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平成18年3月24日
宮城県条例第46号
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 推進体制及び活動の支援等(第9条―第11条)
第3章 犯罪が起きにくい環境づくりのための基本的な施策(第12条―第21条)
第4章 雑則(第22条―第24条)
附則
安全で安心して暮らせる社会の実現は、県民共通の願いである。また、「安全」は社会における最も基本的な価値であり、「安心」は豊かで潤いのある生活を営む上の基盤となるものである。
私たちは、豊かな自然に恵まれた宮城で日々の営みを互いに支え合う地域社会を築いてきた。都市、農山漁村など多様な環境を有する宮城は、これからの時代に、真に豊かな生活を享受できる可能性を持った地域である。
しかし、県内では、子ども、女性、高齢者を対象とした犯罪の発生や、犯罪の国際化、低年齢化などによって、治安に対する県民の不安感が増してきている。
情報化、高齢化、都市化などに伴う生活様式の変化を始めとする近年の急激な社会環境の変化により、地域社会における連帯意識や人間関係の希薄化が危惧(ぐ)されるなか、県民が真に安心して暮らせるまちづくりの実現には、行政施策や警察活動のみならず、県民一人一人が、「自らの安全は自らが守る」、「地域の安全は地域が守る」という意識を持ち、基本的人権を尊重しつつ、地域社会が連帯し支え合いながら、犯罪が起きにくい環境を整えることが必要である。
ここに、私たちは、誰もが安心して暮らすことができ、特に次代を担う子どもたちが犯罪に巻き込まれることのない安全な地域社会の実現を目指し、「犯罪のない安心して暮らすことのできる安全なまちづくり」を県民運動として進めることを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、犯罪のない安心して暮らすことのできる安全なまちづくり(以下「安全・安心まちづく り」という。)に関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、犯罪が起きにくい環境づくりを進めるために必要な事項を定めることにより、安全・安心まちづくりを推進し、もってすべての県民が安心して暮らせるまちを実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 安全・安心まちづくりは、県、県民等(県民、事業者及びこれらの者の組織する民間の団体をいう。以下同じ。)及び市町村の適切な役割分担による協働の下に、次に掲げる事項を基本として推進されなければならない。
(1) 自らの安全は自らが守り、地域の安全は地域が守るという防犯意識の高揚を図るとともに、県民運動 として、お互いが支え合う地域社会の形成を図ること。
(2) 子ども、女性、高齢者、障害者及び外国人その他の特に防犯上の配慮を要する者を犯罪被害から守ること。
(3) 基本的人権を侵害しないよう配慮しつつ、犯罪が起きにくい生活環境の整備を行うこと。
(県の役割)
第3条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、安全・安心まちづくりに関する総合的な施策を策定し、実施するものとする。
(市町村への協力及び支援)
第4条 県は、安全・安心まちづくりを推進する上で市町村が果たす役割の重要性にかんがみ、市町村が実施する安全・安心まちづくりに関する施策について、必要な協力及び支援を行うよう努めるものとする。
(県民の役割)
第5条 県民は、基本理念にのっとり、日常生活における安全の確保に自ら努めるとともに、地域における安全・安心まちづくりに関する自主的な活動を行うよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動における安全の確保に自ら努めるとともに、地域における安全・安心まちづくりに関する自主的な活動に協力するよう努めるものとする。
(基本計画)
第7条 知事は、安全・安心まちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、基本理念にのっとり、安全・安心まちづくりに関する基本計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 基本計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 安全・安心まちづくりに関する基本的方向
(2) 安全・安心まちづくりの推進のための施策に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、安全・安心まちづくりの推進に関し必要な事項
3 知事は、基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、県民等の意見を反映することができるよう必要 な措置を講じなければならない。
4 知事は、基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、次条第1項に規定する安全・安心まちづくり委員会の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。
5 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6 前3項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(安全・安心まちづくり委員会)
第8条 基本計画その他安全・安心まちづくりに関する重要事項を審議するため、知事の附属機関として、安全・安心まちづくり委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会は、前項に規定する重要事項に関し知事に意見を述べることができる。
3 委員会は、知事が任命する委員20人以内で組織し、任期は2年とし、委員は再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員会に、会長及び副会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
5 会長は、会務を総理し、委員会を代表する。
6 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
7 前各項に定めるもののほか、委員会の運営に必要な事項は、会長が委員会に諮って定める。
第2章 推進体制及び活動の支援等
(推進体制の整備)
第9条 県は、県民等及び市町村と連携して、安全・安心まちづくりを推進するための体制を整備するものとする。
(広報及び啓発)
第10条 県は、県民が安全・安心まちづくりについて理解を深めることができるよう、広報及び啓発を行うものとする。
(自主的な活動に対する支援)
第11条 県は、県民等が行う安全・安心まちづくりに関する自主的な活動に対し、その活動を促進するため情報の提供、助言その他の支援を行うよう努めるものとする。
2 警察署長は、県民等が行う安全・安心まちづくりに関する自主的な活動が適切かつ効果的に推進されるよう、その管轄区域における犯罪の発生状況等に関する情報の提供、助言等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第3章 犯罪が起きにくい環境づくりのための基本的な施策
(児童等の安全確保のための指針)
第12条 知事及び教育委員会は、公安委員会と協議して、学校等(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校、専修学校の高等課程、主として外国人の児童、生徒及び幼児に対して学校教育に類する教育を行う各種学校並びに児童福祉施設をいう。以下同じ。)及び通学路等(通学、通園等の用に供されている道路並びに児童、生徒及び乳幼児(以下「児童等」という。)が日常的に利用している公園、広場等をいう。以下同じ。)における児童等の安全確保に関する指針を定めるものとする。
(学校等における児童等の安全確保)
第13条 学校等を設置し、又は管理する者は、前条の指針に基づき、当該学校等における児童等の安全確保のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 学校等を設置し、又は管理する者は、必要があると認めるときは、関係機関の職員、児童等の保護者、地域住民、関係団体等の参加を求めて、児童等の安全確保に関する体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 県は、学校等を設置し、又は管理する者に対し、当該学校等における児童等の安全確保のために必要な情報の提供、助言等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(通学路等における児童等の安全確保)
第14条 通学路等を管理する者、児童等の保護者、学校等を管理する者及び地域住民は、連携して、第12条の指針に基づき、当該通学路等における児童等の安全確保のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 県民は、児童等が危害を受けていると認められる場合又は危害を受けるおそれが明らかであると認められる場合には、状況に応じて、警察官への通報、避難誘導等その他の適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
(児童等の安全教育)
第15条 県は、児童等が犯罪の被害者又は加害者とならないようにするために学校等が家庭及び地域社会と連携して行う教育に係る取組を支援するものとする。
(犯罪の防止に配慮した道路等の普及)
第16条 県は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有し、又は犯罪の防止に配慮した管理を行う道路、公園、自動車駐車場及び自転車駐車場(以下「道路等」という。)の普及に努めるものとする。
2 知事は、公安委員会と協議して、道路等について、犯罪の防止に配慮した構造、設備等に関する指針を定めるものとする。
3 道路等を設置し、又は管理する者は、前項の指針に基づき、当該道路等を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(犯罪の防止に配慮した住宅の普及)
第17条 県は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する住宅の普及に努めるものとする。
2 知事は、公安委員会と協議して、住宅について、犯罪の防止に配慮した構造、設備等に関する指針を定めるものとする。
3 住宅を建築しようとする者又は住宅を所有し、若しくは管理する者(以下「住宅建築者等」という。)は、前項の指針に基づき、当該住宅について、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有し、又は犯罪の防止に配慮した管理を行うものとするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 県は、住宅建築者等及び住宅に居住する者に対し、当該住宅の防犯性向上のために必要な情報の提供、助言等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(空き地又は空き家における犯罪の防止)
第18条 空き地又は空き家を所有し、又は管理する者は、当該空き地又は空き家について、さくの設置、草刈り、出入口の施錠等犯罪を防止するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(深夜商業施設等における犯罪の防止)
第19条 知事は、公安委員会と協議して、深夜商業施設等(深夜商業施設(午後10時から翌日の午前5時までの間において営業する小売業に供される施設をいう。)及び遊技場(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第4号及び第5号に規定する営業を行う施設並びに青少年健全育成条例(昭和35年宮城県条例第13号)第30条各号に規定する営業に係る営業所をいう。)をいう。以下同じ。)における犯罪の防止に配慮した構造、設備等に関する指針を定めるものとする。
2 深夜商業施設等を設置し、又は管理する者は、前項の指針に基づき、当該深夜商業施設等を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 県は、深夜商業施設等を設置し、又は管理する者に対し、当該深夜商業施設等の防犯性向上のために必要な情報の提供、助言等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(自動車等の販売業者による情報の提供)
第20条 自動車、原動機付自転車及び自転車の販売事業者は、盗難による被害を防止するため、購入者に対し、日常の管理方法及び犯罪の防止に配慮した機器等に関する情報提供を行うよう努めるものとする。
(観光旅行者等の安全の確保)
第21条 県は、観光に関する事業を営む者等と連携して、観光旅行者等の安全を確保するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第4章 雑則
(指針の策定手続)
第22条 知事は、第12条、第16条第2項、第17条第2項及び第19条第1項の指針(以下「防犯指針」という。)を定め、又は変更しようとするときは、県民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。
2 知事は、防犯指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(財政上の措置)
第23条 県は、安全・安心まちづくりを推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(施策の公表)
第24条 知事は、毎年度、安全・安心まちづくりに関して講じた施策の内容を公表するものとする。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成18年4月1日から施行する。
(附属機関の構成員等の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 附属機関の構成員等の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例(昭和28年宮城県条例第69号)の一部を次のように改正する。
別表に次のように加える。
〔次のよう〕略
附則(平成18年条例81号)
(施行期日)
この条例は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成22年条例22号)
(施行期日)
この条例は、平成22年4月1日から施行する。
附則(平成28年条例4号)
(施行期日)
この条例は、公布の日から施行する。ただし、第12条中「中学校」の下に「、義務教育学校」を加える部分は、平成28年4月1日から施行する。
附則(平成28年条例20号)
(施行期日)
この条例は、平成28年6月23日から施行する。
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