって、国においては、現在の教師不足に対する効果も考慮し、質の高い教師の確保に資するため、 教員の奨学金返還減免の措置を講ずるよう強く要望する。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年12月19日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣 あて
介護施設や障害福祉サービス事業所等では、人材の確保・定着が難しく、運営に支障を来す深刻な事態になっている。また募集しても応募がなく、公的に定められた人員配置基準を何とか満たしたとしても、現場で必要としている職員数に満たない欠員状態が続く施設等が多いのが現状である。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和4年6月)では、介護職員の超過勤務手当などを含む平均賃金は月額25万7,500円で、全産業平均の34万100円と比べて、8万円を超える格差がある。
今日、最低賃金の引上げや大手企業を中心としたベースアップなどによって賃上げが進む中で、介護職員等への有効な対策は打たれておらず、依然として大きな賃金格差が生じている。
また、本年8月に行われた人事院勧告は、民間企業の賃上げを受けてプラス改定となり、私立保育園等の公定価格や児童養護施設の措置費などは本年4月に遡って増額される一方で、介護報酬や障害福祉サービス等報酬には反映されない状況である。
介護や障害福祉を支える職員は、専門職として位置付けられているにもかかわらず、低賃金、人手不足による過酷な労働を強いられることが続けば、職員の離職に歯止めがかからない状態に陥り、施設等の運営も困難となり、必要なサービスの提供ができなくなるおそれがある。
よって、国においては、介護職員等の賃金水準を確保するための制度改革と同時に、職員の人権を尊重し生活を保障するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 医療・介護・障害福祉分野の賃上げについて、経済対策での処遇改善支援事業を早期に実行すること。その上で、令和6年度の報酬の同時改定においては物価高騰・賃金上昇等を踏まえ処遇改善等を行うこと。
2 新型コロナウイルス感染症の感染等による緊急時のサービス提供に必要な人材確保のため、手当の支給などを補助対象とする、地域医療介護総合確保基金における「新型コロナウイルス感染症流行下における介護サービス事業所等のサービス提供体制確保事業」及び「新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス事業所等に対するサービス継続支援事業」の活用を推進すること。
3 介護や障害福祉を支える職員は、専門職として位置付けられており、超高齢社会を支える必要不可欠な人材であることから、公営住宅の「地域対応活用」の実施を促進し、介護職員等の住居の確保を支援すること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年12月19日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
全世代型社会保障改革担当大臣 あて
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