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村田町は宮城県南部の内陸部に位置し,仙台市の南に接する。村田町のほぼ中央,盆地の北端に保存地区がある。
15世紀に村田城が築かれ,江戸時代には,伊達家の家臣が領主として館(やかた)を構える。館の東に領主の家臣たちの武家地,そしてその東に町人地が配された。資料では,遅くとも18世紀後期には,町人地が成立していたことが確認でき,このうちの本町(もとまち)と荒町(あらまち)が保存地区に当たる。江戸時代には,上方(かみがた)や江戸との交易を行って,紅花の集散地として栄え,明治には繭の集散地,その後も仙南地方の商業地として栄えた。
村田町村田伝統的建造物群保存地区は,近世から近代にかけて商業地として栄えた東西約180メートル,南北約470メートル,面積約7.4ヘクタールの範囲である。
敷地は,南北道路に面して短冊形(たんざくがた)に割られ,敷地の北に建物を寄せて建て,敷地の南を敷地内通路とする。道路に面しては,北に寄せて店が建てられ,その南に門が建てられる。その結果,道路に面して,店と門が交互に並ぶ,特徴的な町並みとなっている。また,道路に面する店は店舗専用建築とし,その背後に居住施設である主屋(おもや)を別棟で建てることも特徴的である。
店の多くは土蔵(どぞう)造りとする。店は厚い土壁で覆われ,窓や扉は,段々を付けて外部から火が入らないように工夫された掛子(かけご)塗りとし,壁面には平たんな瓦を貼って目地を漆喰(しっくい)で盛り上げた,なまこ壁が多用され,重厚かつ意匠的にも発展した形式とする。一階は店舗として使用され,前方を土間とし,後方に床(ゆか)を張って帳場(ちょうば)とし,土間と帳場の境には,上下にスライドして開閉をする摺揚戸(すりあげど)を残すものもある。門は,軒を支える部材などに彫刻を施し,戸口の上には欄間を飾り,意匠的にも見所が多い。
村田町村田伝統的建造物群保存地区は,近代になって意匠的に発展した当地方特有の店と門が交互に並ぶ特徴ある町並みを良く残し,さらには,敷地内の主屋,土蔵,納屋などが良く残り,特徴ある歴史的風致を良く残し,我が国にとって価値が高い。
店と門が交互に並ぶ町並み
敷地内の石畳通路
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