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「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬)
ヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)
1914年
69.8×48.4cm
厚紙、油彩
カンディンスキーは故国のロシアの知識人たちと同様、物質主義世界の崩壊と新しい精神世界の登場を期待していました。1910年以降、彼は絵画によってそれが近いことを示そうとしましたが、それをそのまま語るのではなく、主題の持つ意味を形態や色彩によって「内的な響き」として表現し、モティーフの意味を覆い隠してしまいました。こうして「非対象絵画」が誕生したのです。
数は少ないのですが、カンディンスキーは壁画でもそのような主題の絵画を制作しました。これは1914年、ニューヨークの企業家からの注文で制作された4枚のパネルからなる壁画の習作です。画家自身が題名をつけず、後世の美術史家が四季図と解釈したため《カーニバル・冬》と呼ばれてきました。しかしここにも四季図とは無縁のキリスト教的な終未論的な世界は隠されています。はじけ散り、上昇するかのような色彩が大きく複雑に響いてきます。
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