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木造菩薩立像(仙台市太白区長町)が、宮城県指定有形文化財(彫刻)に、平成28年2月23日指定されました。
所在地:仙台市太白区長町一丁目(現在仙台市博物館に一時寄託中)
所有者:十八夜観世音堂保存会
仙台市太白区長町一丁目に所在する十八夜観世音堂の本尊です。
菩薩の姿をした立像で、観音菩薩として現地でまつられておりますが、宝冠を失い、頭部周囲に小さな仏の存在などを確かめられないため、詳しい像名は不詳です。像の高さは138.5cmです。
頭頂部の球形をした髻(もとどり)、腹部が細く腰高のプロポーション、顎と肩を引き、ゆるやかなS字を描いて、安定した側面観は、木製仏像の古い様式を伝えています。左足下に切断された痕跡があり、制作当初は台座を含めて一つの材であったと思われます。
こうした作風と技法から、制作時期は8世紀末から9世紀初頭、奈良時代末期から平安時代初期とすることができます。
菩薩像は一本のカヤの木から彫り出されています。カヤ材は奈良時代末期から平安時代初期に、畿内の木彫像に意識的に採用された材種で、同じ頃の、東北地方に伝わる木彫像の多くはケヤキ材であることから、本像は畿内の仏像制作の作法に基づいていると考えられます。
像の右腕の肘から先、左手、右の足元などは後の時代に補っておりますが、総じて状態がよく、東北地方に残る木彫像としては、現存、最古であり、その文化財的な価値は極めて高いと言えます。
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